【参加者募集】
第22回研究会を,3月4日(土)の13:30より,法政大学ボアソナードタワー11階BT1100教室にて開催予定です。
発表予定の題目とアブストラクトができましたので,ご連絡致します。
今回は,研究発表4件です。
当日用意する発表資料の部数を把握するために,参加ご希望の方は『3月1日(水)13:00(同じ週の水曜日)』までにご連絡頂けると助かります。
問い合わせ,申込み先:
電気通信大学 猪原敬介
E-mail: kei.inohara@gmail.com
研究会後には,懇親会も予定しております(参加希望は当日受け付けます)。
言語について関心を持つ皆様と,楽しく,有意義な議論ができれば幸いです。みなさまのご参加をお待ちしております。
【概要】
・ 日時 3月4日(土)13:30~17:00
・ 場所 法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー11階 BT1100番教室(下記会場案内をご参照下さい。)
・ 参加 人数把握のため事前に下記問い合わせ先までご連絡をお願い致します。
・ プログラム
1)研究発表(口頭発表一人35~50分を予定。人数により変更の可能性あり)
・菊池理紗(東京大学大学院総合文化研究科 研究生)
・梶井直親(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
・望月正哉(日本大学文理学部心理学科 助教)
・福田由紀(法政大学文学部 教授)
2)懇親会(自由参加)
参加費:研究会は無料 懇親会は実費あるいは会費制
問い合わせ,申込み先:
電気通信大学 猪原敬介
E-mail: kei.inohara@gmail.com
【研究発表】
★菊池理紗(東京大学大学院総合文化研究科 研究生)
<タイトル>
文章に対する読み手と書き手の「評価」:Eメールを対象に
<アブストラクト>
人は,文章を読むとき,その意味を理解すると同時に,内容・表現・構成といった文章の様々な面に対し,評価を行っている(宇佐美・森・吉田,2009)。また,文章産出過程において,構成・文字化・修正の各段階に,メタレベルでの調整が関わっているところから,文章を書くときにも,評価を行っていると推察される(Flower & Hayes ,1981)。文章を媒介としたやりとりでは,読み手と書き手が,その文章に対してそれぞれに評価を行っていることを互いに理解し,コミュニケーションを遂行していく必要がある。
本発表では,Eメールを対象として,発表者が過去に行った二つの質的調査の結果を報告する。一つ目の調査では,調査協力者にEメールを読んでもらい,読んでいるときにどのような点に着目していたかを面接で尋ねた。二つ目の調査では,参加者に実際にEメールを書いてもらい,メールを書く際に,何に気を付けたか,自分の文章をどう思うかを面接で尋ねた。どちらの調査でも,「これはマイナスである」「Eメールはこうあるべきだ」ということについては,具体的な表現への言及や修正がある一方で,「これはプラスである」といった評価には,明確な理由や具体的な指摘が見られなかった。また,気を付けたところが異なる複数の書き手の書いたEメールの文面を比較しても,客観的な差異は見つからなかった。つまり,読み手も書き手も,「失礼でない」ことに注意を向ける反面,「プラスの印象」には拘らないことが明らかになった。これらの結果から,読み手や書き手の持つ「良い」Eメールのイメージは,「プラスの印象を受ける」Eメールと同義ではない可能性が示唆された。
なお,本発表の内容は,菊池理紗(2015).日本語のEメールに対する読み手の「評価」―「一斉送信メール」を対象としたケーススタディ― 待遇コミュニケーション研究,13,35-51を修正・改変したものである。
★梶井直親(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
<タイトル>
BGMの存在は視聴者の場面変化認識に影響するのか?
<アブストラクト>
梶井(印刷中)は,アニメーション視聴時における状況モデルの更新に,BGMが関わっていることを示した。そこで,本研究ではBGMの有無によって,アニメーション視聴時における参加者の場面変化認識が異なるかどうかを検討した。映像刺激として,同じアニメーション映像でBGMが有る刺激と無い刺激の2つを用意した。参加者には,BGMが有る刺激と無い刺激を1週おきに両方見せた。その際,「場面が変わった」と思った箇所で映像を一時停止するように教示した。この一時停止した箇所の位置や数が,BGMの有無によって変化するかどうかを検討した。
★望月正哉(日本大学文理学部心理学科 助教)
<タイトル>
人称代名詞は行為文のオンライン処理に影響するが,オフライン処理には影響しない
<アブストラクト>
英語刺激において人称代名詞を用いた主語は処理速度や記憶成績に影響を与えることが示されてきた。しかし,主語を明示しないことも多い日本語刺激ではその影響が一定していない。本研究では,人称代名詞を主語とした行為文の有意味性判断課題(オンライン処理に相当)と偶発的再認課題(オフライン処理に相当)を実施することで,人称代名詞がオンライン処理とオフライン処理のそれぞれにどのような影響を与えるか検討した。その結果,有意味性判断課題では一人称の文は二人称,三人称の文よりも速く処理された。一方で,再認課題の成績には人称代名詞の影響はみられなかった。これらの結果は,日本語文を読んでいる際には人称代名詞に基づく視点の情報が判断に影響するものの,記憶検索時にはそれらの情報の重要度は低くなっていることを示す。
★福田由紀(法政大学文学部 教授)
<タイトル>
小説を読むことによる読み手の気分への影響
<アブストラクト>
私たちの感情が読む文章の感情価によって影響されることは知られている。例えば,森田・菅村(2014)は,ポジティブな詩を黙読することにより読み手はゆったりとした気分になることを示した。一方,日常生活では詩を読む機会よりも小説を読む機会の方が多いと考えられる。福田(2016)は,2,000字弱のポジティブな小説材料を用い,朗読を予告した条件と予告しなかった条件における黙読部分をプレーポスト計画で比較した。その結果,深い理解を促進させることが知られている朗読(Fukuda,2016)の前に行う黙読時のみに,読み手の感情がより肯定的になる傾向を見いだした。しかし,この結果のみからだけでは,ポジティブな小説を読むと読み手の感情もポジティブになるとはいえない。そのため,本研究では,3,000字以上の小説と同分量の心理学の教科書を参加者に黙読させ,その感情の変化を検討した。その結果,ポジティブな小説を黙読した条件のみ,読み手の肯定的な感情得点は有意に高く,否定的な感情得点は有意に低くなった。つまり,ポジティブな小説を読むことにより読み手の気分が良くなることが明らかとなった。これらの結果から,読書によって気分が良くなるためには,ある程度の長さの文章を読む必要があることが示唆された。
【会場案内】
法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー11階 BT1100番教室
ボアソナードタワーは,市ヶ谷キャンパス内の26階建てのビルです。
エレベーターはオレンジ(低層階用)と青(高層階用)の2種類あります。
どちらもご利用できますが,青いエレベータの方が便利です。
そのまま直接,11階のBT1100教室までお越しください。
守衛所等で受け付けなどは必要ありません。
なお,緊急の連絡先は,03-3264-9382(福田由紀研究室直通),
03-3264-5024(実験室付属の準備室)です。
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/access.html
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html