2018年 研究会

名古屋多文化共生研究会 11月例会

(トランスナショナル研究会)

・日 時: 11月5日(月)18:00~

・場 所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tenpaku/

※お車でお越しの方は、キャンパス入口の守衛所にて、近藤敦先生と

の研究集会がある旨、お告げし、駐車許可をおとりください。

・報告者:山本健人( 大阪経済法科大学法学部 助教)

・報告タイトル:カナダの多文化主義

・報告要旨:教育は、宗教的多様性と「国家の宗教的中立性」をめぐる議論の主戦場であり、カナダでも、宗教的多様性と如何に向き合うか、という難問に関する最も論争的な領域だとされている。本報告では、まず、多文化主義の国家として一般に知られている「カナダの多文化主義」とは法的には如何なるものなのか、それが憲法論にも影響するのかについて整理する。その後、学校教育と宗教の関係が問題になったカナダ最高裁判決を分析し、憲法学という規範的な観点からこうした問題にどのようにアプローチすべきなのかを検討する。なお、1982年の憲章(カナダの憲法の一部)は日本国憲法と異なり、政教分離に関する規定を持たないが、信教の自由のコロラリーとして国家の宗教的中立性を導き出している。本報告においては、カナダにおける「宗教的中立性」如何なる意味を持つものと解釈されているのかも明らかにする。最後に、以上検討してきたカナダ憲法のアプローチが日本国憲法にとって如何なる有益な示唆をもたらすのかについても考えてみたい。

名古屋多文化共生研究会 9月例会

(トランスナショナル研究会)

・日 時: 9月25日(火)18:00~

・場 所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tenpaku/

※お車でお越しの方は、キャンパス入口の守衛所にて、近藤敦先生と

の研究集会がある旨、お告げし、駐車許可をおとりください。

・報告者:北村広美( 多文化共生センターひょうご代表 、名城大学法学研究科博士課程在籍)

・報告タイトル:多文化共生を学ぶ学生の背景と授業の効果

・報告要旨:看護師国家試験の出題基準に「在日外国人の看護」に関する項目が新設された。しかし従来の看護教育において在日外国人を看護の対象と捉えたカリキュラムはほぼ存在せず、教育手法に関してはまだ手探りであるのが現状である。筆者はこれまでに、多文化共生社会を健康面から推進する人材育成に寄与するための数々の授業実践を行っており、「学ぶ主体」である学生の多文化共生に関する意識の変容を実感してきた。本報告では2017年から2018年にかけて筆者が担当した授業において履修学生を対象に実施した質問紙調査の結果について報告する。

質問内容は①「多文化共生」という用語の理解、②多文化共生(在日外国人)についてのイメージ、または知っていること、③自分のまわりに外国人がいるか(いたか)、それはどんな場面か、④多文化共生について知りたいこと、疑問点、⑤授業を通じて気づいたこと、問題意識、⑥その他(自由記入)とし、それぞれの記述内容からキーワードを抽出し分析した。

2018年度 総会・年次大会

大会テーマ:「言語教育政策の課題と展望-ニュージーランド・カナダ・日本-」

趣旨:

日本の多文化共生政策は、主として自治体の政策をさし、国の教育政策は、教育基本法1条に定める「国民の育成」に目的が置かれている。文科省の主たる関心は、日本語指導が必要な児童生徒に対する日本語教育である。文科省の2011年の『外国人児童生徒受入れの手引き』では、「すべての児童生徒に多文化共生の心を育む視点」の必要性を説きながら、「学校でも、課外において、児童生徒の母語、母文化にかかわるものとして『継承語』という位置付けでそれを尊重し、習得を援助することが望まれます」と指摘するにすぎない。愛知県が2018年に策定した『あいち多文化共生推進プラン2022』では、母語教育サポートブックの普及や母語・母文化学習の大切さを伝えるイベントの開催などにより、外国人県民の子どもたちが母語に誇りと関心が持てるようにしていくとある。いずれも、課外の母語教育・継承語教育の必要性を認識している。シンポジウムでは、ニュージーランドの「英語以外の言語」教育やカナダの継承語教育の事例を比較検討しながら、日本の言語教育政策の課題と展望について考えてみたい。

日 時:2018年7月28日(土) 13:00~17:00

場 所:名城大学・天白キャンパス 「校友会館3階 第1会議室」

(地下鉄名城線塩釜口下車1番出口右へ徒歩4分 → 正門入口西側にある4階建ての建物 (1階が郵便局)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tempaku.html

※なるべく公共交通機関でお越しください。

主 催:名古屋多文化共生研究会

参加費:500円(資料代です)

チラシ:こちらからダウンロード

総 会:

13:00 ~ 13:30 校友会館3階 第1会議室にて

大会プログラム:

14:00

開会・あいさつ 近藤 敦 会長(名城大学法学部教授)

14:10 ~ 17:00

報 告1:「ニュージーランドの「英語以外の言語」教育」 岡戸浩子(名城大学人間学部教授)

報 告2:「カナダの継承語教育」 鈴木崇夫(名古屋大学国際言語センター特任助教/とよた日本語学習支援システム システム・コーディネーター)

報 告3:「愛知県内の母語教育」 松本一子(愛知淑徳大学非常勤講師/NPO法人子どもの国理事)

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事前申し込み・問い合わせ先:

名古屋多文化共生研究会 事務局宛

aberyogo@auecc.aichi-edu.ac.jp

※件名に「NAMS大会参加希望」と明記のうえ、お名前・ご所属・連絡先をお知らせ下さい。

名古屋多文化共生研究会 6月例会

(トランスナショナル研究会)

・日 時: 6月6日(水) 18:00~

・場 所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tenpaku/

※お車でお越しの方は、キャンパス入口の守衛所にて、近藤敦先生と

の研究集会がある旨、お告げし、駐車許可をおとりください。

・報告者:近藤 敦(名城大学法学部)

・報告タイトル:移民統合政策の理念と政策指数調査にみる言語政策の課題

・報告要旨:

まず、多文化主義とインターカルチャリズムの異同について整理する。日本では、国レベルでの統合政策は乏しく、自治体レベルの統合政策は多文化共生政策と呼ばれる。統合政策には、理念上、①同化主義的な統合政策、②多文化主義的な統合政策、③多文化主義の3つのタイプがある。②は今日、インターカルチャリズムと呼ばれる。日本の多文化共生の理念は②であるものの、実務は①といえる。

ついで、国の「移民統合政策指数(MIPEX)」における言語の課題をみる。労働市場において、日本は、国外の資格の認証の促進策が乏しいが、一部に語学力を在留資格要件としはじめている。永住許可に言語要件はなく、帰化の言語要件は明確性を欠いている。

さらに、自治体の「インターカルチュラル・シティ指数(ICC Index)」における言語の課題をみる。日本での唯一の加盟都市である浜松の言語の指数は、加盟都市の平均よりも低い。浜松市は、マイノリティ言語のメディアを直接には支援しておらず、アクセスしにくい集団に対し、公用語の特別な言語訓練を提供していない。

最後に、日本の多文化共生政策における言語政策の課題をみる。今後は、子どもの母語(継承語)教育、大人の日本語教育の整備が課題である。言語的デュープロセスの理念のもとに、医療通訳や法廷通訳などの資格制度を整備する必要もある。自治体は、移民の新聞・雑誌、ラジオ・番組を財政支援し、多言語の文化イベントなど、インターカルチュラルな交流の促進が重要である。

名古屋多文化共生研究会 4月例会

(旧、トランスナショナル研究会)

・日 時: 4月10日(火) 18:30~

・場 所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tenpaku/

※お車でお越しの方は、キャンパス入口の守衛所にて、近藤敦先生との研究集会がある旨、お告げし、駐車許可をおとりください。

・報告者: 近藤大祐(公益財団法人名古屋国際センター 交流協力課)

・報告タイトル: 浜松におけるブラジル人移住第2世代の発信活動―ライフストーリーの分析を中心に―

・報告要旨:

1990年の改定出入国管理および難民認定法施行により、就労を目的とした日系人をはじめとする、いわゆるニューカマーの来日が急増した。今日では230万人を超える外国人が日本で暮らしている。彼らの定住志向は年々高まっており、日本での子どもの教育が肝要となる。しかしながら、学校からのドロップアウトや不就学、低い学業達成率など、依然として課題は山積している。

静岡県浜松市では、多文化共生の地域づくりが新たな局面を迎えている。欧州のインターカルチュラル・シティ政策の知見を参照した「浜松市多文化共生都市ビジョン」を2013年に策定するなど、まちづくりに外国人の多様性を生かす流れにある。そのなかで、外国人の子どもやその保護者にモデルを示し、かつホスト社会の人々に気付きをもたらす発信活動を行うブラジル人移住第2世代の若者が地域社会に台頭しつつある。

本報告では、後続の子どもたちのために自らの声をホスト社会に発信するブラジル人移住第2世代の若者に焦点をあてる。そして、第2世代の若者の活躍が今日の浜松で何故実現しているのか明らかにすることを目的とする。そのために、浜松におけるブラジル人移住第2世代が発信活動に至る過程および彼らの変化を考察する。加えて、発信を支えるエージェントの機能を考える。

名古屋多文化共生研究会1月例会(トランスナショナル研究会)

・日時:2018年1月12日(金) 18:00~

・場所: 名城大学天白キャンパス 10号館2階大会議室

(タワー75という一番高い建物の北隣りで、8階建ての建物の2階です)

https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/tenpaku/

※お車でお越しの方は、キャンパス入口の守衛所にて、近藤敦先生との研究集会がある旨、お伝えし、駐車許可をおとりください。

・報告者:高橋(溝上)由紀 (名城大学法学部教授)

・報告タイトル:メディア言説におけるムスリムの他者化の構造

・報告要旨:

新聞などのマスメディアの言説は、ある特定のグループへのネガティヴな、あるいはステレオタイプ的な見方を生産・再生産し、維持するのに大きな役割を果たしている。イスラム過激派が起こしたとされるテロ事件の報道や、シリア等からヨーロッパに到達する難民に関する報道が、イスラム教徒に対する差別や偏見や憎悪を再生産、強化し、イスラム教徒を他者化していく言説構造を、筆者の論考2編を元に検討する。具体的には、(1)2014~2016年に英国の主要新聞の投書欄に寄せられた、ムスリム難民申請希望者に関する投書の言説と、(2)2015年にパリで起こったシャルリエブド襲撃事件に関する英米主要新聞の報道の言説を、批判的に分析しながら、メディアによる文化的暴力について考察する。