岩波データサイエンスって?

Q.雑誌なんですか? それとも本?

「雑誌のような本」です.電車の中や喫茶店で気軽に読んでいただけるようにA5版の雑誌のような体裁にし,短めの記事やコラムで構成しました.円城塔さんの掌編小説や計算機で作ったパズルも載せています.特集の部分はそれだけで買う価値があるようにきっちりと構成しますが,同時に気楽に手に取れて知的な面白さのあるものにしたいと思います.

Q.毎月出るんですか?

およそ4か月に1冊を予定しています.季刊というと3か月に1冊が普通なので,それより少し間隔が長くなります.いちおう第1期6巻となっていますが,どこまで続くかは読者の皆様の評価しだいです.

Q.エンジニアと研究者が両方書いていますが,その意図は?

学術系の出版社の著者は大学の教員が多く,技術系の出版社の著者はエンジニアが主になりがちですが,このシリーズではいろいろな背景の方の書いたものをあえて混ぜることで,それぞれの特徴を生かすことをめざします.もちろん,そのほうが適切な場合には,エンジニアが数理的・思想的な内容を書き,研究者がソフトの使い方を解説することもあると思います.

Q.第1巻の「特集」はソースコードが多く入っていますが,今後もこんな感じ?

それは取り上げる手法や対象によっていろいろあると思います.1巻の内容は,ツールを利用すれば比較的簡単に実装できるので,とても実践的な内容になりましたが,分野によってはむしろ内容について深く考えるきっかけになるような特集もあってもよいでしょう.シリーズ全体としてバランスの取れたものにしたいです.

Q.「特集」と「話題」は連携していないのですか?

第1巻や次の2巻では直接つながっていませんが,3巻以降では「特集」のテーマの応用を「話題」で取り上げることもあると思います.いずれの場合も「話題」では,単なる応用として対象を扱うだけではなく,それを導きの糸として,さまざまなサイエンス,技術,趣味の世界の面白さを紹介していきたいです.

Q.「連載」はもっと増えるのでしょうか?

その方向で頑張ります.連載の内容としては,統計科学や機械学習,そして確率を中心とする数理などを中心に考えています.やさしいものから高度なものまで変化に富んだ内容にできるとよいと思っています.

Q.ウェブサイトに力を入れるのですか?

ソースコードや正誤表,載せきれなかった文献を掲載するのはもちろん,それ以上の情報を提供しようと考えています.とくに動画を積極的に利用することで,著者と読者の距離を縮めたいと思います.ページ数の制約のある本体に入りきらないマニアックな記事もウェブに掲載します.

Q.「刊行委員会」って何ですか?

伝統的なやり方で講座やシリーズを出す場合には,大学の教員を中心に数人を集めて編者を依頼し,著者を選定してもらい,それに基づいて出版社が依頼,あとは原稿が上がってきた段階で編者がチェックする,ということになります.しかし,この方式だと,編者の意図が著者に適切に伝わらなかったり,著者との相互的なやりとりを通じての改善が不十分だったりしがちです.また,編者が大学の教員のみだと,エンジニアで著者に適切な人がいても知らなかったり,その逆もあると思います.このシリーズでは,いろいろな年齢や経歴,職業の人間で集まって,企画や原稿のチェック,ウェブサイトの運営を分担して進めることにしました,それを「刊行委員会」と呼んでいます(メンバーは表紙裏に表示).もちろん,出版元の岩波書店とは緊密に連絡を取って進めています.

Q.表紙の絵が気になりますが,どなたの作品ですか?

画家の蛯名優子さんの作品を使わせていただいています.蛯名さんはシリーズ「統計科学のフロンティア」「確率と情報の科学」の装丁もされていますが,本シリーズでは素材の提供をお願いしました.2巻以降も蛯名さんの絵を使う予定です.どの絵を選んでどんな感じになるのかは,デザイナーさんしか知りませんが,期待しています.蛯名さんのほかの絵はこちらのリンクで見られます.ちなみに表紙の裏も毎号ちょっと凝ったものにする予定です.Vol.1は刊行委員の北島が大学院生のころ研究していたグラフオートマトンの出力をもとにしたデザインです.

Q.どうやって円城塔さんに連載を頼んだのですか?

ひ・み・つ

(刊行委員会)