第1部では,主として分析哲学の領域に見られる人生の意味論と,心理学的研究の歴史と知見を概観した。人生の意味論については,「究極的・宇宙的・客観的・超自然主義的な意味」を含む立場を「人生の意味(meaning of life)」とし,「地上的・世俗的・主観的・自然主義的な意味」を重視する立場を「生活の意味(meaning in life)」としてまとめ,さらには,これまでの人生の意味論ではあまり取り上げられてこなかった「超意味」「前意味」「脱意味」なども人生の意味の概念として含めて検討した。また,心理学的な研究については,従来の理論モデルと実証的研究の知見を「意味の構成要素」「意味の源・幅」「意味の深さ」「ナラティヴとしての人生の意味」「システムとしての人生の意味」の5つの視点から捉え直した。