昆虫の誕生

昆虫は、現在は陸上動物の中でもっとも繁栄した生物です。この昆虫はいつ頃に誕生したかというのは、非常に興味深いです。現在は4億7千万年前に出現したと考えられています。それでは、昆虫類の祖先は一体なんだったのでしょうか?

昆虫は全般的に、足が6本という特徴をもちます。そのため、六脚類という系統群が広義の昆虫類と分類されています。ここでも、六脚類が昆虫類ということにします。この昆虫類の祖先は一体何であるのか?という熱い議論はほんの10年前まで熱い議論がなされていました。それは、これまでに進化系統を考える上では、現生の生物種と化石との比較検討が主な分類方法だったからです。最近、遺伝子を分析する技術が高まり、進化的な解析も劇的に進歩しました。

さて、実際のところの分類に関してですが、その前に、昆虫類の近縁の生物を考えることにします。体が固い殻(外骨格といいます)で覆われている生物の仲間である節足動物門の中には、鋏角類、多足類、甲殻類、六脚類の4類が主に構成している生物種だとされています。これまで、多足類あるいは、甲殻類のどちらが昆虫の直接的な祖先か?という議論が長くされていました。多足類は昆虫類と同様に陸上に多くの種が現生していて、気門で呼吸するという特徴があります。一方、甲殻類は海に主に生息していて、鰓呼吸であり、昆虫類と全く異なる生き方をしていますが、足の構造的なものや体全体の形態は、多足類よりも昆虫類に似ています。このことから、長く議論がなされていたわけです。それに決着をつけたのが、近年の比較ゲノム的な解析や転写物の網羅的な解析による技術です。この技術により、現在では昆虫類は多足類よりも甲殻類の方が近縁であり、さらに昆虫類が甲殻類から出現しているということが有力視されています。

昆虫の誕生(論文で違うことが書かれている!)

4億2500万年前に昆虫が誕生?(Fossil recordより@2002年の文献)

4億4400万年前に誕生  (「昆虫は最強の生物である」@2014年(原著)より)