航空機用軽量SOFC用材料の開発
航空機用軽量SOFC用材料の開発
橋本研究室では、JAXAのイノベーションチャレンジへの参画以来、材質をすべて変えることで航空機用SOFC用材料の軽量化のための研究を行っています。SOFCの軽量化には、①構成材料の薄膜化、②軽量(低密度)材料の開発、③セル性能の向上の三つの手法があります。当研究室では、②③に重点を置き、新たな軽量SOFC用材料の研究・開発を進めており、このような試みは世界初です。通常、セル性能の向上分、高いセル電圧で作動させ、効率向上を目指すのが普通です。しかし、従来のセル電圧を維持して、その分電流を取り出せば、結果として少ないセル面積および、スタック体積が実現可能になります。
SOFCのIV曲線と効率化/軽量化との関係
プロジェクトを通じて電解質にはCTS(Ca0.95Ti0.93Sc0.07O3-α)とGDC(Ce0.9Gd0.1O1.95)を組み合わせたもの、燃料極にはNi-CTSサーメット電極、空気極にはLaNiO3-GDCコンポジット電極(別項に記述)、インターコネクタにはTi合金に燃料極側はTiN膜、空気極側にはCo2MnO4膜をそれぞれコーティングしたものを用い、0.5 A / cm2駆動、DC端効率65 %を目指しています。実現できれば、従来のセルの倍以上の0.6 kW / kg 以上の重量出力密度が期待できます。
軽量化SOFCのセル構成。金属支持形が実現できればさらなる軽量化が可能になるが、コーティング技術が難しくなります。
本研究の経緯について、インタビュー記事として、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のHPに紹介されました。https://www.aero.jaxa.jp/public-invitation/challenge/spsite/interview/interview_01.html