2019年度

おから活用 研究に奮闘/沖高専生ら「島豆腐業界を救え」/乳酸菌でアミノ酸豊富に

沖縄の食文化に欠かせない伝統の味「島豆腐」。その製造工程で発生する「おから」は栄養豊富だが、日持ちの問

題から商品化されることは少ない。そのため大量に発生するおからの廃棄には多くの費用がかかり、製造者の利益を 圧迫している。製造者を廃棄費用の負担から救い、おからを有効活用するための研究に奮闘したのが国立沖縄工業高

等専門学校の学生らだ。 3年にわたる研究の結果、乳酸菌を用いておからを発酵させることで、筋肉増強作用のある

アミノ酸(BCAA)を多く含んだおからが作られることを発見。食品廃棄物の削減や健康食品への商品化に向け希望を見いだした。

研究したのは池松真也教授と5 年生の新垣さくらさん、川満日向子さん、新垣奈瑠瀬さん。きっかけとなったの

は、南城市知念で島豆腐を製造する「なかむら食品」の先代社長・仲村正雄さんが池松教授におからの廃棄問題について話し「商品化など有効活用につながる研究をしてほしい」と相談したことだった。

池松教授の声掛けによって集まり、当時3 年生だった3 人が島豆腐業界の窮地を救おうと研究を始めた。新垣さく

らさんは研究当初を「実験器具の使い方にも不慣れで大変だった」と振り返り、はにかんだ。

研究では、さまざまな条件下で発酵させたおからで見つかった96 種類の乳酸菌を単離し、 1 株ずつ培養した。その中からBCAAを多く作り出す3 株を特定し、おからに植菌することでB CAA を通常より多く含むおからを作ることに成功した。

この結果を応用して、筋力が低下した高齢者向けのBCAAを豊富に含んだ健康食品の開発などにつながれば、お からの廃棄量削減とそれに伴う処理費用の負担軽減が期待できる。

英雑誌にも掲載された同研究の将来的な可能性について、川満さんは「成果がぜひ商品化までつながってほしい」

と笑顔で語った。新垣奈瑠瀬さんは「島豆腐が厳しい状況にあることを学んだだけでなく、製造者の方々の熱意にも 触れてとても良い経験になった」と目を輝かせた。