2014年 研究会

・日時:12月4日(木) 18:00~19:30

・場所:名城大学(天白キャンパス・)10号館2階大会議室

・報告者:近藤 敦(名城大学)

・タイトル:「自国に入国する権利と在留権:比例原則に反して退去強制されない権利」

・内容(要約):憲法上(実際には、憲法が規定していないので、国際慣習法上)、

外国人には入国する自由や在留権(在留し続ける権利)は、保障されておらず、

日本人の配偶者や特別永住者(当時の協定永住者)の再入国の自由も保障され

ていないとするのが判例(マクリーン事件・キャサリーン事件・崔善愛事件)の立場で

ある。

一方、人権条約において、入国の自由は、「何人も、自国に入国する権利を恣意

的に奪われない」と定める自由権規約12条4項に定められている(「自国に戻る権利」

として訳している政府訳は 、新規に入国する権利や自国に在留する権利など多様な

側面を含んでいることを見落としがちである)。近年、国連の自由権規約委員会は、

『自国』という言葉は、長期の在留期間、密接な個人的・家族的つながり、在留目的、

その種のつながりが他のどこにもないことなどの考慮を促す」との新しい判断を示し、

同項の自国に入国する権利から「一定の外国人」の在留権を導き、退去強制を違法

としている。

このほかにも、本報告では、出入国の自由、居住移転の自由をめぐる事例をもとに、

憲法と人権条約の整合的な解釈や入管法制のあり方を検討したい。