京都府立医科大学外科の歴史は、1882年(明治15年)に猪子止戈之助先生を初代教授として外科学教室が開設されたことに始まります。1921年(大正10年)には大学令に基づいた京都府立医科大学へと昇格し、その後第一外科と第二外科の2講座制となりました。そして、1999年(平成11年)の大学機構改革に伴い、当時の山岸久一教授が第一外科と第二外科の消化器チームを統合し、全国の外科ディヴィジョン化の先駆けとして、現在の消化器外科学教室が正式に発足しました。その後、2007年(平成19年)より大辻英吾教授が二代目として教室を主宰され、消化器外科学教室は大きな発展を遂げてきました。2024年(令和6年)11月より、私が第三代 消化器外科学教授を拝命いたしました。これまでの教授が築いてこられた偉大な歴史と伝統を大切に継承しつつ、次世代を担う人材の育成に努め、診療・研究・教育の更なる発展に向けて全力を尽くす所存です。
京都府立医科大学附属病院の理念である「世界トップレベルの医療を地域へ」を胸に、私たちは高度な医療を地域の患者様に還元することを目指しています。消化器外科では、上部消化管チーム、下部消化管チーム、肝胆膵チームの3チームがそれぞれ専門性を活かしながら、高度で安全な治療を提供しています。特に、低侵襲手術に力を入れ、多数の腹腔鏡下手術・縦隔鏡下手術やロボット支援下手術を積極的に実施しています。これからも、医療安全に配慮し、高度で安全な消化器外科治療を追求して参ります。
また、消化器癌に対する基礎・臨床研究も活発に行い、イオン輸送体の機能解析や新規治療への応用、血漿中遊離核酸を用いた癌診断マーカーの探索など、多岐にわたる研究テーマに取り組んでいます。これらの研究成果は多数の英文誌に掲載され、国際的にも高く評価されています。国内外の留学を積極的に推進し、グローバルに活躍できるAcademic Surgeonの育成を目指しています。
本教室は、京都府下および周辺地域に約50の関連病院を有し、大学病院と教育プログラムを共有しながら若手外科医の育成を行っています。ロボット・内視鏡外科などの最先端手技は勿論ですが、上部消化管、下部消化管、肝胆膵疾患のすべてを学べる環境を提供できるのが、本教室の利点と考えています。消化器外科全般に対応できるGeneralistの教育をしっかり両立し、関連病院を最前線で支える人材を育成いたします。
私たちは、単に手術手技を習得するだけでなく、患者様や全ての医療従事者から信頼される立派な社会人たる消化器外科医を育成することを目標としています。今後も、活気に満ちた楽しく学べる環境を提供し、診療・研究・教育をバランスよく向上させ,歴史ある京都府立医科大学の更なる発展に尽力してまいります。皆様のご支援とご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器外科学 教授 塩﨑 敦