・ 日時 9月14日(金)14:00~17:30
・ 場所 法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー11階
BT1100番教室(下記会場案内をご参照下さい。)
・ 参加 人数把握のため事前に以下の問い合わせ先までご連絡をお願い致します。
常深浩平: koh.tsunemi◆gmail.com ※◆を@に変えてお送りください
・ プログラム
1)研究発表(口頭発表,質疑含め一人30分,敬称略)
・伊東徳子・直井望・森島泰則(国際基督教大学)
・岩城美良(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
・蘒原 遥(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
・菊池理沙(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
・西口美穂(京都大学教育学研究科 大学院生)
・米田英嗣(青山学院大学教育人間科学部 准教授)
・福田由紀(法政大学文学部 教授)
2)懇親会(自由参加)
参加費:研究会は無料 懇親会は実費あるいは会費制
【研究発表】
*決まり次第,こちらに掲載します。
★伊東徳子(国際基督教大学 大学院生)
*連名発表:伊東徳子(国際基督教大学 大学院生)・直井 望(国際基督教大学 准教授)・森島泰則(国際基督教大学 教授)
<アブストラクト>
本研究では機能的近赤外分光法(fNIRS)を使用し言語の習熟度が推論に及ぼす影響について検討した。先行研究では第一言語 (L1) 使用時と比べ、第二言語 (L2) 使用時に思考機能が低下することが報告されている(Morishima, 2013)。一方、イメージング装置を用いてディスコース理解における外国語副作用を検討した研究は極めて少ない(Foucart et al., 2016)。本研究では、 英語をL1またはL2とする大学生の推論課題・非推論課題中の前頭部脳活動をfNIRSで計測し、 外国語副作用の神経基盤を検討した。 実験の結果、 L1・L2両グループにおいて推論課題中に前頭前野の広い領域で酸素化ヘモグロビンが有意に上昇した。また言語の習熟度 (L1 vs. L2) と推論の有無において交互作用が見られ、推論課題の際L1グループでは左前頭で、L2グループでは右前頭で酸素化ヘモグロビンが有意に上昇した。以上のことから言語の習熟度により推論時における脳活動領野が異なることが示唆された。これをもとに、ディスコース理解における外国語副作用の可能性を考察する。
★岩城美良(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
<タイトル>
がっかりギフト課題における噓と真実の動機の発達変化
<アブストラクト>
がっかりギフト課題において,嘘をつく子どもの割合は年齢とともに増える(Xu et al., 2010)。そのような相手の感情を守るためにつく嘘は,向社会的嘘と呼ばれている(e.g., Warneken & Orilins,2015)。しかし,がっかりギフト課題における嘘と真実の動機に焦点をあてた研究は少ない。そこで,本研究では小学校2-6年生の児童を対象に,がっかりギフト課題のシナリオを読ませ,反応の動機を自由回答させた。その結果,低学年での嘘の動機は“自己志向”が最も多く,高学年になるにつれて“他者志向”や“慣習志向”の割合が増加した(岩城,2018)。よって,低年齢の子どもの場合には,向社会的な嘘と見える場合でも,その動機を検討する必要がある。一方,真実を言った子どもの動機は,低学年は“自己志向”が高学年は“慣習志向”が多かった。また,クッキー場面では高学年においてのみ“他者志向”の動機もみられた。このように,中・高学年以降は“他者志向”が増えているため,視点取得能力の相違が動機の志向に影響することが考えられる。
★蘒原 遥(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
<タイトル>
「指示の構造は文章での指示理解にどのように影響するか(2)-選択構造に着目して-」
<アブストラクト>
本研究の目的は,文章で表される複雑な指示の理解を促進する要因を検討することである。実験1では,指示の構造(順次構造・反復構造・選択構造)が文章で表される指示理解にどのような影響を与えるか検討した。大学生および大学院生23名に,指示を表す文章を読ませ,その指示に沿って事物を動かすことを求めた。その結果,正答得点は順次>反復>選択,読み時間は順次<反復<選択となった。これらの結果より,選択構造の指示の理解が最も困難である可能性が示唆された。さらに,選択構造において誤答分析をした結果,分岐エラーが最も多かった。したがって,選択構造の理解が難しい理由は,その構造に含まれる「pならばqである」といった条件推論の負荷によると考えられる。条件部を肯定する場合と否定する場合では,後者の推論の方が難しい(石田,1980)。そこで,実験2では,条件部が否定された際に行わない指示を明確に示し,推論の負荷を減らすことで,指示の理解が促進されるかを今後検討する。
★菊池理紗(法政大学大学院人文科学研究科 大学院生)
<タイトル>
大学生はEメールをどのように評価するか?
<アブストラクト>
本研究では,大学生が,メールを読むとき,あるいは,書くときにどのようなメールを「好ましい」と評価するのかを探索的に調査した。参加者は4年制大学の学部生と短期大学部の学生の計223名であった。参加者には,指導教員や大学事務を相手にメールをやりとりする場面を想像するように教示し,提示した項目がメールを読むときに好ましいと感じる基準,あるいは,書くときに気を付けることとしてどの程度当てはまるかを「1:まったくあてはまらない」~「6:非常によくあてはまる」で回答させた。留学生やデータ不備を除いた184名のデータに対して因子分析を行った結果,読み手における好ましさは「わかりやすさ」因子と「必須項目」因子で構成され,書き手における好ましさは「丁寧さ」因子と「送信マナー」因子で構成されていた。今後は,これらの結果を踏まえ,大学生がより好ましいメールを書くためにはどのような介入が必要であるかを考えていく。
★西口美穂(京都大学教育学研究科 大学院生)
<タイトル>
単文産出過程における視覚情報の役割
<アブストラクト>
言語に接するとき,私たちはしばしばその言語が示すものの形・色などの特徴を,まるで今自分が見ているかのように体験することがある。このような「知覚的シミュレーション」はこれまで文の理解課題だけでなく(e.g., Zwaan, Stanfield & Yaxley, 2002),文の産出課題でも生じることが示されている(西口・楠見, 2018)。しかし,このような知覚的シミュレーションが文の産出を促進させる役割を持つのか,それとも文を産出する際に生じる副産物に過ぎないのかは検討されていない。そこで本研究では,画像による視覚情報の提示がその後の文の産出に影響を与えるかを検討した。その結果,提示された画像と産出された文が暗示する知覚的特徴の一致/不一致が文の発話開始時間に与える効果,そしてその効果とイメージ能力に関する質問紙得点との交互作用ともに有意ではなかった。しかし,視覚的イメージに関わる能力が高い場合,画像と文の内容が一致している時,不一致であるよりも発話開始時間が短い傾向がみられた。
★米田英嗣(青山学院大学教育人間科学部 准教授)
*連名発表:米田英嗣(青山学院大学教育人間科学部 准教授)・楠見 孝(京都大学教育学研究科 教授)
<タイトル>
時空間情報を含む物語理解におけるなつかしさの効果
<アブストラクト>
本研究では、可能性判断(物語内における物体の授受の可能性判断)と理解質問(物語を正しく理解しているかを問う質問)という物語課題を用いて、時間情報の理解となつかしさとの関係を検討した。予測1として、物語中に長い時間経過がある物語の理解が困難であり、予測2として、なつかしさを感じやすい人ほど、物語における時空間情報を追跡でき、予測3として、昔のことをさかのぼって思い出せるほど、時空間情報を含んだ物語をよく理解できると考えた。Web調査により20歳台70名、30歳台70名、40歳台70名、50歳台70名、60歳台70名、70歳から90歳70名の 420名の参加者をリクルートした。可能性判断の正答率に基づく分散分析の結果、予測1は、回想(時間の逆行)のときにのみ支持された。可能性判断の正答率の平均値を目的変数とした重回帰分析の結果、予測2は支持された。理解質問の正答率の平均値を目的変数とした重回帰分析の結果、予測3は支持された。本研究の結果、時空間情報を含んだ物語において、なつかしさを感じる人ほど、時空間情報を追跡でき、過去のことをさかのぼれるほど、時空間情報を追跡できることが明らかとなった。
★福田由紀(法政大学文学部 教授)
<タイトル>
朗読は読書行動を促進するか?
<アブストラクト>
読み手が朗読すると,音読をするとき(福田・楢原,2015)や黙読する時(福田,2016)に比べて気分が良くなることが示されている。一方,動機づけの研究では快感情が行動生起に促進的な影響を与えることも知られている(木村,2010)。よって,本研究では良い気分を喚起させる朗読という読み方が,その後の読書行動の動機づけを高めるかについて検討した。実験では,大学生に実験材料を朗読ないしは黙読させ,その後新たな材料を朗読ないしは黙読するかどうかを行動指標で測定した。その結果,朗読後の新しい材料を行う頻度と黙読後のそれには有意な差は認められなかった。朗読による気分変化では,実際の行動への影響を及ぼすほどの効果は無いと考えられる。そのため,気分変化をきっかけと捉え,他の介入をすることが読書行動を促進するために必要であると考えられる。
【会場案内】
法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー11階 BT1100番教室
ボアソナードタワーは,市ヶ谷キャンパス内の26階建てのビルです。
エレベーターはオレンジ(低層階用)と青(高層階用)の2種類あります。
どちらもご利用できますが,青いエレベータの方が便利です。
そのまま直接,11階のBT1100教室までお越しください。
守衛所等で受け付けなどは必要ありません。
なお,緊急の連絡先は,03-3264-9382(福田由紀研究室直通),
03-3264-5024(実験室付属の準備室)です。
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/access.html
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html