一本目 着杖

正面から切り下ろす太刀を、体を右斜め後ろにかわして左小手を打ち、さらに、退きながら上段に構えるその左小手を本手打する形である。

模範演武

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手順

着杖構→本手打→本手打

要領

■仕 常の構えから右手を正面に伸ばし、すべらして、杖尾を床につけて立て、杖先を握る。

*右手を縮めずに、杖を真っ直ぐに立てる。

■打 携刀から右足を出し中段に構え、左足を出し八相に構える。

*「仕」が、構えてから、「打」が八相に構える。【以下これに準ずる】

(仕は杖先を、掌中央で握る。ただし親指を立ててはならない)

■打 八相に構えて間合に進み、振りかぶりながら右足を踏み込み正面を水平まで切り下ろす。

左足から進んで【以下これに準ずる】、一足一刀の間合で止まり、太刀が頭部に届くように、しっかり両手を伸ばして切る。

*八相より振りかぶってから切り下ろす動作は、一拍子とする。太刀を頭上に振りかぶった時、剣先を水平より下げない。【以下これに準ずる】

■仕 右足から右斜め後ろに大きく退きながら体をかわし、右手を持ち替え腰にとり、左手で杖を握る。

*体を捌いた時の姿勢は、真半身となり、小手を打った姿勢はやや半身となる。

(仕は、「打」が振りかぶる起こりを見て右肩を退く。それから体をかわす。)

■仕 杖先を右に半円を描くように回すと同時に、左足から踏み出して左本手で左小手を打つ。

*杖を振りかぶることなく、大きく半円を描き、手を伸ばし顔面を攻めるようにして、小手を打つ。

(体をかわした時、ヘソは斜め、打に対して真半身、首のみ打太刀に向ける。体を沈め、前足を確実に礎とし、ぶれないように。

退いた際、上体は直立のこと。ひかがみ=膝の後ろをのばし、前膝をわずかに曲げる。掌の中心で杖先を握っていれば自然に右手が持ち替わる。体は後ろに寄りかからない。

次いで我が中心線に沿って杖を上げる。円を描くゆえんは、面を打つと見せかけて小手を打つことにある。すなわち打ち太刀の不意を突く。上段まで杖を上げてしまえば、こりゃ小手を打つなと分かってしまう。)

■打 右足から退きながら左上段に構える。

*左足から退かない。「仕」を1歩踏み込んで切ることが出来る間合と姿勢を取る。

■仕 杖を両手いっぱいにとり、右足を踏み出し、左小手を本手打する。

*「打」が上段にとると同時に、杖を両手いっぱいにとり、杖先は「打」の顔面につける。

■打 右足から退きながら太刀を右脇下に下ろす。

*太刀は剣先の方向に下ろす。両足が自由に動けるように残心を示し、重心と姿勢に気をつける。【以下これに準ずる】

■仕 杖先を顔面につけて残心を示す。

*「打」の顔面とは、両眼の間とする。

納め方

■仕 左手を後ろに引き、杖を両手いっぱいにとり、左手を肩の高さにし右手を右膝上につける。

*右手の甲が右足に接し、左手の甲が正面に向くようにする。

■打 左足を右足の後に引き構えを解く。

*右足を動かさず左足を右足の後ろに退き構えを解く。【以下これに準ずる】

■仕 右手を上から持ち替え、杖を右手の内にすべらせながら左足を右足に揃え、常の構えとなる。

*「打」が構えを解くのに合わせて、常の構えとなる。【以下これに準ずる】

【注】「仕」「打」ともに元の位置にもどる。以下これに準ずる。

(仕は、常の構えとなる直前まで、両手を杖から離してはならない)