賃貸VSマイホーム
《賃貸》に住むか、《マイホーム》を買うか。
結婚や出産、職場の異動などライフステージが変化するたびに、「そろそろマイホームを購入しようかな」と悩んだ経験のある方は多いのではないでしょうか。
とはいってもマイホームの購入には様々な壁があり、なかなか思うようにはいかないもの。
リスク面なども気になり、<人生最大の買い物>に対して尻込みしてしまう方もまた、多いのではないでしょうか。
もちろん個々人の背景や考え方によっても答えは大きく異なってきますが、そんな“永遠の課題について今回は、両者の様々な面を比較しながらお話ししていきたいと思います。
1.金銭面ではマイホームが1歩リード
まずは金銭面での比較です。
いうまでもなくマイホームの最大のメリットは、家がそのまま自身の資産となり、住宅ローン完済後は金銭的な負担が軽くなることです。
反対に賃貸の最大のデメリットは、家賃の支払いが一生続くことだといえるでしょう。
マイホームは購入の際に初期費用が高くつくため、一見賃貸の方が特に感じますが
何十年単位で計算すると支払わなければならない家賃の総額は、マイホームを購入した方が特になるケースが多いです。
ただしマイホームの場合は、固定資産税や都市計画税をはじめとした税金関係や
住宅を維持するためのメンテナンス費用など、住宅ローン以外の住居費もかかってしまう点に注意しましょう。
<マイホームは買って終わり>と思っている方も中にはいますが、家というのはどんどん劣化していくもの。
この先何十年と住み続けていくためには、マイホーム購入後も定期的にメンテナンスをしっかりと行っていく必要があります。
メンテナンスとして必要な項目には外壁の塗装、内壁のクロス張り替えなど種々ありますが、費用としては大体10年ごとに150〜200万前後は見積もっておきたいところです。
*担当者のとっておき情報*
マイホームを購入するさいは住宅ローンを組む方が大半かと思いますが、そのさい金融機関にて、『団体信用生命保険』への加入が義務付けられているケースがほとんどです。
団体信用生命保険(以下「団信」)とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡もしくは高度障害になったさいに、住宅ローンの返済が免除される保険のことです。
例えば契約者の方が住宅ローン返済中に高度障害になった場合は、住宅ローンの残高に相当する保険金が支払われ、以降は住宅ローンが完済された家を所有することができます。
同様に契約者の方が亡くなった場合は、相続者は住宅ローンがゼロになった状態で対象となる不動産を相続することができます。
そのため、団信はその内容から生命保険の役割を果たすものになるため、マイホーム購入者はその分の保険料を節約することができます。
しかも団信の保険料は金融機関側の負担となっており、契約者側に費用負担がないのが一般的です。
対して賃貸の場合は、このような制度を利用することはできないため、契約者にもしものことがあったさいの対応をしっかりと考えておく必要があります。
特にお子さんがいらっしゃり、奥様がご主人様の扶養に入っているケースなどは、それなりの額の生命保険に加入する必要性が出てくるでしょう。
このような点からも、金銭面に関してはマイホームの方が一歩先を行っているといえるでしょう。
2.住み心地はマイホームの方が快適な傾向!
どうせ同じ家賃を払うなら、できるだけ良い家に住みたいと誰もが思うもの。
家探しをするさいこだわる方は少ないかと思いますが、キッチンやユニットバスなどの材質、収納の広さなど設備のグレードは、日々の暮らしの満足度に影響を及ぼします。
賃貸物件はほとんどのケースが投資用で作られていることもあり、設備のグレードをはじめとして、壁や床の厚さなど、建物へかけるコストは極力下げられているのが実情です。
そのため、仮に毎月の支出が同じだと仮定した場合、賃貸よりもマイホームの方が設備のグレードは高くなる傾向があります。
また設備のグレードと同様、住み心地の面もマイホームに軍配が上がります。
マイホームは、賃貸物件のように退去時に原状回復の必要性がなく、お気に入りの壁紙を貼り付けるなど自分好みの内装や間取りにすることができます。
費用はかかりますが建て替えやリフォームも自由に行うことができるため、住み心地をより一層高めることも可能となります。
3.ライフスタイルへの柔軟性は賃貸の方が◎
一方、マイホームのデメリットで一番大きなものとして、ライフスタイル・収入・居住人数などが変化したさいの対応が難しいことが挙げられます。
特にここ最近、コロナ禍の影響により住宅ローンの返済に行き詰まり、住宅ローン破綻を迎える人が急増しているニュースは記憶に新しいでしょう。
マイホームを購入するということは、毎月一定の金額を住宅ローンとして返済しなければならないということ。
ある日突然失業や病気などで支払い能力がなくなったとしても、住居費をそう簡単には減らせないことが、マイホームを購入する上でリスク要素の1つとなるでしょう。
対して賃貸は、マイホームと比較すると引っ越しのハードルが低くなります。
急な収入や家族構成の変化があったり、通勤や自宅周辺の環境に不満があったりしても、状況に合わせた解決策を取りやすくなります。
4.賃貸派の方は老後の住居確保をしっかりと
今までみてきたように賃貸とマイホーム、どちらも一長一短なので、一概にどちらがいいとは言えません。
大切なことは、自身のライフプランを計画しておき、ライフステージの変化に応じた選択を取れるような準備をしておくことです。
とはいっても現代は人生100年時代と言われており、65歳まで働くと仮定しても、35年間は年金生活を送ることになります。
特に賃貸の場合、高齢者に賃貸住宅を貸し渋るオーナーは多く、入居審査で断られたり更新の手続きを却下されたりする事例は数多く存在します。
そのため、若いうちから老後の住居環境に向けた準備は、すすめておく必要があります。
マイホームは確かに手間や労力がかかるものであり、リスクも生じますが、長い目で見たら色々な面で得をすることが多いです。
「そろそろ家を購入してみようかな」と思うタイミングがあれば、それはきっと買い時のサインなのかも。
マイホームという人生最大の買い物に対して、前向きに検討してみても良いのではないでしょうか。