睡眠研究所のスタッフである西村先生,野添先生,山本先生とともに行った共同研究の成果が,7月24日(水)に日本睡眠学会の刊行する学術雑誌『Sleep and Biological Rhythms』に掲載されました。
本論文では,366名の日勤労働者を対象として行われたオンライン上での自記式睡眠調査と選択的注意機能測定の結果を基に,睡眠問題(質の低下,睡眠不足,夜型の生体リズム,過度な眠気)と認知機能との関連が参加者の年齢層によって異なるかを検討しています。
分析の結果,40歳代の労働者では睡眠問題は認知機能と関連を示しませんでしたが,20歳代では睡眠不足を抱えている人ほど,そして60歳代では睡眠の質が低いほど,選択的注意機能が高い傾向が確認されました。
これらの結果は,睡眠問題が認知機能を低下させるという一般的に考えられている知見とは異なるもので,睡眠問題や認知機能の「個人差」に着目した場合には必ずしも睡眠問題と認知機能との関連は一様では無いことを示すものと言えます。今後の研究においては,このメカニズムの解明が求められと考えています。
Asaoka, S., Nishimura, R., Nozoe, K., Yamamoto, R. Do the effects of sleep problems on cognitive function differ according to age in daytime workers? Sleep Biol. Rhythms (2024). https://doi.org/10.1007/s41105-024-00546-9
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