2017年度例会
2017年度の例会・読書会のお知らせ
5月 例会(盛会にて終了いたしました)
6月 例会(盛会にて終了いたしました)
8月 読書会(盛会にて終了いたしました)
10月 例会・読書会(盛会にて終了いたしました)
11月 例会(盛会にて終了いたしました)
11月 読書会(盛会にて終了いたしました)
12月 特別講演会(盛会にて終了いたしました)
2月 読書会(盛会にて終了いたしました)
詳細が決まり次第、随時、更新をしていきます。
* 昨年度の例会・読書会の情報は、こちらからご覧いただけます。
〈5月 例会〉
【研究紹介】
「英語辞書学の世界-ことばを紡ぐ・ことばを使う・ことばを教える」
関山 健治(中部大学)
概要:
国語辞典の編纂現場を舞台にした『舟を編む』という小説の影響もあってか,ふだん何気なく使っている辞書に関心を持つ人も増えているようである。一方で,スマートフォン,タブレットの普及に伴い,辞書を取り巻く環境も急速に変化してきている。
本発表では,「ことばと人間」の研究に携わる先生方や,研究者を志す学生,院生の皆様を主な対象に,「執筆(校閲)者からみた辞書」,「使用者(ユーザー)からみた辞書」,「教員からみた辞書」の3本の柱から,発表者が専門とする英語辞書学の魅力を紹介する。辞書編纂におけるコーパスの活用,ユーザーフレンドリーな辞書をめざした様々な工夫,学習指導要領の改訂と辞書指導といった英語辞書学の最新動向について,聴衆の皆様とも意見交換をしながら考えてみたい。
※ ふだんよく使っている辞書(冊子,電子辞書,スマートデバイスのアプリなど,メディアは問いません)があれば,ご持参ください。
〈6月 総会・例会〉
本例会では、名誉会員推戴・会則の一部改正等を議題として総会も行う予定です。
【研究発表】
「英語の授業における『英語』の多声的テクスト化について」
榎本 剛士(大阪大学)
概要:
本発表では、学校で行われる「英語の授業」における、学ぶ(あるいは、教える・使う)対象としての「英語」の自明性に批判的考察を加えることを試みる。まず、「スケール」(Blommaert, 2010, 2015; Carr & Lempert, 2016) と「スタンス」(Jaffe, 2009; Kiesling, 2009) の観点を援用しながら、実際に起きた授業のやりとりを分析することで、コミュニケーションを通じて変容する、「為されていること」のあり様を描出する。つづいて、「ラーナブル」(Majlesi & Broth, 2012) の概念を参照し、英語の授業で生徒が学んでいる「英語」なるものを先に措定するのではなく、「教室」という特定の場所に関連した(特定の視点からの)「行為」を通じて「英語」が具体的に現れるプロセスに着目する視座を導き出す。このことをうけて、そのようなプロセスの階層性が授業における外国語の習得に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆したい。
〈8月 読書会〉
【読書会】
書籍:
Ahearn, Laura M. (2011). Living Language: An Introduction to Linguistic Anthropology. Wiley-Blackwell.
今回読むところ:
・Chapter 4. Language, Thought, and Culture.(担当者:篠原和子)
・Chapter 8. Performance, Performativity, and the Constitution of Communities.(担当者:竹野谷みゆき)
・Chapter 12. Conclusion: Language, Power, and Agency.(担当者:瀬端睦)
※"Living Language" は言語研究と社会文化研究の接合を企図した研究分野の入門書です。昨年度より読み進めており、あと章3つとなりましたので、この夏で読了します。今秋からは、新たな著書・論文の輪読を進めていく予定です。今回の読書会では、今後読み進めていく著書・論文を決定したいと思います。
※読書会後(18:30~)、吉祥寺にて食事会も行う予定です。
〈10月 例会・読書会〉
【研究発表 1 】
「認知言語学から見た英語の構文交替:場所格交替を中心に」
野中 大輔(東京大学大学院人文社会系研究科)
概要:
ある種の動詞は、基本的な意味を変えないにもかかわらず、異なる形式の構文に現れる。このような現象は構文交替(alternation)と呼ばれている。英語には以下のような例がある。
(1) 場所格交替
a. They loaded hay into the truck.
b. They loaded the truck with hay.
(2) 与格交替
a. Sally sent a letter to Harry.
b. Sally sent Harry a letter.
(3) 身体部位所有者上昇交替
a. Mary hit John’s shoulder.
b. Mary hit John on the shoulder.
認知言語学では、それぞれのペアにおけるaとbの構文には、(同一の事態を指すのに用いられるとしても)事態に対する捉え方の違いが反映されているのだと分析されてきた。それを踏まえたうえで、本発表では特に場所格交替に関して発表者がこれまでに行なってきた事例研究を紹介し、話し手の事態に対する評価、慣習的な表現といった観点から分析する必要性を論じる。
メッセージ:
英語の構文について、主に認知言語学的な観点から研究しています。談話研究や英語教育などとの接点についても、参加者のみなさまとお話することができれば幸いです。
【研究発表 2 】
「自由間接話法をマンガ学から考察する」
出原 健一(滋賀大学)
概要:
本発表は出原(2016, 2017)の主張を紹介するとともに、自由間接話法に対する他の認知言語学的分析との共通点と相違点を明らかにすることを目的とする。
文学や言語学を中心に、小説などでよく用いられる自由間接話法に対して膨大な数の研究がなされているが、時制や人称は「語り手視点」であるのに対し、他の直示表現は「登場人物視点」であるという「二重の視点」が「実際にどのような視点なのか」を明確に示した研究は管見の限り知らない。本発表では、マンガ学の視点論の概念である「同一化技法」(竹内2005)と「身体離脱ショット」(泉2008)を用いて自由間接話法に関わっている視点を明らかにし、なぜそのような視点が(認知)言語学において注目されなかったのかを考えることで、言語学に必要な新たな「視点」を提言したい。
メッセージ:
「視点」と「身体性」の関わりについてあれこれ考えています。今回頂いた機会を通じて、皆様からコメントいただけたら幸いです。
【読書会】
※ 読書会を下記の通り予定しておりましたが、台風のため中止といたしました。今後の予定については、後日、改めてご連絡をいたします。
書籍:
Ben G. Blount (1995). Language, Culture, and Society: A Book of Readings (2nd Ed.). Waveland Press.
本書は、20世紀アメリカの言語文化研究を、特にサピア、ウォーフの言語学を起点に辿る論文集です。
サピア、ウォーフの言語学の要諦を再考し、その後の言語文化研究の展開を理解する上で貴重な論集であると考えます。
今回読むところ:
本書の導入部分を読む予定です。
〈11月 例会〉
【研究発表 1 】
「英語の副詞辞の直示的機能と身体性について」
大谷 直輝(東京外国語大学)
概要:
本発表では、英語の前置詞の副詞形である副詞辞に見られる直示的機能の記述と分析を行う。副詞辞は前置詞と同型であるが、補語となる名詞句をとらない語彙クラスとされる。副詞辞は直示表現ではないが、辞書に載っているように、語義の一部に、発話者からの相対的な関係を表す直示的機能が定着している。
(1) (a) The stars are out now.
(b) The protesters were gathering around.
(2) (a) My vacation is just several days off/away.
(b) This is one of the best cars around.
(3) (a) instructions from above
(b) I want to move from London down to the country.
(1)(2)(3)はそれぞれ副詞辞の、空間的・時間的・社会的直示の例である。
本発表では、5つの辞典の調査を通じて、各副詞辞にどの程度、直示的機能が定着したかを明らかにした後、前置詞から副詞辞への語彙クラスの変化によって帯びてくる直示的機能がどのように生じるかを身体性の観点から考察をする。身体性の観点から見ると、前置詞は補語をとるため補語を基準とした関係を表すが、補語が明示化されない副詞辞の場合、発話者が基準となり、発話者からの相対的な関係を表すと考えられる。
メッセージ:
身体的な経験から英語の副詞辞に見られる直示性について議論をしていければと思います。とはいえ、直示性や語用論についてはあまり知識がないので、参加者の皆様の意見をお聞きできればと思います。
【研究発表 2 】
「談話研究の分析概念を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに接合する試み」
石黒 武人(順天堂大学)
概要:
本発表は、社会学的研究法である修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに、談話分析や言語人類学の分析概念(e.g., フレーム、コンテクスト化の合図)を接合することによって、インタビュー・データの分析とそれを基に作成するモデルの精緻化を試みた研究事例を示すものである。具体的には、インタビューで「語られたこと」を整理する言及指示的側面に焦点を当てた分析から、インタビューという相互行為で指標される社会関係、文化、アイデンティティ、すなわち、社会指標的側面の分析に重点をシフトしたアプローチを示し、データ分析・解釈をより精緻で立体的なものとし、「厚い記述」へ近接し、説明力の高いモデルを構築する試みである。発表では、インタビュー・データを用い、談話分析や言語人類学の分析概念を用いずに行う分析・解釈と用いた場合とで何が変わるのかを例示する。
メッセージ:
異文化コミュニケーション研究者です。研究方法を領域を超えて工夫するお話を参加者の皆様とざっくばらんにできれば幸いでございます。
〈11月 読書会〉
【読書会(前半)】
書籍:
Ahearn, Laura M. (2011). Living Language: An Introduction to Linguistic Anthropology. Wiley-Blackwell.
今回読むところ:
Chapter 5. Communities of Language Users
5章は、言語使用者コミュニティの概念が再考され、言語使用と社会集団の関係に関する研究が紹介されています。
【読書会(後半)】
書籍:
Ben G. Blount (1995). Language, Culture, and Society: A Book of Readings (2nd Ed.). Waveland Press.
今回読むところ:
Part 1, 2, 3: Introduction
今回は、各1〜3部の導入部分を読みます。本書は、サピア、ウォーフの言語学の要諦を再考し、その後の言語文化研究の展開を理解する上で貴重な論集ですので、様々な分野の方に集まっていただき、活発な議論を通して、今後の研究課題を見つけられたらと思います。
〈12月 特別講演会〉
【講演内容】
「聖書でたどる英語の歴史」
寺澤 盾(東京大学)
概要:
近年、アメリカやイギリスでも、教会に通うキリスト教信者の数がかなり減少しているといわれるが、それでもイギリスでは、家庭の少なくとも80%には英訳聖書が一冊は備えられているという。聖書は実際に読まれているかどうかは別にして、いまだに隠れたベストセラーの一つである。
キリスト教がブリテン島に本格的に伝わるのは6世紀後半以降であるが、1000年ごろ福音書の英訳が行われ、それ以降『ウィクリフ派聖書』(14世紀末)、『ジェームズ王聖書』(1611年)など数多くの英訳聖書が現れている。本講演では、異なる時代に翻訳された英訳聖書を比較しながら読み、英語の歴史的発達の跡を辿っていくが、同時に英語を歴史的に遡ることで現代英語に見られるさまざまな不思議・不規則も解き明かしていきたい。
メッセージ:
異なる時代に翻訳された英訳聖書を比較しながら、過去1500年の間に英語におこったさまざまな言語変化を体感してもらいたいと思います。また、英語を歴史的に遡ることで現代英語に見られるさまざまな不思議・不規則も解き明かしていきます。
〈2月 読書会〉
【読書会】
書籍:
Ben G. Blount (1995). Language, Culture, and Society: A Book of Readings (2nd Ed.). Waveland Press.
今回読むところ:
PART I: 2章 The Unconscious Patterning of Behavior in Society (Edward Sapir)
本書は、20世紀アメリカの言語文化研究を、特にサピア、ウォーフの言語学を起点に辿る論文集です。
前回のIntroductionに続き、次回の読書会はエドワード・サピアの論文を初めて読み進めていきます。
様々な分野の方に集まっていただき、活発な議論を通して、今後の研究課題を見つけられたらと思います。