【オンラインセミナー】2月23日(日)午後8時~9時(EST)終了しました。
ブラックホール、日本語で訳せば「黒い穴」と呼ばれる天体の名前を漫画やアニメ、SF映画などで一度は聞いたことがあるかもしれません。ブラックホールは重力がとても強く光すら脱出できないとされるこの宇宙でも最も不思議な天体の一つです。この天体の写真をもし撮ることができれば、本当に「黒く」見えるのか。これはブラックホールの可能性が初めて議論された18世紀以降、数百年にも渡ってわかっていませんでした。
この謎に2019年に人類はようやく答えることができました。地球サイズの電波観測網イベントホライズンテレスコープ (Event Horizon Telescope; EHT)による近傍銀河M87の巨大ブラックホールの観測の結果、ブラックホールが初めて撮影されたのです。
2022年にはさらに私たちの住む天の川銀河の心臓部に潜む巨大ブラックホールいて座A*が初めて撮影されました。本講演では人類が初めて捉えたブラックホールの姿やその謎、EHTによる撮影の裏側、そして現在日米で検討が進むEHTを宇宙に拡張する衛星ミッションBlack Hole Explorer (BHEX)についてご紹介いたします。
秋山 和徳(あきやま かずのり)
マサチューセッツ工科大学ヘイスタック観測所リサーチサイエンティスト。1987年東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科天文学選考博士課程を2015年に修了し博士(理学)の学位を取得後、現所属に着任。日本学術振興会海外特別研究員(2015-2017)、アメリカ国立電波天文台ジャンスキーフェロー(2017-2020)を経て、現職。
専門は電波天文学およびブラックホール天文学。史上初のブラックホール撮影に成功したEvent Horizon Telescope (EHT)プロジェクトでは画像化チームを率いた他、NASAの次期天文衛星計画として検討が進むBlack Hole Explorer (BHEX)ミッションではヘイスタック観測所の研究責任者および日本側の共同代表を務める。
これまでに授賞した賞は東京大学総長賞 (2015)、日本天文学会研究奨励賞 (2020)、文部科学大臣表彰若手科学者賞 (2020)、またEHT Collaborationの一員として授賞した基礎物理学ブレークスルー賞 (2019)など。