例会の開催は、決まり次第HP・ML等でお知らせいたします。
「言語と人間」研究会 11月研究会 2024
日時:2024年11月2日(土)14時00分?16時00分
場所:杏林大学井の頭キャンパス ※オンライン同時配信
参加費:無料
※会場やZoomの詳細は、11月1日(金)に事前申込された方へメールでお知らせいたします。
※会場参加・オンライン参加の別を問わず、参加を希望される方は、10月31日(木)までに、以下のフォームにて事前申込をお願いいたします。
【参加申込フォーム】
https://forms.office.com/r/8HkQrspUPG
<研究発表1>
張名瑶(国際基督教大学[院])
「中国人学習者のコロケーション習得における誤用の要因―言語転移と概念転移の関連性―」
本発表では、中国人日本語学習者における「名詞+動詞」コロケーションの誤用を、概念転移の観点から分析することを目的としている。張(2003)の研究において、「機会を作る」と「原因を作る」のコロケーションで正答率に顕著な差異が確認されている。コーパス例文の分析結果から、概念メタファーにおける評価性の違いがその差を説明する要因となる可能性が示唆された。例えば、「機会を作る」の正答率が高いのは、日中両言語における「機会」のメタファーが一致しているためと考えられる。一方、「原因」に関しては、メタファー自体は類似しているものの、使用される動詞の評価性が異なり、日本語では「取り除く」といったマイナスの意味が強調されるため、正答率が低くなっていると推測される。
今後は、中国人英語学習者を対象に同様の調査を実施し、日本語との誤用を比較することで、母語の影響および概念メタファーの役割をさらに解明することを目指す。
<研究発表2>
星宏和(京進ランゲージアカデミー[非])
「『善意』という語の多義構造―関連性の程度が低く感じられる意味を有する多義語―」
本発表は、現代日本語における「善意」という語の多義構造を示すことを目的とする。
この語を取り上げた理由は、「他人のためを思う心」及び「善良な心」などの意味に加えて、直観的にそれらの意味と関連性の程度が低く感じられる「法律上の効果を生じさせる一定の事情を知らないこと」という意味が、この語の多義的別義として広く認められていることに基づく。多義語とは「同一の音形に、意味的に何らかの関連を持つふたつ以上の意味が結び付いている語を言う」(國廣(1982))のであるから、後者の意味にも、前者の意味と何らかの関連性が認められるはずである。
1つの可能性は、「善意」という語の百科事典的意味に「フランス語の”bonne foi”という言語表現の日本語訳である」という特徴が含まれていることに基づく。
本発表では、もう1つの可能性として、類似性に基づくメタファーが意味拡張の動機付けになっているという説明を試みる。そして、籾山(2021)の統合モデルを用いて、「善意」という語の多義構造の全貌を示す。
【アクセスマップ】
https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/access/inokashira.html
【キャンパスマップ】
https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/student/campus/inokashira/
「言語と人間」研究会 10月研究会 2024
日時:2024年10月6日(日)14時00分~16時00分
場所:杏林大学井の頭キャンパス ※オンライン同時配信
参加費:無料
※会場やZoomの詳細は、10月5日(土)に事前申込された方へメールでお知らせいたします。
※会場参加・オンライン参加の別を問わず、参加を希望される方は、10月4日(金)までに、以下のフォームにて事前申込をお願いいたします。
【参加申込フォーム】
https://forms.office.com/r/UgfYGLCs4q
<研究発表1>
相馬果歩(日本女子大学[院])
「スケートボード実況中継におけるアイデンティティの構築」
スポーツ実況中継は世界各地でそれぞれの言語で行われ、放映されている。そのため、スポーツ実況中継にはそれぞれの言語文化に特有の特徴が現れ、各コミュニティで好まれる表現が用いられるとされている。スポーツ実況中継研究では、サッカー(Beard 1998, Gerhardt 2008, 深澤 2010, 2012, 多々良 2015, 2017他)やアメリカンフットボール(Ferguson 1983)、マラソン(岡本1999, 三宅2004他)などを対象に分析されてきたが、スケートボードを対象とした研究はこれまで行われていない。本発表は日英語のスケートボード実況中継のデータを使用し、スポーツ実況中継において、言語文化特有の特徴に加え、スポーツ特有の特徴が現れることに着目する。そしてこの視点から、スポーツ実況中継において多層のアイデンティティが構築されると考察する。
本発表では、スケートボード(ストリート)の実況中継をデータに、実況中継における参与者間のやり取りと、視聴者が投稿したSNSを分析する。スケートボードでは試合の進行と解説で担当が分かれているが、進行役と解説者両者が評価を行う場面に注目し、実況中継において参与者がどのように評価をするのか、また、SNSにおいて視聴者がどのような投稿をするのか、スタンスと選択されるレジスターやスラングに注目して分析を行う。さらに、進行役と解説者間に生じるスタンスの差異に着目し、進行役と解説者がやり取りの中で異なるスタンスを表出する過程を考察する。スタンスは相手との調整によって定められる「間主観的な対話行為」(Du Bois 2007)であり、相互行為の中でスタンスを示すことにより、社会的アイデンティティが協働構築されると考える。実況中継の中で示されたスタンスとレジスターやスラングの使用から「スケートボードらしさ」が提示されていることを明らかにし、スポーツ実況中継という制度的場面において参与者がどのように異なるアイデンティティを構築しているか考察を試みる。
<研究発表2>
松尾 夏海(実践女子大学[非])
「日本語空間表現における視点の曖昧さ ―パイロットスタディより―」
空間をどのように捉えるかは各言語により異なり、個人差もある。本発表は、空間表現である「左」や「右」を取り上げ、その曖昧さに関してパイロットスタディの結果をもとに調査方法を提案するものである。例えば「XはYの左(右)にある(いる)。」という日本語表現は、発話参加者が向かい合っている場合、話し手から見てなのか、聞き手から見てなのかという点において曖昧である。そこで、①視点の置き方、②参照物の特性、③日英統語構造の比較の3点に着目しながら、日本語話者がどのように空間を捉えているかについて分析を試みるとともに調査方法の有効性を検討する。
パイロットスタディの結果からは、被験者が視点の中心をどこに設定するのかに関して、参照物の特性により傾向が見られた。また、日英統語構造比較からは、視点の置き方を決められる英語に対して、日本語ではそれができず、より曖昧さがあることを議論する。
【アクセスマップ】
https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/access/inokashira.html
【キャンパスマップ】
https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/student/campus/inokashira/
「言語と人間」研究会 7月研究会 2024
日時:2024年7月13日(土)14時30分~16時30分
場所:立教大学池袋キャンパス 10号館3階 X301教室 ※オンライン同時配信
参加費:無料
※会場参加・オンライン参加の別を問わず、参加を希望される方は、7月11日(木)までに、以下のフォームにて事前申込をお願いいたします。
【参加申込フォーム】
https://forms.office.com/r/833c35gHR3
<研究発表1>
新家理沙(筑波大学[院])
「提案種別における話し手の表現選択-初対面・年齢差のあるアメリカ英語母語話者の協働関係構築に着目して-」
提案は、聞き手のネガティブ・フェイス(縄張り、個人的領分、邪魔されない権利に対する基本的要求)を脅かすフェイス威嚇行為(face-threatening acts, FTA)として挙げられている(Brown & Levinson, 1987)ことからも、相手に自分の考えを明示すると同時に自分の考えを押し付けて相手の領域に踏み込み気分を害する危険性を伴う行為である。このことから話し手は提案を行う際に、「受け手との親疎関係(初対面であるかそうでないか)」や「受け手との上下関係(年齢や立場の違いの有無)」の影響を受けながら適当と考えられる言語表現を選択していると考えられる。
本発表では、初対面で年齢差のあるアメリカ英語母語話者2者が複数のカードの並び替えを通して協働で1つのストーリーを完成させる課題を行う談話(課題達成談話)を取り上げる。なかでも提案場面に着目し、カードの追加やカードの変更等発話される提案を目的別に分類し言語表現の使用の関連性について分析を行う。また、各提案種別内における年齢が上の者・下の者の言語表現の選択に関する特徴を明らかにし、課題達成談話の提案時における話し手の持つ受け手との関係性の捉え方について考察を試みる。
<研究発表2>
山田奎裕(杏林大学[院])
「非明示的オクシモロンが含意する対義性の認識過程に関する一考察」
「オクシモロン」と呼ばれる言語現象がある。この言語現象は、佐藤 (1992 [1981]) の言葉を借りれば、「本来なら両立しない対義概念を、いわば強制的につないでしまう」表現技法である。具体例として、「不幸な幸福」(芥川龍之介『或阿呆の一生』) や「汚らわしい美しさ」(堀辰雄『美しい村』)、「集団的にして個人的」(オクタビオ・パス『弓と竪琴』) などが挙げられる。
ひとくちにオクシモロンとは言っても、Shen (1987) が指摘するように、明示的オクシモロン (the “direct” oxymoron) と非明示的オクシモロン (the “indirect” oxymoron) という2つの形態を区別することができる。これら2つの区別は、表現の主要構成語間に認められる対義性の純粋さに由来する。前者は、「近くて遠い」のように、純粋な対義関係にあると思われる2つの語を主要構成要素として成立し、一方で後者は、「生きた化石」のように、純粋な対義関係にはないと思われる2つの語を主要構成要素として成立する。
本発表では、現代日本語における非明示的オクシモロンを対象とし、当該形態を構成する主要語間の対義性認識について、どのような基準で対義性の判断・認識が行われるか、換言すれば、どのような認知過程を経て2つの語の間に対義関係が構築されるのかを考察する。
【アクセスマップ】
https://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/qo9edr00000001gl-att/img-accessmap_ike_new.pdf
【キャンパスマップ】
https://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/qo9edr00000001gl-att/img-campusmap_ike.pdf
「言語と人間」研究会 3月研究会 2023
日時:2023年3月23日(木)14時~16時
場所:杏林大学井の頭キャンパス(※オンライン同時配信)
参加を希望される方は、3月21日(火・祝)までに、以下のフォームから申し込みをお願いいたします。
会場の詳細、Zoomミーティング情報は、参加申込者宛に、3/22(水)にメールでお知らせいたします。
【参加申込フォーム】
https://forms.office.com/r/FgcinKQJfK
発表は以下2件を予定しております。
【発表1】
野村佑子(順天堂大学)、植野貴志子(東京都市大学)
「登場人物を指示する『自分』―語り手の『自己拡張』」
本研究は、コーパス・データ(「ミスター・オーコーパス」の日本語母語話者が絵カードを用いた物語を説明するナラティブデータ)を使用し、あるストーリーの登場人物を指示して高頻度で用いられる「自分」について考察する。本発表の論点は、(1)語り手は「自分」を用いることによって複数の異なる視点を同時に取ることが可能になる、(2)「自分」とは、語り手の「自己拡張」によるものである、の2点である。
【発表2】
鈴木一存(杏林大学非常勤講師)
「視覚的メカニズムによるメトニミーの説明可能性を求めて」
Bierwiaczonek(2013)はメトニミーの直接の神経的基盤を脳神経のシナプス結合に求めた。また 、Regier(1997)・Talmy(2000)・Lakoff(2008)などは、視覚的空間位置情報の脳内転写メカニズムであるトポグラフィック・マッピングとメタファーとの関係性を指摘した。脳神経のシナプス結合によって意味が動機づけられ、そのシナプス結合の少なくとも一部は網膜上に光学的に投影される外界の視覚情報を反映しているという可能性を考慮すれば、言語的意味は脳神経経由で視覚的情報の影響・制約を受けていると考えても自然であろう。そして、網膜によって受容される外界の視覚的情報は、視覚的メカニズムに影響・制約を受ける。視覚的情報の特性のみならず、その視覚的情報を受容・統合する視覚的メカニズムという動的側面をも考慮してはじめて、言語の意味の形成メカニズムをより一層精密に解き明かすことが可能となるのではないだろうか。本発表では、輻輳開散運動 (convergenceand divergence)・中心周辺拮抗型受容野(center-surround antagonism in receptive fields)・マイクロサッケード(microsaccade)といった実際の視覚運動・視覚構造を例にとり、適宜英語・日本語をはじめとするメトニミーの実例を参照しつつ、メトニミーにおける意味の多様化の運動・意味の構造と実際の視覚運動・視覚構造との間の構造的類似性を浮き彫りにし、視覚のメカニズムによるメトニミーの説明可能性を探る。
本件問い合わせは、研究会事務局までメールでお願いいたします。
皆様のご参加をお待ちしております。
追伸:
対面会場は、杏林大学「井の頭キャンパス」です。医学部付属病院がある「三鷹キャンパス」ではございませんのでご注意ください。
駐車場・自転車/バイク置き場はありません。公共交通機関でお越しくださいますようお願い申し上げます。
アクセスマップ:https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/access/inokashira.html
キャンパスマップ:https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/student/campus/inokashira/
「言語と人間」研究会 講演会 2022
日時: 2022年12月27日(火)15:00-16:00
場所: 杏林大学井の頭キャンパス(※オンライン配信あり)
タイトル:「躓きの石、要石、あるいは、現代人類学における<コミュニケーション>のかくも長き不在」
発表者:浅井優一(東京農工大学)
アクセスマップ:https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/access/inokashira.html
キャンパスマップ:https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/student/campus/inokashira/