物情3年生は随時,研究室見学や相談が可能です。研究室配属では研究テーマから教員との相性までマッチングが重要と思いますので,一度は研究室に来て頂いて井上や所属学生と相談してください。
修士課程や博士課程から一緒に研究をおこなう方も募集しています。学部生と同様に研究テーマのマッチングが重要と思いますので,相談しながら可能性を検討してもらうことになります。特に学外から慶應大学院に入学を希望する方は事前にご連絡ください。
社会人博士も受け入れています。企業で明確になっている制御問題を解決するためというよりも,将来に独創的なプロジェクトにつながるような制御理論・技術開発に一緒に取り組みたいと考えています。必ずしも必要では有りませんが,共同研究に紐づけて参加頂けると効果的に研究を進められます。
ポスドク(学振PDなど)も受け入れています。特に博士号を取得したばかりの若手研究者の方とは,ご自身の博士論文のテーマとは異なる新しい研究の軸を一緒につくることを目指します。将来に研究室/研究所のPIやPMを目指すならば,複数の軸をもつことはほぼ必須と考えています。
シニア研究者の滞在も大歓迎致します。融合領域で何か共同研究ができれば幸いです。海外の共同研究者もよく訪問してくれます。たとえば,セビリア大のMaestre教授などサバティカルで数ヶ月ほど井上研に滞在(短期留学)して下さり,多くの共同研究成果をあげています(まだ続いています)。
“制御”の研究室として(研究ビジョン)
教員(井上)の専門分野である制御工学は,まさに授業科目「制御工学同演習」や「モデリングと制御」を進める分野です。その中でも,特に人と機械の協働,ヒューマンインタフェース,AIセキュリティなど「人と繋がる制御の理論と応用」に強い興味を持っています。研究室で皆さんが取り組む”制御”はさらに広く捉えて貰って構いません。”制御”はあくまでも目的や行為です。そのためのアプローチや研究対象は様々なものが考えられます。
アプローチ(拠り所とする基盤理論)は授業で学んだ伝達関数や状態方程式ベースの制御工学分野のものに限りません。機械学習や最適化という近い分野はもちろん,統計物理学,自然言語処理,行動経済学,など研究の目的と学生の得意・興味に合わせたアプローチで取り組みます。
研究対象は電気機械システムに限りません。個人/集団の行動変容を対象としたり,人の心理状態(ウェルビーイングやインクルージョン),人の健康状態,大規模言語モデル(LLM)などのAIシステムまで,何でも研究対象になります。
「興味のある分野 × 制御」で新領域を開拓する
オリジナルの理論をつくる(研究室の方針)
巨人の肩の上に乗ってからテーマを考えるのではなく,テーマを考えてから巨人に肩に乗せてもらいます。修士課程を修了したときには自分でテーマ設定ができるように,つまり,博士論文のテーマにできるもしくは社会に出て新しい仕事をつくれるように指導していきます。そして,特に修士課程まで進学する学生には,自身の研究テーマの中で全く新しい自身の制御理論を構築してもらいます。更に,博士課程に進学するような学生では,在学中に単著論文(井上が共著者に入らない論文)を書いてもらう予定です。
上述した狙いのため,井上研では基本的には先輩からテーマの引き継ぎはおこなっていません。ほぼすべて学生が自ら立ち上げた研究テーマでの成果になりますので,本当に一連の研究のプロセスを経験することになります。特に修士課程を修了する頃には,数値に現れる実績以上に実力がついていることでしょう。
自分の創作として誇れる理論をつくる
アウトプットを楽しむ(研究成果)
研究は単に自分が理解して(した気になって)終わりではありません。研究成果をまとめて積極的に発表していきます。国内・国外で様々な学会が開催されていますので,みんなで学会参加してワイワイ楽しみましょう。2018年4月に研究室を立ち上げて2024年4月で6年になりました。学部から修士まで丸3年指導した学生たちを4期分社会に送り出したことになります。彼らの研究成果をまとめました。
修士卒17名(うち7名は他大学・他研究室からの移籍やダブルディグリー学生)と学部卒2名
学生主体の雑誌論文17編,国際会議発表24件(17件はフルペーパー査読付き),国内会議発表60件以上
学生の学会賞受賞21件(その他にも学内の賞も多数)
超積極的に成果発表していった結果,修士学生では平均で1編の雑誌論文,1件の学会賞,1度以上の国際会議発表の実績となっています。採択率が10%切るようなトップジャーナル(AutomaticaやIEEE TACなど)に採択される学生もいます。国際会議も単に楽しい場所で選ぶのではなく,参加する価値のあるトップカンファレンス(IEEE CDCやACCなど)を狙います。発表すれば批判的なコメントを受けることも当然ありますが,そんな緊張感も含めて楽しく成果発表していきましょう。
演者として伝え著者として残す
研究テーマやそこで開拓した自身の理論をそのまま社会で活用できることは(たとえ博士であっても)稀です。しかし,少し広げて,研究の過程で学んだ制御・機械学習・最適化などの基盤知識ならば,本当にどこでも役に立つことでしょう。実際,メーカーやインフラ(交通,電気,ガス)企業で制御を活かしたシステム設計に取り組んでいる,機械学習の知識に期待されてAIベンチャーに引き抜きを受けた,物流設計で最適化が本当に役に立っているなど,研究室での学びと繋がる話を卒業生から聞くことも多いです。OGOB会で未だに卒業生と研究内容の話で議論ができるのは,広く必要とされるシステム制御系ならではですね。
井上研では,研究ゼミ発表はスライド形式ではなく論文形式でおこないます。研究の進捗を実験レポートのようなTeX資料としてまとめて,それをもとに議論します。普段の活動を通して分野外の方に伝えるためのロジカルな文章を書く訓練もしていくことになります。他の研究室同様にプログラミングやプレゼンのスキルも当然磨きながら,井上研では理系学生の多く(井上も含む)が苦手であろうライティングから相当鍛えられることでしょう。
どこでも必要とされる知識をもつ
一生の思い出に残す(イベント)
学生同士や教員とのディスカッション,輪講や研究ゼミでの発表,学会発表や論文執筆に向けた直前の追い込み(!)など研究活動はいつまでも記憶に残るでしょう。これら研究活動の記憶に加えて,普段のお茶会や懇親会(飲み会)に研究室旅行などイベントも多数おこなっています。卒業生と話をすると研究室は楽しかったという話がでてきます。「学生同士でも教員でもワイワイ議論できたことが(大変だったけど)楽しかった」「飲み会で行った・・・のお店が美味しかった」「学会でいった海外の***がこうだった」など何でもいいので,研究室の生活の中で一生の思い出を残してもらいたいです。
美味しいもの好きな方は大歓迎です(by井上)
とにかく全力で楽しむ