オープンソース地理空間技術に関する世界最大級の国際カンファレンス「FOSS4G Global」が2026年に広島で開催されることが決定した。このカンファレンスでは世界中のFOSS4Gに携わる研究者・技術者・自治体・企業が相互に交流することで、この分野のグローバルな技術革新や社会実装の可能性を議論する貴重な機会である。また、近年ではアカデミックセッションも併設され論文投稿も着実に増えているため、国内における研究成果を国際的に公表する、またとない機会である。
これを受け、FOSS4G分科会では、同カンファレンスへ多くの参加を募るため、複数の話題提供や講演を通じて、地図×オープンソースの最前線に関する最新の事例や知見を共有する。これらの話題提供を通じて「FOSS4Gの現在地」を把握するとともに、最後に「FOSS4G Hiroshima 2026」の開催概要やテーマを報告し、日本での国際会議開催への機運をさらに高めたい。
岩崎亘典(鳥取大学)、瀬戸寿一(駒澤大学)、武内樹治(奈良文化財研究所)
山本将大(株式会社MIERUNE/東京都立大学・院)
FOSS4Gのエコシステムを持続させるため、民間企業からの積極的なコミュニティへの支援も重要となっています。FOSS4GコミュニティやQGISへのスポンサードに加え、開発や研修の提供、そして各種メディアでの最新技術情報共有や学習パッケージの無料公開を通じてFOSS4GやQGISの普及と活用に貢献している実例から、企業がFOSS4Gへ参加・応援するための機会と展望を提供します。
大丸裕武(石川県立大学生物資源環境学部環境科学科)
2024年1月に発生した能登半島地震では災害直後から様々な空間情報データが関係機関から公開されてきた。その中には地震前後のDEMに加えて点群や植生情報も含まれ、非常に高度な解析も可能である。この背景には、最近10年間進んできた森林分野のオープンデータの大きな流れがあり、これには国内のFOSS4Gメンバーが多大な貢献を行ってきた。これまでに、筆者の周辺で起きたことを振り返りながら、能登半島のオープンデータ活用への期待と課題について報告したい。
川原尚人(北陸電力送配電株式会社/Code for Toyama)
富山でのUrban Data Challenge(UDC)を通じて、県内のデータ整備状況とUDCでの分析事例、今後の展望を報告します。さらに能登半島地震の現場経験を踏まえ、オープンデータとQGISが被害把握・情報共有・復旧支援で果たした役割と課題を整理し、災害時に速やかに活用できるデータ構築の要点と強化すべき観点を提示します。
小林裕之((元) 富山県森林研究所)
筆者は1991年以来これまで三十数年間にわたり、富山県森林研究所において、GNSS、リモートセンシング(RS)、GISを利用した森林管理業務の効率化に関する研究を行い、Atlas GIS、TNTmips、IDRISI、SAGA、QGISなど様々なRS/GISソフトウェアを使用してきた。本発表では、それらのソフトウェアを時系列順に紹介するとともに、FOSS4GのひとつであるQGISについて、その利点や欠点についての私見を述べる。
岩崎亘典(鳥取大学)、瀬戸寿一(駒澤大学)
2004年、タイのチュラロンコン大学で初めてFOSS4Gという会議が開催されてから、今年で21年になります。小さなコミュニティから始まったこの会議は、2006年以降、OSGeo Foundationの年次会議として継続的に開催され、オープンな地理空間情報を語るうえで欠かせない存在となりました。現在では、多いときには1,000人以上の参加者が集まる大規模な会議に成長しています。さらに、2026年にはこのFOSS4Gが広島で開催されます。本発表では、これまでFOSS4Gで取り上げられてきたトピックを、開発および研究の観点から紹介するとともに、FOSS4G 2026 Hiroshimaで予定されているテーマについてもご紹介します。
開催日時:11月1日(土)9:00~10:40
開催場所:富山大学五福キャンパス(富山県富山市)
開催形式:対面
共催:(一社)OSGeo日本支部
本シンポジウムは、第34回地理情報システム学会研究発表大会の企画セッションとして開催されます。学会員の方・学会員以外の方どちらの方も無料でご参加いただけます。(企画セッション以外の研究発表を聴講される場合の大会への参加登録はこちらからご確認ください。)
本シンポジウムについては申し込み不要です、直接会場へお越しください。