2019年 研究会

名古屋多文化共生研究会 12月例会

(トランスナショナル研究会)

日時:12月16日(月) 18:00~20:00

場所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

発表者: 大嶋えり子(金城学院大学国際情報学部 講師)

タイトル: (仮)フランスにおける『共同体主義』と共和国モデルの聖性

要旨:

フランスでは共同体主義(communautarisme)という語を用いて、特定のコミュニティ、それもしばしば移民やその子孫のコミュニティが閉鎖的な態度をとることを批判する。これはアメリカのコミュニタリアニズム(communitarianism)とはまったく異なる概念であり、フランス政治特有の意味および用法を有する。本研究ではフランスにおける共同体主義概念を検討し、政府レベルでいかに特定の属性の人々に対する排除・差別の正当化においてこの概念が使用されているのかを明らかにする。そのために、フランスの国家と個人の関係を規定する共和国モデルに注目していく。とりわけ、共和国モデルの聖性と共同体主義概念の関係に光をあてていく。

名古屋多文化共生研究会 10月例会

(トランスナショナル研究会)

日時: 10月18日(金) 18:00~20:00

場所: 名城大学天白キャンパス

発表者: 佐伯 康考(大阪大学共創機構 特任助教)

タイトル: 定住外国人の教育問題に関する経済学的考察

要旨:

日本国内に在住する在留外国人の人数は2018年末に273.1万人と過去最多を記録した。日本語の指導を必要とする外国籍児童生徒の人数も平成30年度に40,485人も過去最多となる中、日本語指導が必要な外国籍の高校生の中退率が公立高校生の7倍以上、非正規就職率が9倍以上などの危機的状況となっている。こうした状況を放置し続けることは、社会全体に悪影響を及ぼすような深刻な事態を招きかねず、日本社会は定住外国人の教育問題について真剣に向き合うべき時を迎えている。今回の報告では、定住外国人の教育に関する経済学的考察を行い、今後の方策について参加者と共に議論を深める。

2019年度名古屋多文化共生研究会 年次大会

大会テーマ:「「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」における課題」

趣旨:

2018年末の入管法と法務省設置法の改正により、「特定技能」といった新たな在留資格による多くの外国⼈の受入れが始まるとともに、法務省は、外国人材の受入れ・共生に関する総合的対応策の企画・立案・総合調整の役割を果たすことになった。従来の日本の多文化共生政策は、主として自治体の政策をさし、国の体系だった政策はみられなかったが、今後は、自治体の政策を国が支援・促進する関係の重要性が高まる一方で、国際交流協会・NGOと自治体・国との具体的な関係性のあり方も問われることになる。

十分な議論や準備がないままに、2019年4月からはじまる総合的対応策の焦眉の課題について、本年のシンポジウムでは議論することを予定している。とりわけ、総合的対応策の目玉として国が掲げる「多文化共生総合相談ワンストップセンター」の設置とその人材育成をめぐる課題と展望を中⼼に第1部では検討することにする。ついで、第2部では、相談事業以外についても、会場のすべての参加者が各自の興味のある施策の希望するテーマごとに、小グループに分かれて、ざっくばらんに意見交換・情報共有を行う予定である。今後の東海地域の多文化共生施策の課題と展望について考えてみたい。

日時:2019年7月27日(土) 14:00~17:30

場所:名城大学・天白キャンパス 「校友会館3階 第1会議室」

(地下鉄名城線塩釜口下車1番出口右へ徒歩4分 → 正門入口西側にある4階建ての建物 (1階が郵便局)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tempaku.html

※なるべく公共交通機関でお越しください。

主催:名古屋多文化共生研究会

参加費:500円(資料代です)

チラシ(こちらからダウンロード

大会プログラム:

14:00

開会・あいさつ 近藤 敦 会長(名城大学法学部教授)

14:10 ~ 17:30

14:10 第1部パネルディスカッション

コーディネータ:土井佳彦(NPO法人多文化共生リソースセンター東海代表理事)

・報告1:「名古屋国際センターにおける外国人相談事業」

加藤理絵((公財)名古屋国際センター広報情報課長)

・報告2:「地域で外国人住民の困り事を解決するには~外国人ヘルプライン東海の活動から~」

後藤美樹(外国人ヘルプライン東海代表)

・報告3:「コミュニティ通訳・翻訳者およびコーディネーターの育成」

吉富志津代(名古屋外国語大学教授、NPO法人多言語センターFACIL 理事長)

16:00 第2部ワークショップ

17:30 閉会

名古屋多文化共生研究会 6月例会

(トランスナショナル研究会)

・日時: 2019年6月15日(土)14:00~

・場所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tempaku.html

※お車でお越しの方は、キャンパス入口の守衛所にて、近藤敦先生と

の研究集会がある旨、お告げし、駐車許可をおとりください。

・報告者:徳田 剛(大谷大学 准教授)

・報告タイトル:地方での多文化共生の地域づくりに向けた諸課題(仮)

・報告要旨:

日本の地方部では農林水産業や製造業の労働力不足をアジアからの技能実習生で補完する現場が増えてきている。その結果、2010年代に入ってからは特に、地方在住外国人の増加傾向が顕著となっている。それとともに、外国人住民の少なさや散住傾向による言語面・生活面でのサポートの難しさ、それらを担う人材(専門スキルやノウハウを持つスタッフやボランティア等)の不足、行政や地域社会における多文化共生に関する諸課題への問題意識の希薄さなど、多文化共生の地域づくりに際しての地方独特の難しさが存在することも明らかになってきた。しかし他方で、集団規模の小ささや地域の狭さゆえに支援者と当事者、支援者どうしの「顔の見える」関係を構築しつつ協働を進めている事例もある。そのような地方での多文化共生の現状と課題について、報告者らの調査事例を紹介しつつ素描したい。

名古屋多文化共生研究会 3月例会

(トランスナショナル研究会)

日時: 2019年3月11日(月)18:00~

場所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tempaku.html

※お車でお越しの方は、キャンパス入口の守衛所にて、近藤敦先生と

の研究集会がある旨、お告げし、駐車許可をおとりください。

報告者:手塚沙織( 南山大学外国語学部 講師)

報告タイトル:移民政策をめぐる政治的変遷におけるトランプ大統領の戦略

報告要旨:

トランプ政権が発足して早2年。その間、トランプ政権は矢継ぎ早に様々な移民政策を発表(および施行)し、これまでの大統領とは異なる形で、国内外から注目されてきた。その中でも最も高い関心が払われたのが、トランプ大統領と民主党での南部国境沿いの壁の建設をめぐる交渉であろう。予算法案に署名せず、39日間という米史上でも稀に見る長期間に渡り、一部政府機関を閉鎖してまで行ったトランプ大統領への壁建設の予算法案をめぐる交渉に対して、世論の63%が不支持を表明した(Quinnipiac University National Poll,2019/1/14) 。連邦政府の職員によって政府機関の閉鎖に対する抗議デモも行われた。トランプ大統領の移民政策に対する抗議デモは、特定のイスラム圏出身者への一時入国禁止令が発表されたときも、全米で起こっている。トランプ大統領の移民政策は、物議を醸し、批判されているが、世論とは呼応していないのであろうか。トランプ大統領の移民政策は、「移民国家」とされるアメリカの理念から照らし合わせると、異常なのだろうか。以上の問題意識から、本報告では二つの課題を掘り下げたい。一つ目は、トランプ大統領による移民政策を整理した上で、南部国境沿いの壁の建設をはじめとするトランプ大統領の移民政策は、前大統領やこれまでの議会の動向から、どういう位置付けにあるのか。二つ目は、トランプ政権になって「社会の分断」が声高に叫ばれているが、トランプ政権が「分断」を導いたのか。本報告では、アメリカ政治における移民政策の変遷から、トランプ大統領の移民政策の検証を進める。