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芸濃町林川原の動物たち
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芸濃町林川原の動物たち

春

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春 早春の虫

まだ冬の寒さが辺りを支配している季節でも、南向きの陽だまりでは春を待ちきれない小昆虫が太陽に合わせて活発に活動を始めます。

テントウムシの仲間は、真冬には雨風を避けられる居心地の良い場所で冬眠しているのですが、なかでもナナホシテントウは寒さに強いようで、 1月や2月の寒さの中でも 温かい日光さえあれば陽だまりに葉を広げた草花の中で活発に動き始めます。

ナナホシテントウは真冬でも日差しがあれば活動する。樹皮の隙間や枯れ草の中で簡単に越冬する。

1月20日の大寒を過ぎる頃から日がどんどん長くなり始めますが、それに合わせて南に面した陽だまりの雑草の中でもタンポポやオオイヌノフグリ、ホトケノザなどは、早々と花を開きます。

ナナホシテントウはそんな雑草の間で、日の高い頃を見計らって冬眠場所から抜けだしてはあちこちと動きまわるようです。

黒地に2つ星が愛らしいナミテントウ(テントウムシ)は彼らほど耐寒性はないようで、冬場は集団で越冬して全く姿を見せず寒さが緩みだすと越冬場所から周囲へ散ってゆきます。

冬眠を終えた多数のテントウムシがシダの株に集まり日向ぼっこをしている。(2012.4.15)

最近では残念ながら越冬場所に出会えたことが有りませんが、私の小学校時代には学校の脇にあった畑の隅の廃材と石積みの中で数千匹のナミテントウの越冬を見た記憶があります。

ちょうど越冬を終えて新たな生活場所へ散ってゆくところで、その周りでは二日間に渡っておびただしいテントウムシを目撃することが出来ました。

ナミテントウは様々な種類の斑紋を持つ。遺伝子の組み合わせでパターンが決まると云う。

かれらは同一種でも背中の模様が様々あり、よく目にするのは二つ星(2紋型)と十九星(紅型)のものですが、この中間の変り種が色々有って探してみると楽しめます。

斑紋を決定する遺伝子の基本パターンが何種類かありその二組の組み合わせで様々な模様が生まれるようです。webサイトには詳しいものがありますからそれらを参照するとよく分かります。

気温の上昇につれ散歩道の周囲にも一斉に緑が萌え立ち、小昆虫にも生活の場が広がると、彼ら以外にも様々なテントウムシが現れます。丘陵部の林に面した草叢ではハラグロオオテントウやカメノコテントウと云った大型のテントウムシが稀に見られます。

ナナホシテントウと比べたハラグロオオテントウ。二倍近い大きさがある。

ハラグロオオテントウとカメノコテントウ。どちらも10mm以上ある大型で艶やかなテントウムシ。

テントウムシの仲間は、その殆どが肉食性でアブラムシやカイガラムシ等草木を害する虫を好んで捕食してくれるため、園芸を趣味とする者にとっても誠に頼もしく可愛げのある昆虫になっています。

でも春が来て気温が一気に上がり、アブラムシやカイガラムシが本格的に活動し始めると、その繁殖力にモノを云わせて急激に増えるので、最初はテントウムシの様な捕食者が少々頑張っても歯が立ちそうにもありません。

大量のアブラムシに取り憑かれた草木の若枝は見るも無残な様子になってしまうので、見かねてついつい殺虫剤を散布してしまうことも多いのですが、ここを耐えて放置しておくと、今度は逆に捕食者達が大量発生してたちまち害虫たちを駆逐してしまう状況に至るものです。

ジョウカイボンは名前からしてヘンテコな虫だが、小昆虫類の捕食者として春には五種類くらいが見られる。彼等の幼虫も肉食性だが地上生活者で見る機会は少ない。山地には体色の異なるアオジョウカイがいる。

茶色い体で最も普通に見られるジョウカイボン

ジョウカイボンに比べて鞘羽が紫色を帯びて見栄えのするキンイロジョウカイ。こちらは初夏のウルシの花に多い。

捕食者にはテントウムシだけではなく、ジョウカイボン、クサカゲロウ、、ヒラタアブ等の昆虫も加わります。テントウムシやクサカゲロウはその幼虫もアブラムシを捕食しますし、ヒラタアブはその幼虫が捕食者となりますからアブラムシの発生を嗅ぎつけると彼等はまずその草木に産卵して幼虫を孵化させます。

クサカゲロウの成虫はその繊細な作りに似合わず肉食だ。ウドンゲから孵った幼虫もアブラムシ類を食べて成長する。

特にクサカゲロウの卵はウドンゲの花と呼ばれ、よく目立つので梅や桃等春にアブラムシの大量発生が起きる枝を探すと簡単に見つけることができます。

ヒラタアブの仲間の幼虫はアブラムシの捕食者が多く、益虫なのだが蛆虫状の幼虫は気持の良いものではない。アブの種類に応じて幼虫も数種類がみられる。

テントウムシはまだしもヒラタアブの幼虫は可愛げのある生き物では有りませんが、幼虫が孵るとその親よりも遙かに旺盛な食欲でアブラムシの捕食を始め、成虫だけではなかなか退治出来なかった害虫の大群もたちどころに食べ尽くしてしまいます。

野原ではこの他にもキリギリス類の幼生が大量に羽化してアブラムシを捕食してくれそうです。我が家の庭でも毎年花壇と庭木の藪にキリギリスやヤブキリが羽化しますから、彼等の幼生の時期にはアブラムシを食べるようですが成長するに連れて今度は捕食者を捉えて食べてしまうのでむしろ害になります。

春も半ばを過ぎると、路肩の若葉の上にはテントウムシ以外にも様々な甲虫が目立ち始めますが、ハムシの仲間にもテントウムシに劣らず赤と黒の紋様でよく目立つのがいます。

イタドリハムシは黒地に赤斑、クロボシツツハムシは赤地に黒斑だがどちらもよく目立つ。ただし形は前者が遙かに大きい。

ことにイタドリハムシは早春まだ野草の草丈が低い頃に、目立って草丈を伸ばすスイバの花によく集まるので見つけやすく、早春の代表的な甲虫の一つでしょう。

おたまじゃくし

3月に入り水が温み始めると、山田の水路や溜池の中に産み付けられたカエルの卵からオタマジャクシが孵化し始めます。この時期に見られるのはアカガエルの卵で、雌が産卵するのは真冬の2月頃です。

ニホンアカガエルの卵は未だ水面が凍結する1~2月に水中に産み付けられる。日当たりの良い場所では3月に入ると温かい日に次々に孵化する。

孵化したてのオタマジャクシは大変に小さくて可愛い。親は水の中よりも湿気の多い草地を好む。

明小に続く小道の両脇の水田は、この時期オタマジャクシの格好の観察ポイントで、場所によって孵化時期が少し違うオタマジャクシが沢山見られます。

この時期中ノ川ではもう一種類ウシガエルのオタマジャクシを見ることが出来ます。秋にオタマジャクシとなり、そのまま幼生で越冬して水が温む頃になると人目につく浅瀬に上がってきます。

ウシガエルのおたまはどのカエルのおたまよりも大きくて気味が悪いくらい。

ウシガエルのオタマジャクシはとにかくデカイ。水生動物が減少した現在、サギやカワセミやカイツブリ達にとって良い餌になっている。

ウシガエルは日本最大のカエルで、この時期オタマジャクシも既に6cm近い体長を持ちますから、水田に居る小型のオタマジャクシしか見たことがない人は、その大きさにビックリします。

親も3月の半ばから川に姿をみせます。繁殖期にはその名のとうり牛の様な低い声でうるさく鳴き、あまり印象の良いカエルではありませんが、その幼生は水鳥たちにとっては餌の少ない時期の良い生活の糧となっているようです。彼等は外来種ですが年とともに繁栄しており、曾てトノサマガエルが占めていた環境に迄進出しています。

この原因は15cm近くにもなる大型種のため、ある程度大きくなると捕食者も限られ他のカエルに比べて餌にされる率が低いこと。また彼等は大型種に似合わず在来種のトノサマガエルよりは遙かに用心深くて、人の気配を察するとたちまち水に潜って隠れてしまい、残っているのはトノサマガエルばかりといった状況にも拠るようです。


春の蝶

5月連休の頃にはアゲハやキアゲハも姿を見せるようになる

春の訪れを告げる生き物といえばやはり蝶でしょう。畑の菜の花が一斉に花を開き普段より温かい日が数日続くと気の早いモンシロチョウが畑の上を飛び始めます。

まだ寒い日々も多く、時には雪や霜も見られますから先陣を切っても苦痛が多いばかりではないかと思うのですが、陽だまりで蛹になったりすると春めいた陽気に勝てずついつい蝶に変身してしまうようです。

毎年菜の花が咲き始めるとモンシロチョウが姿を見せる。でも最近では蝶々取りに興じる子供の姿も見なくなった。

私の子供時代には、理科の本には彼等が蛹で越冬して春に成虫として羽化すると書かれていたものですが、最近ではそうでもないらしく、家のキャベツ畑では毎年幼虫で冬をこすものが多く見られます。

芯に入り込んで食い荒らすので売り物にならず家人には毛嫌いされますが、減農薬の栽培では駆除が出来ませんから農家にとっては厄介な昆虫です。

もっとも蝶の中にはモンシロチョウよりもずっと寒さに強いタテハの仲間がいます。ルリタテハ、アカタテハ、ヒオドシチョウといった面々で彼らは成虫で越冬し早春から姿を見せます。

タテハは北方系の蝶か。冬でも陽気の良い日には飛び回ることがある。この辺りではヒオドシチョウは稀にしか見られない。

中でも黒地に瑠璃色の縦縞をもつルリタテハはその代表で、日当たりの良い春の山路を行くと、よく周囲の岩や石に止まって日向ぼっこしているのに出会います。

本来タテハの仲間は俊敏で、イナビカリの様な鋭い飛び方をしますが、流石に早春の陽気ではそこまでの元気はないようで、飛び方もかなりのどかです。

明治期の日本の童謡に「ちょうちょう」と云うのがあります。原曲は当時作られた多くの歌がそうであったようにヨーロッパ民謡だそうですが歌詞は日本の春のモンシロチョウを歌ったものです。

モンシロチョウの食草はアブラナ科、モンキチョウはマメ科の草で吸蜜する花も草丈の低い野草が多い。

モンシロチョウの食草はアブラナやキャベツですから菜の葉に止まるのは自然ですけれど、彼らが童謡で歌われる様に桜の花に集まる光景は見た記憶がありません。

大体にモンシロチョウは地表の花を次々にめぐって跳び回る印象が強くアゲハやタテハのように自由に高木の花をめぐる様な飛び方はしないようです。

ただし、海野和男さんの書かれたものの中に、モンシロチョウは桜の花が大すきといった記載があるので私の暮らしている地域ではたまたま目にしないだけかもしれません。

モンシロチョウよりやや小ぶりで美しい蝶にツマキチョウがあります。名の通り上翅の先端部が黄色い可愛い蝶で、山や林の縁に多く、山間の畑の畦に野花が開花する頃、山肌からそよ風に吹かれるように畦の花に舞い降りて吸蜜する姿は今でもよく見かけます。

ツマキチョウはモンシロチョウよりやや小型で風に流されるような飛び方をする。雄雌異色でメスにはツマ黄がない。一箇所にまとまって止まる習性があるようで、1匹見つけると周囲に3~4匹群れて休んでいるのを時おり見かける。

食草はナズナ等の十字花植物で、春先に年一回の発生ですが、発生時期には結構沢山姿を見せます。しかしモンシロチョウに紛らわしいので区別出来ず気付かない人も多いようです。

彼らより一回り小振りなシジミチョウの仲間にも早春から姿を見せるものがあります。ことにムラサキシジミはタテハ同様に成虫で越冬するため、陽気によっては2月でも姿を現します。

ムラサキシジミも春早くから姿を見せる。小さいが金属光沢のある紫色はよく目立つ

彼等以外でも、ツバメシジミやルリシジミ等よく見ると美しい光沢をもつものが多い。

山間部にいるミドリシジミの類は驚くほど美しい金属光沢がありますが、この辺りではヤマトシジミやベニシジミ、ウラギンシジミと云った普通種以外は見る機会がまず無いのが残念なところです。

成虫で越冬する蝶の仲間で、春先によく見かけるのはテングチョウです。モンシロチョウよりも一回り小さい蝶ですが、名の通り頭部が天狗の鼻のように突き出ていて一目でそれとわかります。

成虫は暖かい日が来れば3月初めから飛び回るが、日光浴に直ぐ地面に止まるから撮影は楽だ。

タテハやテングチョウと云った越冬蝶は、春が訪れて幼虫の食草の若芽が伸び始めるのを待って食草に産卵し、子孫をつないでその越冬の目的を達するわけですが、産卵後はどうしているのでしょうか。

待ちに待った春が来て彼らが吸蜜できる様々な花も咲き、生活環境は一気に豊かになるわけですが、産卵した後も暫くは生活を楽しむことが叶うのでしょうか。彼等の生態に疎いので、ついついそんなことを考えてしまいます。

モンシロチョウやキチョウに続いてアゲハが姿を見せ始めると目にする蝶の姿も種類も一気に増加します。

以前は中の川から自宅北側に延びる段丘の南面ににウマノスズクサが群生する一帯があり、4月の半ばには周囲の小道を行くと至るところから羽化したてのジャコウアゲハがゆっくりと飛び立って感動を誘ったものです。

ジャコウアゲハの雄は特有の香りがする。麝香鹿から取れる香料の香りと云われるが、こんな高尚なものには未だ無縁で、私には何とも言えない。

食草の馬の鈴草は夏に独特の花をつける。コバエを花に誘引して奥に閉じ込めてしまい受粉に利用する巧妙な仕組みをもっているのだ。花の名は馬鈴に似ているところから来たと言われるがこんな鈴があったのだろうか。

しかし段々と周りの藪が切り開かれ、光の通る空間が多くなるにつれて、目にする蝶の数もめっきり減って、最近では食草を目にすることも難しい状態になってしまいました。

この蝶に限らず生き物の姿が年追うごとに減ってゆくのは寂しい限りですが、蝶の世界では幾つか例外があります。

長崎アゲハと呼ばれる美しい蝶は、その名の通り南方系の蝶で私が子供であった五十年以上前には当時住んでいた津市内でこの蝶を見かけることはありませんでした(小1の頃から昆虫少年でしたから観察眼は確かです)

ところが下の子が生まれた二十二年前ころから今の住まいの芸濃町でも姿を見かけるようになり、最近では庭の金柑の木から成虫が羽化するまでになりました。

この蝶は後翅の尾状突起がないからすぐに分かる。雄はもっと黒っぽくて見栄えが悪い。

ナガサキアゲハはごく普通に目にする蝶になった。上は2002年自宅の金柑で羽化した成虫。

春型は黒地に白と赤の艶やかな斑紋を持ち一目でそれとわかりますが、私の子供時代の図鑑によると、この蝶は和歌山や三重の南部での採集はありましたが、まだ繁殖地の確認はされていなかったはずです。

当時と比べれば明らかに生活圏を拡大しており、年々減少傾向が当たり前な他の生き物とは正反対の現象と言えましょう。

幼虫の食草が家庭で栽培される柑橘類であることも北上を可能にした理由の一つですが、やはり地球温暖化の影響が大きいのかもしれません。

最近数を増やしている蝶には、もう一種類、雄雌異型のツマグロヒョウモンがいます。現在4月末から現れ11月末まで極めて普通に姿が見られますが、私の子供の頃にはやはり目にした記憶がありません。

昆虫の世界には珍しく、メスのほうが派手な姿でツマグロは雌の前翅先端部が黒いことによります。雄にはツマグロはありません。

ヒョウモンの由来のは黄地に黒班の豹柄で、ヒョウモンとつく仲間が日本には多くいますが、私の周りではこの蝶以外まず目につきません。花の周りを吹けるようにゆったり飛ぶので子供でも簡単に捕まります。

ツマグロヒョウモンはメスの前翅先端部が黒いことによる。ナガサキアゲハやツマグロヒョウモンはオスよりメスのほうが美しい。

よく仕事で三重県南部に出かけていた三十数年ほど前、尾鷲や紀伊長島の辺りで普通に飛び回っているのに気づきましたが、いつしか私の住んでいる芸濃町でもごく当たり前に見られる蝶になりました。

昭和三十年初版の横山光夫・原色蝶類図鑑によると春型発生の見られる生息限界は大阪府南部辺りではないかと記載されていますが、今では私の住む三重県中部でも4月半ばから羽化個体と見られる春型が見られます。

食草が菫であるためパンジーの花壇と共に広がったと言われ、暖化に伴う現象であろうとも想像されます。幼虫で越冬し、長期間雪や霜の低温にさらされると死んでしまうようですが、この辺りでも自然環境下でなんとか生存可能な最低温度が確保されているのでしょう。

春の蜂

蝶のようには目立ちませんが、この地域で昆虫の活動が本格的になるのは桜も終わり春の花が本格的に咲き出す4月中旬以降でしょうか。

この時期になると我が家の庭にある20株ほどのブルーベリーが一斉に花を付け、その蜜を求めて様々な蜂が訪れるようになります。

ブルーベリーはどの品種も4月から5月にかけて花を開く。結実は6月末から8月半ばまで楽しめる。

花のさかりには蜂の羽音が煩わしいほどに多数の蜂が集まります。ニホンミツバチとハナバチの仲間が最も多く、大型のクマバチやアシナガバチも訪れます。

年によってミツバチが多かったりハナバチが多かったり色々ですが、大型のクロマルハナバチが数十匹も群れで訪れる年など、なかなか壮観なものです。

庭にはブルーベリーの開花を待って毎日多数の蜂が訪れる。クマバチが沢山来るようになると花ももうじきお終いだ。

彼らの活躍のおかげて毎年夏場には何キロもの実を収穫できるので誠にありがたいことですが、蜂の中には庭木の影に巣を作り始めるものがあり油断していると痛い目に会います。

ベリーの茂みには蜂がよく巣をかける。気づかずに放置すると蜂が増えて恐ろしいことに生る。スズメバチの巣は、作りかけて直ぐに見つけたので、壊して事無きを得た。

ことにブルーベリーのブッシュは人が踏み込むのも難しいほどに茂るに任せているため、アシナガバチが良く巣をつくります。今年の5月にはスズメバチが巣作りを始め、慌てて追い払ったものです。

そんな蜂の中でも愛嬌があるのはクマバチでしょう。黒と黄の配色も見事ですが、春の暖かい日には、高い羽音を響かせて何処からともなく庭に現れ、しばらく空中でホバリングしてはまた何処ともなく飛びさって行く姿には、不思議と親しみがわきます。

大きくて怖そうだけれど、実際はおとなしくて愛嬌のあるクマバチは家の子供にも人気があった。

藤の開花にあわせて発生のピークがあるのではないかと思うほどで、藤の花を写すとクマバチが一緒に写っていることが良くあります。

春の蜻蛉

藤が花咲くころになると目につく蝶の種類も増えますが、散歩道には蜻蛉が姿を表し始め散歩道で出会う主役は徐々に蜻蛉へと移ってゆきます。 気の早い個体は田植えの始まる4月末から水田の周辺に姿を表します。シオヤトンボと呼ばれる種類で、羽化したての個体は翅脈も瑞々しい光沢を帯びて美しいものです。まだ弱々しく、ゆっくり近づくと手で捉えることができる程です。

かかりになったシオヤトンボ。まだ気温が低いせいか日当たりの良い路面にばかり止まろうとします。

この辺りではシオヤトンボは田植え時期に姿を見せる。水路が見整備な山間の水田の周りでは春の蜻蛉の代表。

彼等は6月になって少し大きなシオカラトンボが登場すると入れ替わるように姿を消してゆきますが、雄雌共に色彩がよく似ていることもあって、同一種と思っている人も多いようです。

大型種が多く、もっぱら初夏から夏にかけて見ることの多いヤンマの仲間で、春先から姿を現す小ぶりのヤンマにサラサヤンマがいます。

4月末から姿を見せ、木立の多い山道や寺の境内で同じ場所を往復飛行するのをよく見かけます。ホバリング能力に優れ空中の一点に静止してじっとしていることも多いので飛行中でも割と楽に写真撮影が出来ます。

春から初夏に見られる小型のサラサヤンマ

狭い山道で実に巧にホバリングする。

日本産の蜻蛉にも、オツネントンボと呼ばれて成虫で越冬する仲間があります。山田の水路が素掘りのままであった20年ほど前まで、山を抜ける散歩道には様々な蜻蛉が見られましたが最近では種類が減っている様子です。

枯れ草色で越冬するホソミオツネントンボ。春を迎えると綺麗なブルーに変わる。小型のイトトンボよりは一回り大きい。

金属光沢を放つ痩身の体にオレンジのかかった透明の羽をもつ美しいカワトンボが姿を現すのもこの時期で、以前に比べると数は減りましたが、今も山間の水路の周囲で普通に見られます。

全身が美しい金属光沢に覆われているのが雌で、雄は部分的に白っぽい粉を吹いたようになります。雌は翅の縁紋が白いのが特徴です。翅は透明のものからオレンジの掛ったものまで様々で、雄のなかには、茶色に近い色の翅をもつものがいます。

茶色翅の雄(上)と透明翅の雄(下) 雄は翅の縁紋が茶色

上は茶色い縁紋をもつ透明翅の雌。

翅に白い縁紋をもつ雌。メスは全身が美しい金属光沢の緑黃色で覆われる

あまり飛び回らす、水辺や林間の草に止まってじっとしていることが多いので、カメラに収めるのは簡単です。同じ種なのに有色の翅を持つものと透明の翅を持つものが存在するのは、進化の過程で何らかの意味を持ったからなのでしょうが、その原因は良く分かりません。

5月には山田の水路でカワトンボが羽化する。 カワトンボには複数の種が存在するが、私には良くわからないので一括してカワトンボと呼ぶ。

羽化したてのカワトンボは繊細でとても美しいものですが、最近は生息環境が失われたためか、少し散歩しないと出会えなくなりました。

カワトンボのヤゴは水の綺麗な川を好み、カゲロウやトビケラ、カワゲラなどとともに河川の環境保全の指標にもなりうる昆虫です。

河川が生活排水で汚染されたり、上流水系の乱開発で頻繁に鉄砲水が出るような河川環境では水生昆虫は徐々に棲家を失い姿を見せなくなってしまいます。

私がこの地へ越してきた30年程前には蒸し暑い6月~7月の夕、中ノ川の周囲でふわふわ飛び回る大きなヘビトンボの姿が沢山見られたものです。

今では前の中ノ川では全く見られなくなったクロスジヘビトンボ。全長6cm程もある

2007年の7月珍しく牛谷橋のたもとで見つけたナミヘビトンボ。

河川環境の悪化は水性昆虫の減少を招く。彼らを餌とする魚や野鳥にとっても悲しい話だ。

以前は見られたトビケラやヘビトンボも今ではまるで姿を見せず、今や中ノ川も川虫の住めない川へと転落したのかと思うと誠に悲しくなります。

カゲロウやトビケラなども私がこの地区に暮らし始めた頃には、風のない暖かな春の宵にはおびただしい数が外灯の周りに集まったものですが、今ではもはやあ頃の光景はウソのように姿を見せません。

穏やかな春の連休の夕、中ノ川の周囲ではカゲロウが水田の上を浮遊する

現在も、4月の末になるとモンカゲロウが羽化して昼間に川面から飛び立つ姿が見られますがその数は僅かなもので、トビケラやヘビトンボなどより大型の種は見るのも難しい状態です。

羽化したモンカゲロウ。カゲロウは幼虫から亜成虫をへて成虫になるが私には両者の区別がつかない

生態系の下位を占める昆虫の数や種類が豊かな世界は、魚や野鳥や哺乳類等様々な生き物に取っても暮らしやすい環境なのですが、人間社会の利便性のみ優先され彼らの住まう環境が日々失われてゆく現状は、やはり心の痛むことです。

蜻蛉が目立ち始める様になると、日中には気温も一気に上がり、散歩道周辺の草木は新緑の若葉に覆われて、様々な虫たちが姿を現します。

自宅から中ノ川を渡って明小学校へと登る小道は20年ほど前に山林と山田の中に曾ての農道に代わって付けられたため、その周囲には林野と湿地の環境が保持されています。

この辺りの丘陵地はすべて300万年以前の亀山累層からなり砂、シルト及び粘土の互層が発達しています。小学校へと延びる道の一部は山裾を切り通して開かれたため道の片側には今でも赤土の露頭が見られます。

春になると、この露頭から毎年ハンミョウ(ミチオシエ)が羽化して散歩道の周囲に姿を現し、人の歩く先々へ飛び回って愛嬌を振りまきます。

彼等は背中に硬い鞘羽をもつ甲虫で、優れた飛翔能力を身につけており、素手で簡単に捕まる虫ではありませんが、未だ気温の低い春先に羽化する個体は流石に飛び方にも力不足が感じられます。

金属光沢が大変美しい甲虫だけれど、その恐ろしい大顎で小昆虫を狩るハンターだ。その俊敏な性格も狩りの必要性から生まれたのだろう。

小学生の頃、春の帰り道に路上でハンミョウを見つけてうまく捕まえられると、とても嬉しかったものです。捕まえると体から独特の甘い匂いを出しますし、なにより背中の模様の美しさには捉まえる度に感動したものです。

当時私は津市内に住んでいましたが、まだ車も殆ど普及しておらず道も地道ばかりの時代でしたから、通学路で様々な生き物と出会うことが出来たのです。

ハンミョウの仲間は他にもハンミョウに少し遅れて現れるニワハンミョウ、コニワハンミョウを見かけることができますが、ハンミョウに比べて大変地味なせいか、気づかぬことが多いようです。

地味なニワハンミョウは路上よりも草地を好む様に思える。コニワハンミョウは更に小型で目立たない。彼等の幼虫もハンターで土中に穴を掘って入口で待ち伏せ通り掛かる小動物を狩る。

彼等の幼虫は、地面に横穴を掘ってその中に潜み、穴の周囲を通過する小動物を捕食するハンターです。散歩道の赤土の切通しに毎年姿を見せますが、年々赤土の露頭が草に覆われて最近では現れる数が減ってしまいました。

春の野鳥

生き物の種類や数が爆発的に増加するこの季節は、当然彼等を餌にして子育てする野鳥にとっても活躍の季節となります。

野鳥の中で、最も早く春を感じさせてくれるのはやはりウグイスでしょう。温かい日が来れば気の早い個体は2月末から鳴き始めます。

ウグイスは梅が咲き始める頃から鳴き出すがなかなか姿は見られない。右は桜にウグイスの図。

自然観察に長けていた私達の先祖は、このあたりもよく心得ていて花札の絵柄には梅にウグイスを配しています。

花札には四季の動物と植物が巧みに配されている。植物は馴染みのものだが曾てはこれらの生き物たちも身近な存在だったのだろう。

ただし梅の咲く頃から鳴き始めるといっても、彼等は低木や笹の生い茂った薮の中で蜘蛛や小昆虫を捕食する生活スタイルを持っているため、鳴くのも大抵は深い藪や茂みの中で、あまり人目には姿を見せません。

私も梅の枝で鳴くのを見た記憶はなく、開花した梅の小枝で鳴いているところを見ることが出来たとしたら幸運な人ではないかと思います。

今ではめっきり少なくなってしまいましたが、私の子供の頃には冬から春にかけて多くの田畑には麦が蒔かれ、春の田園風景は一面に広がった麦田の中に、菜種の黄色や蓮華の桃色が散在してのどかで美しいものでした。

そんな麦田の中には多くの雲雀がいて麦の中に巣をかけ、春ともなれば方々で大空に舞い上がる揚雲雀のさえずりが聞かれました。

俳句では春の季語として多くの俳人に詠まれている雲雀も、近年では冬場に乾田として放置される田が増えて生息環境が奪われたせいかめっきり数を減らしている様子で、揚雲雀の長閑な鳴き声を聞くことも少なくなってきました。

それでも川原から楠原へと続く中ノ川左岸の丘陵には、今でも春になるとけっこう雲雀がいて、春先から初夏にかけて彼らの楽しげな囀りを聞くことができます。

野鳥の渡り(夏鳥、冬鳥、漂鳥、留鳥)

多くの野鳥は、もっぱら彼らの餌となる昆虫や植物の発生に時期を合わせて生活の場を変えていまが、季節による移動の範囲は種によって大きく異なります。

ウグイスのように冬場は低地に居て、暖かくなると近くの山地に移る(そのまま居続けるものもある)程度のものから、シギや千鳥の仲間の様に冬は東アジアやオーストラリア辺りに渡り、夏にはシベリアや更に極北の地へと大移動するものまで様々です。

秋と春の一時期、河原の丘陵には渡りの途中のノビタキが決まったように姿を見せる。

一般に、移動のコースやそのやり方は、種によっても、季節によっても、また個体の雌雄や年令によっても異なっている様子で、鳥類の研究者や愛好家によって多年に渡って地道な調査がなされており、少しずつ明らかにされつつ有ります。

この様な長距離の移動を渡りと呼び、一般には春になると新緑や、それを餌に大量発生する小動物を求めて南から北に移り子育てします。

反対に、餌の乏しい冬が近づくと、より餌の豊富な南に移動して春を待ちます。 その土地に夏の生活圏を定める鳥が夏鳥であり、冬にその地を生活圏とする鳥が冬鳥です。

季節で居場所を変える鳥でも、ノビタキのようにその土地には夏、冬の生活圏を持たないのですが、春と秋の決まった時期、彼らの生活圏へ移動する渡りの最中に、その地を通過して姿を見せる鳥が居り、漂鳥(旅鳥)と呼ばれています。

一方、雀やトビの様に、一年中その土地に生活圏を定めて殆ど移動しない鳥は留鳥と呼びます。同じ鳥でも、ウグイスの様に国内の地域によっては留鳥であったり、夏鳥であったり冬鳥であったりする鳥もいます。

ウグイスの場合、この辺りでは一年を通じて暮らしていますが、冬場はヤブの中にいて囀らないため、普段はあまりその存在に気づかないものです。

このような区別に従って、林川原周辺で目にすることのできる野鳥を分類すると、おおよそ次の様になります。

留鳥

冬鳥

漂鳥

ただし、これらの区別は厳密なものではありません。この辺りの土地に限った私個人の主観的なもので、実際にはもっと多くの鳥が住んでいるでしょうし、留鳥と言っても殆ど姿を見られない時期もあります。

例えばカワセミは留鳥に入れていますが、真冬には牛谷や中ノ川周囲の乾田を飛んでいるのを稀に見かける程度で夏鳥でも良いくらいです。ヤマセミなどは、最近殆ど姿を見せなくなり留鳥と云うよりは漂鳥、迷鳥のほうが良いくらいです。

夏場にはシベリアやウスリー辺りまで大きな渡りをする冬鳥のカモの仲間でも、留鳥のカルガモとマガモは冬より春から秋にかけて前の中ノ川に数羽で姿を見せることが多く、私にとってはむしろ夏鳥に近いものです。

もちろん冬には、近くの錫杖湖や亀山公園等の狩猟圧を回避できる地域に群れを観察できるので、多くのマガモは冬鳥として飛来しているものですが、ごく一部は留鳥として居残り、たまたま夏場に自宅前の中ノ川で私が良く姿を見かける訳です。

また漂鳥は、本来夏鳥や冬鳥として日本に渡ってくる鳥達で、生活に適した場所ではその地に居続けるのですが、私の住む地では渡りの途中か、なにか別の原因でたまたま姿を見せたものです。

アマサギ、コサギなど以前は見られた夏鳥もこの辺りではもはや彼らの生活環境が整わないようで、一時期に姿を見せても居続けることはありません。

この反面、アオサギ等は自宅近辺で常時4~5羽が暮らしていると見られますから、一概に自然環境が悪いとも言えない様です。

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田植え前後の田ではコチドリやイカルチドリ見られます。どちらも夏鳥ですがこの辺りでは漂鳥に近く夏場には余り見かけません。

コチドリやイカルチドリはこの季節によく姿を見せる夏鳥。良くにていて紛らわしい

彼らに混じって、イソシギやケリが田の周りで見られます。彼らは一年を通じて見られる留鳥ですが、ケリは春には田の畦や農道の傍らで雛を孵し、子連れで水田の周りを移動する姿を見ることができます。

イソシギは主に中ノ川の川筋で暮らしていて一年中姿が見られる。

ケリの営巣は田や畑の中で無造作に行われます。しかし黒と茶色の卵は足元にあっても巧な保護色で殆ど人目につかず簡単には見つけられません。

ただ彼らが営巣していると、遠くからでも人影が見えれば飛び立って辺りを飛び回り、けたたましい声で鳴きたくるので近くに彼らの巣があることが分かります。

春には田畑に営巣して人が近くに来ると甲高い声で鳴くのでよく目立つケリ

営巣の頃は人が近づくと飛び回って鳴き、距離を置いて絶えず警戒しています。彼らの動きを何度か眺めていると、営巣する場所の推測がつきます。

ケリは田の畦や乾田の草むらに営巣するので畦を歩く際は気をつけないと踏み潰してしまう

冬から春にかけて田んぼには数羽の群れでケリが暮らす。春にはつがいが雛を孵すと、すぐに田畑を連れ歩く。親が居ない間、雛は草叢で動かずにじっとしている。

夏鳥の飛来

タネツケバナが田を覆い田植えの準備が始まる頃には燕が南から渡ってきます。気の早い個体は3月の半ば頃から姿を見せますが、この時期は時に寒の戻りで0度近い寒さになることもあり、餌も満足に取れずに彼等が本当にこんな時期から生活して行けるのが心配になります。

3月20日頃には毎年ツバメが渡ってくる。晴天の日は盛んに飛び回るがスピードが早いのでカメラにうまく映らない。

それでも日差しが戻り、春めいた陽気の日が来れば、農業用溜池周りなどで羽化する昆虫を求めて彼等が集団で元気に飛び回る姿を見ることが出来ます。

燕の多くは毎年同じ民家に現れてその軒下に巣を作りますから、春になるとツバメの訪れを楽しみに待っている方も多いのではないでしょうか。

巣を失った雛鳥。世話してやるとよく人になれる。

稀に彼等の巣や、親鳥にアクシデントが起きて雛が路頭に迷うことがあります。人間界のごく近くで生きていたせいもあるのか、餌を与えてやると直ぐ人になれ、子供にとっては誠に可愛いペットのような存在になります。

成鳥に近くなると放してやる訳ですが、餌のとり方もよく分からず外敵に対する警戒心も植えつけられないまま飛び立ってゆくので、その後の彼等にとって決して幸せな事ではなく心が痛みます。

ツバメのように春から夏にかけて姿を見せる渡り鳥を夏鳥と呼びます。この辺りで見かける夏鳥はツバメの他にはホトトギスとアマサギです。

ホトトギスはほぼ毎年見かける。彼等の鳴き声が響き始めるともう初夏だ。

ホトトギスは5月に入ると渡ってきて、里山の上空を旋回してはよく鳴き立てます。以前は稀にカッコウの鳴き声を耳にすることも有りましたが、現在では全く聞くことがありません。

アマサギも毎年初夏になると群で姿を現しますが、このあたりに暫く住み着いていると云うよりも通過地点として利用しているだけのようです。

アマサギは小さな群れで渡ってくるが普通は直に姿を消してしまう。

淡いオレンジ色の夏羽をまとうアマサギ。中には純白の個体も混じっていたりする。

渡ってくると水田や休耕地で盛んにカエルやイモリや昆虫等を捕食していますが、普通は単独では行動せずに渡って来た時の小さな群れを保っつたまま移動して行きます。

2006年の春には二週間程オオルリが前の里山に住み着いたことがありました。本来深い谷筋を縄張りにしている鳥で、この年に限ってなぜこんな低地でウロウロしていたのか不思議です。

一度だけ4月末にオオルリが渡ってきて二週間ほど 美しい囀が聞かれたことがある。その後私が中国へ出張に出て、帰宅した時には姿を消していた。

鈴鹿の山へ登ると、よく通る澄んだ囀りで登山者を楽しませてくれる山の人気者ですが、流石にこの辺りの小沢では生活したくとも住める条件には無いようです。

オオルリの様に鮮やかなブルーの体色を持つた鳥は決して多くありませんが、春から夏にかけては雨覆羽から風切羽にかけて美しいブルーの縞模様のカケスを目にすることが多いように思います。

青い色をしたカケスの羽はよく目立つ。山歩きをしていると極希に彼らの羽を拾うことが有る。

彼らは留鳥で一年を通じて里山に姿を見せるのですが、陽気も良くなり屋外を歩く機会の多くなるこの季節にはよく目立つ様です。

田植え間近になってくると山裾の田畑や空き地の周りには、首部に鮮やかな青藍色を持ち顔面が鮮やかな紅色をした雉の雄が姿を表します。

昆虫や様々な小動物が飛躍的に増えるこの時期、彼等は縄張りを巡って彼方此方しきりに歩きまわり、時おり甲高い声で鳴き立てます。

雉の雄は縄張りを守るため虚勢を張っている様なところがあって写真を撮るのが楽だ。反対に雌は大変用心深く簡単には写せない。

近くにメスがいる場合も有るのですが、メスは姿も地味で雄のように目立った動きを取らず、草叢にじっと潜んだまま人をやり過ごすのでなかなか見つかりません。

至近距離まで近づくと、急に飛び立って逃げてしまい、とっさのことに此方は大いに脅かされてその後ろ姿を見送るのが関の山です。私も何度となく雉のメスに出会いましたが、未だにその姿をきれいに撮影したことがありません。

キジの雄の様に鮮やかな赤色を持つ野鳥は決して多くありませんがキツツキの仲間のアカゲラは頭頂に鮮やかな赤色を持つ鳥の一種です。

彼らは留鳥で10年程前までは、一年を通して(落葉木の多い冬場が多い)この周囲の里山で結構頻繁に目撃することもでき、その鳴き声や木を啄く連打音をよく耳にしたものですが最近ではほとんどその声も聞けず姿も見かけません。

頭と下腹部が赤いアカゲラ。周囲の里山に居れば、よく通るキョッキョッと云う鳴き声と打木音ですぐにわかるが最近では殆ど見かけない。

アカゲラとほぼ同じくらいの大きさのアオゲラも、以前は明小の裏山周辺で見られたのですが、近頃は目にする機会がありません。

アオとは緑のことで、頭頂と頬の辺りにある赤色のアクセントがよく目立つオシャレなキツツキです。鳴き声はアカゲラに近く私にはあまり区別出来ませんでしたが、下の子の云うにはハッキリ違うとのことでした。

牛谷に在る廃田の榛の木に来たアオゲラ。この頃(2007.01.27の写真)には未だ姿も見られたのだ。

残念なことに、私はこの辺りでもう四~五年も姿も見なければ鳴き声も聞けず、もはや近くには生息していないと思われます。

アカゲラもアオゲラも野鳥の中では大きい方で、飛び方や体色に特徴があって遠くからでもよく分かるのですが声も聞かれぬ状態ではなんともなりません。

より小型のコゲラは今でも沢山いて、一年を通して姿を見られます。写真は冬鳥のところに在りますから確認してください。

野鳥にとって、春は繁殖の季節ですから相手を求めて盛んに囀ります。散歩道の周りでも頬白や斑鳩の囀りが盛んに聞かれるようになるともう5月です。

若葉の季節は野鳥が盛んに囀る。頬白の歌声は明小への散歩道では最もよく耳にする。

イカルはずんぐりした体型の割にとても可愛らしい声で囀る。秋や冬は大抵群れて生活している。

チョットコイの鳴き声で良く知られるコジュケイだが、林の藪を生活の場にしているため、なかなか人前に姿を現さない。

5月も末となり山野の木々が濃緑の葉で覆い尽くされるようになるとそろそろ梅雨の季節が始まり季節も春から夏へと移り変わります。

それに合わせて、姿を見られる動物たちも春から初夏の顔ぶれへと移り変わってゆきます。

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