2016年度の例会・読書会のお知らせ
5月 例会・読書会(終了いたしました)
6月 例会・読書会(終了いたしました)
9月 読書会(終了いたしました)
10月 例会(終了いたしました)
11月 例会・読書会(終了いたしました)
12月 特別講演会(終了いたしました)
3月 読書会(終了いたしました)
〈5月 例会・読書会〉
とき: 2016 年 5 月 21 日(土)
例会: 15:00-17:00
読書会: 17:15-18:30
場所: 立教大学池袋キャンパス 11 号館 2 階 A201 教室
研究発表1:
「英語会話におけるco-construction:相互行為者の知識量の観点から」
第十 早織(東京外国語大学大学院)
【概要】
Co-constructionとは、会話において話者Bが話者Aの発話を完了させ、二人で一つの発話を作る現象である。これまでの研究では、統語的な schemaによりco-constructionが実現可能であることは示されてきたが、実際のやりとりで何が起こっているかはあまり記述されていな い。また、co-constructionは統語的に2タイプに分類されるが、これまでの研究では両者を混合しているため、詳細な分析がなされていない。 本発表では英語会話のデータからこの現象を観察し、この2タイプが実際の使用の中でどのような機能をもっているのかを参与者の知識量の観点から分析する。 さらに、どのような要因がco-constructionの構築に関わっているのか示す。
研究発表2:
「作業中の話と話中の作業:介護現場におけるタスクトークとノンタスクトーク」
ペート・バックハウス(早稲田大学)
【概要】
急速に進む日本の高齢化を背景に、本研究では介護現場における職員と入居者間のコミュニケーションを対象としている。データは、首都圏にある介護老人保健施設で起床介護中に録音した100以上のやりとりである。
本発表では、データにおける会話を概ねに二種類に分けて分析する。一つ目は、進行中の介護作業に関連する会話、いわゆる「タスクトーク」、もう一つは、 介護作業とは直接関係ない「ノンタスクトーク」である。各タイプを個別に紹介した後、タスクトークとノンタスクトークの切り替えに焦点を置き、「しゃべり ながら働く」と「働きながらしゃべる」との二つの会話モードとその管理に潜む難しさについて論じる。
読書会:
Ahearn, L. M. (2011). Living Language: An Introduction to Linguistic Anthropology. Wiley-Blackwell.
初回となる5月例会では、導入を行い、Chapter 1 を読みます。
〈6月 例会・読書会〉
とき: 2016 年 6 月 4 日(土)
例会: 15:00-17:00
読書会: 17:15-18:30
場所: 立教大学池袋キャンパス 5 号館 2 階 5209 教室
研究発表1:
「認知言語学を応用した教育文法とその可能性 」
前田 宏太郎(横浜国立大学大学院)
【概要】
これまで教育の現場で採用されてきた5文型をはじめとする教育文法は、理論的な裏打ちによって支配的なものとなっているのではなく、慣習的な要因に大部 分が依っている。そこで、英語学習者にとって真に効果的な教育文法はどのようなものかを考える際に、「認知言語学」の枠組みを用いた文法指導はどの程度、 どの点で有益であるかを検討する。現在までに提案された認知言語学の応用の例を挙げ、その応用可能性を探り、今後の展望について考える。
研究発表2:
「メディアにみられる『おネエ』キャラクタの言語行動」
河野 礼実(お茶の水女子大学大学院)
【概要】
「おネエことば」は「ジェンダー規範を利用した創造的言語行為である」という指摘が先行研究にある。このことからも「おネエ」と呼ばれる人物たちの言語 行動について調べることは、 日本語とジェンダーの研究分野において意義があると考えられる。しかし先行研究の多くは、 印象レベルあるいは少数の話者の限られた例を材料にした分析に留まっている。そこで発表者は、 複数の具体的データを用い、実証的研究を試みた。(A) テレビのバラエティ番組と (B) フィク ション作品の2種のメディアを材料とし、①言語形式②言語随伴行動③音声④視覚的要素の4つの観点から分析を行った結果、「おネエ」キャラクタたちの言語 行動の特徴が明らかになった。
読書会:
Ahearn, L. M. (2011). Living Language: An Introduction to Linguistic Anthropology. Wiley-Blackwell.
Chapter 1 詳細
〈9月 読書会〉
日時: 9月18日(日) 15:00-18:00
場所: 立教大学池袋キャンパス 12号館 地下第3会議室
内容: Ahearn, L. M. (2011). Living language: An introduction to linguistic anthropology. Wiley-Blackwell.
Chapter 6. Multilingualism and Globalization.
Chapter 10. Language, Race, and Ethnicity.
〈10月 例会〉
日時: 2016年10 月 9 日(日) 15:00-17:30
場所: 立教大学池袋キャンパス 本館(1 号館)2階1201 教室
*10月の例会はデータセッションとなります。発表者の紹介する談話データを、参加者全員で分析、討論します。
データセッション:
「初対面男性二人会話(日本語会話・異文化会話)のケース・スタディ」
重光 由加(東京工芸大学)
【概要】
英語母語話者(男性)は初対面の会話では、「知的で有能な姿を見せる」ことを心がけ、日本語母語話者は「相手に合わせる」ように心がける傾向が示唆されている(津田他, 2015; 重光, 2015)。本データセッションでは、男性の初対面二人の会話データを二つ使い、会話の中に言語のもつ社会・文化的背景がどのように現れているかを談話分析し、議論する。分析対象の会話データは、1) 日本語母語話者同士の日本語の会話、2) 英語母語話者と日本語母語話者の英語による会話で、それぞれ 30 分ほどの長さである。当日は、簡易トランスクリプトを配布し、日本語の会話、異文化接触の会話で、言語のもつ文化・社会的背景の談話の中での働きを分析してもらう。
〈11月 例会・読書会〉
日時: 2016 年 11 月 5 日(土)
例会: 15:00-17:00
読書会: 17:10-18:30
場所: 立教大学池袋キャンパス 12 号館地下第 3・第 4 会議室
研究発表1:
「ナラティブと/のコンテクスト-英語圏在住日系人ナラティブの事例- 」
山口 征孝(神戸市外国語大学)
【概要】
本発表の目的は、ナラティブ分析を通しコンテクスト概念を再考することである。データはアメリカ及びニュージーランドに住む日系人による英語によるナラティブを用いる(Yamaguchi 2005, 2012)。これらのナラティブで代名詞 ‘I’ がナラティブのコンテクスト化のプロセスにいかに寄与しているのかを記号論的語用論から見ていく。特に、「詩的」機能に注目し分析する。 更にこの分析を西田哲学の「場」の概念を援用したハンクス (Hanks 2016) による「三レヴェルの場モデル」によって再考する。Hanks (2016) は「指標野(deictic field)」を「場」という概念から捉え直す試みである。本研究との関連では、ナラティブを語る以前の語り手と聞き手の場の共有というコンテクストを「一次場(primary ba)」とすると、語り手がナラティブを語りながら一人称代名詞などの記号論的手段により自己を表象しながら社会言語空間を分節化していくコンテクストが「二次場(second-order ba)」となる。更に、分析者の観点からこのような一次場と二次場を再帰的に理論化していく認識論的コンテクストが「三次場(third-order ba)」である。最後に、この理論をいかに自らの社会性・歴史性に対する「自己再帰的批判性」(小山 2008)へと開いていくのかを今後の課題として提示する。
研究発表2:
「接触と切断-交感性の記号イデオロギー」
野澤 俊介(東京大学)
【概要】
この発表では、コミュニケーションの出来事性を「接触」や「切断」の問題として前景化または 還元し、交感性の管理に政治的・経済的・技術的介入点を見い出す規範的言説を、交感性の記号イデオロギーとして考察する。「交感」という語の提唱者である マリノフスキーの論(Malinowski 1923)からヤコブソンにおける記号論的形式化(Jakobson 1960)までの背景を整理し、近年の 言語人類学近辺における交感概念の再考・応用・拡張(Elyachar 2010; Lemon 2013; Slotta 2015 など)を紹介する。この理論的整理を具体的に示す主な事例の一つとして、アメリカの大学運営において 2012 年頃から問題視されてきた「トリガー警告」(trigger warnings)や「安全な場所」(safe space)をめぐる言説に着目し、そこに通底する記号過程についての諸々の前提を分析したい。また発表時間の許す限り、その他の事例にも触れ、情動労働 やインフラストラクチャなどの諸問題との関連において、交感性概念に今後どのような展開があり得るかを探りたい。
読書会:
Ahearn, L. M. (2011). Living Language: An Introduction to Linguistic Anthropology. Wiley-Blackwell.
Chapter 7. Literacy Practices
〈12月 特別講演会〉
日時: 2016 年 12 月 17 日(土)16:00-17:30
場所: 日本女子大学目白キャンパス 百年館低層棟5階 506教室
演題: 「反例を見る目」
講師: 中島 平三(学習院大学教授)
*参加費・事前参加申し込み不要
〈3月 読書会〉
日時: 2016年3月4日(土)
場所: 立教大学池袋キャンパス12号館地下第3会議室
内容: Ahearn, L. M. (2011). Living language: An introduction to linguistic anthropology. Wiley-Blackwell.
Chapter 9. Language and Gender.
Chapter 11. Language Death and Revitalization.