私たちは動物の性決定・性分化や、生殖器官の発生・分化に関する研究を行っています。それらは本来、生物に内在的にプログラムされているものですが、さまざまな環境要因によって微調整されたり、ときには大きく変化することもあります(悪影響としてさまざまな疾患の原因にもなります)。私たちは、生物の発生プログラムを、環境から受ける影響を加味しながら解明することを目指しています。マウスなどいわゆるモデル生物に加え、生態系及び生物多様性の保全とそれに資する科学的知見を集積すべく、魚類や爬虫類など野生生物も研究対象としています。さまざまな生物現象の背景にある分子・生理機構を明らかにするとともに、ヒトや動物の健康や、エコシステムの健全化、自然との共生を目指して研究を行っています。多くは国内外の研究機関と共同研究として行っており、海外研究者との研究交流を活発に行っています。
哺乳類の生殖器官の発生・分化メカニズム、性ホルモンの作用メカニズムや、疾患(癌化や形態形成・組織分化の異常)の原因解明に関わる研究を行っています。また、生体を取り巻く内分泌かく乱化学物質や環境医薬品の影響について、多種多様な魚種間の反応性の違いや、核内受容体の機能解析から、分子から生体レベルまでの総合的視野から研究を行っています。さらにワニやカメを中心として、爬虫類の温度依存型性決定における温度感受性因子の同定を進め、生体内シグナルカスケードの同定を目指しています。
2022-2024. 環境省・環境研究総合推進費「魚類に対する環境医薬品の影響評価法開発に関する研究」(サブグループリーダー)
2021-2023. 科研費・基盤研究B 「エストロゲンによる性の可逆性の分子基盤」(研究代表者)
2021. 受託研究・イーライリリー社「複数動物種のエストロゲン受容体活性評価」
2020-2022. 科研費・基盤研究A 「河川水汚染医薬品の生物影響解明に向けた薬理学・生物学・環境学的アプローチの統合」(研究分担者)
2019-2021. 環境省・環境研究総合推進費「環境医薬品の魚類次世代生産への影響解析」(サブテーマリーダー)
2019-2023. 環境省・化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究(コアリーダー)
2018-2020. 科研費・基盤B 「外生殖器の性分化を動かす力の探索」(研究代表者)
2017-2021. 科研費・新学術領域研究「性スペクトラム」計画研究「温度環境に依存する性スペクトラム」(研究代表者)