<研究課題名> 自傷・自殺未遂による夜間週末の受診と精神科コンサルトの関係性の検証
<研究者名> 湯本 哲也
<所属機関名> 岡山大学病院 高度救命救急センター
<研究概要>
救急外来で精神科的評価や治療介入を実施することにより、自傷・自殺未遂による再受診率や自殺が減少するとの報告がある。しかしながら、過去の研究では自傷・自殺未遂で救急外来を受診した患者のうち、精神科へのコンサルトが行われた例は4分の1に留まるとされる。自殺未遂患者の再受診や自殺を予防するために重要な介入となる精神科へのコンサルトが、受診の時間帯や曜日によって異なるかを明らかにする。
<データ利用承認日> 2024年3月21日
<公表について> 学会:日本臨床救急医学会あるいは日本救急医学会 論文:未定
<ステータス> 研究実施中
<研究課題名> 小中高校および大学生における自傷・自殺未遂の特徴および予後に関する疫学調査
<研究者名> 問田 千晶
<所属機関名> 信州大学医学部 医学科 救急集中治療医学教室
<研究概要>
本邦では、特に若年層において自殺は主要な死因の一つであり深刻な社会問題となっている。自傷や自殺未遂の経験は自殺の最大のリスク因子であり、自傷・自殺未遂者へ適切に対応することは自殺対策において極めて重要である。しかしながら、本邦において自傷・自殺未遂者の特徴や予後に関する大規模疫学調査は行われておらず、その実態は明らかではない。近年では、小中高校および大学生における自殺率は増加しており、若年者層に対する自殺対策は喫緊の課題である。全国的かつ持続的な自傷・自殺未遂レジストリに登録されたデータを活用した疫学調査の結果は、自傷・自殺未遂者の支援に活用され誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現の一助となると期待できる。
本研究は、2022年1月1日〜2024年12月31日の期間に救命救急センターにおける自傷・自殺未遂例の登録システム「JA-RSA」に登録された症例のうち学生・生徒等に属する症例を対象とし、小中高校および大学生における自傷・自殺未遂の疫学調査から属性(小学生、中学生、高校生、大学生)ごとに自傷・自殺未遂者の特徴を明らかにし、若年者の将来において自殺死亡を防ぐための自傷・自殺未遂者支援のあり方を検討することを目的として実施する。
<データ利用承認日> 2024年9月24日
<公表について> 学会:日本臨床救急医学会 論文:Acute medicine & Surgery
<ステータス> 研究実施中
<研究課題名> 生活保護受給と自傷・自殺未遂との関連の評価
<研究者名> 本郷 貴識
<所属機関名> 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 救命救急・災害医学分野
<研究概要>
WHOの試算によると、世界の年間自殺者数は70万人を超えている。自傷・自殺未遂者は自殺既遂者の10〜20倍存在するとされ、自殺は遺族の悲しみをもたらすだけではなく、社会的資源の喪失や医療費の増大につながる公衆衛生上の課題である。自殺のリスク因子として、低所得者や生活保護受給者などが挙げられている。日本における年間自殺者数は約2万人とされている。令和4年度の生活保護受給者数は199万人で、そのうち同年度の自殺者数は805人と報告されている。生活保護受給者の自殺率は年間40.4人/10万人であり、全人口の自殺率17.5人/10万人と比較して高い。しかしながら、過去の研究では、生活保護受給と希死念慮・自殺企図との時間的前後関係は明らかになっていない。本研究の目的は、自傷・自殺未遂レジストリ(JAPAN Registry of Self‐harm and Suicide Attempts ; JA-RSA)に登録された患者における生活保護受給の割合と全国における生活保護受給の割合を用いて、生活保護受給者以外と比べた生活保護受給者における自傷・自殺未遂のリスク比を推定することである。
<データ利用承認日> 2024年12月20日
<公表について> 学会:日本臨床救急医学会、日本救急医学会、日本集中治療医学会など 論文:未定
<ステータス> 研究実施中
<研究課題名> 過量服薬や自殺のゲートキーパーのための企図者の特徴の探索
<研究者名> 永島 一輝
<所属機関名> 千葉大学大学院薬学研究院 先端実践薬学講座
<研究概要>
過量服薬(オーバードーズ)や自殺の兆候に気付き、患者に介入して傾聴することでこれらの防止に繋がることが分かっているが、兆候に気付くためのエビデンスは限られている。本研究は、過量服薬(オーバードーズ)や自殺の予兆に気付き、発生を予防するゲートキーパーが求めるエビデンスの構築を目的とし、JA-RSAデータの解析により過量服薬や自殺に気付くための患者背景や動機、検査値等の特徴の探索をおこなう。
<データ利用承認日> 2025年5月30日
<公表について> 学会:日本薬学会、日本医療薬学会(予定) 論文:未定
<ステータス> 研究実施中
※ JA-RSAのデータを利用した研究をご検討中のレジストリ参加機関の方は、データ利用のページをご確認ください。