Publications

* = Equally contributed authors

† = corresponding author(s)

2024

Encyclopaedia of family A DNA polymerases localized in organelles: Evolutionary contribution of bacteria including the proto-mitochondrion.

Harada R., Hirakawa Y., Yabuki A., Kim E., Euki Yazaki, Kamikawa R., Nakano K., Eliáš M., Inagaki Y.(2024. 04) Molecular Biology and Evolution, vol 41(2), DOI: 10.1093/molbev/msae014 プレスリリース

2023

Transcriptome data sets of free-living diplomonads, Trepomonas sp. and Hexamita sp.

Kume K., Gen T., Abe K., Komatsuzaki H., Euki Yazaki, Tanifuji G., Kamikawa R., Inagaki Y., Hashimoto T. (2023. 11) Microbiology Resource Announcements, vol. 12 (12), DOI: 10.1128/MRA.00506-23


Genome sequencing reveals the genetic architecture of heterostyly and domestication history of common buckwheat

Fawcett J. A., Takeshima R., Kikuchi S., Euki Yazaki, Katsube-Tanaka T., Dong Y., Li M., Hunt H. V., Jones M. K., Lister D. L., Ohsako T., Ogiso-Tanaka E., Fujii K., Hara T., Matsui K, Mizuno N., Nishimura K., Nakazaki T., Saito H., Takeuchi N., Ueno M., Matsumoto D., Norizuki M., Shirasawa K., Li C., Hirakawa H., Ota T., Yasui Y. (2023.08) Nature Plants, vol. 9, 1236–1251. DOI: 10.1038/s41477-023-01474-1 プレスリリース


フツウソバ(Fagopyrum esculentum )のゲノム配列を染色体レベルで高精度に解読することに成功し、ソバのゲノムが約 7,100 万年前と8,500 万年前の 2 回の全ゲノム重複を起こしたことと栽培ソバの起源がチベット南東部の野生種ソバであり、人為的な選択により栽培化したことが明らかになりました。また完全ゲノムの解明により、モチ性を抑制する遺伝子がゲノム重複により増加したためソバはモチ性を失ったことがわかり、ゲノム編集技術に依存しない手法でそれらの遺伝子を抑制することで、これまで世界に存在しなかったモチ性ソバを開発することに成功しました。またソバの繁殖様 式を他殖性から自殖性へ転換させることにより、新たな自殖性ソバの開発にも成功しました。


Encyclopaedia of DNA polymerases localized in organelles: Evolutionary contribution of diverse bacteria including the proto-mitochondrion

Harada R., Hirakawa Y., Yabuki A., Kim E., Euki Yazaki, Kamikawa R., Nakano K., Eliáš M., Inagaki Y. (2023) bioRxiv, DOI: 10.1101/2023.08.28.55454


Massive RNA editing in ascetosporean mitochondria

Yabuki A., Fujii C., Euki Yazaki, Tame A., Mizuno K., Obayashi Y., Takao Y. (2023) bioRxiv, DOI: 10.1101/2023.07.06.548043


原生生物学事典

編集:矢崎 裕規・新倉 保・猪飼 桂・矢吹 彬憲・永宗 喜三郎・松崎 素道・白鳥 峻志・島野 智之・小林 富美惠 (2023.05) 朝倉書店, ISBN: 978-4-254-17181-5

多くの研究者の真核生物の多様性のイメージは動物、菌類、植物であり、なにかにつけ「動物から酵母、植物まで〇〇」と言いがちです。真核生物の多様性はより大きく、それを担うのは単細胞真核微生物、いわゆる原生生物です。しかしながら、原生生物学を網羅するようないわゆる参考書とされるようなものがないので、原生生物学の普及をふくめ、一つの指標となる参考書を世に出すべく主に若手研究者を中心に記事を書いてもらい編纂しました。


Recent expansion of metabolic versatility in Diplonema papillatum, the model species of a highly speciose group of marine eukaryotes

Valach M., Moreira S., Petitjean C., Benz C., Butenko A., Flegontova O., Nenarokova A., Prokopchuk G., Batstone T., Lapébie P., Lemogo L., Sarrasin M., Stretenowich P., Tripathi P., Euki Yazaki, Nara T., Henrissat B., Lang B. F., Gray M. W., Williams T. A., Lukeš J., Burger G. (2023.05) BMC Biology, vol. 21 (1) 99, DOI: 10.1186/s12915-023-01563-9

2022

Microheliella maris possesses the most gene-rich mitochondrial genome in Diaphoretickes

Euki Yazaki*†, Yabuki A.*†, Nishimura Y., Shiratori T., Hashimoto T., Inagaki Y. (2022.11) Frontiers in Ecology and Evolution, vol. 10, DOI: 10.3389/fevo.2022.1030570

Microheliella論文の続報です。本論文ではMicroheliella ミトコンドリアゲノムを解読し、CAMクレード、ひいてはDiaphretickesにおけるミトコンドリアゲノム進化について議論しています。現段階で、Microheliella ミトコンドリアゲノムはDiaphretickesの中で最も多くの遺伝子を保有していることがわかりました。さらに、cox11とtufAというレアな遺伝子もコードしていました。またMicroheliella はCryptistaと姉妹群(Pancryptista)となるので、Nishimura et al., 2016 Genome Biol. Evol., 2020 Front. Ecol. Evol.で議論されたCytochrome c maturationの進化についても議論しています。


Microheliella marisが繋ぐクリプチスタと一次植物の絆

矢﨑 裕規*†, 矢吹 彬憲*†, 稲垣 祐司(2022.10) 藻類 The Japanese Journal of Phycology (Sôrui), vol. 70: 199-204, リンク

Yazaki et al., 2022 Open biol.を日本語で解説しました。MicroheliellaをCavalier-smithが単離し、その存在を報告してから19年の歳月を経て、その系統的位置が決まるまでのストーリーです。


Comparative plastid genomics of green-colored dinoflagellates unveils parallel genome compaction and RNA editing

Matsuo E.*, Morita K.*, Nakayama T.*, Euki Yazaki, Takahashi K., Sarai C., Iwataki M., Inagaki Y.† (2022.07) Frontiers in Plant Science, vol. 13, DOI: 10.3389/fpls.2022.918543

緑色渦鞭毛藻TGD株とMGD株の葉緑体ゲノムを解読し、2016年に発表した緑色渦鞭毛藻Lepidodinium chlorophorumの葉緑体ゲノムと合わせて葉緑体ゲノムがどのように進化してきたかを議論しています。矢崎は主に各遺伝子の分子系統解析を担当しました。

Evolutionary diversification of the autophagy-related ubiquitin-like conjugation systems

Zhang S., Euki Yazaki, Sakamoto H., Yamamoto H., Mizushima N.(2022.04) Autophagy, vol. 18 (12) 2969 - 2984, DOI: 10.1080/15548627.2022.2059168

オートファジーで働く2つのユビキチン様結合系(ATG8-ATG12結合系)は真核生物に広く保存されている一方で、近年マラリアなどでATG10を欠失する縮退的なATG8-ATG12結合系が報告されました。このような縮退的なATG8-ATG12結合系が真核生物においてどの程度生じているのかを検証するために、約100種の真核生物トランスクリプトームデータを精査を行った。その結果、同様の縮退的なATG8-ATG12結合系がマラリア以外にも真核生物の広範な複数の系統で検出され、ATG8-ATG12結合系の縮退的な進化が少なくとも16回独立して起こっている事が判明しました。オートファジーにおいて制約がある程度存在すると考えられていたATG8-12結合系は考えていたよりも縮退的な進化が進行しやすいことが示唆されました。

The closest lineage of Archaeplastida is revealed by phylogenomics analyses that include Microheliella maris

Euki Yazaki*†, Yabuki A.*†, Imaizumi A., Kume K., Hashimoto T., Inagaki Y. (2022.04)  Open biology, vol. 12 (4), DOI: 10.1098/rsob.21.0376

本研究では所属不明であったMicroheliella marisの系統的位置がCryptistaの基部から分岐することを、大規模配列データ基に行った大規模分子系統解析によって明らかにしました。M. marisとCryptistaからなる生物群をCryptistaを拡張したという意味でPancryptistaと提唱しました。同時にPancryptistaはArchaeplasitda (一次植物)と姉妹群となることが示されました。この関係性をメガ生物群”CAMクレード”として提唱しました。CAMクレードはCryptista、Microheliella、Archaeplasitda の頭文字からとっています。また、これまでに解析によっては一次植物が単系統とならないことがありましたが、本研究の詳細な分子系統学的解析によってクリプト藻類が持つ特殊な進化シグナルによるアーティファクトが一次植物の単系統を阻害していることが示され、一次植物の単系統の再構築にはタクソンサンプリングの充実、特に基部から分岐する生物(Rhodelphis類とMicroheliella)のタクソンサンプリングの充実が重要であることを示しました。

2021

Phylogenomics invokes the clade housing Cryptista, Archaeplastida, and Microheliella maris

Euki Yazaki*†, Yabuki A.*†, Imaizumi A., Kume K., Hashimoto T., Inagaki Y. (2021)  bioRxiv,  DOI: 10.1101/2021.08.29.458128

Signs of the plastid: enzymes involved in plastid-localized metabolic pathways in a eugregarine species 

Euki Yazaki*, Miyata R.*, Chikami Y., Harada R., Kawakubo T., Tanifuji G., Nakayama T., Yahata K., Hashimoto T., Inagaki Y.† (2021.08) Parasitology International, vol. 83, (102364), DOI: 10.1016/j.parint.2021.102364

本研究では陸域の節足動物(ムカデとヤスデ)の消化管から単離した単細胞真核生物の大規模配列データを基に行った大規模分子系統解析によって、これら生物が人獣病原性寄生虫で有名なアピコンプレクサに近縁なGregarine(広義ではアピコンプレクサに含まれる)に位置していることを示しました。さらに配列解析によってムカデ感染Gregarineから葉緑体でのイソプレノイド合成とヘム合成に関わる遺伝子を複数持つことが明らかとなり、寄生虫でありながら機能する葉緑体を保持していることを示唆しました。

2020 

Euki Yazaki, Kume K., Shiratori T., Eglit Y., Tanifuji G., Harada R., Simpson A.G.B., Ishida K., Hashimoto T., Inagaki  Y.† (2020.04)  Proceedings of Royal Society B, vol. 287, (1934), DOI: 10.1098/rspb.2020.1538

本研究は系統的帰属の不明であったBarthelonaの株をパラオを始めとした複数の海水域の嫌気性泥のサンプルから単離・確立し、培養株から取得した大規模配列データをもとに、その系統的位置とミトコンドリア関連オルガネラ(MRO)の機能を推定しました。BarthelonaはFornicataの基部から分岐しており、MROは多くの機能を保持しているもののATP代謝系を失っていました。その代わりに細胞質内でのリン酸化によるATP代謝を行っている可能性が高く、フォルニカータ生物における複雑なATP代謝系の進化がより複雑であることを示しました。

矢﨑裕規・島野智之† (2020.03) 日本動物分類学会和文誌タクサ, vol. 48, 71-83, DOI: 10.19004/taxa.48.0_71 

この総説では、Adl et al., 2012から2019で改訂された大分類群の変遷を解説しています。

Sarai C.*, Tanifuji G.*†, Nakayama T.*, Kamikawa R.*, Takahashi K., Euki Yazaki, Matsuo E., Miyashita H., Ishida K., Iwataki M.†, Inagaki Y.†. (2020.01) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, vol. 117 (10) 5364-5375, DOI: 10.1073/pnas.1911884117 

新奇緑色渦鞭毛藻TGD株とMGD株葉緑体に複数回細胞内共生をしたときに残ることがある共生体痕跡核(Nucleomorph)を持つことと、その進化過程に関して報告したました。矢崎は主にTGDとMGDの系統的位置を推定する大規模分子系統解析を担当しました。

2019

Euki Yazaki†, Kume K., Shiratori T., Eglit Y., Tanifuji G., Harada R., Simpson A.G.B. , Ishida K., Hashimoto T., Inagaki Y.† (2019)
bioRxiv, DOI: 10.1101/805762 

2018

Záhonová K., Petrželková R., Valach M., Euki Yazaki, Tikhonenkov D.V., Butenko A., Janouškovec J., Hrdá Š., Klimeš V., Burger G., Inagaki Y., Keeling P.J., Hampl V.,  Flegontov P., Yurchenko V., Eliáš M.†. (2018.03) Scientific Reports, vol. 8 (5239), DOI: 10.1038/s41598-018-23575-0 

Kamikawa R.*†, Euki Yazaki*, Tahara M., Sakura T., Matsuo E., Nagamune K., Hashimoto T., Inagaki Y.†. (2018.02) Journal of Eukaryotic Microbiology, vol. 65 (5) 669-678, DOI: 10.1111/jeu.12512 

本研究では、細胞内共生にともなう遺伝子の水平転移(Endosymbiotic gene transfer, EGT)による遺伝子の入れ替わりの過程を、Karenia属渦鞭毛藻類の葉緑体で機能するGAPDHの遺伝子転写物の比較解析を通して一つのモデルを提唱しました。Karenia属では渦鞭毛藻類祖先的な葉緑体から2次共生を通してハプト藻由来の葉緑体に入れ替えています。葉緑体で機能するタンパク質をコードする遺伝子がハプト藻由来の遺伝子に入れ替わっていますが、Karenia brevisではハプト藻由来GAPDH(GapC1-h)だけではなく祖先的GAPDH(GapC1-p)も存在することが大規模配列解析(その当時はEST解析)から知られています。その配列情報をもとに、近縁なKarenia mikimotoiからGapC1-h、Gap-C1pの配列をPCRなどで全長を決定し、部分配列しかなかったKarenia brevisの2つのGAPDH遺伝子も全長を決定しました。さらに転写量比較や局在解析などを行いました。その結果から、Karenia属では①EGTした遺伝子は葉緑体ターゲッティングシグナルが多様化して、Karenia属に適合する配列になる、②もともとの祖先型の遺伝子の転写量が減る、③祖先型の遺伝子の偽遺伝子化が始まる、④祖先型の遺伝子は消失するという段階で遺伝子が入れ替わることが予想されました。

2017

Large-scale, Multi-gene Phylogenetic Analyses of Previously Overlooked Microeukaryotes: Toward Better Understanding of the Evolution and Diversity of Eukaryotes
[大規模分子系統解析による新規単細胞真核生物の系統的位置の解明:真核生物の進化と多様性の解明に向けて]

Euki Yazaki (2017.03) 博士論文, 甲第8122号

Euki Yazaki, Ishikawa S. A.†, Kume K., Tanifuji G., Kamaishi T., Kumagai A., Hashimoto T., Inagaki Y.†. (2017.02) Genes & Genetic Systems, vol. 92 (1) 35-42, DOI: 10.1266/ggs.16-00056 

キネトプラティア(キネトプラスト綱)は人獣病原性寄生虫であるTrypanosomaLeishmaniaに代表されるトリパノソマティダ(トリパノソーマ目)を中心に良く研究されてきた。しかし、キネトプラスティアの他の系統群にも寄生性生物はいるものの、トリパノソマティダに比べてあまり研究が進んでおらず、配列情報を含め基礎的な情報が不足していた。また、これまでの研究ではキネトプラスティアにおいての寄生種への変遷過程は、寄生種を含めた系統関係がなされてこなかったことから、不明瞭であった。本研究では、トリパノソマティダ以外のキネトプラスティアの寄生種(Perkinsella sp., Azumiobodo hoyamushi, Trypanoplasma borelli)から大規模分子データを取得し、大規模分子系統解析とタクソンリッチな18s rDNA分子系統解析を組み合わせることによって、キネトプラスティアにおける自由生活種から寄生種へ変遷を検討した。

2015

Noguchi F., Shimamura S., Nakayama T., Euki Yazaki, Yabuki A., Hashimoto T., Inagaki Y., Fujikura K., Takishita K.†. (2015.08) Protist, vol. 166 (5) 534-550, DOI: 10.1016/j.protis.2015.08.002 

本研究は、Stramenopilesの自由生活嫌気性原生生物Cantina marsupialisが持つミトコンドリア関連オルガネラ(MRO)の生化学的特性を、RNA-seqデータに基づいて推測した。 MROで機能することが知られているタンパク質の転写産物であるフェレドキシンオキシドレダクターゼ、鉄-ヒドロゲナーゼ、コハク酸CoA-トランスフェラーゼ、およびスクシニル-CoAシンターゼなどのアセチル-CoAシンテターゼ( ADP形成)を検出した。これらのタンパク質にはN末端にミトコンドリア移行シグナルがあることが推定され、Cantina MROでの嫌気性ピルビン酸代謝によるATP生成システムが機能していることを示唆した。さらに、Cantina MROは、アミノ酸代謝や「不完全な」トリカルボン酸サイクルなど、典型的なミトコンドリア機能を有する一方で、電子伝達系の複合体II(CII)の4つのサブユニットすべての転写産物が検出されたが、複合体I、III、IV、またはF1Fo ATPaseは存在せず、電子伝達系によるATP生成は行えないことを示唆した。矢崎は主に分子系統解析による各MROタンパク質の起源の推定を担当。