日時:令和6年7月3日(水) 14:00~
場所:奈良県立郡山高等学校 化学実験室
参加者:15名
参加校:郡山(4)、五條(1)、高田(1)、一条(1)、帝塚山(1)、畝傍(1)、国際(1)、奈良北(1)、奈良(4)、
内容
取り組んでいる研究の報告・授業で使える実験についての情報交換を行った。 実験については概要を示す。詳細はクラスルーム「理化学会化学部会」にて公開。
エンタルピーの考え方 -エネルギー図を使った問題の解き方- 発表者:金田 義亮 教諭(奈良高校) エンタルピーに関する問題について、エネルギー図を用いた解法を紹介。複雑な関係の問題に対するエネルギー図の作成アプローチについて、発展的な内容を提供。
入試問題の検討資料 発表者:槌間 聡 教諭(帝塚山学園)奈良県で取りまとめられた入試問題検討資料を提供。
色の変わる実験 発表者:古谷 昌広 教諭(奈良高校)入手しやすい試薬・器具を使用し、短時間で実施可能な演示実験。指示薬の色の変化と水和のデモンストレーションとして活用できる。
参考URL: https://www.youtube.com/watch?v=VADn9gSdpNI
浸透圧の実験 発表者:古谷 昌広 教諭(奈良高校) U字管を用いた浸透圧の確認実験を行った。半透膜としてセロハン(100 円均一ショップで購入可能)、溶質として硫酸ナトリウムを使用。食紅などの食用色素を添加することで、液面の上昇を視覚的に捉えやすくする工夫を紹介。
日時:令和6年12月6日(金) 14:00~
場所:奈良県立畝傍高等学校 化学実験室
出席者:16名
参加校:郡山(2)、五條(1)、高取国際(1)、十津川(1)、畝傍(3)、青翔(1)、東大寺(1)、奈良育英(1)、奈良大附属(1)、奈良女子大附属(1)、奈良(3) 実験の詳細については、クラスルーム「理化学会化学部会」にて公開
内 容
探究活動の成果報告 発表者:出口 輝樹 教諭(十津川高校) 生徒が実際の物質を用いて化学結合を実験的に探究した活動について報告。生徒は事前に実験方法を考案し、 結果を予測した上で実験を行い、予測と結果を比較検証するプロセスを実践。
レモンからのクエン酸の抽出 発表者:金田 義亮 教諭(奈良)レモンからクエン酸を抽出する実験を行った。多くの実験では、弱酸遊離の原理を利用してクエン酸を回収する際に、硫酸を使用する。このときの硫酸の量を厳密に制御する必要がある。硫酸が多すぎると、脱水反応により、クエン酸が炭化してしまい実験が失敗する。これを回避するために、硫酸の代わりにリン酸を使用するという工夫を紹介。
アボガドロ定数の測定実験 発表者:古谷 昌広 教諭(奈良)銅片やアルミニウム片などの試料を用いてアボガドロ定数を求める実験を行った。アルキメデスの原理を応用して試料の体積をデジタルはかりで測定することがポイント。測定した試料の質量と体積から、アボガドロ定数を精度よく求めることができた。
水の硬度測定 発表者:古谷 昌広 教諭(奈良)水道水、エビアン(硬水)、国産軟水を用いて水の硬度を測定した。まず、利き水を行い、3 種類の水がどれ なのかを検討した。その後、軟水・硬水についてキレート滴定を実施し、硬度を定量した。使用した水のペッ トボトルラベルの硬度表示との比較検証も行った。
4 水の硬度測定
日時 令和5年7月4日(火) 14:00~
場所 奈良高等学校 化学実験室
参加者 10名(+Meetによる配信)
参加校 奈良(3)、十津川(1)、畝傍(1)、奈良北(1)、郡山(1)、青翔(1)、香芝(1)、 一条(オンライン1)
内容
1.実験研究 取り組んでいる研究の報告・授業で使える実験についての情報交換を行った。 実験については概要を示す。詳細はクラスルーム「理化学会化学部会」にて公開。
金田 義亮 教諭(奈良高校)から、トマトジュースレインボーの実験の報告。水で希釈したトマトジュースに臭素水を滴下することで、溶液が赤~緑といろいろな色を呈する実験を行 った。有機化学の付加反応を紹介するときの実験として利用可能である。この実験の原理は次の通り。トマトジュースに含まれているリコピンは赤色色素であり、共役二重結合を多く含んで いる。共役二重結合は、その長さ(数)が増えると吸収する光の波長がより長くなるという性質がある。トマ トジュースに臭素水を加えると、臭素分子(Br2)が二重結合に付加し、共役二重結合が減少する。Br2を滴 下した量によって、減少する二重結合が変わるため、トマトジュースの色が様々に変化する。
金田 義亮 教諭(奈良高校)から、鉄イオンの呈色反応を利用したマジックショーの紹介。鉄(Ⅲ)イオンは様々な物質と配位結合する特徴があり、これを用いて連続的な色変化を観察した。無機 化学の鉄の分野を授業するときに利用可能である。ビーカーを4個用意し、①~④をそれぞれ加える。
①0.10mol/L 塩化鉄(Ⅲ)水溶液 20mL ②1%チオシアン酸カリウム水溶液1滴
③1%タンニン酸水溶液3滴 ④シュウ酸飽和水溶液 10mL。
実験操作は次の通り。①を②に加えると、血赤色になる。血赤色溶液を③に加えると、黒変する。黒色溶 液を④に加えると黄色になる。
古谷 昌広 教諭(奈良高校)から、鉄を用いた局部電池の観察実験(エバンス法)の紹介。鉄の酸化を比較的容易に観察することができる実験であり、無機化学の鉄はもちろん、 化学基礎の酸化還元においても利用できる。
実験操作:0.5mol/L NaCl 水溶液を数滴鉄板に滴下し、次いで1%ヘキサシアニド鉄(Ⅲ) 酸カリウム水溶液と1%フェノールフタレイン溶液を1滴ずつ滴下する。 水滴の中央では青色(濃青色沈殿)を観察することができ、鉄の酸 化で Fe2+が生じたことがわかる。水滴の縁は赤色になることから、OH-が生じたことがわ かる。反応式は次の通り。 (負極)Fe →Fe2+ + 2e- (正極)O2 + 2H2O + 4e- →4OH-
古谷 昌広 教諭(奈良高校)から、溶液の色が次々に変化する実験の紹介。時計反応 鉄(Ⅲ)イオンによるヨウ化物イオンの酸化反応。
実験方法:試験管に 0.10mol/L ヨウ化カリウム水溶液2mL、0.10mol/L チオ硫酸 ナトリウム水溶液5滴、デンプン溶液 1 滴を加え、よく混ぜる。その後、0.10mol/L 塩化鉄(Ⅲ)水溶液を 2mL 入れる。混合すると溶液の色が紫色→無色→青紫色に変化する。
2.実践報告
出口 輝樹 教諭(十津川高校)から、化学における CBT(コンピュータ型試験)に関する研究の報告。文科省の指定研究で昨年度から取り組んでいる CBT に関する教材開発・授業実践の報告。実験を撮影し、 動画編集して注目してほしい箇所をクイズ形式で出題するなどの授業実践の発表があった。発表後、参加者 で意見交換を行った。
3.その他
日時 令和5年12月8日(金) 14:00~
場所 畝傍高等学校 化学実験室
参加者 20名(+Meet による配信)
参加校 奈良(3)、奈良北(3)、畝傍(4)、郡山(2)、香芝(2)、女子大附(1)、 帝塚山(1)、青翔(2)、十津川(1)、磯城野(オンライン1)
内容
情報交換
授業で使える実験についての情報交換を行った。 実験については概要を示す。詳細はクラスルーム「理化学会化学部会」にて公開。
新課程になって追加されたエンタルピーについて。すでに授業を実施された複数の先生から実践内容を報 告していただき、教え方・生徒の躓きやすい点等について意見交換を行った。熱化学だけでなく、ルシャト リエの原理においても、注意が必要という意見があった。
2.情報提供
槌間 聡 教諭(帝塚山)から、教育現場で問題になっていたいくつかの用語について、公益社団法人日本化学会から公式な見解がだされ た。(日本化学会のホームページで公開)。その内容を紹介していただき、意見交換を行った。
3.実験研究
木村 浩美 教諭(奈良北)から、酸化還元反応(信号反応とゲーミング反応)について。食品添加物の青色2号であるインジゴカルミンの還元に伴う色の変化について、塩基性の条件を変えて実 験を行った。塩基性が強いときは、緑→赤→黄に変化する(信号反応)のに対して、塩基性を弱めると、黄 →オレンジ→赤→紫→青緑とグラデーション状に変化する(ゲーミング反応)ことを確認した。
鵜飼 哲真 教諭(女子大附)から、ヨウ素還元滴定について。ヨウ素滴定により、さらし粉に酸を加えたときに発生する塩素(有効塩素)の定量を行った。約 0.1g のさ らし粉を溶かした水溶液に、1mol/L ヨウ化カリウム水溶液 0.4mL、酢酸 0.4mL を加えた。すると、溶液が 褐色になった。これは、発生する塩素によってヨウ化物イオン Iーが酸化されてヨウ素I2が生じ、I2と残ったI -が反応してI3 -が生じるからである。この褐色溶液を 0.01mol/L のチオ硫酸ナトリウムで滴定し、発生し たI2を再び I -に還元した。指示薬としてデンプン溶液を用い、溶液の色が青紫色から無色となったところで 滴定を終了した。このように、チオ硫酸ナトリウムの滴下量から反応したI 2の量をもとめ、そこから間接的 にCl2の量を定量する仕組みである。
古谷 昌広 教諭(奈良)から、塩化コバルト(Ⅱ)を用いた平衡移動について。コバルトの錯イオンの色の変化を用いて、ルシャトリエの原理を確認した。塩化コバルト(Ⅱ)3.0g を水 30mL に溶かしたのち、アセトンを加えると次の状態になり、紫色の溶液になる。
[Co(H2O)6]2+ (赤色) + 4Cl- ⇆ [CoCl4]2-(青色) + 6H2O …(A)
この溶液に水や硝酸銀水溶液を加え、(A)式の平衡が左に移動し、赤色になることを確認した。また、エ タノールや希塩酸を加えると、平衡が右に移動し、青色になることも確認した。 また、(A)式は右向きの反応が吸熱反応であることが知られている。 この溶液の入った試験管を氷水につけると赤色になり、熱水につけると青色になる実験も行った。
古谷 昌広 教諭(奈良)から化学の小ネタ。簡単にできる実験を2つ紹介した。
①白金線とメタノールの振動反応 メタノールの少し上に、熱した白金線を置くと、発火と消火が繰り返される。
②アルミホイルと塩化銅(Ⅱ)の反応 アルミホイルに塩化銅(Ⅱ)の粉を置き、水をかけると激しく反応する。
嘉屋 陽光 教諭(奈良女子大附属中等教育学校)から、清涼飲料水に含まれるビタミンCの定量実験。
ビタミンCの還元作用を利用した酸化還元反応により測定した。実際に参加者で実験を行った。
松浦 紀之 教諭(奈良女子大附属中等教育学校)から、クローブに含まれるフェノール類であるオイゲノールの特異な性質についての紹介。オイゲノールの塩化鉄(Ⅲ)による呈色反応の溶媒依存性についての報告。
4.実践報告
井上 達也 教諭(青翔中学高等学校)から、生徒が相互に評価する授業実践の報告。
「化学基礎」の授業における実践報告。生徒の記述内容や評価手法について共有した。
松髙 和秀 教諭(佐賀県立致遠館中学高等学校)からオンラインでICT活用実践報告。
ICT先進県である佐賀県のこれまでの取組の紹介、授業実践等。講演後、参加者と協議を行った。
5.その他
参加された先生方の普段の授業実践、観点別評価、化学実験帳(2003年版)に関する情報交換を行った。
日時 令和4年7月5日(火) 14:00~
場所 青翔中学高等学校 理科総合実験室
参加者 21名
内容
(1) ICT活用実践報告(依頼講演・オンライン)佐賀県立致遠館中学高等学校 教諭 松髙 和秀
ICT先進県である佐賀県のこれまでの取組の紹介,授業実践等。講演後,参加者と協議を行った。
(2) 清涼飲料水に含まれるビタミンCの定量 奈良女子大学付属中等教育学校 教諭 嘉屋 陽光
ビタミンCの還元作用を利用して酸化還元反応により測定した。実際に参加者で実験を行った。
(3) 生徒が相互に評価する授業実践の報告 青翔中学高等学校 教諭 井上 達也
「化学基礎」の授業における実践報告。生徒の記述内容や評価手法について共有した。
(4) オイゲノールの塩化鉄(Ⅲ)による呈色反応の溶媒依存 奈良女子大学付属中等教育学校 教諭 松浦 紀之
クローブに含まれるフェノール類であるオイゲノールの特異な性質についての紹介
参加された先生方のふだんの授業実践,観点別評価,化学実験帳(2003年版)に関する情報交換を行った。
日時 令和4年12月12日(月) 14:00~
場所 奈良女子大学附属中等教育学校 化学教室
参加者 16名 (Zoomによる配信を行いオンライン参加を含む)
内容
(1) ハロゲンとその化合物 奈良女子大学付属中等教育学校 教諭 嘉屋 陽光
ハロゲンとその化合物の性質について,酸化還元反応を中心とした効果的な演示実験を紹介した。
(2) アンモニアの爆発実験 奈良女子大学付属中等教育学校 教諭 松浦 紀之
アンモニアと酸素との混合気体の爆発実験から,最小着火エネルギーについての考察した。実際に研究を行っている生徒によるプレゼンと爆発実験の実演を行った。
(3) アセチルサリチル酸からサリチル酸メチルをつくる 奈良高等学校 教諭 古谷 昌広
解熱鎮痛剤のアセチルサリチル酸から,消炎鎮痛剤のサリチル酸メチルが合成できることを確かめた。実際に参加者で実験を行い,効果的な実験手法について意見交換した。
いずれの回も参加者が意見交換や実際に実験を体験することで,教材の工夫点や改善点について意見交換を行うことができた。
日時 令和3年7月6日(火)
場所 青翔中学高等学校 理科総合実験室
参加者 16名
(1)「アルデヒドの生成と還元性の確認」青翔中高校 教諭 井上 達也
・銀鏡反応をプラスチックシャーレで行い、オリジナル手鏡を作成する実験を体験した。
(2)「ヨードホルム反応-試験管1本でできる銀の沈殿確認実験-」奈良高校 教諭 古谷 昌広
・生徒実験で行うヨードホルム反応の体験、銀イオンの様々な沈殿・溶解反応を試験管で行う実験を体験し、意見交換を行った。
(3)「酢酸ナトリウムの過冷却実験」五條高校 教諭 田名後 健太郎
・酢酸ナトリウムの過冷却状態の溶液から結晶を析出させる実験を体験した。
(4)「木炭の燃焼変化」青翔中高校 教諭 小川 香
・割り箸で作った木炭と酸素反応で質量保存の法則を考える演示実験と意見交換を行った。
(5)「ブルーブラックインクの化学」奈良女子大附属 教諭 松浦 紀之
・タンニンと鉄(Ⅱ)イオンを含むブルーブラックインクの作成について演示した。
日時 令和3年12月8日(水) 14:00~
場所 奈良女子大学附属中等教育学校 化学教室
参加者 15名
(1)「アボガドロ定数の授業実践(中3編)」青翔中高校 教諭 小川 香
・ガラスビーズを用いてアボガドロ定数がどのくらいの大きさかを実感する授業の紹介と意見交換を行った。
(2)「中学生でもできるダニエル電池」帝塚山高校 教諭 槌間 聡
・園芸用のピートポットや喩下防止用のとろみ剤を用いてダニエル電池を作成する実験を体験した。
(3)「簡単電気分解」「鉛蓄電池」「鉄イオンの反応」奈良女子大附属 教諭 松浦 紀之
・サンプル管でできる小型の電気分解、釣りの錘(鉛)を用いた鉛蓄電池、スモールスケールで行う鉄イオンの反応の実験を体験した。
いずれの回も参加者が実際に実験を体験することで、教材の工夫点や改善点について意見交換を行うことができた。
第2回化学部会では「Google Meet」による配信を行った。
日時 令和2年7月16日(木)
場所 青翔高等学校 理科総合実験室
参加者 11名
(1)「Classroom を利用した実験クイズ」
奈良高等学校 教諭 金田 義亮
在宅学習期間において Google Classroom を利用して実際生徒に配信した授業動画、実験クイズを紹介していただいた。また、課題提出のポイントもアドバイスしていただいた。
(2)「芳香族化合物の簡単な分離実験」(生徒実験)
青翔高等学校 教諭 井上 達也
45分間の授業時間内で「芳香族化合物の混合物を分離する実験」を行う方法を紹介していただいた。分液ろうとを使用せず、試験管で分離した水層をピペットで吸い上げる方法である。参加者で実際に実験を行い、生徒実験をする際の注意点や確認事項などを確認しながら行った。
(3)「銅アンモニアレーヨンの作り方」(演示実験)
青翔高等学校 教諭 小川 香
銅アンモニアレーヨンの演示実験を授業で見せる際、前日に準備及び予備実験を行って、いざ授業で見せようとすると切れ切れのレーヨンしかできない。水酸化銅(Ⅱ)は酸化しやすいので速やかに濃アンモニア水を加えシュワイツアー試薬をつくること。シュワイツアー液に脱脂綿を溶解させた後も長時間放置しないなどのコツを紹介していただいた。
日時 令和2年12月9日(水)
場所 奈良高等学校 化学実験室
参加者 14名
(1)「pH、導電率センサを用いた探究的な中和滴定の実施」
奈良高等学校 教諭 松田 章太
奈良高校SSH事業の理数科教員指導法研究会を兼ねて発表していただいた。各班が違う組み合わせの酸・塩基で中和滴定を行った。pHセンサおよび導電率センサで測定し、Spark Vue に表示されたグラフの形状からどの組み合わせかを考える実験であった。生徒の反応や授業後のアンケートも紹介していただいた。参加者で授業について意見交換を行った。
(2)「アセトンで化学マジック」
奈良北高等学校 教諭 伊吹 徹
「燃えないハンカチ」、「指に火を点ける」の2つの実験を紹介していただいた。水に指を浸してからアセトンに浸し火を点ける。水の蒸発熱により熱く感じない。実験に関連して生徒の興味関心を引くための気化熱に関する身近な話も紹介していただいた。
(3)「教科書記載内容についての意見交換会」
奈良高等学校 教諭 金田 義亮
「化学と教育」に記載されていた論文「フッ化水素酸の弱酸性説明の妥当性は」「ボルタ電池はもうやめよう」「酸化力の大きさ-過マンガン酸カリウムと過酸化水素-」「熱化学方程式は必要か」および東大寺学園中・高等学校の松川利行先生の論文より「塩化ナトリウムと濃硫酸による塩化水素発生は、濃硫酸の不揮発性によって起こるという問題提議」を元に教科書に書かれている内容について問題提議され、参加者で意見交換を行った。参加者から上記のテーマ以外にも疑問を持つ記載内容が上がり、意見交換をすることができた。
日時 令和元年7月9日(火)
場所 奈良女子大学附中等教育学校 化学実験室
参加者 20名
「繊維の判別実験」奈良女子大学附属中等教育学校 松浦 紀之
吸湿性や酸や塩基に対する強さ、染まりやすさ、燃え方などを比較することによって布の種類を調べる実験を参加者で行った。布は綿、毛、絹、レーヨン、ナイロン、ポリエステルを使用した。
「糖の判別実験」奈良女子大学附属中等教育学校 松浦 紀之
7種類の糖類(グルコース、フルクトース、アラビノース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン)の水溶液を、フェーリング反応、バーフォード反応、セリワノフ反応、ヨウ素デンプン反応を用いて判別する方法を紹介した。
「電子レンジによる還元」奈良高等学校 金田 義亮
ルツボに孔雀石1粒を入れ木炭で覆い電子レンジで加熱すると、ルツボ内は1000℃以上の高温になり孔雀石は還元され銅が得られる。電子メロディーで電気伝導性を確認し、紙ヤスリで磨いて光沢を確かめる演示実験を紹介した。
「塩化コバルトを使ったルシャトリエの原理」 奈良高等学校 小川 香
塩化コバルトは無水塩では青色であるが水分を含むと赤色に変化する。この反応は次のような可逆反応である。[CoCl4]2-+6H2O ⇄ [Co(H2O)6]2++4Cl- 水に溶かしたピンク色の塩化コバルト水溶液に、紫色になるまでアセトンを加えて調製した溶液を用い実験を行った。温度を変える、塩酸、エタノール、硝酸銀水溶液を少量加えることで、それぞれ色が 青 ⇄ ピンク と変化する。実験結果からル・シャトリエの原理が確認できることを紹介した。
日時 令和元年12月8日(木)
場所 畝傍高等学校 化学実験室
参加者 18名
「触媒を用いた過酸化水素の分解反応における酸化還元による理解」畝傍高等学校 前田 祐作
過酸化水素が酸素と水に分解される反応において塩化鉄(Ⅲ)は触媒としてはたらくといわれている。この反応の仕組みについて探究し、鉄、塩素、臭素、ヨウ素の各イオンの反応性について実験を通して反応の仕組みを解説した。
「シリカゲルを用いたエチレンの生成」 畝傍高等学校 石谷 純一
エタノールからエチレンを合成するには濃硫酸や十酸化四リンなどの触媒をもちいて脱水反応を行うが、濃硫酸の代わりにシリカゲルを用いてエチレンを合成し、エチレンが発生したことを実験を通して確認した。
「消炎剤から消炎剤」「サリチル酸のエステル化」 畝傍高等学校 竹内 巧
消炎剤であるアスピリン(アセチルサリチル酸)をけん化し、サリチル酸を合成した後、それをエステル化し同じく消炎剤であるサリチル酸メチルを合成した。続いて、サリチル酸を無水酢酸でアセチル化する反応とサリチル酸とメタノールをエステル化する反応を参加者の実験で行った。
「金属樹をラミネートする」奈良高等学校 小川 香
ろ紙に磨いた亜鉛片を置き、硫酸銅水溶液を数滴垂らしラミネートすると翌日きれいな銅樹が見られる。他に亜鉛片と硝酸鉛の組み合わせも参加者全員で実験し、お土産にしてもらった。
日時 平成30年7月4日(水)
場所 奈良高等学校 化学実験室
参加者 20名
「演示実験 赤ワインを使った蒸留」 奈良朱雀高校 藤田 絵美
リービッヒ冷却器を用いず、試験管とL字管付きゴム管を用いた簡単な装置で蒸留を行う演示実験を紹介していただいた。分離には赤ワインを使い、蒸留後は色が無色になっていることから視覚的に分かりやすい実験であった。蒸留によりエタノールが得られたことを確認するための方法を参加者で紹介し合った。
「サルトン系色素を用いた溶液中のタンパク質の定量分析」の紹介 奈良女子大学付属中等教育学校 松浦 紀之
タンパク質からなる繊維の絹と羊毛をサルトン系色素で染色すると、異なる色に染め分けできる。この現象を応用して溶液中のタンパク質の定量分析を行う方法を紹介していただいた。
「演示実験 黄リンを作る」 奈良高校 古谷 昌広
赤リンを試験管に取りガスバーナーで加熱すると黄リンに変化する。この様子を真っ暗な部屋で観察すると燐光が見える。黄リンは毒性が強いので、取り扱い方法や後始末の方法まで詳しく説明していただいた。
「生徒研究 炎の色の並び方」の紹介 奈良高校 小川 香
化学部の生徒の課題研究を紹介した。2種類の金属塩を混合して炎色反応を観察すると、炎の中に2色を同時に観察することができる。2種類の組み合わせを変え実験を行うと、炎の色の並び方に規則性があることが分かった。
その順番は炎の上からCu > Ca > Sr > Ba > Li > K の順番に並んでおり、それは各元素の融点、及び塩化物の格子エネルギーの値の順番と一致していることがわかった。
日時 平成30年12月10日(月)
場所 畝傍高等学校 化学実験室
参加者 21名
「演示実験 さらし粉に硫酸を加えると塩素が発生する?」 畝傍高校 前田 祐作
塩素の発生方法としてさらし粉に塩酸を加えることは知られているが、硫酸を加えると塩素が発生するのかを演示実験で確認した。定期考査での生徒の解答から実験を思いついたというエピソードも交えて実験の方法や反応の仕組みを教えていただいた。
「演示実験 三重点の観察」 奈良高校 古谷 昌広
シクロヘキサンを用いて簡単に三重点を観察する実験を紹介していただいた。シクロヘキサンを入れた丸底フラスコを氷で冷やしながらアスピレーターで吸引するとシクロヘキサンは沸騰すると同時に液表面が凍り始める。
「ISEF(世界大会)日本代表研究を普段の授業に取り入れる!?」 奈良女子大学付属中等教育学校 松浦 紀之
「銅箔の色調変化の研究」(第58 回日本学生科学賞)を銅箔の代わりに、ホームセンターで販売されている銅箔テープを利用した実験の提案をしていただいた。
「チューブ内水素燃焼炎の移動速度の研究」(JSEC2014)塩ビチューブを用いた水素の燃焼実験は多く紹介されているが、水素:酸素:二酸化炭素=2:1:2の体積比で混合し、透明塩ビチューブに注入し点火するとゆっくり燃焼する様子が観察できる。当日は消灯した実験室で教室の端から端まである長い塩ビチューブを用いて燃焼実験を実演していただいた。
「生徒実験 エタノールのヨードホルム反応を確実に反応させるには」 奈良高校 小川 香
生徒実験でヨードホルム反応を行うとエタノールだけ反応が出ない。福岡県立小倉高校の研究発表を参考に、エタノールのヨードホルム反応が起こる条件を探った。エタノール及びヨウ素ヨウ化カリウム水溶液の温度を50 ℃から60 ℃に温め、水酸化ナトリウム水溶液を滴定しながら加えるとヨードホルムの沈殿が確実に生成することが分かった。
日時 平成29年7月11日(火)
場所 奈良高等学校 化学実験室
参加者 18名
「生徒実験 陽イオン分析をスピードアップ」 奈良高校 教諭 有馬 一頼
生徒実験で行う「金属の陽イオン分析」をスピードアップするための方法を紹介してもらった。生成した沈殿をろ過をせず、遠心分離器を用いて分離することにより実験時間が大幅に短縮できる。また、出る廃液も非常に少なかった。
「アボガドロ定数の測定(生徒実験)」の紹介 奈良女子大学付属中等教育学校 教諭 松浦 紀之
結晶構造のわかっている金属の質量と体積の測定によりアボガドロ定数を求める実験や、塩の結晶の劈開性を利用して直方体結晶を作製し、これを用いてアボガドロ定数を求める二つの実験の紹介。
「スライムで電池を燃料つくる」 奈良高校 教諭 小川 香
PVAの洗濯のりを四ホウ酸ナトリウムの飽和溶液と混合するとスライムができる。スライムは四ホウ酸ナトリウムを用いているので弱塩基性であるため、炭素電極で電気分解をすると陽極に酸素、陰極に水素が発生しスライムの中にとどまる。炭素電極に電子メロディーを接続すると音楽が流れ、燃料電池ができていることが確認できる。
「コロイドの透析実験における水酸化鉄(Ⅲ)について」 奈良高校 実習助手 井上 智恵子 教諭 小川 香
水酸化鉄(Ⅲ)コロイド溶液をビスキングチューブを用いて透析を行うと、かなりの確率でFe3+がチューブの外に出てくる。これを防ぐために水酸化鉄(Ⅲ)コロイドをつくる際、塩化鉄(Ⅲ)水溶液の濃度を薄くする方法の提案。
日時 平成29年12月11日(月)
場所 奈良県立教育研究所 化学実験室
参加 18名
「MRI・UV・X線について使い方や見方を解説」 一条高校 教諭 吉川 直和
吉川先生が10年以上にわたって奈良女子大学で勉強された内容について解説していただいた。また、吉川先生が化学雑誌等に発表された数々の論文テーマについても紹介していただいた。
「スマートフォン用ゲームソフトmolmol」の紹介 一条高校 教諭 犬伏 雅史
物質量を楽しく学ぶためのゲームソフトを開発された。「molmol」が誕生するまでのエピソードや「molmol」の使い方を紹介していただいた。実際にスマートフォンでゲームを行った。
「生徒実験反応速度」奈良高校 教諭 金田 義亮
反応速度の実験をヨウ素酸カリウム水溶液と亜硫酸水素ナトリウムとデンプンの混合溶液を用い、溶液の温度を変えたとき、亜硫酸水素ナトリウム水溶液の濃度を変えたときの反応時間を測定した。ヨウ素が生成するとデンプンが青紫色に変色する様子がおもしろく、生徒も喜びそうな実験である。また、反応時間の逆数と温度、濃度の関係をグラフに書き、反応速度と温度の関係、反応速度と濃度の関係を知ることができる。
日時 平成28年7月8日(金)
場所 奈良高等学校 化学実験室
参加者 19名
「発泡スチロール球で正四面体構造の分子モデルを作る」 奈良高校 教諭 金田 義亮
大きさの違う発泡スチロール球を使って簡単に正四面体構造を作る方法を紹介してもらい、各参加者が作成した。
「ゾウさんの歯磨き」 高田高校 教諭 鹿島 慎一
過酸化水素水に高濃度のヨウ化カリウム水溶液を加えると酸素が勢いよく発生する。台所用洗剤を少し加えてこの実験を行うと、大量の泡が発生する。この実験は米村でんじろう氏がテレビ等で紹介していたものであるが反応の仕組みが明らかにされておらず、化学部会の場で討論し今後の課題となった。
「体心立方格子・面心立方格子のミニモデルを作る」 奈良高校 教諭 小川 香
体心立方格子と面心立方格子が簡単に作れるキッドを紹介し、各参加者が作成した。
「トマトジュースを使った臭素付加」 奈良高校 教諭 小川 香
トマトジュースに臭素を滴下するとその量によって赤いトマトジュースが紫→藍→青→緑→黄→橙と変化する。これはトマトジュースに含まれるリコペンの11個の共役二重結合が臭素付加により次々と切れることによって起こる色の変化を見ることができる。
日時 平成28年12月8日(木)
場所 教育研究所 化学実験室
参加者 13名出席
「イオン交換樹脂を使った生徒実験」 平城高校 教諭 福田 康人
廃棄する陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂をそれぞれ塩酸・水酸化ナトリウム水溶液を用いて再生した。さらに、それらを用いて陽イオンや陰イオンを分離し、それに伴う色の変化を観察した。
「酸・塩基(身近な物質を用いた演示実験)」 奈良高校 教諭 小谷 友理香
メスシリンダーに入れた純水にBTB溶液を少量入れ緑色を示すことを確認した後、ドライアイスを投入する。たちまち、溶液は黄色に変化する。そこへ水酸化ナトリウム水溶液を入れると青色に変化する。ドライアイスが溶けていくと再び、青→緑→黄と色が変化するのを観察することが出来る。
紫芋パウダーを水で溶かし、指示薬として使う実験を紹介。試験管に1mol/Lの塩酸1mLと水に溶かした紅芋色素9mLを混合する。そこから1mL取り出し別の試験管に移す。水9mLを加えよく混ぜる。同様の操作を繰り返すごとに10希釈される。1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1mLと水に溶かした紅芋色素9mLを混合する。塩酸と同様に10倍希釈を繰り返す。写真2のようにpHが酸性、中性、塩基性と変化すると紫芋の色素は赤、紫、青、緑、黄と変化していく。紫キャベツの色素を用いた同様の実験は多く紹介されているが、紫芋パウダーから水で色素を抽出できることや、乾燥パウダーなので保存に便利なことから紫キャベツより取り扱いやすい。