第33回定例研究会

<次回:第33回定例研究会>
  日時 2024/2/24(土)14:00~17:30(予定)
  場所 法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー11階 BT1100教室
     合わせてオンラインでも実施(詳細はメール後半に記載)
  ※対面参加のご予定の方は資料印刷の都合上,事務局(koh.tsunemi@gmail.com)まで
   お知らせ頂けますと助かります


プログラム

〇研究(計画)発表 4件(敬称略,お申込順)
 ※口頭発表お1人45分(発表25分,質疑20分程度,発表順は当日決めさせて頂きます)

・福田 由紀(法政大学)・望月 正哉(日本大学)・井関 龍太(大正大学)・常深 浩平(淑徳大学)

 タイトル:読後感尺度の信頼性・妥当性の検討(3)――物語全体の印象との比較――

 要旨:物語を読んだ後の読み手の印象を測定する気分因子と評価因子からなるSD法による読後感尺度(福田他, 2022)が開発された。本発表では,福田他(2023)で検討されなかった読後感尺度の妥当性について検証する。「こわい-優しい」などの読後感尺度の気分因子を構成する3項目は,読み終わった読み手の感情を測定していると想定されている。よって,作品自体のポジティブさといった全体的な印象によって影響されると考えられる。一方,「つまらない-面白い」などの3項目で構成される評価因子は作品に対する評価であり,必ずしも全体の印象と一致しないと考えられる。読後感尺度の6項目の得点について,作品全体印象に関するポジティブ条件とネガティブ条件でWelchの方法によるt検定を行った結果,おおむね予想通りの結果となり,読後感尺度の妥当性はある程度高いといえる。


・細川亜佐子(名古屋大学大学院 情報学研究科)

 タイトル:非類似的な登場人物への共感的反応に対する物語理解の視空間的処理プロセス

 概要:物語には、日常生活では出会いにくいような自分とは異なる他者への理解を促進する効果がある。物語理解の研究領域では、このような非類似的な登場人物への理解は、分析的で統制的なプロセスであることが示唆されている。他方、近年では、視空間的処理の活性化が表象を精緻化することで、共感や他者理解を促進する可能性も明らかにされつつある。つまり、非類似的な登場人物を理解する上で、視空間的処理が関与している可能性が考えられるが、両者の関係性についてはこれまで検討されていない。そこで、本研究では、物語理解時の視空間的処理プロセスに着目し、読者と主人公の類似性によって、主人公の共感的反応に対する視空間的処理の関与が異なるのかを検討することを目的とした。具体的には,実験1では、読者と主人公の類似性の一致によって、主人公に対する共感的反応は変化するかを検証し、つづく実験2では、物語読解と視空間妨害課題の二重課題を課し、視空間妨害課題の干渉効果が類似性によって異なるか検証することとした。


津村将章(神奈川大学)

 タイトル:物語における葛藤が物語態度に与える影響

 要旨:本研究の目的は、物語における葛藤が受け手の物語に対する態度にどのような影響を与えるかを明らかとすることである。物語創作においても、物語の受け手の研究においても葛藤は重要な要素である。脚本家のSnyder(2005)は物語上の葛藤は原始的なものであり、観客の心を引きつけるものと述べている。また学術的にも、葛藤が不安感や緊張感に繋がり、解決が行われると緊張が緩和して感動が生じると述べられている(戸梶,2001)。創作論における葛藤は、外的葛藤、内的葛藤に分かれる(McKEE,1997)。本研究はAckerman & Puglisi(2021; 2022)が示した葛藤の種類の中からランダムに抽出した29種類の葛藤(外的葛藤および内的葛藤)について評価を行い、それらが解決した際に感動や満足がどの程度生じるかについて調査を行った。その結果、外的葛藤、内的葛藤の双方において物語態度に有意な影響が認められた。物語の満足については外的葛藤が、物語の感動については内的葛藤がより効果的であることが示された。

・大島深雪森島泰則(国際基督教大学)

 タイトル:研究計画:NIRSを用いた道徳的ジレンマに於ける第二言語の影響

      Research Plan: The Influence of Second Language on Moral Dilemmas Using NIRS

 要旨:本研究の目的は、近赤外線分光法(Near-infrared Spectroscopy:NIRS)を用いて、第二言語と道徳的ジレンマの意思決定との関係を明らかにすることである。先行研究では母語と比べ、第二言語で道徳的ジレンマを読んだ時より実利主義の考え方を受け入れやすくなるとされている。この現象をForeign Language Effect(FLE)と呼ぶ。先行研究では第二言語を使うことで認知負荷が増え、心的イメージがつくりにくくなり、最終的にキャラクターに対する共感が下がってしまう事が原因であると考えられている。NIRSを使った母語の道徳的ジレンマ研究では、前頭葉ではジレンマ判断の際に行われる感情抑制や論理的思考が見られている。もし仮説が正しいならば、母語と第二言語の道徳的ジレンマの意思決定をNIRSで観察した時、前頭葉の血流と酸素代謝変化に差が見られると予測できる。すなわち、第二言語で共感が下がれば、感情抑制に関する部分の酸素代謝変化は母語の場合より低いと仮定される。


会場案内(対面)
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法政大学市ヶ谷キャンパス

ボアソナードタワーは,市ヶ谷キャンパス内の26階建てのビルです。
エレベーターはオレンジ(低層階用)と青(高層階用)の2種類あります。
どちらもご利用できますが,青いエレベータの方が便利です。
そのまま直接,11階のBT1100教室までお越しください。
守衛所等で受け付けなどは必要ありません。
なお,緊急の連絡先は,03-3264-9382(福田由紀研究室直通),
03-3264-5024(実験室付属の準備室)です。

https://www.hosei.ac.jp/ichigaya/access/
https://www.hosei.ac.jp/ichigaya/gaiyo/map/
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会場案内(オンライン)
所定の日時に下記情報に沿ってご参加ください。
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Zoomミーティング
トピック: 第33回ディスコース心理学研究部会
URL:  https://hosei-ac-jp.zoom.us/j/85916079578?pwd=MzZKbkdUN1VQZUJ6R0tSQUNldUNmQT09
ミーティング ID: 859 1607 9578
パスコード: 896524
※当日はお名前(スクリーンネーム)を本名にしてご参加をお願いします
※参加者名簿作成のためご参加後にチャット欄にお名前とご所属の記入をお願いします
※ご参加について事前のお申し込み等は必要ありませんが,Zoomミーティングについて
 不明な点がありましたら事務局(koh.tsunemi@gmail.com)までお問い合せください。
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宜しくお願い申し上げます。


問い合わせ先:
  淑徳大学 常深浩平
  E-mail: koh.tsunemi@gmail.com