例会の開催は、決まり次第HP・ML等でお知らせいたします。
2026年度 第1回研究会
日時:2026年5月31日(日)13時30分-16時50分
場所:立教大学 池袋キャンパス ※オンライン同時配信
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※会場・Zoomミーティング情報等の詳細は、申し込みされた方にメールでお届けいたします。
参加費:無料
参加申し込み:
以下の参加申し込みフォームから、5月28日(木)までにお願いいたします。
スケジュール:
13:30-14:30 研究発表1(高橋大凱(桜美林大学修士課程修了生)「アニメを通した日本語習得のプロセス:アニメ視聴を通したキャラクターとの共感に着目して」)※オンライン
14:40-15:40 研究発表2(渡邉康生(慶應義塾大学大学院生)「同綴同音異義語の語義曖昧性処理:計算言語学の視座から」)※対面
15:50-16:50 研究発表3(小谷日和(関西学院大学大学院生)「伝統着物産業京友禅の制作者間にみられるスモールトークの役割」)※対面
17:30- 懇親会(池袋駅近辺を予定)
発表要旨:
<研究発表1> ※オンライン
高橋大凱(桜美林大学修士課程修了生)
「アニメを通した日本語習得のプロセス:アニメ視聴を通したキャラクターとの共感に着目して」
近年、アニメは世界的に人気があり、動画配信サービスを通して、世界中の人がアニメに親しむ機会が増えている。こうしたポップカルチャーは日本語学習の動機付けとして重要視されており、実際にアニメをきっかけに日本語を習得した留学生も見られる。本研究では、彼らがどのようにアニメを活用して学習しているのかに着目した。そこで、語彙・表現の記憶保持の観点から、Hulstijn & Laufer (2001) の付随的語彙学習理論および Schmitt (1997) の第二言語語彙学習ストラテジーを用い、3人の学習者を対象にどのようにアニメを利用して日本語を学んでいくかについて調査を行った。(今回の発表ではAさんについて取り上げる。)
リサーチクエスチョンは以下の3点である。
RQ1.アニメ視聴中にどのような学習が起こっているのか。
RQ2.アニメ視聴中にどのような習得が起こっているのか。
RQ3.アニメ視聴は日本語学習にどのような効果をもたらすのか。
調査結果から、3名に共通する部分として視聴したアニメ内で頻繁に登場する語彙や印象的なシーンに関連付けられた表現は、学習者の記憶に強く残る傾向があることが見られた。しかし、3人へのインタビューの結果、Aさんは他の二人と比べて日本語に触れる環境が異なることを発見した。
<研究発表2> ※対面
渡邉康生(慶應義塾大学大学院生)
「同綴同音異義語の語義曖昧性処理:計算言語学の視座から」
語の意味の曖昧性は語彙意味論における重要な理論的課題であると同時に、自然言語処理における実践的な問題でもあり、とりわけ同綴同音異義語は、表記および音声の両面で区別手がかりを欠くため、解釈における曖昧性が顕著に生じる。
本研究ではまず、英和辞書を用いた調査により、英語には少なくとも1655語の同綴同音異義語が存在することを明らかにし、これらが決して周縁的な現象ではないことを示した。次に、語義頻度が比較的均衡している語を分析対象として選定し、BERT によって生成された文脈ベクトルに対して k-means クラスタリングおよび主成分分析(PCA)を適用した。具体的には、形容詞 light(「明るい」「軽い」)および動詞 lie(「横になる」「嘘をつく」)を中心に、意味空間上での語義の分布構造を比較分析した。
この結果は、同音異義性と多義性を二分的に捉えるのではなく、語義間の分離性と語義内部の連続性という二つの観点から捉える必要性を示すものである。さらに本研究は、近年指摘されている大規模言語モデル(LLM)におけるmulti-sense awarenessの低下という問題に対して、分布的意味構造の観点から説明を与える。
<研究発表3> ※対面
小谷日和(関西学院大学大学院生)
「伝統着物産業京友禅の制作者間にみられるスモールトークの役割」
本研究は「ことばの民族誌」(Hymes, 1974) に基づき、伝統着物産業京友禅の制作者たちによる日常的な着物制作談話に着目し、その談話にみられる「スモールトーク」の役割を明らかにすることを目的とする。
スモールトークは情報伝達を主な目的とせず、日常の様々な場面で行われるたわいないおしゃべりのことを指す (Malinowski, 1923/2001:330;井出, 2008:172)。特に、伝統産業の着物制作談話のようなビジネス談話というジャンルでは、ニュージーランドのビジネス談話研究 (Murata, 2015;Holmes, 2000) にあるように、スモールトークが職場の同僚同士の協調に寄与する実践の一つとして捉えられている。一方、伝統産業の着物制作というジャンルのビジネス談話において、スモールトークがどのような役割を果たすのかという点についてはさらに検証する余地がある。
そこで、本研究は京友禅の着物制作に携わる十数名の職人を統括し、制作を進行する「悉皆屋」と各工程の「職人」間の着物制作談話にみられるスモールトークに着目し、このスモールトークが着物制作談話においてどのように実践されているのか、また、着物制作においてどのような役割を担うのかについて検証する。