日本語教育の推進に関する法律案の改訂版が公開
投稿日: 2018/12/06 15:50:01
この12月3日に日本語教育推進連盟の総会が開かれ、「日本語教育推進法案」の改定案が承認されました。その改定案が公開されたのでお知らせします。
(12月3日付「にほんごぷらっと」記事)
http://www.nihongoplat.org/2018/12/03/日本語教育推進議員連盟が日本語教育推進法案を/
改定案(「にほんごぷらっと」サイト上に掲載)
http://www.nihongoplat.org/pdf/20181203_nihongokyoiku_susin_an-2.pdf
全文は上のURLの通りですが、私たちが要請運動の要としていた第3条2節19条の「海外における邦人の子等に対する日本語教育」の案文が次のように改定されたのでどうぞご確認下さい。
原案
「国は、在留邦人の子等を対象とする日本語教育の充実、支援体制の整備、その他の必要な施策を講ずるものとすること。」
改定後
「国は、海外に在住する邦人の子、海外に移住した邦人の子孫等に対する日本語教育の充実を図るため、これらの者に対する日本語教育を支援する体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。」
これは、当初の案で「在留邦人の子等」と、いわゆる駐在員の子供たちと一括りにされていた、永住者の子供たちの存在を改めて明記し、「支援する体制の整備、その他の必要な施策を講ずる」ということを明らかにした文言であり、「継承語教育」という言葉を入れていた私たちの要請文の通りではありませんが、このような結果を得たことは、私たちの署名運動の大きな成果だと思いました。ご苦労の上に署名活動を盛り上げて下さった皆様にまずお伝えさせて頂きます。
これからは、この「邦人の子孫等」が、すでに政府支援の対象になっている戦前に渡航された日系人とは異なる、現在家庭で日本語を使っている新しい渡航者の子供たちであり、その国籍も多様であることを強調しつつ、「支援体制」の枠組み設定に繋がるよう、お互いに働きかけを続けていきたいですね。
この法案の国会への上程ですが、総会に参加された人によると、閉会の迫った現在の臨時国会への上程は難しく、年頭の通常国会に持ち越されるということです。
今回の日本語議連の総会の動画が近く「ぷらっと」に掲載されるとのことで、それを見ると議論の過程が分かると思いますが、法案が国会を通過するまで、これからもしっかりと見守っていきましょう。
もう一つ、嬉しいお知らせですが、中島和子先生を中心に「バイリンガルマルチリンガル子供ネット」(BMCN)の先生方が国内における外国人就労者の子供達への母語教育の支援と、在外の子供達への母語教育(継承語教育)の支援の要請を合わせて行って下さっていましたが、そのうちの国内の就労者の子供達への支援についても、改定された法案には次のような案文が追加されました。
(第1章第3条7)「日本語教育の推進は、我が国に居住する幼児期及び学齢期にある外国人等の家庭における教育等において使用される言語の重要性に配慮して行われなければならない」
この「幼児期から学齢期にかけて家庭で使われる言語への配慮」はまさに在外の私たちの運動とも通じるものであり、理念法と言われるこの法案に、このような一文が盛り込まれたことは、大きな成果だったと思います。各方面の皆様のご尽力に心からのお礼をお伝えし、報告とさせて頂きます。
今後は上記のように法案の国会上程から通過、そしてその後には、しっかりとした実施の道が開かれるよう、見守っていきたいですね。
これからもどうぞよろしくお願いします。
カルダー淑子