概要

JA-RSAとは

自傷・自殺未遂レジストリ(JAPAN Registry of Self‐harm and Suicide Attempts ; JA-RSA)は、自傷や自殺未遂により救急医療機関に搬送された患者さんに関する情報を登録・集積するシステムで、一般社団法人 日本臨床救急医学会厚生労働大臣指定法人・一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センターが協働して運用しています。JA-RSAの参加機関はこちらをご参照ください。

なぜ、JA-RSAが必要か

自殺は、その多くが、追い込まれた末の死であるとされています。また、自傷や自殺未遂の経験がある人は、それらの経験がない人に比べて、のちに自殺で亡くなる可能性が高いことが知られています。このため、自傷や自殺未遂をした人々がそこまで追い込まれるに至った経緯を知ることや、その人々が再度の自殺企図をしなくてすむように支援することは、自殺対策においてとても重要とされています(参考:『自殺総合対策大綱』)。

このような背景から、世界保健機関(WHO)は、世界の国々に対して、自傷・自殺未遂患者さんに関する情報を登録・集積するシステムを構築し、活用することを推奨しています。海外では既に複数の国や地域でこのようなシステムが整備されており、そこから得られたデータの分析結果が自殺対策に活用されています。

JA-RSAは、日本における初めての、そして唯一の、大規模な自傷・自殺未遂レジストリシステムとして、期待されています。本事業により、これまで明らかにされてこなかった自殺行動に至る危険因子や保護因子、社会情勢等によりリスクに晒される脆弱な集団、模倣される自殺企図手段などを同定できる可能性があります。また、そのような知見は、自殺未遂者の再企図防止や、より広い自殺対策の礎になると考えられます。 

JA-RSAで収集される情報

海外の自傷・自殺未遂レジストリで広く収集されている項目に加え、JA-RSA独自の項目も設定しています。主な項目は以下のとおりです。

  ● 患者基本情報(年齢、性別など)

  ● 自傷・自殺未遂に関する情報(受傷日時、手段や場所、希死念慮の有無など)

  ● 医療情報(身体所見、既往歴、転帰、支援機関等へのつなぎなど)

  ● 社会経済情報(生活環境、職業など)

登録される情報は、すべて通常の診療のために収集される情報です。レジストリ登録のみのために新たな検査等を行うことはありません。

患者さんの氏名や住所などの個人情報は一切収集されません。また、データ利活用の際には病院名や受診日等の情報もわからないようにするなど、プライバシーに最大限配慮しています。

ご理解とご協力をお願いします

JA-RSAの運用・発展と、その先にある日本の自殺対策推進のために、患者さん、市民のみなさん、そして救急医療機関をはじめとする医療スタッフの理解と協力が不可欠です

ご理解とご協力のほど、どうかよろしくお願いいたします。