長期視点欠如、改善絶望の        「経産省出力制御解消対策」

資源エネルギー庁の

「再エネ出力制御の低減に向けた取組について」(2023年5月29日) 

 で計画している解消策では、日本の再エネは崩壊に向かってしまう事を証明する。

Ⅰ.2030年、50年を見据えた長期視点の対策が皆無                                                  これまでにも何度か出力抑制減少対策が打ち出されたが、その甲斐も無く    抑制回数は激増している。減少対策が、長期視点に沿って作られてないか   らで、今回も長期視点が欠けている。

Ⅱ.太陽光の供給過剰量が、需要の3~4倍になる事に無関心                                       3~4倍になるのは全供給域が晴れの時だが、悪天気の時でも1.0倍以上になる  ので、悪天気でも抑制対象となる。その頻度は年200回~340回と膨大で、こ れが原因で 再エネ業者は倒産する。対策なし。

Ⅲ.このままでは、30年頃、ほぼ毎日、日本全国で供給過剰を完全無視                  数年後には太陽光が原因で全国一斉に供給過剰になる。その時は、連携線は  機能しなくなる。それに対して連携線容量を増やしても意味が無い。されど  我国は、容量を増やそうとしている。

Ⅳ.数年後に、日本全国一斉に同時刻に、供給過剰になるのに連携線容量拡大      このままで行くと昼間は200日~340日供給過剰、夜間は原発と火力の最低     出力 で洋上風力が入り込む余裕が無い。洋上が10年後に本格稼働しても、  即、倒産の道まっしぐらである。

Ⅴ.原発再稼働に対する対応が何もない                                                                          今年になって抑制が急増した理由は、九州と関西の原発がフル稼働開始が主  原因を認識せず30年頃までに殆どの原発が稼働するが、それに対する抑制解  消が一言も言及されていない。

Ⅵ.出力抑制最大原因の完全解決は、これしかない                                                           パネルを蓄電池に接続させ、発電終了後24時間かけて放電すれば、出力抑制  が解消され、風力と火力にも効果が出る。その効果を金額換算すると火力が  一番大きく、蓄電池の費用以上となる。電力会社にとっては安定給電効果や、  系統容量3倍化効果、最低出力を下げる効果が出る。

Ⅶ.費用対効果に対する対応が前世紀的発想にとらわれている                                     パネルに蓄電池を接続させると、太陽光は勿論、風力と火力にも効果が出る。  しかし、古臭いコスト負担の考えを採用すると、太陽光が全て負担すべきと  なる。しかし、ここで真の受益者負担の原則を採用すれば、電力会社が全額  負担してもそこには利益が出せる。

Ⅷ.出力抑制未解決のまま洋上風力本格稼働は見て見ぬ振り                                        10年後に本格稼働する洋上風力は昼も夜も受け入れられる余裕が無い。無残              に捨てられるだけ。 

Ⅸ.脱炭素化にはまだヤルベキ事が有る、太陽光対策必須                                             太陽光による抑制頻発を解決せず、脱炭素化は不可能。まずは太陽光徹底解        決が必須。

「再エネ出力制御の低減に向けた取組について」(2023年5月29日)は資源エネルギー庁のHPからダウンロードしてください。

Ⅰ.2030年、50年を見据えた長期視点の対策が皆無

①これまでも、近視眼的対策の結果、出力抑制もどんどん増え続けている

近視眼①

長周期変動対策(図1.1)と称して九州と東北に大型蓄電池の変電所開設

九州の変電所は30万kWhを準備したが、今年(23年)4月9日の抑制された量37,775万kWhを豊前変電所に蓄電するとしたら、変電所の容量 を1,300倍にしなければならない。その広さはサッカー場が5,400個作れる広さである。東北は一度も使用せず。

近視眼②

九州、中国間の連携線容量拡大を行ったにも拘らず、抑制はますます増えている。連携線に送込む量も連携線容量の半分程度しか送り込んでいないことが多い。受け手が受け取る能力が半減したのである。

近視眼③

火力発電最低出力の更に下げる事は、過剰量が少量の時は僅かな効果が有るが、大量になったら屁の突っ張りにもならない。最低出力が下げられない理由は、太陽光の終了直後の夕方に需要のピークが来るのでそれに供給するため太陽光発電中は下げ代一杯で待機させているのである。夕方のピークには、揚水や水力で対応すれば、火力を多少泊めても対応可能である。

②30年頃には、全地域で供給分が需要の3~4倍になる事の予測も対策も無し

近視眼④

これだけの倍率(図1.2)になったら、供給全域に土砂降りの雨でも、供給過剰になる。従って、年間停止回数も300回を超え、1回の停止で太陽光発電所の殆どを停止させる事になるので、各発電所の年間売電収入も80~90%減収となる。一度このような倍率になると、同じような天気になれば、原発と太陽光を廃棄し無い限り、同じ過剰状態になる。

③連携線容量拡大で抑制解消可能と誤った信仰から抜け出せていない

近視眼⑤

連携線で結ばれた全地域が、しかも同時刻に供給過剰になったら、他所の過剰分を受取れなくなる事は、容易に理解できるはずだ。年に200日以上が受け取れないとなれば、連携線は機能しないと同じである。この減少は太陽光発電用のパネルを撤去するまで永遠に継続する。

出力抑制多発で再エネを潰せば、原発の再稼働がやり易くなる。経産省の悪質な陰謀と疑われている。

Ⅱ.太陽光の供給過剰量が、需要の3~4倍に無関心

(1) 現在の再エネ容量 

  ①現在稼働中の再エネ容量

1年前の22年3月の全地域容量、太陽光=6,538万kW、風力=480万kW、バイオ=1,797万kW、 水力=2,030万kW、地熱=64万kW、合計10,909万kWであった。それが1年後(図2.1)には合計で 11,775万kWに増加している。年間で866万kWの増加、率にして7.9パーセント増であった。 23年7月時点で稼働している再エネの中で最も容量の多いのは、太陽光で全体の6割を占めている。 地域で一番導入量の多い地域は東京で2,786万kW、2位が東北の、2,010万kWである。 昨年の抑制回数の一番多かったのは九州であるが、九州の再エネ容量は東京の約半分の1,592万kWで あるが、太陽光の占める率は73.4パーセントと非常に多い。この多さが供給過剰の源となっている。 

(図2.2)

②現在受付中の再エネ容量 

現在受付中(図2.2)のものは2種類がある。一つは検討申込でもう一つは承認済の2つである。検討申込しても承認されなかったため、急に1000万kWも減少した前例が有り、検討申込の数値は信用出来ない。承認済の数値が急変することは殆ど無い、信頼性の高い数値である。承認済みのものは3年以内に稼働させ なければならない。風力の検討申込が多いのは洋上風力で稼働までに10年掛かるそうだ。 

       

(図2.2)

(2)2030年頃の再エネ容量推定

①再エネ容量と調整力とベースロード 

現在申込の太陽光は5,500万で、現稼働中の6割に過ぎないが、30年までの7年間の間に新たな申請 がある事と、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進で、特に太陽光の導入が予想以上に進むと予想できる。風力の申込は現稼働中の20倍、11,000万もある。風力の80パーセントは洋上風力である ので稼働までに10年は掛かるそうだ。30年までに稼働する風力の大半は陸上と推測しておく。洋上の80 パーセントは北海道と東北に集中している。 現在各地で稼働している容量と受け付けている容量から、2030年頃の容量を想定する。 検討申込の信頼性は低いので、承認済容量を使用する。2030年までは8年間あり、その間3回の承認済が繰り返されるだろうと見なして。2030年頃の容量は次の式で求めた。                        

      2030年頃の容量 = 現容量 + 承認済容量×3 

供給過剰を判定するためには、再エネの出力を底上げさせる火力の最低出力と原子力のベースロードが 大きく影響してくる。底上げとは反対に、揚水動力のように下げる機能もある。


(図2.3) 

(3) 地域別、季節別に正午の電力需要最大値実績調査 

電力各社の発電実績から季節別に、正午の最大需要量を調査した。


(図2.4) 

Ⅲ.この儘では、30年頃、ほぼ毎日、日本全国供給過剰を無視

(1) 太陽光と風力の発電能力を会社別・季節別に設定する

太陽光は本来なら夏至の頃が最大で、冬至の頃が最小となるが、梅雨や降雪の影響を受ける。 風力は夏少なく冬と春に大となる (図3.1)。各社の1年間の実績値に対し、月日数と導入済み容量 で調整し、地域別季節別発電量を計算した結果が (図3.1)である。これを見ると需要は夏より冬が多く 太陽光は春が多く12月は少ない、風力は夏最低、冬から春が多い。紙面の都合で4地域のみ掲載した。


(図3.1)

(3) 季節別最大出力計算 

季節別発電量に火力と原子力等のベースを加えて最大出力を算出する。 


(図3.2) 

(4) 季節別供給過剰量算出 

供給過剰になっているかを判定するために、最大出力(図3.2)と最大需要 (図2.4)の差を求めた。 差がプラスは過剰、マイナスなら不足である。結果は夏と冬のピーク日に、一部でマイナスだが、全体合計で プラスとなるので、日本全体は供給過剰と判定できる。 過剰分はその時の需要に対して何倍程度であるかを算出する。倍率が高いと、少々の悪天候でも太陽光 で過剰になる事を意味している。関西と沖縄以外は、少々天気が悪くても供給過剰になると読み取れる。 日本全国、ほぼ1年中供給過剰であることが証明された。


 (図3.3) 

(5) 供給過剰は需要の何倍か? 

過剰分はその時の需要に対して何倍程度であるかを算出する。倍率が高いと、少々の悪天候でも太陽光 で過剰になる事を意味している。 日本全国、ほぼ1年中供給過剰であることが証明された。夏ピーク日は供給過剰には成り難いが、そのピーク日に該当する日は年間で20日間程度である。そその20日も全国を通すと供給過剰である。


(図3.4) 

すでに九州では、需要の1.9倍となっている。30年頃には2.6倍になり抑制量が増えるだけ。  


(図3.5) 

Ⅳ.全国一斉に同時刻に、供給過剰になるのに連携線容量拡大

                                   連携線容量を増やしても、どこも受取れない                                      少々悪天候でも供給過剰、1年の内200日以上抑制

(1)北から南まで同じ時刻に供給過剰になる 

日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置している (図4.1、左)ため、太陽が北海道の東 の端の根室市の上空に来てから1時間後に西の端の九州平戸の上空に来る。つまり、日本列島は太陽光 軌道の1時間の範囲にある。実際に、 (図4.1、右)は2020年5月3日の電力各社の電力需給実績から 作成したグラフである。このグラフを見ると、沖縄以外はほぼ同時刻に最大発電量になっている。(東京と四国は単位が万kWであるが他は全てMWである) 

欧米の東端と西端は、時差が3~4時間あるので、全国一斉に最大発電になる事は無い。

 

(図4.1)

(2)同時同量は、電力9社間で成り立っている

 電気は瞬時瞬時、供給量と消費量が一致しなければならない。同時同量と言う。同時同量は一つの電力 会社内だけでなく、連携線で結ばれた9社間で成り立っている。沖縄は連携されてないので、ここでは省略。 (図4.1)は2023年5月3日の午前ゼロ時から翌日のゼロ時までの24時間、各電力会社の電力需給 実績の連携線欄に記載された数字をグラフ化したものである。別の表現すると連携線に流れた量を時間別に表示したグラフです。縦軸の正側は受電、負側は送電を意味する。正側と負側の合計値は同じ量、同時同量となっている。東京と中部は常時正側、九州、東北、北海は負側、四国、北陸、関西、中国は正と負を行ったり来たりしている事が分かる。


(図4.1)

(図4.2)は2023年5月3日12時に連携線を流れた電力量を表示したものである。図中では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が電力各社の電力需給実績表に掲載されていた同時刻の連携線欄の数値である。数値が黒字であれば、不足していたため外部から取り込んだことを意味し、赤字であれば供給過剰のため外に放出したことを意味する。例えば関西電力は658MWh不足であったので、外部から取込んだ。取込先は中国から1,486(以下単位は省略)、北陸から141取り込んで不足分を補充した。余った969は中部へ送った。中部では中部の過剰分367と関西から969を合わせた602を東京へ、東京の不足分3250は東北からと中部からの合わせた3250で補った。通常ここでは端数が生じるのだが今回は端数が生じなかった。同時同量が成り立っていることが証明された。甚だしい誤解は、「連携線の容量を増やせば、供給過剰が防げる」との幼稚な誤解である。全地域が供給過剰の時は全数値が0になり、連携線の容量を増やしても何ら意味が無いことを確り理解すべきだ。23年4月から関西も一日中の供給過剰になった。結果、受け取り可能は東京だけで、東京も近い内に      供給過剰になる。


(図4.2)

関西電力は需要規模からすると太陽光の導入量が極めて少ない、例えば同規模の中部の半分の導入量であるので、当分の間は供給過剰になる事は無く、ひたすら他所の受け皿になると思われていた。 しかし、最近は原発の稼働量が多く毎時500万kW近い出力、この量は需要に対して40パーセントを占める。これまでは連携線で受取る一方であった関西が、供給過剰になり、放出側に変わった。昼も供給過剰の為、本来は放出であるが、他所への影響が大きいので可なり無理をして昼は受 け側を演じていた。しかし、6月3日に無理がたたって自社で初の抑制処理を実施した。今後、原発の出力を落とすとは考えにくいので、関西の供給過剰は将来にわたって続くものと予測できる。その影響は日本全体にとって大きい。 3月末から原発の出力が500万kWに上げられ、連携線が日中も放出側に変った。原発出力がこの状態であれば受け取れるのは東京だけに限定される。近い内に東京も負側に変る。全地域が負になれば連携線の意味が無くなり、連携線の容量拡大は全く意味をなさなくなる。

Ⅴ.原発再稼働に対する対応が何もない

(1)原発再稼働が原因で供給過剰に陥った(図5.1)

4月26日12:00の実績値は需要9,094MWh(以下単位略)、原発出力3,877 で、太陽光抑制 4,981  風力抑制 216となった。4月27日の需要8,815に対して原発出力4,089 で、太陽光抑制 4,115  風力抑制 56となった。

(図5.1)

(2)原発稼働が無ければ抑制も無かった(図5.2)

(1)の実績に対して、原発出力をゼロにし、欠けた分を火力で補う。但し、火力の最低出力はその日の夕方のピーク時の需要の半分程度とする。その時の供給過剰分は揚水と連携線の実績値以下とする。計算結果のグラフは右図の通りである。原発の稼働が無かったら、抑制も無かったことが証明された。

(3)原発再稼働の前にやるべきこと

①縦に伸びる太陽光と横に広がる原発の共存を可能とする

太陽光は導入量が増えると南中時を中心として上へ上へと伸びる。決して横には広がらない。一方原発は一旦稼働し始めたら故障か保守点検に入るまで、一定の出力で24時間均等に発電する。従って原発の出力分だけ再エネの最大値を押し上げるので太陽光は供給過剰になり易い。現に九州と関西でそのことは証明された。だからと言って原発を止めるべきだとは言わない。少なくとも、共存しやすくすべきだ。         そのためには電力会社のコスト負担で「タケノコ狩り」を、原発再稼働前に実施すべきである。

②調整力の無い原発の限界を考慮に入れた対策が無い。

需要変動に対する調整力を持てない源発だけで、需要を100パーセント満たすのは不可能である。精々30~40パーセントが限度である。残りは再エネで供給せざるを得ない。原発推進派は良く心に留めて置くべきだ。

Ⅵ.出力抑制最大原因の完全解決は、これしかない

(1) タケノコ対策の概要

各太陽光毎に一日の発電容量の蓄電池を接続させ、発電した電気は一旦それぞれの蓄電池に蓄電し、発電終了後のゼロ時から24時間均等放電する。タケノコの高さが3分の一程度の高さになる(図6.2) 発電した日に、センターで翌日稼働計画作成締め切り時間直前に、各発電所で蓄電した量を知らせて来るので、火力発電の稼働計画が作成反映できるため、火力の最低出力を思い切り下げる事が出来る。均等放電で供給過剰になる事が事前に分かった場合は、水力やバイオや風力の出力調整で解消できる。それでも解消できない場合は、全国一斉供給過剰は解消されているので、他所に支援願いも可能となる。

タケノコ対策効果例(東北電力の場合)

再エネ化率は大幅に向上 33.4 ⇒  74.7(+41.3)パーセント

太陽光有効発電量  7,498 ⇒ 28,092(+20,594)GWh

風力有効発電量  8,805 ⇒ 16,542(+7,737)GWh

火力 39,860 ⇒ 13,261(-26,599)GWh


(図6.3)

(3)蓄電池コストはだれが負担すべきか?

❤❤❤❤ 1年間の発電実績(図6.4)から容量とコストを推定する  ❤❤❤❤

①13000kWの実績(図6.4)から売電収入を推測する

1年間の発電量 16,425MWh

1年間の売電収入(12円/kWh) 19,710万円

20年間の売電収入 394,200万円

1万kWパネルの20年間の売電収入       30.3億円

1万kWのパネルに必要な面積 約10万~15万平方メートル(一般論)


②蓄電池コスト

使用する蓄電池はNAS蓄電池として2.4万円/kWhで計算した。

1.3万kW時の蓄電池容量(6万kWh×1.33) 79.8MWh

1.3万kW時の蓄電池コスト(2.4万円/kW) 19.2億円

   1万kWのパネルの蓄電池容量       61.4MWh(6.14万kW)

1万kWのパネルの蓄電池コスト      14.7億円/万kW

(参照)5万kW出力で30万kWhのNAS蓄電池に使用した面積 14,000平方メートル(九州電力豊前変電所のNAS蓄電池の実績) パネル面積の7分の一~10分の一程度で十分     パネルの下に蓄電池を設置することが可能

  (図6.4)

蓄電池コストは、20年間の売電収入の約半分に相当する。これでは太陽光発電業者にとっての投資効果は極めて困難?

(5)電力会社別2030年頃の全太陽光に他する蓄電池費用

電力会社別に必要な蓄電池の容量とそのコストを計算した(図6.5)。合計20兆円規模の事業となる。

(図6.5)

Ⅶ.費用対効果に対する対応が前世紀的発想

(1)「たけのこ狩り」を行わなかった時の年間抑制回数

予定通り再エネ導入が進むと30年過ぎには、10地域中8地域が年間200回以上の抑制回数となる(図7.1)。昼の抑制は太陽光と風力が対象だだが、夜は風力だけの抑制である。風力は昼と夜の2回停止させられる可能性が有る。

1回の停止で全発電所が停止させられる訳ではない。しかし、1年間を通すと全ての発電所は同じ回数だけ停止させられる事になる。

抑制の実施は天気のいい日に限って実施されるので発電業者にとっては売電収入の影響は大きい。

(図7.1)

(2)「タケノコ狩り」効果の金額換算と蓄電池コストの比較

「タケノコ狩り」効果を東北と東京の場合で比較してみる。蓄電池コスト負担を電力会社が行うのがベストであることが分かる。

Ⅷ.出力抑制未解決のまま洋上風力本格稼働は見て見ぬ振り

(1)洋上風力稼働後の姿

風力発電(殆どが陸上)の現在導入済容量は519万kWで、全導入済再エネの4.4パーセントに過ぎない。しかし、受付中で未稼働が11GWもあり、この全てが稼働したとすると、風力と太陽光は同量の導入済容量となるが、実稼働時間で比較すると、太陽光は昼間のみに対して風力は昼も夜も発電するので、風力の方が再エネ化率に対する貢献度は高くなる。

30年過ぎに洋上風力が本格稼働するが、その時の東北電力に接続する風力は現在稼働中風力の43倍の47GWもある。その時点での稼働状況を2023年2月24日~3月2日の発電実績を利用して、30年過ぎをシミュレーションしたのが(図8.1)である。この実績には23年1月から営業運転を開始した秋田沖の33基14万KWが含まれているので、洋上らしさは可なり出ていると思われる。グラフを見ても明らかだが、圧倒的な供給過剰である。解消に小細工が通じるような状況ではない。東京も現時点では2~3GW程度しか受け入れられない。将来は東京も供給過剰になる(図9.1)ので、将来は全く望めない。

(図8.1)

(2)解決策;洋上風力は即、液化水素へ変換 

通常のやり方で系統に乗せようとすると、すぐに出力抑制の対象となり殆ど発電が許されない状態になる。それを避けるには、同時同量の計算対象から外すために発電した電気は系統に乗せずに直接液体水素に変換(図8.2)して、後でトラック便か船便で輸送する手段を取るべきである。

電力系統で運ぶなら、需要の少ない時間を限定して送電することも可能であるが、系統に乗せるには供給不足の地域発生を待たなければならないが、日本全国供給過剰の為、望み薄である。


(図8.2)

Ⅸ.脱炭素化前に、まだヤルベキ事が有る、太陽光対策必須

2050年までに脱炭素化を実現するためには、

まだまだ解決しなければならない難問が

山ほどある。

真っ先に、                                                               

太陽光が作る「タケノコシンドローム」を

解決しておかなければならない。

解決なければ、何をやっても、悲しい結果に終わるだけだ。



2030年前に、最大需要の東京電力も、毎日「タケノコシンドローム」に悩まされる(図9.1)


(図9.1)

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