3.昆虫のステロール要求性に関するメカニズム

昆虫のステロール要求性のメカニズム

昆虫をはじめとする節足動物はステロールをde novoで生合成することができません。そのため、体外から摂取することによりステロール化合物を得ます。ステロール化合物の中でも特にコレステロールは、細胞の構成成分であったり、ホルモンの前駆体となるので生物には欠かせません。

この欠かせないコレステロールをなぜ昆虫はアウトソーシングしているのか?この謎を解こうとしています。

じつは、昆虫の中でも植物を食べている昆虫、植食性昆虫は、植物が餌なので植物ステロールを摂取することになります。この植物ステロールは、化学構造がコレステロールと異なるため、コレステロールに体内で変換する必要があります。この変換は、腸管(中腸)で酵素的に行われています。また、この変換は、Svobodaらが、タバコスズメガを使った研究で、いくつかの中間体を経て、コレステロールに変換されることを明らかにしています。その変換は、4段階のステップで進められます。