2015~2017年にかけて屋久島で行った、産卵に上陸するアカウミガメの付着生物調査の一部です。
これまで、フジツボ類については多く研究が進められてきたほか、タナイスや貝形虫の新種もアカウミガメの背中から見つかっています。
本報告では、アカウミガメの背中についていたチビクモヒトデの記録を報告しています。
ウミガメの付着生物はこれまでフジツボ類を中心とした研究が多く進められる一方で、その他の生物についてはあまり研究が進んでいません。
この論文で報告したクモヒトデの仲間は世界でも3例ほどしか報告がなく、ウミガメに特異的に付く種類がいる、というよりはたまたまカメについてしまった、
という偶然のものであると考えられます。実際、日本でクモヒトデが見られたのはこの1例のみで、他の記録は知られていません。
チビクモヒトデは船底などに付着して世界的に分布を広げていることが知られる種です。
ウミガメへの付着例は今回初めて報告されました。
この研究は長年屋久島のウミガメ産卵調査を続けてこられたNPO法人屋久島うみがめ館および調査ボランティアのみなさまの協力を得て実施したものです。本研究は、科学研究費助成事業(JP263700,JP16K21005)、生き物文化誌学会さくら基金の支援のもと、京都大学野生動物研究センターの共同利用・共同研究として、NPO 法人屋久島うみがめ館の協力を得ながら、ウミガメ捕獲等許可と特別地域内動物の捕獲許可を受けて実施されました。改めてここに感謝の意を表します。
Ryota Hayashi, Masanori Okanishi
The widely occurring brittlestar Ophiactis savignyi (Amphilepidida: Ophiactidae) as an epibiont on loggerhead sea turtle, Caretta caretta.
Zootaxa, 4695(5), 497-500. 2019.
Not cited (at 2020/4/10):