2012年

2012年5月14日(月曜)ギンラン Cephalanthera erecta

キンラン属(Cephalanthera)は14種が北半球の温帯地域に分布しています。人里近くの明るい雑木林で見かけますが、栽培は難しいこと で知られています。それは、本種はもちろん光合成を行っていますが、菌への依存が大きく、その状態を鉢の中で再現することが困難なためと考えられていま す。本種の変種とされている、ユウシュンランは、葉がかなり退化していて、腐生状態への一歩手前という感じです。

2012年5月10日(木曜)エビネ Calanthe discolor

こちらが、ニオイエビネと近縁のエビネです。以前は普通に見かけましたが、少なくなりました(ランの専門家から最近再び増加傾向にあるという話を複数回聞いたことがありますが、私にはそのような実感がありません)。

幼なじみに教えてもらった集団です。野生のニオイエビネには夜間蛾が訪れていることを確認しましたが、この写真のエビネには、夜間に花粉を運べるよ うな昆虫は来ていませんでした。その代わりに、昼間に、マルハナバチが期待通りやってきました。ただ、その頻度は低く、この写真の株は数日間開花していま すが、花粉塊が持ち去られた花は半数にも達していません。

2012年4月30日(月曜)ニオイエビネ Calanthe izu-insuaris

エビネ属(Calanthe)は世界に200種が知られています。日本には十数種が分布していますが,そのほとんどが絶滅危惧種です。伊豆諸島に生育するニオイエビネは、その中でも最も絶滅が危惧されるものの一つです。

最も近縁と考えられるエビネ(いわゆるジエビネ)と比べて、薄い花色、強い花の香り、長い距と、夜の蛾に送粉を託した植物の特徴を持っています。昼に活動する昆虫相が本土に比べて貧弱な伊豆諸島において、相粉者を変えることで種分化したと考えられます。

いったい、いつその様な進化が起きたのでしょうか。保全をする上で考慮すべき、種内の遺伝的多様性、島間の遺伝的分化、近縁種との交雑等々について、ランの専門家や現地で保全活動を行っている方々と、共同で解析を始めようとしています。