経産省の再エネ出力抑制解消策は

再エネ特性等の知識無し、抑制の深堀研究無し、

再エネ崩壊の足音が近づいた!

2022/1/25 公開

「2030年エネルギー計画」で、再エネは36~38パーセントと決まったが、出力抑制発生による被害については、何ら議論されていない。実は、2030年の出力抑制発生回数(図1)は、殆どの地域で年間200回以上となり、殆どの発電業者は事業の継承が不可能になると言うのに。


(図1)

九州では、19年度から抑制が始まり、年毎に増えて、2021年度は既に67回発生、1年間で99回( 図2)の見通し2030年までに年間停止回数211回も現実味を帯びてきた。九州の発電業者は不安で、夜も眠れない状態が始まっている。


( 図2)

弊社からの出力抑制激発に対する強い抗議に対して、経産省も重い腰を上げようとしている。「出力抑制対策委員会」を立ち上げるとのこと。しかし、委員会の検討計画書(図3) を見ると、これまでに行った改善策と殆ど同じ計画であり、効果が無かった実績があり、今回も全く期待できない。経産省と審議官たちは、彼らの出力制御方式は最高の方式だと間違った思い込み、再エネ発電の種別毎の特性についての不勉強さと、系統連携線に対する研究不足などが原因で、結果は期待できない。改善と言う国策詐欺に等しい。更に、将来の再エネ拡大に対する深い研究心にも欠けており、「供給過剰分切り捨て方式」では、高い再エネ化率も得られないことにも気付いていない。お粗末の極みだ。そんな経産省に「電気を貯めてから使用する方式」で抑制解消だけでなく、「エネルギー産業の革命」をもたらす程の技術を提案する。


「出力抑制対策委員会」の計画書(図3)

(出典)経産省の「再エネ出力制御の低減に向けた取組の基本的適応性について」

☘  太陽光や風力の特性無視、専門知識不足からの解消策  

Ⅰ.これまでの経産省が捻出した出力抑制解消策

(1)経産省最大の誤解、再エネ失敗の原点ここにあり!


経産省のHPにタイトル『再エネの発電量を抑える「出力制御」、より多くの再エネを導入するために』(2018-09-07 )と言う記事が掲載されている。内容はタイトル通りに、出力制御が有るからこそ、電気を安定した形で大量に需要家に提供できるのだと言っている。その説明には(図1.1)が使用され、ほんの少し需要ラインを超えた供給過剰が表現されている。

(註)経産省は「出力制御」と言う言葉を使用しているが、「制御」は正しく行っている系統制御にも使われている。超過分を処理するやり方は、本来やるべきでない発電停止なども含むので、悪いイメージを強調するために弊社は「出力抑制」と言う言葉で表現する。

ほんの少しの過剰であれば、経産省のいう通りであるが、過剰が膨大になると「出力抑制」が原因で、大量導入が出来ない。たとえば、太陽光だけに限ると再エネ化率30パーセント以上は、理論的に不可能である。

実際には30パーセント以上が達成できているのは、太陽光以外に水力やバイオが有るからである。しかし、この場合も、50パーセントを超えると抑制で捨てられる方が大量である。その現実を確り捉えて対応すべきであるが、何らその兆しは見えない。

供給過剰分が本の僅かであれば、現在の「切捨て方式」で何とかなるが、「再エネの主力電源化」とか、「脱炭素社会」とか、「RE100」などを実現しようとするなら、再エネ制御手法を変えていかなければならない。

現在の「供給過剰分切り捨て方式」から「新たな方式」に切り替えなければならない。経産省も、電力業界も、有識者を含むメディアも、まったく気づいていない。いまだに、再エネは天気に左右されて不安定だと、前世紀的な発言を繰り返しているだけだ。「新たな方式」とは‥‥後ほどしっかりと説明する。

この「切捨て方式」を継続していくことは、国が主導した「国策詐欺」と言う大きな過ちを犯すことになる。


経産省HPの出力抑制の説明図(図1.1

全く役立たずの抑制解消ツール


誤解のもとに経産省は出力抑制解消ツールとして、2016年に東北と九州に大型の蓄電池を設置した変電所を開設した。1か所で600億円~700億円掛かったと聞いている。

これだけのコストを掛けたのに、東北も九州も、この装置を全く使用していない。何故なら、東北は、出力抑制が発生していないからだが、抑制が頻発している九州も、実際は使用してないと推測できる。

何故なら蓄電池の容量があまりにも小さすぎるのだ。たとえば、昨年21年の5月3日の九電のレポートを見ると、357万kWの発電停止を行った。その時の太陽光と風力の供給過剰分は2,177万kWhもあった。用意されている豊前変電所の蓄電池容量は僅か30万kWhで、供給過剰分の1.5パーセントにしか過ぎない。これ程の容量であれば、系統制御担当者は変電所の蓄電池を使おうなどとは、全く考えなかったであろう。

2030年には九州の再エネ導入量はさらに増える。現在承認済と検討申込を合わせると太陽光は1.4倍の1,467万kW、風力は26.4倍の1,665万kWに増加する。増加した分の全ては、出力抑制として捨てられるだけになる。

これほど大量に捨てられるのに、「出力制御は再エネを大量に導入を可能とする、無くてはならない技術である」と、経産省は主張している。出力抑制が解消できない出発点がこの考えにあるのだが、経産省はそのことに全く気付いていない。


経産省の資金で作った大蓄電池の変電所(図1.2

東北電力 南相馬変電所                  九州電力 豊前変電所

(2016/2/26運用開始)  8,500㎡          (2016/3/3運用開始)  14,000㎡

出力 4万kW 容量 4万kWh                  出力 5万kW 容量 30万kWh

NAS  リチウムイオン電池                           NAS(ナトリウム硫黄)電池

 (出典;東北電力、九州電力) 

(3)経産省も知っていた抑制頻度


弊社が数年後には抑制回数が200回以上になると警告しても、殆どの人は信じられないようだ。経産省の担当者たちもピンと来てないのではないか? しかし、4年前に系統ワーキンググループが、将来は200回以上の抑制回数になると報告(図1.3)している。

資源エネ庁の第12回系統ワーキンググループが出力抑制時間を電力会社別に計算し、発表した。(2017年10 月17 日)この報告書は地方電力7社が個別に計算し報告したもので、そこには現在の再エネの容量が増えたに、どれだけの抑制になるかを停止時間で表現している。たとえば、東北電力は現在より450万kW増加した時は、1,559時間となっている。停止命令が出ると、9時から16時までは発電禁止になるので、1回あたり7時間の停止となる。従って、1,559時間は222回に相当する。ただし、この報告には風力が夜間に停止させられる回数は計算されてないし、個別発電所の停止回数も公開されていない。

最大の問題は、停止回数が公表されていたのに、2030年エネルギー計画では、その影響を全く無視していた。これは正に詐欺罪に当たる。


系統WGの電力別出力抑制の見通し(図1.3

九州電力向けの効果が無かった過去の対策


これまでに何度も「効果の無い」出力抑制軽減対策が取られている。


その対策の中に2018年の有識者会議の出力抑制改善策がある。その内容は、

①連係線拡大           本州への連携線容量を2019年3月末までに容量拡大する。

②火力発電の対応    再火力発電やバイオマス発電の最低出力引き下げる。

③遠隔制御拡大       発電事業者サイドでオンライン制御の設置促進する 

④経済損失の調整    出力制御を大規模事業者に限定

しかし、結果は改善効果は全く発生せず、21年度は100回の出力抑制となりそうだ。

各年度の電源種別毎、月平均発電量は(図1.4)の通りであるが、19年度から21年度まで毎年電力需要は僅かだが減少している。21年度の需要の減少率は2.3パーセントで、減少量は155,273MWh/月であるが、原発が4基フル稼働で発電量が20年度より増えた為、再エネが入り込む余地が少なくなり、出力抑制が増えた。火力発電の出力は21年度は少し下がっているが、これは最低出力が下がったのか、原発が増えたのでその対応として下げざるを得なかっただけの事なのかは、直接九州に問合せしなければ分からない。

連携線拡大と言っているが、結果を見ると拡大とは逆に連携先使用量は減少している。減少した理由は、関西が昨年新たに再稼働の許可が出た3機の内1基が、7月から営業運転に入ったため、九州から貰っていた支援が不要となったことに原因がある。新許可原発の内、残りの2基は22年7月頃から営業運転に入るので、九州からの支援はますます不要となる。その分、九州の出力抑制は確実に増加し、本年(22年度)は年間150回くらいの停止になると予想できる。

以上のことから、2018年の有識者会議で提案された出力抑制改善策は、全く効果が無かったし、今後も全く効果の無い対策であると断言できる。


九州電力の稼働実績と抑制回数(図1.4

これ以降に述べる「新たな方式」の提言だけを要約した。

「電気をためてから使用」提言要約  ❤❤

蓄電提言Ⅰ.太陽光のタケノコシンドローム解決

★太陽光発電にHBBS導入で太陽光の出力抑制完全解消

★風力には適応しないのに風力まで抑制回数減少

★火力発電の最低出力改善で燃料費大幅節約

蓄電提言.洋上風力は単独で液化水素製造

★洋上風力は直接液化水素製造

蓄電提言.「電気は貯めてから使う」へ本格化

★更なる高再エネ化率実現にグリッド・ストレージ導入

蓄電提言.「マイクロ・グリッド社会の実現」

★マイクロ・グリッド実現で脱火力発電

再エネだけでなく、社会全体の構造を

「貯めてから使用する」体制へ切り替えて行く。

蓄電提言Ⅴ.「エネルギー産業の革命」が始まる

★電気は貯めてから使用の実現とマイクロ・グリッド効果で世界一安い電気料金化

★日本もエネルギー輸出国へ進出

「貯めてから使用する」社会構造を世界に向けて提案していく。

また検討するのか、効果の無い検討にはウンザリだ、いい加減にせい)

Ⅱ.効果が無い事を理解するための基本データ


(1)電力各社別再エネの接続済み、申込・承認別容量


電力各社は自社の再エネの稼働中や受付中容量を、再エネ種別毎に公開している。その情報を弊社が集計(図4)した。風力については、中部電力以外は陸上と洋上の区別が無いため、一本化した。

現在(21年10月現在)、稼働中再エネ量は106.63GW、そのうち太陽光が63.53GWで、全再エネの59.6%を占める。太陽光依存度世界一である。出力抑制が世界に比べて日本が多くなる原因の一つに、太陽光の比率が多い事に注目すべきである。徹底的に太陽光の抑制対策が必要であることを肝に銘じなくてはならない。次いで水力が20.29GWで20%程度となる。風力は現在極めて少ない、4.68GWで4%に過ぎない。

未稼働分には、既に承認されたものと承認のための検討待ちの2種類がある。承認済は稼働に至る確率は高いが、検討待ちは承認を得られずに辞めてしまう事もあるので、稼働に至る確率は低いとみている。

風力の伸びが大きく、承認済だけでも現在稼働中の5倍近い量である。電力各社が発表している再エネ容量で、風力に関しては洋上と陸上の区別が、中部電力以外は、全て風力の一本で公表している。区分している中部の実績を見ると85パーセントが洋上となっているので、恐らく他の電力も、洋上が殆どであろうと推測できる。

風力の一日当たりの稼働時間は24時間もあり、太陽光稼働時間の3倍となる。2030年以降の稼働で、風力の占める率は太陽光よりも多くなる。特に洋上風力が大半を占めるとすると、風力の貢献度はさらに大きくなる。しかし、注意すべきは、数年後に日本全域の昼は太陽光だけでも供給過剰になるので、昼に発電する風力も出力抑制の対象となる。折角高いコストを払って洋上風力を導入したのに、殆どが出力抑制で捨てられてしまう事も、最大の注意が必要である。

要は、将来の再エネ化率を上げるには、風力の取り扱いが極めて重要である。


( 図2.1


電力各社別年間電力需要量の比較


( 図2.2)を見ると、地方電力7社の年間電力需要は、東京電力1社の量にほぼ一致しているのが分かる。関西と中部の合計は東京の量にほぼ一致する。即ち、東京は関西と中部の2倍である。電気は使用量と供給量が一致しなければならない(同時同量) ので、地方の再エネ導入は直ぐに供給過剰となり、出力抑制が発生する危険性が高い事がこのグラフから読み取れる。。

北海道は洋上風力最適地の言葉に煽られて、洋上風力の導入が激増しているが、北海道の電力需要は東京の10分の一以下、つまり導入可能量も10分の一以下であることを、どの程度頭に入れているのだろうか?


中央3社と地方電力の年間電力需要の比較( 図2.2



)電力会社別季節別南中時( 正午)供給過剰簡易判断


1電力の1年間の出力抑制発生頻度を計算するのに、非常に多くの労力と時間が必要である。1週間くらいは掛かってしまう。何故なら、1年365日の全ての時間、365×24=8,760件 の同時同量を図りながら、供給過剰に対して一つづつ抑制解消処理を行うからだ。

そこで誰でも簡単に抑制が発生するかどうかの判断ツールが必要になるので、弊社が作ったツールを紹介する。

出力抑制発生は、供給が需要を超えた場合であるので、太陽光の発電が最大となる南中時の需要量を季節別に知っておく必要( 図2.3の正午の最大需要)がある。風力は深夜でも発電するので深夜の需要量も必要である。深夜の需要量は地域によって異なるが、ほぼ昼の半分と理解しておけばよい。

超過しているかどうかの判断は、まず供給量を次の式で求める。

供給量 = (太陽光+ 風力)×0.8 +その他× 0.5+(火力最低出力+揚水+原子力)

まずは現在稼働中の容量に対して計算し、計算結果と春または秋の平均日の正午の最大需要と比較する。( 図2.3下欄「判断テーブル」の「稼働中最大出力」)

平均日需要を超えているのは、北海道、東北、中国、四国、九州であった。九州だけが出力抑制となっているが、北海道と東北は東京に助けてもらっている。中国、四国は関西に助けて貰っている事が分かる。

次に将来の再エネ容量で計算し、需要量と比較する。( 図2.3下欄「判断テーブル」の「将来合計の最大出力」)

比較した結果、北海道、東北、中国、四国、九州は夏のピーク需要も超過することが分かった。夏の需要も超過とは1年中休みなく出力抑制が発生することを意味する。東京は冬のピークは超過するが夏のピークは超過していない。つまり、東京は夏だけは抑制がやや少なくなるが、それ以外の日は抑制が頻発することを意味している。

中部、関西、北陸、沖縄は、夏または冬のピーク以外の平均日に、抑制が発生することが読み取れる。沖縄は揚水も連携線も存在していないので、一寸した供給過剰でも抑制処理にならざるを得ない。特別の対応が急がれる。また需要量の多い中央3社も出力抑制が発生するが、経産省はこの3社に対する対応は全く行っていないので、大至急対応すべきである。



電力会社別季節別南中時( 正午 の電力需要量と再エネ容量( 図2.3


)2030年の再エネ導入状況をイメージする

♦♦ 2030年には、現在稼働中に加えて承認済の全てと、検討申込の半分が稼働する♦♦


①再エネ供給過剰状態

春の平均需要を、2030年の再エネの供給量が超過する程度を図形化したのが(図7)である。

再エネの供給量は、現実の稼働実績を参考にして、次の式で求めた。

再エネ供給量=(太陽光容量 +風力容量) ×  0.8 + その他容量 ×  0.5

沖縄と北陸以外の全ては、再エネの供給が春の平均需要を超過する。超過率の最大は東北で、196.4%、2位は北海道で181.8%となる。東北と北海道は需要の2倍近い超過量である。3位中国で105.9%、4位四国92.9%、5位東京73.7%、6位九州72.0%、ほぼ需要量程度の超過となる。

超過量で最大は東京で22.1GWh、2位が東北で18.4GWh、超過分の十社合計は67.7GWhとなる。この超過量を、超過していない沖縄と北陸へ連携線で送りこむから消化してくれと頼みこんでも、消化できない量である。即ち、超過分を連携線で何所かに送ろうとしても、何所も受取って貰えない。沖縄と北陸以外は、出力抑制処理をせざるを得なくなる。

2030年の前に、殆どの地域は供給過剰になるが、連携線で送りこんでも処理出来ないので、連携線の容量増設は、何ら出力抑制の解消にはならない。

経産省やそれを取り巻く有識者や、再エネ評論家などは、数年後に殆どの地域で供給過剰になり、連携線容量を増やしても何ら効果が無いにも拘らず、系統容量拡大を主張している。もう少し、勉強して欲しいものだ。


(図7)


②東北電力  最大超過日(5月2日) の稼働状況


供給過剰率の一番大きい東北の5月2日の稼働状況をグラフ化( 図2.5)してみた。南中時最大値は18.6GWhである。その時の需要量は7.0GWh、何と需要の2.5倍である。

経産省HPの図(図1.1)を( 図2.5)にしていたら、供給過剰分を連携線で送電すると言った発想は出て来なかっただろう。これだけの量を送電するなんて不可能だから・・・・・。これだけの超過量になることを確りと頭に叩き込んで、対策を考えるべきである。


( 図2.5


(4)連携線の使用状況

♦♦経産省と有識者たちの、最大の誤解ポイント♦♦


電気は瞬時瞬時、供給量と消費量が一致しなければならない。同時同量と言う。同時同量は一つの電力会社内だけでなく、連携線で結ばれた9社間で成り立っている。沖縄は連携線で連携されてないので、ここでは省略している。

瞬時瞬時に同時同量が成り立つなら、1カ月単位とか1年単位で見ても成り立つのは当然である。そこで電力9社の2,020年度1年間の連携線利用量を、( 図2.6)に掲載した。利用は各社が毎月公開している電力需給実績の連携線の欄を、365日×24時間=8,760行の年間の集計結果である。赤字は供給過剰になったので外に放出したことを、黒字は不足だったので外部から取り込んだことを意味している。黒字で大きい値は関西と東京である。関西と東京は供給力不足に陥っていることが読み取れる。その他の少量の黒、中国、中部、北海道は、日によっては赤もあり黒もありで、最終結果が、年間集計で黒になっただけである。

図の詳細説明は省くが、ここで明確にしておきたい事は、連携線の使用目的は、どこかの供給不足を補うためであり、全社が供給過剰になったら連携線の効果は全くない。逆に全域が不足状態になっても効果は無い事になる。

甚だしい誤解は、「連携線の容量を増やせば、供給過剰が防げる」との幼稚な誤解である。

全地域が供給過剰になったら、連携線の容量を増やしても何ら意味が無いことを、確り理解して貰いたい。


(図2.6)


5月3日12時の1時間で見ると


特定日の特定時間の連携線の利用状況を調べてみよう。2021年5月3日12時の流れは、図2.7の通りであった。前の図2.6では黒だった中国と中部と北海道が赤字に変わっている。供給過剰であったのだ。12時は太陽光の最大発電時間であり、5月3日はゴールデンウィークで需要が最も少ない日である。その日は、四国、中国、北陸、中部は供給過剰であったが、連携線効果が出て、出力抑制にならなかった。しかし、九州は当日も出力抑制となった。太陽光3,454MWh、風力24MWhの抑制である。その時連携線は1,490MWhしか使用されていない、容量としては2,700MWも有るのにだ。

関西電力はその時刻に、四国と北陸、中国から供給してもらったので、九州は1,490MWで我慢して下さいと言う事である。ここでも、連携線容量拡大は抑制解消に直接結びつかなかったことが分かる。

四国、中国、北陸、中部は供給過剰であったが、出力抑制には成っていない。関西に救って貰ったのである。しかし、その関西の恩恵長くは続かない。関西の原発の再稼働許可が、昨年出た。その新許可のうち1基は既に営業運転に入ったが、残り2機が新たに稼働し始めると、他所からの支援は不要となる。支援が不要となると、支援していた側は、出力抑制処理をせざるを得ない。3社のうち四国は、特に抑制量が多い。今年の後半夏過ぎ9月末から抑制が始まるだろう。西日本の電力会社、九州、四国、中国は一斉に出力抑制の花火がドカーン、ドカーンと打ちあがるだろう。


(図2.7

★  全く効果の無い解消策で、再エネを潰そうとしている  ★ ★  

Ⅲ.経産省の計画書が、如何にお粗末か!!

昨年末(21年12月) に出された「出力抑制対策委員会」の計画書(図3)が、再エネの特性に関する知識が無く、再エネ拡大に対するアイディアも全く無いズブシロが、単に仕事をやってる振りをした「詐欺師の計画書」に過ぎないことを説明する。


(1)系統制御の効率化

💀発電所を停止させる方法を、オンラインで行う発電所を増やす対策

オンライン化を進めても抑制全体が減るわけではない。

将来、弊社提案のHBBSを使用し始めると、オンライン機器は不要となる。


(2)供給対策

💀火力発電の最低出力を下げる

「最低出力を下げる」ことを検討する前に、るべきことがある。

最低出力が下げられない原因を徹底的に学習すべきだ。原因は太陽光発電の南中時を中心とした釣り鐘状の発電量に原因がある。その原因を改善することを全く検討していない。  

⇒   詳細Ⅵ⑤火力発電の最低出力が下がる理由で詳しく述べる。


💀「最低出力を下げる」のは発電機の「下げ代機能」が行うので

  ⇒性能の良い新発電機に切り替えなければならない。東電は火力発電機は110基ほど有るが、全部新機種に移行しなければならない。その費用はだれが負担するのか??

  「脱炭素社会」火力発電は完全に消えて行く、消えて行くのに投資するのか??

  ⇒2030年までに供給過剰が南中時の需要の2倍ほどになるなが、最低出力を下げたとしても供給過剰ほんの数パーセントしか効果が無い。そんなことで発電業者は満足するだろうか


💀原発再稼働の前にやるべきことが有る

⇒  詳細は(5)原発再稼働の前にやるべきことが有る記述する。


(3)需要対策

💀電力需要が増えれば、供給過剰が減少する。そこで経産省としてもEV促進などで需要増加を政策に取り組むとのこと。

しかし、日本は、20年近く電力需要が下がり続けていることが気懸りだ。下がり続けた原因の一つに、電力消費の大きい生産工場が海外に出て行ってしまったことにも一因が有る。工場が日本に帰って来て貰う為にも、電気料金を大幅に下げなければならない。再エネ大量導入で電気料金を大幅に下げる対策が欠如している。

💀電気料金を下げるには原発では期待できない。再エネ拡大しかない。しかし。再エネで電気料金を下げるためには、現在の供給過剰分切り捨て方式では実現困難だ。再エネ化率がどんどん進んでくると、切り捨て分も多くなる。特に洋上風力などが本格的に稼働すると、発電した電気の80パーセント以上も切り捨てられ、その分を金額換算すると、東京電力1社で毎年3.4兆円なんて状態にもなる。そのためには「電気は貯めてから使う」へと大転換しなければならない。そんな計画が完全に無視されている。

詳細は「Ⅷ.さらに再エネ化率を高める秘伝」に記述


(4)系統対策

💀 出力抑制解消のために系統容量の拡大を検討するそうだ。

何かというと、系統容量拡大を唱えるが、系統容量が少なくて済む逆の方法は全く検討していない。片手落ちの検討である。太陽光を接続させるとき、南中の最大発電量で接続可能かどうかを判断している。しかし、南中の最大値が3分の一になる方法があるにもかかわらずである。

 💀数年後に日本の全域が供給過剰になる。それも全国一斉に同じ時間帯にである。

即ち、12時ごろに一斉に供給過剰になる。その時は、連携線で結んでいても、どこの地域も受け取る事が出来ない。全く、連携の機能が果たせないのである。そのような状態になる事が明確であるにもかかわらず、連携線の容量を拡大しようとする。全く、馬鹿の一つ覚えだ。

💀 2030年頃には大量の風力が稼働し始める。風力は太陽光の様に発電が集中する時間帯は無いが、深夜は電力需要が大幅に落ちる。深夜には止める事の出来ない原発や火力や水力や地熱などがひしめいており、風力の入る余地が極めて少ない。そんな時間帯に風力が少しでも吹いたら、直ぐに供給過剰になる。この傾向は日本全国ほぼ同じ時間帯であるため、ここでも連携線が使えなくなる。


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ここからは計画書で取り上げていない重要事項を列記する

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(5)原発再稼働の前にやるべきことが有る

ここでは原発反対と「野暮なこと」は言わない。言いたい事は原発と再エネが確りと「共存」できる体制を取るべきだと主張したい。

💀  原発が稼働するとベースロード電源となるので、再エネは底上げされて需要ラインを超過しやすい状態になる。  再稼動で出力抑制頻発を可能な限りの努力を指導すべきである。

可能な限りの努力として

①電力需要の少ない春と秋の閑散期は、原発の保守点検期間に充てて、稼働を極力控える。

②原発稼働中は可能な限り他の電源、火力・水力・バイオなどの稼働を少なくする。

③原発稼働中の出力抑制に対しては、電力会社負担で保障することなど。


💀   原発再稼働は、他地域の再エネに大きな影響を与える。たとえば、関西電力の場合、九州や四国、中国の再エネが突然出力抑制頻発するようになる。東京電力の場合、当分の間は柏崎原発を再稼働させる予定はないようだが、再エネ導入量が日本で一番多く、そろそろ東北からの支援は不要になる。不要になると東北電力は、すでに供給過剰になるほど再エネが稼働しているため、再エネの行き場所がなくなり、即、出力抑制となる。このような状態を引き起こす前に関西や東京がやるべきことは、電力会社が主導権を取って、後述の「Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ」を強力に推進すべきである。何故なら、これを推進することは、電力会社にとって大きなメリットとなるからで、推進しない電力会社は、電力自由化の下で敗北していくしか無くなる

(註)再エネ導入推進は電力会社にとって一番やりたくないことである。天気に左右されて不安定な電気なんか導入したくない気持ちで満ち溢れていた。出力抑制激増で発電業者が経済的に困窮しても、電力会社は痛くも痒くもない。むしろ、再エネが潰れてくれることを秘かに狙っているのだ。潰れれば、「やっぱ、原発しかねーよ」と言って、堂々と原発再稼働が出来る。経産省も同じ考えだ。出力抑制で再エネが潰れるのを願っているので、本気になって改善を検討することはないのだ。

しかし、出力抑制が完全解消し、再エネの大量導入ができ、電気料金を大幅に下げる事が出来、液化水素にした電気を海外に輸出するほどになった暁には、原発だけに頼っていた電力会社は、価格競争で倒産せざるを得ない状況まで落ち込む。弊社の提案は再エネで「エネルギー産業革命」を引き起こすほどの提案であると自負している。


)再エネを生かす対策の欠如

💀   経産省は「切捨て方式の出力抑制は、大量の再エネ導入に無くてはならない最良の方法」との迷信から抜け切っていない。

この方式では再エネ化率30パーセント以上では膨大な量が出力抑制で切り捨てられ、それ以降の再エネ化には信じられないほどの無駄が発生する。その無駄を防ぐには供給過剰分も生かす方式」に切り替え、つまり「電気は貯めてから使う方式」に切り替えなければならない。切り替えれば「新エネルギー産業の革命」が待っているのに、経産省の担当官たちは全く気付いていない。悲しい事である。

「供給過剰分も生かす方式」は「Ⅷ.さらに再エネ化率を高める秘伝」と「Ⅸ.電気は貯めてから使う時代になる」で詳細に述べる。


)再エネ拡大フエーズごとの対策が見えない

❤「再エネ化の最終目標」の姿が明示されていない

将来の再エネ化率だけ議論しているが、再エネ化が最高値に達した時のどんな社会になるのかの議論が欠けている。日本の電気料金は安くなるのか、国外に逃げ出した日本企業は戻って来るのか、地方は活性化されるのかなどの姿か見えない。

最近は再エネに対する反対意見が多くなった。天気に左右される再エネを進めても国を支えられないとか、パネル設置で自然や景観が破壊されている。ドイツは再エネ推進の失敗で原発復活となる、日本もそのうち再エネ推進が失敗するとか、再エネ反対論が目立ち始めている。

これらの再エネの反論は、再エネの最終姿が見えないことが、大きな原因となっていると思う。そのためにも、最終的な姿を国として明言すべきではなかろうか??


❤再エネ化率の伸展に合わせた技術論の欠如

経産省は現在の出力制御方式で、最終的にもこの技術のまゝで何ら問題ないと思っているようだ。そこに最大の問題が潜んでいる。再エネ化率の伸展に合わせて最適な制御方式採用していかなければならないのに、その議論は全く見かけられない。

⇒ 現在の「出力制御技術」は再エネ化率5~10パーセント時代のもので、それ以上に再エネ化率が進んでもこの方式に固守すると出力抑制地獄に落ち込む。

再エネ化率が30パーセントまでは太陽光が60パーセントも占めるので、太陽光固有の制御方式が必要である。しかるに、その議論は全く見当たらない。太陽光固有の対策が無ければ再エネ化率は30パーセントを超えられない。再エネの主力電源化は高根の花で終わってしまう。

太陽光固有の対策が上手く行くと、 再エネ化率は50パーセント程度までは進展するが、次は風力固有の問題が発生する。その時は、風力固有の制御方式が必要となる。

再エネ化率50パーセントを超えて100パーセントを目指すと、発想の転換が必要となる。その転換とは「電気は貯めてから使う」と言う発想である。こう再エネ化率を狙うと、供給過剰が70~80パーセントと膨大になり、コスト効率面が問題になる。それを解決するには「捨てる」のではなく「貯める」ことで解決出来るのである。


❤トータルコストを下げると言ってるが、出力抑制もコストではないか?



❤ ❤ ❤ ❤  敵を知り己を知らば、百戦危うからず   ❤ ❤ ❤ ❤ 

Ⅳ.経産省の「太陽光特性」無知が原因で抑制激増


 特性 Ⅰ「タケノコシンドローム現象」   


太陽光発電の導入容量が増えると、南中時の発電量は上へ上へと伸びて行く。決して横には広がらない。タケノコは一日に30センチ伸びる。猛烈な勢いである。伸びきった「タケノコ」は、「天井」(需要)を突き抜ける。 突き抜けた「タケノコ」は切らざるを得ない(出力抑制)

太陽光は太陽が真南に来た時(南中時)に最大出力となる事が、風力などに無い最大の特徴である。またこの南中時は、南北に細長いが、東西は30度の経度の範囲内にあるため、日本全国が一斉に南中時になる。出力抑制の最大原因は、日本全国一斉に太陽光が需要ラインを超えてしまうのが最大原因である。

タケノコの高さは、登録されている全容量の0.8~0.9倍した量となる。この高さが供給過剰の大半を占めるので、この高さ対策が、抑制解消の大半を占める事になる。


(図4.1


特性Ⅱ「太陽光3倍特性」

「太陽光再エネ化率30パーで限界特性」


1日24時間の電力需要を太陽光だけで賄おうとした場合、南中時の電力需要の3倍の発電量が必要である。(「太陽光3倍特性」下図(図4.2)で需要曲線で囲まれた一日の電力需要は100,382万kWhであるが、それを晴天日の南中時の発電量が12,675万kWとなる日の発電量は103,045万kWhとなるので、1日の需要に一致する。南中の需要量は5,013万kWで、南中時太陽光の2.5分の一である。

南中時需要の3倍の発電量が必要とあっても、需要を超過すると出力抑制の対象となるので、「経産省ご自慢の制御方式」では、太陽光だけで需要を賄う事は出来ない、「再エネ化率は30パーセント以上にする事は出来ない」と言う事になる。経産省のHP作りをされた方は、この3倍特性を知らなかったのであろう。

(図4.2)では一日24時間の電力需要量に対して、太陽光が一日に発電する量の割合は40パーセントになっているが、現実では太陽光以外に、ベースロード電源として、火力の最低出力や止める事の出来ない水力、地熱などが同時に流れているので、太陽光では再エネ化率30パーセントが最大となる。ただし、ベース部分が増えると、再エネ化率20パーセント程度でも出力抑制が発生するので、要注意である。ちなみに、既に出力抑制が発生している九州は19年度が再エネ化率23.4パーセントで、74回の出力抑制、20年度が26.8パーセントで50回、21年度1月までの実績で27.9パーセントで67回の抑制となっていることを見ても、30パーセント限界説は頷ける。

再エネ化率30パーを超えると、太陽光の導入量を増やしても再エネ化率は30パーセント以上にはならない。太陽光の比率が高い我が国で、再エネ化率を30パーセント以上にするためには、太陽光の導入は止めて、水力や風力の導入を高めなければならない。


(図4.2


特性Ⅲ.「南中時の3分の一特性」


太陽光の一日の発電量全てを一旦蓄電池にためた後、24時間かけて均等に放電すると、1時間当たりの放電量は、南中時の最大発電量の3分の一から4分の一になる。この特性を「3分の一特性」と弊社は読んでいる。3分の一は発電量の多い夏至の頃で、4分の一は発電量の少ない冬至の頃である。

特性Ⅱの「3倍特性」では再エネ化率が30パーセント近くになったら、太陽光は24時間均等放電で供給過剰にならずに済むので、太陽光をどんどん導入して再エネ化率を高める事が出来る。この考え方は世界中を調べたが、同じ考えの者は無かった。世界に先駆ける技術となる

太陽光を系統に接続させるとき南中時の最大電圧で決定されるが、24時間放電方式を採用すると、接続電圧が3分の一になるので、接続変電所が1ランク下の変電所になる。ランクが下がると変電所の数が多くなり、確率論的には変電所までの距離が短くなる。これにより系統接続の工事負担金が大幅に下がるメリットがある。詳細は「Ⅵ.ハイブリッド・バッテリー・システム」の④系統接続工事負担金」で詳しく述べる。

一方、系統設備から見ると系統容量が3倍に増設されたとも解釈できる。太陽光を系統に接続するとき、太陽光の最大発電量で計算するが、その量が3分の一になれば、系統容量が3倍に増加したと同じになる。そうなれば、N-1電制とか、バックアップ電線を利用するなど必要性が少なくなる。

系統容量拡大一点張りの経産省も、この容量3分の一になる手法の導入を真剣に検討すべきである。


(図4.3


特性Ⅳ.日本は、地政学的にも、

全国一斉に供給過剰になりやすい


日本列島は東経130度から145度の中に納まっている。この15度の範囲内と言う事は、地球の回転は24時間で1回転するから、丁度1時間の範囲となる。実際の電力10社の需要実績から、太陽光発電だけのデータを抜き出してグラフ化すると、沖縄だけは少しずれるが、ものの見事に同一時間内に最大発電になっている(図4.4の左)ことが分かる。2030年までには、Ⅱ(4)①再エネ供給過剰状態で記述したが、殆どの地域が供給過剰状態に陥っているので、同じ時間帯に、全地域から助けを求める状態になる。

しかし、どの地域も他所を助ける事は出来ない。何故なら、連携線効果が発揮できない状態になっているからである。ここではっきり言えるのは、連携線容量を拡大しても、出力抑制解消には何ら役立たないと。

風力は夜間にも発電するが、夜間は電力需要が半減する地域が多いので、夜間にも供給過剰になり易い。風は夜間に日本全国一斉に風が吹くことは無いが、夜間は原発や火力や太陽光の24時間放電などが、昼間と同じ量で供給されるので、風力が入り込む余地が少なくなり、供給過剰になり易い。日本の標準時間は1種だけのため、日本全国一斉に午前ゼロ時を迎える。日本全国一斉に午前ゼロ時に供給過剰になる。その時も連携線の効果は発揮できない。

日本は4面を海に囲まれており、陸続きの隣国が無い。従って連携線で連携できる隣国が無いのである。その点、EU諸国は陸続きの隣国が沢山ある。ドイツは隣国が9ヶ国あり、フランスの隣国は6ヶ国(図4.5)で、隣国とは無数の連携線で結ばれている。従って、供給過剰になっても何処かの国が拾ってくれるので、出力抑制なんて殆ど発生してないと聞く。また標準時間も3種類あるので南中時の時間に3時間の差が有り、東の国が12時になっても西の国はまだ午前9時であるため、電力消費が少しづつずれる。日本は標準時間が1種類のため、北から南まで一斉に昼休憩になったり、夕食時間になる。だから日本では電気を融通しあうという事がやりにくい環境にある。

ここではっきり言えるのは、連携線容量を拡大しても、出力抑制解消には何ら役立たないと。日本はとにかく供給過剰になり易いことを確り政策に取り込まなければならない。


日本は一斉に南中時になる(図4.4


陸続きのヨーロッパは隣国が多数、孤立した日本は細い糸で連携(図4.5

Ⅴ.風力発電の特性も全く理解していない

    ♦    北海道は「洋上風力最適地」に騙されるな     ♦♦ 


特性Ⅰ.風力発電は太陽光より抑制になり易い


理由①昼は太陽光と一緒に抑制対象となる


太陽光は昼しか発電しないが、風力は昼も夜も発電する。昼の発電は太陽光と風力が発電している。昼の発電で、再エネが供給過剰になると、必ず太陽光と風力が抑制対象になる。その時、風力も発電量に比例した抑制となる。

2030年の前に、我が国は殆どの地域で、太陽光が年200回以上の出力抑制となる。即ち、風力も太陽光を道ずれに200回以上の抑制となる。


昼の風力は太陽光と一緒に抑制対象になる(図5.1)


理由②夜間は電力需要が極端に少ない

風力は昼より夜間の方が大きい傾向にある。夏場より冬にその傾向が強い。

反対に電力需要は昼より夜間の方が少ない。特に電力多消費地の都会にその傾向が強い。しかし、その夜間であるにもかかわらず、昼間と同じ量で発電するものがある。原発が正にそうだ。原発の出力を柔軟に変化させると事故のもとになるから、夜間の発電量を需要に合わせて少なくすることは避けている。原発以外にも、夜間でも下げられない発電が有る。火力の最低出力は一定以上下げられない。他に、流入式の水力や地熱発電も同じである。

夜間は需要が少ない上に、下げられない発電が多いとなれば、風力の入り込む余地が昼間より少なくなる。(図5.2)従って、風力は出力抑制になる事が多くなるのである。


                    夜の風力は、少ない需要範囲でしか生きられない(図5.2


理由③北海道と東北は電力需要が少ないため、直ぐ抑制となる


北海道と東北は「洋上風力の最適地」と煽られて、最近は風力発電に猫も杓子も乗り出している。確かに、風は陸上の2倍ほど吹いてはいるが、電力需要も少ないことを見落としている。

どの程度、電力需要が少ないかを見てみよう。(図5.3)は、需要最大の東京と東北、北海道の春一番の風が吹き散らす3月1週間の電力需要をグラフ化したものである。

北海道の需要は3,000MWh前後、東北は8,000~9,000MWh前後、東京は24,000~40,000MWhの範囲である。北海道は7日間全日、需要を超過する風が吹いている。この風であれば、東北は、3/28以外は需要の範囲内に収まる。東京から見れば、北海道の風力は足元にも届かないそよ風程度にしか過ぎない。

2030年頃の出力抑制は、(図)に掲載しているが、東北は北海道の2倍近い風力の導入の為、東北が一位、2位が北海道となっている。発電所別の停止回数は、北海道の風力が東北より多い429回の停止となる。風力は昼間に1回、夜間に1回の、1日に2回の停止になる事があるから365回より多くなる。

しかし、驚くことに東京は個別発電所の停止回数では、3位の239回に食い込んでいる。電力需要が一番多いのに、である。東京の2030年頃の容量が、北海道の3.5倍もあるためである。東京も、需要が大きいからと言って安心はしていられない。


北海道は東京の10分の一しか発電できない(図5.3

Ⅵ.太陽光の出力抑制を完全に解消する

❤❤❤❤  日本に適した出力抑制解消策はこれしかない  ❤❤❤❤


(1)上に伸びるタケノコを横に寝かせて、供給過剰解消


まず、実際に2030年頃の東京電力に適応した場合の効果をお見せする。

2030年頃の再エネ容量を、現在稼働中+承認済+検討申込×0.5 と想定した。風力は陸上の発電効率を適応している。更に、柏崎原発が2基稼働とした。出力抑制は昼が22回、夜が5回発生。(図6.1)各発電所は一月に太陽光が8.0回、風力が9.1回の停止となる。停止容量の比率は太陽光が発電可能容量の内210,367万Wh(42.6%)、風力が86,405万Wh(17.4%)が捨てられる。


(図6.1

⇓       HBBS使用  ⇓   

全ての太陽光発電にHBBSを導入した場合の稼働は(図6.2)のようになる。太陽光の出力抑制は完全に解消した。風力の停止は昼が2回、夜が3回の合計5回21,113万Wh(3.6%)に改善された。HBBS導入で火力発電の最低出力が更に下げる事が出来たことも大きい。導入前の発電量が942,542万kWhであったものが、HBBS導入後は682,693万kWhに下げる事が出来た。改善率27.6%である。東京電力はHBBSに一銭も支払っていないのにこれだけの効果である。火力燃料費を21円/kWhで計算すると、たったの1ヶ月で燃料費545億円節約できたことになる。


(図6.2

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(2)ハイブリッドバッテリ・システムの構成


①システム構成とシステム機能

 

一つの太陽光発電所毎に、蓄電池を一組接続させる。接続された蓄電池の容量は一日分の発電量を蓄電できる。蓄電池は任意の個数から構成されており、その合計容量は一日の発電量 × 1.33倍が必要。前日の蓄電分は翌日の指定された時刻(通常は午前ゼロ時) から24時間かけて均等に放電する。前日の放電と翌日の発電は同時並行に処理を行う。毎日、決められた時刻に前日の同時刻(通常は午後17時) から24時間かけて蓄電した量をセンターへ知らせる。パネルで発電した電気は直流のまゝで蓄電するので、パワーコンディショナーは不要となる。


(図6.3

一日の発電量の決定

 

太陽光発電の一日分の発電量は、1年365日に対して365種類あると言っても過言ではない。その発電量を大きい順に並べると図6.4のように、なだらかなS字カーブが描ける。1日分の発電量を蓄電できる容量がHBBSには必要だが、年に数回しか無い容量を準備するのは、投資効果の観点から好ましいことではない。それではどの程度の容量を準備するか、どの程度カットしてもよいかを、太陽光発電事業計画時点で決定しなければならない。決定に影響するのは、FIT価格と蓄電池の単価である。粗利益計算では数種類のカットラインを設定してライン毎に粗利益を計算している。


(図6.4

❤❤❤❤   蓄電池容量の決定   ❤❤❤❤

③蓄電と放電を行うための蓄電池容量


HBBSでは太陽光の南中時に集中する発電量を可能な限り少なくすることと、発電したものは全て翌日の24時間に放電しきる事を重視した結果、発電終了後の午前ゼロ時から24時間かけて均等に放電することがベストであると結論付けた。24時間かけて放電すると翌日の発電と重なる。蓄電池は同じ蓄電池で充電と放電を同時に行うことは出来ない。蓄電と放電を同時に行う一番易しい方法は、2つの蓄電池を並べ、日替わりで2つの蓄電池の役割をチェンジしていく。最初の日は1号機を蓄電で、2号機を放電とし、放電が終わった時に、1号機と2号機の役割をチェンジするやり方である。

このやり方は、2日分の容量が必要となる。そこで、HBBSでは2日分の容量を1.33日分の容量で蓄電と放電の同時処理が出来るようにした。35パーセントの容量改善である。


(図6.5)


(3) HBBS使用した発電所は系統接続工事負担金が大幅に下がる


太陽光発電の電力系統への接続先変電所は、南中時の最大発電量で決まる(図6.7)

大規模発電は超高圧変電所に接続し、それ以下の発電所は1次変電所、中間変電所、配電変電所となっている。また、国内にある変電所の数は高圧になれば数が少なく、低圧になると数は多にくなる。数が少ないという事はそこまでの距離が長くなる確率が高くなるという事である。

工事負担金を計算するため、新規導入発電所から各変電所までの距離を想定した。(図6.6)

設定された距離を使用して負担金を計算する。計算は電力広域的運営推進機関が公表している「送変電設備の標準的な単価」を使用する。

計算結果は「系統接続工事の負担金額」 (図6.8)に表示した。この表には、HBBSを使用した場合と使用しない場合を表示している。

 HBBSを使用すると南中時の最大電圧は3分の一程度になるので接続変電所が1ランク下の変電所に代わる。例えば、220MWの発電所で、HBBSを使用しない場合は超高圧変電所接続であるので、工事負担金は、(図6.8)を見ると49.3憶円であるが、HBBSを使用しても接続変電所は同じ超高圧変電所であるため工事負担金は26.3億円である。

しかし、160MWの発電所で、HBBSを使用しない場合は49.3億円であるが、HBBSを使用する場合は接続先が1ランク下の1次変電所となるので、負担金は13.2億円となる。36.1億円の軽減となる。


(図6.6)(図6.7)(図6.8

❤❤❤❤  HBBSの隠し味①  ❤❤❤❤

(4) HBBS使用で、火力発電の最低出力を下げられる理由


その理由を説明する前に、太陽光発電と火力発電の連携について説明する

太陽光発電は、日の出前の発電量はゼロで、日が昇り始めてから太陽が真南に来るまで発電量がぐんぐん伸びる。真南を過ぎると日没までどんどん減少していく。日没時に、発電量はゼロになる。その太陽光の発電は、正に釣り鐘状になっている。

逆に火力発電は、太陽光の発電が始まると、どんどん出力を下げていく。太陽光が日没に近づくと、火力は逆に出力を上げていく。

その両者の動きが分かる図が(図6.9)である。こグラフは東北電力の実績値から、火力と太陽光以外を除いて作成したものである。このグラフは太陽光と火力が対応しながら稼働しているのが良く分かる。

ここで(図6.9)の5月4日の動きをよく見てみよう。日の出前の火力の最大値は午前4時に7,009MWhで、太陽光が最大となる11時は4,505MWhまで下げている。下げ幅は2,504MWhである。その時太陽光の最大値は4,516MWhであった。

問題は何故この時、2,504MWhしか下げなかったかである。下げてほしい量は、太陽光の最大出力分の4,505MWhであった。希望の半分程度しか下げなかったので、その差額2,001MWhが供給過剰になってしまう。東北電力はその差額は連携線を利用して東電に送り出している。

なぜ下げなかったかは、太陽光が終了した直後19時の最大需要7,164MWhを満たさなければならなかったからである。そのために稼働中火力発電の内の数基を止めずに、火力発電機の最低出力で我慢して貰った。そのことを下げ代機能ぎりぎりまで下げたという。それ以上下げるには、火力発電のどれかを停止させなければならなかった。止めてしまうと19時最大需要に対応できなくなる。

火力発電の下げ代機能は、機種ごとに異なる。石炭や石油、LNGなどによっても異なるし、発電機の古いもの、新しいものによっても異なる。また電力会社には20機から110基と所有台数も多い。経産省は下げ代機能をもっと下げるために発電機を下げ代能力の高い機種に変更させようと計画している。新機種に切り替えるコストと時間を考えると、極めてコスト高で時間のかかるし、切り替えてもほんの僅かしか効果が出ない対策である。

然も、全て切り替わったとしても、脱2酸化炭素で火力発電は止めようとしているのにだ。全く矛盾に満ちた計画である。


それに比べると、弊社が提案するHBBSを使用すると、はるかに大きな効果が出る。しかも、電力会社は殆どコストが掛からないのにだ。次にHBBSを使用した場合、何故最低出力が下がるかを説明する。


(図6.9)                (図6.10

HBBS使用すると、何故、火力の最低出力を下げる事が出来るのか?



電力を供給するためには前日の内に明日と、明後日の需要予測を行う。予測は3分ないし5分間隔で、24時間~48時間予測されており、非常に精度が高く作られている。同時に、明日以降の天気予報から、太陽光と風力発電の発電量予測も行われる。その予測された需要に対して供給するための稼働計画が必要となる。稼働計画とは「どの火力発電所を何時から動かし、何時に止める」かの計画である。その計画の中には揚水発電や連携線の利用、つまり出力抑制処理も含まれる。


何故計画が必要になるか?火力発電所は急に稼働開始しろと言われても開始できない。発電機毎に、スイッチを入れてから営業運転開始まで異なる時間が必要である。短いもので、2~3時間、長いもので石炭火力は24時間かかる。中には定期点検や故障で暫くは使えない発電所もある。


HBBSを使用すると、前日の予測処理が少し変わってくる。HBBSを使用した太陽光発電所から、17時までに各発電所で発電した量(蓄電量)が知らされるので、翌日の時間当たり放電量が分かるので、太陽光の発電量予測は不要となる。


作成した稼働計画は、午前ゼロ時から始まり、HBBSに蓄えられた電気は24時間均等に放電される。その稼働状況は、(図6.10)の通りである。この図を見て頂くと、太陽光の釣り鐘状の発電は無くなり、均等に放電に変わっているので、火力の対応も極めて滑らかになっているのが分かる。天気に左右されるのは風力だけになり、その風力も太陽光の様に急な変化は行わないのでほぼ計画通りの火力発電の運転が出来ている。


24~48時間の需要が予測されているので、たとえ大きな需要が有ってもあらかじめ予定されていたことであるから、どの火力を起動させれば良いか分かっている。(図6.10)で翌日の12時頃に需要が急増しているが、この急増は事前に分かっている事なので、それに対応出来る火力発電を当てがっておけば良い。

最低出力も、必要ならゼロまで下げることも出来る。ただし、ゼロにした場合周波数調整は別の方法が必要になるかもしれないが、これは今後の大きな研究課題になるだろう。


(注)全ての太陽光発電装置にHBBSを使用するとして説明しているが、中にはHBBSが使用できない発電所もある。HBBS不使用の発電所は、現在と同じように出力抑制の対象になる。HBBSを使用すると決めたら、出来るだけ早い時期に全発電所にHBBSが使用できるような政策が必要になる。



 (5) 太陽光発電業者はHBBSコストに耐えられるか??

❤  HBBS使用の方が、使用しない場合より、確実に高い利益率が得られる  ❤ ❤


★パワコン不要

パネルで発電した電気は直流で出力される。蓄電池も直流で蓄電するので、そのまま蓄電できる。パワコンの役目は直流から交流の変換であるので、パワコンは不要となる。パワコンの価格はパネル価格の20~30パーセントを占めているので、その分だけパネルの価格が下がる事になる。

また、直流から交流への変換ロスが有るが、変換不要となれば発電量もその分増えると期待できる。

現在稼働している太陽光にHBBSを取り付ける場合、パワコンは既に導入されているが、その寿命で10年で新しいパワコンに取り換えなければならない。その時にHBBSを導入するチャンスである。


★工事負担金軽減

太陽光の最大出力が、HBBS使用で3分の一になるため接続変電所がワンランク下の変電所に変わる事がある。その時は変電所までの距離が短くなる確率が高くなる事と、使用する機器電圧が下がる事で、工事負担金が大幅に下がる。下がる率は太陽光の発電所が大きくなると、下がる額も多くなる。36億円も下がるケースもあった。


★スケールメリット単価の適応

商品を大量に買えば。1個当たりの単価が安くなるのは資本主義社会の常識。売る側も大量に購入してもらえれば、販売手数料や在庫管理費や宣伝広告費が安くなるので、単価を下げても損したという感覚にはならない。それこそ、「喜んで」安くさせて頂きますというところだろう。

スケールメリットは買い手は安く買える、売り手は沢山売れると言うことである。太陽光の容量を10kW未満から50,000kW以上の8クラスに分割(図6.11)した。平均容量とは現在日本で稼働しているパネルの実際のクラスごとの容量を調査し、平均値をとった。クラス毎にパネル容量とそれに必要なHBBSの容量を表示している。HBBS容量はパネル容量の7.2倍とした。

逐次割引率 (%)とはひとつ上のクラスの平均容量価格(HBBS容量では無い)に対して何パーセント割引するかを意味する。個別単価は、一つ上のクラスの単価を割引した結果の値である。次の累積率はその区分までの割引後の価格の合計値に対する平均単価となる。例えば、10kW未満の単価を1とし、4区分までは5パーセントづつ減額し、6区分目の2000kW以上は2パーセント、7区分以降は2パーセントづつ減額すると、1区分の10,000倍の50,000kW以上のクラスの単価は0.518になる。

この割引率は仮の設定であり、設定後、どの区部の発電業者が赤字になるかをチェックし、最終的な割引率を決定する。飽く迄も途中経過の設定である。最終的な目的は、最も効果的なスケールメリット価格を設定することである。そのためには、発電所区分ごとに、どれだけの利益が得られるか、どれだけ赤字になるかを見る事である。

価格計算では2種類の価格を設定した。弊社調査ではNAS電池の価格は24万円/kWであったが、この単価では利益の出しにくいところが有ったので、希望的観測として、安いケースとして20万円/kWを設定した。kWhの単価も、2.5万円と2.0万円にした。導入諸経費としてパワコンを含まないパネルの価格と、工事負担金も設定した。

売電収入は21年度FIT単価を使用した。すなわち、10kW未満19円/kWh、50kW未満12円/kWh、250kW未満11円/kWh、250kW以上は入札制度の為10円/kWhとした。

収支の計算は17年と20年の2種類を求めた。

シミュレーション結果、17年の収支で見ると、区分4番目の500~1000kW未満のクラスが赤字だが、それ以外の区分ではすべて黒字となった。

蓄電池の価格は10kW未満の高いケースで123.3万円で、一番高額は5万kW以上の143億円だった。1番収益性の高いのは、最大規模の5万kW以上の区分で、17年間で216億円の収益であった。


(注)逐次割引率は発電業者が利益が出ることを最優先にして、弊社独自で設定してます。蓄電池メーカーの了解は取ってません。

(図6.11)

★出力抑制による収入の安定化

HBBSを使用した太陽光には出力抑制は発生しないので、予定通りの売電収入が得られる。HBBSを使用しない太陽光には出力抑制が発生し、年200回も停止命令が出ると、個別発電所には半分の100回位停止が回ってくる。年間収入は停止が無かった場合に比べて40パーセント以上の減収となる。

HBBS使用者は収入が予定より減る事は無いので安心が出来る。


★政府関連の補助金

東京電力の2030年頃の予測計算で、太陽光だけにHBBSを使用したのに、使用していない風力の抑制回数も減少した。それぞれの効果を金額換算すると、太陽光の買取単価を12円/kWhとして、年間で太陽光発電業者は2,274億円の売電収入増となる。風力の単価を15円/kWhとすると、太陽光の2倍の4,575億円である。火力発電の燃料単価を21円/kWhとすると、なんと5,988憶円の燃料費削減効果となる。

お金を払った人より払ってない人の方が、金額面で効果が大きいのは、不公平な感じがする。この不公平さを解消するために、政府または電力会社が補助金としてHBBSの費用半分位は協力してもいいのではと思う。

補助した金額は、脱炭素社会実現促進として跳ね返ってくる。



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(6)電力会社にとって関連コスト削減のメリット


太陽光の最大出力が3分の一以下になるため、系統容量拡大の必要性が半減する。

HBBSから当日の発電量を知らせて来るので、HBBS使用の発電に対する発電量予測は不要となる。

HBBS使用の太陽光には出力抑制は発生しないので、太陽光に対する抑制処理が不要となる。

火力発電の出力が下がる事で燃料費の大幅削減となる。


 (7)HBBS効果の金額比較(東京電力の場合)


★増減した発電量

太陽光にだけHBBSを適応すると太陽光の出力抑制はゼロになり、その分、有効発電量が増える。1年間の増加分は18,950GWhである。風力発電も出力抑制が減少する。有効発電量が増える事になる。増える量は27,037GWhである。多少出力抑制は残るが、僅かである。

太陽光の南中時発電集中がなくなり、フラットな放電になるため火力発電の調整がしやすくなり、思い切り最低出力を下げる事が出来、結果火力の年間発電量が少なくなる。その減量分は、28,515GWhであった。


(図6.12

★増減した発電量の金額換算

太陽光の買取単価を12円/kWhとすると年間で太陽光発電業者は2,274億円の売電収入増となる。風力の単価を15円/kWhとすると、太陽光の2倍の4,575億円である。火力発電の燃料単価を21円/kWhとすると、なんと5,988憶円となる。(図6.13)


耐用年数の17年間に換算すると3者合計で22兆円となる。HBBSコストを太陽光発電業者だけが負担すると言うのは、極めて不公平と言わざるを得ない。

(図6.13

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(8)風力発電の抑制回数も改善


太陽光の出力抑制回数は完全にゼロに釣られて、

風力も抑制回数激減される


HBBS導入前に太陽光の抑制回数の一番多かった東北は、個別発電所の停止回数は207回(図1)であったが、HBBS適応後はゼロ回となった。風力発電の個別停止回数も314回(図1)であったが、163回に激減している。

2番目に多かった北海道も、太陽光の停止回数はゼロになり、風力の抑制回数429回(図1)だったものが、312回( =151+161) に激減している。(図6.13)

(図6.13)

Ⅶ.風力発電の供給過剰を解消


(1)風力発電が陸上の場合


HBBSは太陽光だけに適応し、風力には適応しない。適応しない理由は、太陽光発電には発電量が最大になる時間帯(南中時)があるが、風力にはそれが無い。風力は24時間発電できるので、一日当たりの発電量は太陽光の3倍以上になる。従って、膨大な蓄電池容量が必要となる。蓄電池では対応困難と思われる。

陸上風力の場合はHBBSは適応しないが、太陽光の最大出力が3分の一以下になる事で風力も昼の再エネ出力が下がる事ことで、火力発電の最低出力を大幅に引き下げ可能となる事の2点で、陸上風力発電にも大きなお零れ効果がもらえる。その効果で十分な売電収入確保が可能となる。


)大型洋上風力または大量の陸上風力として導入の場合

しかし、風力が陸上または洋上の風力として大量に稼働し始めると、既に太陽光も大量に稼働しているので、風力は大量に供給過剰となる。その実例を北海道、東北、東京の3つの地域で見てみよう。2030年頃の北海道(図7.1)と東北(図7.2)及び東京(図7.3)の稼働想定図である。


北海道の場合

容量1,981万kWが洋上風力とした場合、3/28の1日の風力発電量291.2GWh、3/28の風力MAX14.1GWhで稼働すると、風の強い3月は需要の3~4倍の風が吹く。連携線の容量を遥かに超える。


の場合

容量2,880万kWが洋上風力とした場合、12/17の1日の風力発電量485.9GWh、12/17の風力MAX21.7GWhと、需要量の2倍強が、1週間連日いている。この風力の超過分を東京に送電しても、東京も供給過剰となっているので引き受けはしてくれない。


東京の場合

2030年頃東京の太陽光の容量は4,200万kW程度稼働しており、その太陽光にHBBS導入して出力抑制を解消しているが、太陽光と原子力などの発電量でほぼ需要がいっぱいとなり、風力の殆どは出力抑制で、捨てざるを得ない状況になっている。折角、東京電力自らが洋上風力に投資したのに、何の効果も得られない悲惨な結果になる。容量4,288万kWが洋上風力とした場合、5/11の1日の風力発電量1196.7GWh、5/11の風力MAX82.0GWhとなる。


上から順に(図7.1)(図7.2)(図7.3



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(3) 洋上風力は即、液化水素へ変換


風力発電特に洋上風力に対する特別な供給過剰対策が必要である。

通常のやり方で系統に乗せようとすると、すぐに出力抑制の対象となり殆ど発電が許されない状態になる。それを避けるには、発電した電気は系統に乗せずに直接液体水素に変換(図7.4)して、後でトラック便か船便で輸送する手段を取るべきである。電力系統で運ぶなら、需要の少ない時間を限定して送電することも可能である。詳細は将来の研究課題の一つになる。

(注)発電即液化水素へ転嫁の必要性を予見した某企業は、この方式の研究を開始している。


(図7.4

Ⅷ.さらに再エネ化率を高める秘伝

「電気は貯めてから使う」時代が本格化する  ❤❤

(1) 東京電力の場合

供給過剰分切り捨て方式で、再エネ化率を高めようとすると、切り捨て部分の方が多くなり、再エネ化率が高くならないだけでなく、発電業者が経済的にも採算の取れない状態になってしまう事を説明する。

説明を分かりやすくするために、太陽光と風力だけに限定して、他の者は一切省いた東京電力のデーターを使用する。

東京電力の電力需要は夏と冬にピークが来て、春と秋は需要は少なくなり、特に5月のゴールデンウィーク期間は最低需要になるのは、毎年ほぼ同じパターンである。

太陽光発電は6月の夏至の頃を最大とし、12月の冬至の頃が最小となる。地球は太陽の周りを一定軌道で好転しているため、太陽からのエネルギーは毎年ほぼ一定である。途中梅雨の季節や台風の季節には、その年によって多少の変化はあるが、一年を通すとほぼ一定の量で発電している。

一方、風力発電は春や冬は風は多いが、夏はかなり少なくなるというパターンで吹いている。ただし、太陽光に較べると、年によって大きく変化する点では異なる。

以上の条件で、東京の1年間の電力需要を太陽光と風力だけで、供給した、すなわち、年間電力需要=年間太陽光発電+年間風力発電になるように、現在受け付けている承認済と検討待ちの半分が稼働したとして作成したグラフが、(図Ⅷ.上)である。ただし、風力は陸上風力の発電効率を適応している。このグラフから分かる事は、年間では需要と供給は一致しているが、夏のピークと冬のピークには供給不足となり、1月~6月までは供給過剰となる。供給過剰の時は出力抑制として捨て去り、不足のところは何処かから供給してもらうか、火力発電を稼働させなければならない。その結果、再エネ化率は90パーセントにしかならない。

そこで再エネ化率100パーセントを目指して、8月の不測のところを再エネで供給させるために、8月の需要 = 太陽光+風力になるまで全体を底上げしたグラフが、真ん中の(図Ⅷ.)である。全体が底上げされたため、供給過剰分が極端に増え。風力の捨てられた量は、227TWhもあり、年間需要279TWhの81パーセントに相当し、 風力発電の68パーセントが無駄に捨てられることになる。捨てられる分を15円/kWhで計算すると、毎年3.4兆円になる。年間売り上げ6兆円弱、経常2000億円前後の東京電力がこんなに沢山、出力抑制として捨ててしまうのを黙って見ているだろうか?もし黙って見ている様な経営者だったら、経営者失格と言わざるを得ない。経産省の制御方式では、毎年3.4兆円、しかも、風力発電の68パーセントも捨てることになる。こんなに捨てて、経営の無駄をまき散らして、最適な制御方法だと言えるのか??言ってるのは経産省だけだろ。

それに対して、効率良く再エネ化率を高める方法を考えよう。

需要=供給が成り立っていた最初のグラフで、供給過剰になった分をグリッド・ストレージ(以下、GS) と称するところに保存し、不足な時にそこから取り出して供給すれば、年間の同時同量が成り立つ。つまり、捨てる部分が無い状態で再エネ化率100パーセントを成立させる事が出来る。そのためには、GSにどれだけの量が保存されるだろうか?その時のグラフが(図Ⅷ.下)である。最大27.6TWhの保存量となる。東京電力の1ヶ月の需要量に相当する。

再エネ化率を100パーセントまで持って行くのに、経産省の主張する「切捨て方式」の制御を採用すると、膨大な無駄が発生する。その無駄は、地方電力の年間需要の殆どを賄う事が出来るほどの量である。無駄を生じさせないで再エネ化率を高めていくには、「貯めてから使う」方式に切り替えていくべきである。貯めるための費用は、捨てる予定だった電気の有効利用で、採算は取れるはずだ。


(図.)(図Ⅷ.)(図Ⅷ.

(2)北海道電力の場合


北海道のピーク月は、東京とは違って冬期である。また、東京と大きく異なるのは、電力需要が東京の10分の一以下で、風力(1,981万W)は太陽光(303万W)の6.5倍の容量を受付ている。東京の太陽光(4,180万kW)と風力(4,331万kW)の容量はほぼ同量である事と比べると、北海道は風力天国そのものである。

2030年の少し前に、受け付けている全てが稼働したとして、計算した稼働図は(図8.上)である。風力は全て陸上として計算した。太陽光にHBBSを使用しているので、太陽光の出力抑制は発生していない。風力は発電した内の68パーセントが抑制されている。抑制処理は経産省ご推進の九電方式で行ったため、安全率を高く(48%)取った。その結果、需要ライン以上に抑制され、その穴埋めで揚水発電を15パーセント近く供給している。そのため再エネ化率は、63パーセントしか達成出来ていない。

(図8.上)のグラフは太陽光と風力以外が含まれているのでそれら全てを除いたグラフが(図8.中)になる。覗いてみると、風力と太陽光だけで電力需要が賄えることが見え.る。年間通して供給力不足の月は存在せず、9カ月連続供給過剰である。年間の供給過剰量は8.5TWhで、風力発電の21パーセントになる。この過剰分を15円kWhで売り上げると、1,100億円になる。年間売上高6,000~7,000億円で経常利益が300~400億円の北海道電力にしたら、喉から手が出るほどの金額である。この計算は風力が陸上として計算したが、洋上風力の発電効率で計算すると、供給過剰量は42.3TWhとなるだけで、有効電力は一切増えていない。何のための洋上か、疑問に思う。

北海道や東北は洋上風力最適地の言葉に煽られて、大量の洋上風力が計画されている。しかし、洋上風力の発電効率の良さは有効利用されることなく、ただ闇雲に出力抑制として捨てられる。それを救うためには「貯めてから使う」方式に切り替えていく必要がある。


(図8.)(図8.)(図8.


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Ⅸ.電気は貯めてから使う時代になる



   ★★★★   膨大なグリッド・ストレージは実現できるのか?  ★★★★

東京電力の例では、供給過剰として捨てられる分を一時保存すると、1年間で27.6TWhとなった。この量はピーク月8月1か月間の需要量に相当する。果たしてこのような大規模の蓄電池は存在するのか?今後の再エネ大量導入の最大研究テーマとして取り上げることを提言する。


蓄電は複数個所に分けて蓄電する(図Ⅸ.1)

電気スタンド

EV時代にはEV車向けの電気(ガソリン)スタンドが必要だ。現在ガソリンスタンドは東電管内だけで7千ヶ所有るそうだ。1スタンドで毎日300車に500km走行分の電気を提供すると、1スタンド当り50MWh程度の蓄電池が必要となる。東電管内だけで一日当たり140GWhの蓄電量となる。

電気の充電時間は通常は8時間くらいかかるが、高速充電であれば30分程度で出来るそうだ。1台当たり30分掛けて、営業時間12時間に300台に充電するためには、25台が一斉に駐車できるスペースが必要となり、電気スタンドと言うより駐車場と言う感じになる。土地代の高い都会地でこれだけのスペースを確保するのは困難であり、且つ採算を取るのも困難であろう。

それに代わる対策として、蓄電池の標準化を進め、蓄電池の種類を大型、中型、小型の3種類ぐらいに限定してどのメーカーの車でも共通して使用できるようにする。電気スタンドでは充電サービスを受けるのでなく、既に蓄電しているバッテリーと数分間で交換するサービスを提供する。すでにこのタイプのサービスは、2輪車では一部メーカーが実施している。

スタンド側は、空のバッテリーに8時間かけて満タンになるまで充電する。1バッテリーに8時間かかるため、8時間で200台の車にサービスするには、常時200台の充電したバッテリーが在庫として持っておく必要がある。従って、1スタンド当り400台分の蓄電能力(20MWh)が必要と計算できる。東京電力管内で最低でも140GWhの蓄電能力が必要となる。


★フロントステーション

現在の配電変電所に相当する。東電の配電変電所は1000ヶ所は有る。配電変電所の役割は二つある。一つは需要家に電気を供すること、二つ目は発電所からの電気を受け止める事である。


★ミドルステーション

配電変電所より上位の変電所、中間変電所、1次変電所、超高圧へな電諸島を総称してミドルステーションと呼ぶことにする。東電管内だけで1000ヶ所有るそうだ。このステーションの役割は二つある。一つは電気を液体水素に変換して、変換された水素を貯蔵タンクに保存することと、2つ目は、適切なタイミングでたまった水素を電気に変換して電力系統へ送り込むこと、の役割がある。


★バックヤードステーション

旧火力発電所跡地15ヶ所を液体水素専用貯蔵タンクの保存場所とする。他所の地区との輸出入はこのステーションからトラック便または船便で行う。


(図Ⅸ.1)

Ⅹ.マイクロ・グリッド


マイクログリッドとは

「マイクログリッド」とは大規模発電所に頼らず、地域単位でエネルギー供給源と消費施設を持ち地産地消を目指す、小規模なエネルギーネットワークのことである。エネルギー供給源には、分散型電源である太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などが利用される。再エネの主力電源化を図るなら、当然現在の電力流通設備はマイクログリッド化を目指すべきだが、残念ながら、経産省はそのような検討は一切行っていない。

だが、そうした分散型電源はエネルギー供給が間欠的であるため、エネルギー需要に適合させるのが難しい。そこで、エネルギー供給安定化のため、現在の電力各社で実施している系統制御システムを、マイクログリッド制御の方向へ移行させる必要がある。


マイクログリッドのメリット

大型の発電所で作られた電気は、約30万~50万ボルトという高電圧に昇圧されて送り出される。その電気は一度変電所に送られてから各家庭、オフィスなどに届けられる。それぞれの規模や用途に見合った電圧に変更する必要がある。距離が長ければ長いほど、その間に生じる電力ロスが大きくなり、送電のために使うエネルギー量も増え、CO2の排出など環境への影響が大きくなる。しかし、マイクログリッドは電力消費者(家庭やオフィス)の近くに比較的小規模な発電施設を設置し、そこから電力を供給するので、上記のような問題が軽減される。

マイクログリッドでは供給元から需要家への距離が短いので、電力ロスも殆ど発生しない。マイクログリッドの電気供給源が自然エネルギーを使ったものなら、環境への影響も少ないというメリットがある。



東京電力の電力設備のコスト分析

発電所から需要家までに届ける送電変電配電のいわゆる流通設備に、如何にコストが掛かっているかを見てみよう。

(図4.16)は東京電力の固定資産額をまとめた表である。電力会社と言うと、一般の方たちのイメージは、発電設備という物がまず最初に浮かぶ。発電設備にはあの原発も、CO2まき散らしでやり玉にあがる火力発電等を想像する。だから、発電設備が固定資産の中で最大の額であろうと想像してしまう。ところが、(図4.16)を見ると、最大はなんと流通設備である。流通設備は全資産の三分の2にもなっている。しかも、発電設備は、流通設備の半分にしか過ぎない。          

電気料金は燃料費が占める率は大きいが。設備の維持費や固定資産税も大きくのしかかている。日本の電気料金は非常に高い。20世紀後半までは世界一高かったが、21世紀になって日本を超える国が少しづつ出て来て世界一の座から降りているが、それでも非常に高いグループに位置付けている。

世界の工場となっているCHINAの電気料金は日本の半額で、世界一易い料金である。世界の工場が集まったのは人件費の安さだけでなく、電気料金の安さが魅力の一つだったのである。しかし、ごく最近、処々の問題から大幅な値上げをした。日本にとっては、日本の工場が日本に帰ってくるチャンスであり、日本の電気料金を下げる目標も目の前に現実になって来ている。

再エネが進めば発電所規模が小型化される上に、燃料費がタダであり、流通設備が大幅に下がり、電気料金が大幅に下がる事は、マイクログリッドの大きな魅力である。


(図Ⅹ.1)

マイクログリッドのデメリット

太陽光や風力などの発電方式を採用しているマイクログリッドでは、天候や気候、地形などの影響をもろに受けやすくなります。また、狭いエリア内であると需要傾向などが似てくるので、ピーク曲線が急こう配で上昇する危険性があるというのもデメリットです。

電力需要の大きいのは都会地であるが、再エネ発電所設置の土地は都会地には確保しにくい。逆に、需要の少ない地方には比較的土地は確保しやすい。また、地方は地産地消と称して再エネの電力を時分の土地で、地産地消と称して消費してしまおうとしている。

そこで弊社が提案しているのは、地産都消である。地方で生産して都会で消費しようという意味である。即ち、マイクログリッドのデメリットを地産都消と言う概念で解決していこうという物である。それは現在電力会社ごとに行っている系統制御の中に、地産と小の機能を組み込んでいく必要があるという事である。



マイクログリッドの事例

宮古島の南西に位置する「来間島(くりまじま)」では、「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」が実施され、島内の住宅や学校などの屋根に太陽光発電設備を設置し、島内でエネルギーを地産地消する取り組みがおこなわれています。来間島に大容量電池(100キロワット)と制御システムを整備している。個人と宮古島市が整備した太陽光発電設備、計31ケ所と電線を通じてつないでいる。日中につくった余剰電力を蓄電池に蓄え、発電出来ない夜間などに供給することで、島内全約90世帯で使用される消費電力を再生可能エネルギーで賄うこと目指している。

また、アメリカニューヨーク市のブルックリンでは、「ブルックリン・マイクログリッド」と呼ばれる地域コミュティを作り、地元で発電した電気を融通しあう取り組みをおこなっています。現在はニューヨーク市ブルックリンのゴワナス地区とパークスロープ地区を対象エリアにしておこなっていますが、今後対象エリアを広げていく方針です。             


マイクログリッド時代の系統制御システム

地域単位でエネルギー供給源となる各地のマイクログリッド間の電力融通は、中央の系統制御システムが責任もって行う。また現行の電力系統からマイクログリッドへの移行の調整も、この系統制御システムが責任もって行う。(図4.17)は系統制御システムとマイクログリッド等の関連を示す図である。


マイクログリッド制御システム(図4.17)

Ⅺ.再エネ導入の最終目標

「日本の電気料金を世界一安く」


(図Ⅺ.1)

※米国は、州ごとの料金格差が大きいため州別料金の幅をグレーで表示

※中国は1kWhあたり約9円~11円、ただし21年12月に50~70パーセント値上げ実施

カナダ約9円~11円/kWh 水力発電の比率が59%(2012年)

デンマーク 約37~40円/kWh、再エネ化率50%

ドイツ約35~36円/kWh再エネ化率200%再エネ購入費+環境税も電気料金に含まれる

日本は23~25円/kWh



再エネ導入拡大で電気料金が下がる根拠


①燃料コストゼロの再エネ拡大

且つ付加金制度廃止

②再エネ発電は投資効果の大きい大規模発電所に限定

出来たら100MW以上に許可

③供給過剰分の有効利用

捨てられるはずの太陽光と風力の供給過剰分を生かす

④マイクログリッドの推進

コストに大きく占める電力流通設備コストを下げる

⑤地産都消の推進

地方の再エネ環境を都会と輸出に生かして地方の活性化を促す

「電気は貯めてから使う」ことで得られるメリット

    「貯めてから使用する」ことで「マイクロ・グリッド」が実現できる。

その実現で日本のエネルギー産業が大きく変わる。「エネルギー産業革命」である。


①出力抑制が全く発生しない形で、再エネ化率100パーセント以上が実現できる。

②大きな蓄電機能のお陰で、天候不順が続いても、天気に左右されない安定供給が出来る。

膨大な供給過剰分を捨てることなく利用する等で、日本の電気料金を大幅に下げる事が出来る。

設備コストの中で大半を占める電力流通設備コストを下げて、電気料金を下げることに貢献できる。

需要以上に蓄電した電気は、液化水素などにして輸出が出来る。エネルギー輸出国に変身できる。

日本に必要なエネルギーを海外に頼る必要がなくなるので、海外の政治動向に左右されなくなる。


再エネが目指すものは何か?


最近、やたらと再エネに対する不平・不満・批判を耳にすることが多くなった。

★パネルの設置で自然を破壊している。

★パネルの火事で被害が大きくなっている。

★天候不順つづきで再エネなんぞは使い物にならない。

★再エネ先進国のドイツは再エネ失敗で大停電になる。

★中國共産党の汚れたマネーで日本の再エネ業界は汚染されている。


再エネ拡大に不満が多いのは、再エネの行き着く先を知らないからだ。経産省の発言を聞いていても、再エネの推進で電気代が安くなるとか、エネルギー輸出国に変身できるなんて一度も聞いたことが無い。ただ聞こえてくるのは、再エネ化率の話ばかりだ。経産省や有識者たちは再エネの将来像が描けないので、将来の夢のある話なぞ出来ないのだろう。

困ったものだ。再エネの将来像をきちんと描いていれば、不満も出て来ないはずだ。






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