2020 宇フォーラム美術館/東京

ー繋ぐー

達 和子 展

2020年3月19日(木)~4月5日

「作品発表から2 0 年が過ぎモチーフとして取り組んで来た思いは「命」の継承です。

私は何故か描くたび・・支持体に向かうたび・・この枠の中から出たいと思います。このエネルギーが自分の作風になっています。」

達 和子

パノラマ画像 第一展示室 第二展示室

達 和子 展 -繋ぐー 2020.宇フォーラム美術館 ドキュメント

・線で紡ぐ生命の形象 美術評論家 清水 康友

・達 和子展『繋ぐ』に 詩人 八覚 正大

・壮大なインスピレーション 宇フォーラム美術館 館長 平松 朝彦

・線で紡ぐ生命の形象

美術評論家 清水 康友


達 和子の作品から、イメージの基となった人体の動きや植物の育つ様の痕跡を探り出すのは、それ程困難ではない。実際に造形化された人の体や植物は、幾つもの作品に見い出せる。

ただ人体や植物の形を追求するのが目的でない事は明白で、そこに宿る生命感の表出が重要なのである。

多様な描画材を用いて、板や紙に自ら内奥に胚胎する情感や思念をストロークを生かした線で描きだす、しなやかさと強靭さを併せ持つ線は作者の思いを反映、あるいはそれと連動して有機的な形を創り出す。この自在な描線は予測しない形を生み出し、不確実さを孕む画面が思わぬ展開を見せ、増殖する形象は連続して振幅し、時に膨張する。この形象と形象とが互いの関係から”間”を生じた時、画面は一気に生命感に溢れるのである。

達の創出する画面は様々に変容し、エロチックでありまたユーモラスであるが、一時として停滞することなく常に活発で新鮮である。それは自身が存在する現在を見詰め、感じた思いをダイレクトに線描するからであろう。変化し続ける作品は、彼女の内的世界の視覚化であり、それはWarmth of life(生命の温もり)の創造の軌跡に他ならないのである。