NAS電池で、HBBSの蓄電池容量とコスト問題消滅、

出力抑制サヨウナラ

2021/4/29     出力抑制解消には、蓄電池(HBBS)を使う以外に方法が無い。                                  しかし、その蓄電池は大容量のため製造が困難と誤解され、

作っても膨大なコストになるため採算が取れないと、見向きもされない。


蓄電池の大容量には2種類の意味がある。

一つは出力が大と言う意味と、容量が大と言う意味の二つである。

出力が大と言う意味は瞬間的な入力量を意味し、

もう一方の容量は、奥行きの長さと考えればいい。

容量を大きくするのは小さな容量の蓄電池をたくさん並べればよい。


問題は出力(入力)である。

太陽光発電の場合瞬間に発電される最大値はそのパネルの容量分である。

一方、パネルには小さく分割しても、総発電量は分割前と同じと言う特性がある。


HBBSはその分割された発電量をすべて受け入れ、均等に放電する。

HBBSは小さく、数の多い蓄電池を扱う。

数の多さにはスケールメリット価格を適応する。

蓄電池を沢山使う大規模発電の方が、粗利益率が大きい事が分かった。



お勧め⇒1年でたったの1.3パーセント上昇の再エネ化率。 これじゃ主力電源化は30年先。 その前に、原発再稼働で、再エネ業界壊滅。


当資料はA4判にして20ページあります。時間を十分にとってお読みください。 

目       次


Ⅰ.経産省の「安易な出力抑制解消策」

Ⅱ.HBBSに対する安易な誤解

Ⅲ.我が国における太陽光発電の規模別導入状況

Ⅳ.導入拡大後の再エネ化率と出力抑制は?

Ⅴ.容量とコスト問題解決(特許がもたらす企業秘密開示)

Ⅵ.発電所規模別蓄電池投資効果分析

Ⅶ.蓄電池メーカーにとってのビジネス規模

Ⅷ.風力発電業者が受けるお零れ効果

Ⅸ.一般電気事業者(電力会社)のお零れ効果

Ⅹ.HBBS投資に対する支援制度は如何にあるべきか

Ⅺ.一般社会が受けるHBBS波及効果

Ⅰ.経産省の「安易な出力抑制解消策」

         反面教師が教えたHBBS



(1)経産省の「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」

            資金で作られた東北と九州の変電所(2016年2月と3月に開設)


★★余りにも少なすぎる蓄電池容量★★

「需給バランス改善」とは再エネの発電が需要を超えた時、超えた分を一時的に蓄電池に保存し、後で保存した分を放電する目的であった。

しかし、20年4月25日の九州電力の抑制実績(図1.3)を見ると、12時の最大抑制量が280万MWhで、その日1日分の抑制量は14,314MWhであった。その抑制量に対して用意されていた豊前変電所の容量は300MWhだけである。全く役立たなかった。更に未稼働分が稼働する数年後の同日の予想が (図1.4)であるが、何と一日の抑制量が47,543MWhとなる。この抑制量をすべて保存すると豊前変電所の容量は、現在の158倍の容量が必要である。その敷地面積は東京ドーム47個分になろ。

この改善事業に700億円近い税金が使われている。将来の拡大に備えて変電所の蓄電池も拡大するとなれば、700億円の158倍の資金、11兆円が必要である。このシステムを日本全国に広めるとすると、とんでもない金額になる。



東北電力 南相馬変電所                                        九州電力  豊前変電所

    出力   40MW                                           出力    50MW              

           容量  40MWh    (図1.1)                                         容量  300MWh   (図1.2) 

      4/25の実抑制量  (図1.3)         拡大後の予想 (図1.4)    

★★ 教  訓 ★★


需要の少ない地方の、供給過剰分を保存するだけならこの程度十分だろうとの浅はかな考えで作ったが、大容量が必要であることが立証されてしまった。

東京ドーム47個分の土地を探すのは無理があるから、もっと設置数を増やし分割する。例えば配電変電所毎に蓄電池を置く。配電変電所なら九州も東北も100から200ヶ所はある。九州で158ヶ所の変電所に同じ容量の蓄電池を設置する。


ただし、その費用たるや両電力で11兆円となる。その費用はたれが払うのか?実現の可能性は全くない。


1か所に集中しても、150ヶ所の配電変電所に分散してもダメ、残るは太陽光発電所毎に蓄電池を設置するしかない。

同じ場所なら、パネルは蓄電池の上に設置できるので専用の土地は不要となり、太陽光発電のパネルと蓄電池を直結できるので、パワコンも不要となる。更に、系統接続の電圧が4分の一になるため、接続する変電所が1ランク下に変わり、系統接続工事負担金が大幅に減少する。南中時に集中する発電量が分散されるため出力抑制が発生しなくなり、売電収入は予定通りに確保できる。いいこと尽くめである。


★★多すぎる系統ロス★★


経産省の「需給バランス改善システム」では、太陽光発電から最終の需要家までに届く間の電気の損失を図に書くと図1.5のようになる。

図1.5は、パネルで直流で発電後、系統に乗せるため交流に変換し、途中で「改善システム」の蓄電池に保存するため交流から直流に変換し、再び系統に乗せるため交流に戻される。膨大な変換ロスが想像できる。

経産省は実証事業の検証テーマの中に、「システム効率70%以上」が得られることを検証せよと言った。裏を返すと、70%以下になる危険性もあることを示唆しているのである。

システム効率が70%以下になるという事は、太陽光発電が100kWhを発電したのに、最終需要家には70kWh以下しか届かないという事である。発電業者には100万円払ったのに、需要家からは70万円以下の収入しか得られない事になる。

     ここで、各種損失率について代表的なものを参考として上げておく。


   ★直流から交流への変換ロス 10~20%程度

    ★送配電ロス 殆ど無し

    ★交流から直流への変換ロス 10~20%程度

    ★蓄電、放電ロス(リチュウムイオン電池の場合) 1~5%程度   

       ★蓄電、放電ロス(ナトリウム硫黄電池の場合) 10%程度     



    (図1.5)

(参考)系統ロスは自家消費やVPPでも同じことが発生する?


最近ブームになっている自家消費で、直流交流の変換が多発するが、変換するたびに20%~30%のロスが発生し、電気代節約や売電収入がどれほど予定通りに得られるだろうか?要注意である。

    ⇒ 電力会社に直接売るほうが最大利益を得られる?



★★ 蓄電より放電が重要  ★★


最近の再エネ業界は蓄電の話題が非常に多くなっている。自家消費での蓄電池がどうのこうのとか、VPPで蓄電池がどうのこうのとか、どこそこの太陽光や風力発電と蓄電池を直結したとかしないとか、蓄電の話題が多い。しかし、残念ながら、放電の話題は全く聞かない。実は、弊社は蓄電以上に放電が重要だと思っているからである。


この「需給バランス改善システム」にはもう一つの大きな問題がある。保存していた47,543MWhを翌日の太陽光発電が始まるまでに消化しなければならないが、全てを消化する事は出来ないことが頻発する。そうなると、蓄電時間に放電と重なるとか、翌日の蓄電を止めざるを得ないとか、蓄電の意味が全くないことになる。


我がHBBSは発電終了後のゼロ時から24時間かけて均等に放電することに力を入れている。その目的は、太陽光の「タケノコ」をフラットにすることで、需要ラインを供給が越えなくなり出力抑制が少なくなるとか、系統制御が楽になりその結果火力の最低出力を更に下げる事が出来、その分再エネを多く導入できることになるとか、系統接続の変電所がワンランク下がり工事負担金が大幅に少なくなるとか、いいこと尽くめである。

弊社は放電に命を懸けているが、我が国の再エネ業界には、放電の重要性を唱える人がいないのは、我が国のレベルの低さを物語っているようだ。これじゃカーボンニュートラルなんて、夢のまた夢に終わってしまう。



(2)論理的詰め不足の「系統容量増設論」


電気は瞬時瞬時に需要と供給が一致しなければならないことは誰でも知っている。需要と供給が一致することを「同時同量」と言っている。瞬時瞬時に同時同量であれば、日単位でも月単位でも年単位でもそうであることは理解できる。同時同量は電力会社単位だけでなく、電力9社間で成り立っていることを理解している人は少ない。

(図1.6)は2019年の1年間に電力各社が連携線に流した量を図示したものである。電力会社ごとに表示されいる数字は年間の連携線利用量(単位GWh)で、黒字は電力不足のため取り込んだ量で、赤字は供給過剰で外に送り出したことを意味する。

西側から流れた電力は関西を経由して中部までたどり着いている。中部の不足分を補った後、東京に3,667GWh送り込んでいる。東の北海道から流れた電力は東北を経由して東京に流れ込み、東京の不足分を補ったがそれでも3,663GWh不足していたので中部からの電力3,667GWhで補った。ここで4GWhだけ誤差があるが、この誤差分は送電ロスと周波数変換ロスや直交変換ロスである。年間365日、24時間、然も電力9社間でたったの4GWのロスとは驚きである。

(図1.6)で分かったことは、年間を通して電力9社間で同時同量が成り立っていることである。すなわちどこかの不足分はどこかで補われているのである。


    (図1.6)

同時同量に関して最大の問題は、再エネの導入量が2倍以上になる数年後に、日本全国は供給過剰状態になることである。その状態は、太陽光発電が最大になる正午ごろに集中する。その時供給過剰分を受け取るところが無くなるので、一斉に再エネ、特に太陽光と風力を発電禁止にせざるを得なくなる。その頻度は、年に200回、300回となる。

供給過剰は昼だけでなく太陽が沈んだ深夜にも多発する。深夜は電力需要は昼の半分以下に落ち込む。最近の洋上風力ブームでビックリするほど、風力発電が導入される。風力は昼より夜の方が多い習性があるので、深夜に全国一斉供給過剰になる。

そんな状態に対して連携線容量を増やしても何ら効果が出ないのは当然のことである。経産省のお役人達は、効き目の無い連携線容量増設しか提案していない。


それに対して弊社は供給過剰状態を少なくする方法を提案している。その提案は上に伸びるタケノコを横に寝かせるだけである。それを行うのがHBBSである。HBBSは「21世紀のコロンブスの卵」と呼んでいる。

Ⅱ.HBBSに対する安易な誤解

 

経産省が準備している出力抑制対策は全く効き目がないことが分かったが、だからと言って、その代わりの対策を大学の研究機関やメーカーなどの研究所などから提案されることもない。唯一提案されているのは弊社のHBBSと、それに対応するPVSSだけである。


その状況の中で、弊社のHBBSに対して次のような後ろ向きに評価されている。


    ①大容量の蓄電池を作ることは、現在の技術では限界がある。

    ②大容量の蓄電池は高価格で、その費用の全てを発電業者が負担するとなれば

        業者は赤字だらけになる。


      (図2.1)

(1)HBBSの機能概要


後ろ向きの評価に反論する前にHBBSの機能概要を説明する。

HBBSは、一組のパネルと任意の数の蓄電池をセットにして設置する。

パネルで発電した電気は直流のまゝで一日分を蓄電池に蓄える。毎日夕方にはセンターに一日の発電量を知らせる。発電終了後のゼロ時から24時間かけて均等量を送電する。放電中翌日の蓄電とぶつかるが蓄電と放電の並行処理を行う。

各蓄電池の出力(入力) はパネルの最大出力と同じ必要がある。蓄電池の容量はパネルの最大発電量の5分間分または10分間分とする。従って容量は7~8時間の発電量を受け入れられるだけが必要となる。

これらの機能の組み合わせで、大容量の蓄電池は、小容量の蓄電池の集合体で同じ容量となる。



(2)「大容量の蓄電池は作れない」への反論


蓄電池の大容量には2種類がある。一つは出力が大と言う意味と、容量が大と言う意味の二つである。

出力が大と言う意味は瞬間的な入力量を意味し、建物に例えると玄関の広さを表している。もう一方の容量は、奥行きの長さと考えればいい。容量を大きくするのは小さな容量の蓄電池をたくさん並べればよいので大きな蓄電池は必要としない。

例えば100MWのパネルの一日の最大発電量は、760MWhの容量が必要となるが、500kWの蓄電池を1,520個並べるとできるので、大容量蓄電池は必要にはならない。

更に、数年前から大容量が可能なNAS蓄電池も出現し、100MW以上の電池が出現し稼働している。今更、大容量蓄電は作れないと言っているようだと、時代遅れも甚だしいと言わざるを得ない。


問題は出力(入力)である。太陽光発電の場合瞬間に発電される最大値はそのパネルの容量分である。例えば100MWのパネルは瞬間的に最大100MW発電することがある。(天気の関係で最大で90%程度か?)必要な蓄電池の出力は100MWとなる。

容量100MWhの蓄電池は、九州豊前蓄電所の2倍になる。こんなに大きくては、実現困難で且つコスト的にも採算は取れないだろう。(九州豊前蓄電所もNAS蓄電池です)



★★大規模出力(入力)の問題解決★★


NAS蓄電池を使うと容量も大きくなるし、入力(出力)も大きくなれる。入力が大きくなると、蓄電池コストも高くなる。蓄電池の価格は「Ⅴ.容量とコスト問題解決」で詳しく述べるが、入力の値を小さくすると価格も安くなる。また、太陽光発電の特性に、大規模発電所の数千枚のパネルをいくつかに分割して発電しても、分割した発電量を集計すると分割する前の発電量と同じ量になる。分割したら少なくなったとか、まとめたら発電量が多くなったと言う事はない。

分割のメリットは最大発電量が少なくなること。蓄電池から見たら入力が少なる事だ。100MWのパネルを100分割するとひとつ1MWの発電になり、蓄電池は1MWの出力を準備すればよい。200分割すると500kWの出力となる。

分割が多いと蓄電池の出力が小さくなるので蓄電池価格が驚くほど少なくなる。

(図2.2)はHBBS機能を使い分割した図である。HBBSの個数が多くなりその分HBBSのコストが多くなるが、蓄電池はスケールメリットのきいた価格で一括購入しするのでコスト的に安くなる。


この分割は目新しいものではない。既にパワコンで同じ考え方が採用されている。パネルは一斉に発電するので一斉に交流変換が必要になる。従って、例えば1MW同時に変換出るパワコンなら、100MWのパネルには100個並べているのである。


一つの大規模太陽光発電所の分割(図2.2)    

(3)「大容量の蓄電池は高価格」への反論


ひところ蓄電池価格は10万円/kWhとか、20万円/kWhと言われていた。

しかし、最近は2.5万円/kWhと言う蓄電池も出現している。NAS電池である。NAS電池は、負極にナトリウム(Na)、正極に硫黄(S)、両電極を隔てる電解質にファインセラミックスを用いて、 硫黄とナトリウムイオンの化学反応で充放電を繰り返す仕組みの二次電池である。また寿命も長く、密度も高いので大規模電力貯蔵に向いていると言われている。

その安いNAS電池を更にパネル分割した上に、スケールメリット価格の適応で驚くほど安くなる。その詳細は、「 Ⅳ.蓄電池コスト問題・・~Ⅵ.・・蓄電池投資効果分析」の中で記載する。

Ⅲ.我が国における太陽光発電の規模別導入状況


(1)我が国の稼働中と受付中の太陽光発電状況


現在稼働中と受付中の太陽光発電を、その容量別に件数と容量を調査した。

19年12月まで発表していたFIT認定受付資料をベースに、毎月発表している電力会社の「接続・申込状況」で現在量と数年後の数量を一致させて、容量別に集計した。


現在の太陽光発電稼働内訳と拡大予定」(図3.1)について説明する。

太陽光発電をFIT認定受付の分類に合わせた規模別に、特別高圧(3種)、高圧(3種)、低圧(2種)の合計8種類に分けた。

特別高圧は、2MW~10MW未満、10MW~50MW未満、50MW以上の3種類、高圧は50kW~500kW未満、500kW~1000kW未満、1000kW~2000kW未満の3種類。低圧は10kW未満、10kW~500kW未満の2種類である。


全太陽光の稼働中件数は263万件、容量は6,434万kWである。

件数比と容量比で見ると、低圧の500kW未満が件数比で99.5パーセントを占める。しかし、容量比では48.9パーセントにしか過ぎない。

500kW未満は、自家消費や電力会社以外の系統すなわちVPP等に参加の可能性も高く、HBBS対象外となる確率が高い。またHBBSが500kW分野に参加できたとしても、競争の激しい分野であり、シェアを取るのもかなり困難と思われる。

HBBSは500kW以上をメインとしているが、この領域は容量比では51パーセント以上もあり、1発電所の容量も大きいので、スケールメリットの価格が効果を発揮する。この価格のお陰で発電業者は利益の確保が容易となる。またこのHBBS導入ビジネスは特許で固く守られるので、他社の参入は固くガードされる。HBBS導入ビジネス規模は30数兆円程度と成り、期間は10年から15年と予想している。


500kW以上は、将来は入札制度の伸展やHBBS導入拡大などで、大規模の方がスケールメリットなどで高利益が確保しやすい事が分かり、相対的に500kW以上の比率は多くなると予測している。容量比で60%以上に伸びると期待している。

また大型の導入拡大で、電気料金が下がり、世界一高い電気代が世界のレベル以下になれば、日本の競争力も高まることが期待できる。


    (図3.1)

蓄電池のビジネスに携わるなら、500kW以上を狙った方が大きなビジネスが出来る。また、この世界は、蓄電池を売り込むという点ではまだ未開拓の世界である。早めに着手すれば独占的な展開も可能である。



(2)HBBS導入ビジネスのフエーズ化  


①フェーズⅠ --- 新規導入太陽光発電にHBBS導入 (21年~24年)      

    ★本邦初のHBBS導入である。                                                                              

    ★500kW以上の太陽光発電2,160万kW、HBBS容量にして16,420万kWh           

                                                                                                                      

     このフエーズのポイント

     ★早期HBBSの製品化

     ★HBBSを社会一般及び官庁や電力会社へへ認知してもらう事(宣伝活動)

     ★初期ビジネスから導入までを確実に行う事

                      

②フェーズⅡ --- 現在稼働中の太陽光発電にHBBS導入(25年~30年)

    ★HBBS無しで稼働している500kW以上の太陽光発電に導入

    ★対象発電所1万3千件、太陽光容量3,000万W、HBBS容量22,800万kWh

 

      このフエーズのポイント

     ★出力抑制頻度が日本全国で年200回以上になっている

     パワコンの寿命10年~15年時期に突入し、パワコン買い替え時期に突入。

     ★フエーズⅠの実績が出ており、出力抑制がHBBS導入効果が明確になった。



③フェーズⅢ ---  将来新規電力需要拡大に対応する(31年~35年)

フエーズⅡまで行っても再エネの主力電源化はもう少しのところ。この時期にはEV車も盛んになりめ、電力需要が急伸し、原発もコスト高で自然消滅し電力不足に陥り、再エネの主力電源化未達、脱炭素化の要望急拡大などで再エネ推進を更に要求される。


    ★蓄電池メーカーの収入はフェーズⅡと同等

Ⅳ.導入拡大後の再エネ化率と出力抑制は?


(1)日本の再エネの主力電源化は何時出来るか?


現在すでに100GWの再エネが稼働しており、更に未稼働の案件160GWが待機している。すべて稼働すると2.6倍の再エネとなる。

全て導入すれば再エネは主力電源になっていると期待したいところだが、残念ながら再エネ化率 36.1%にしかならない。


某環境大臣が「2030年まで再エネ導入量を2倍にする」と息巻いていたが、彼は2倍にすれば再エネ化率も2倍以上になると誤解して発言したのだろう。


何故、2倍にしても再エネ化率が増えないのか?

答えは簡単、溢れるほど水が入っているコップに更に水を注いでもコップの水は増えない。

太陽光の場合「コップの水が溢れる時」とは、発電量が最大になる南中時の発電量がその時の需要量を超える時である。超え始めると「同時同量」を守るため、発電した電気は捨てざるを得なくなる。

その時の再エネ化率は30%程度である。しかし、その30%もベースロード電源、例えば原子力などがあると、底上げされるので30%以下でも需要を超えてします。

更にもっと影響が大きいのは、火力発電の最低出力の問題がある。現在の電力会社の系統制御は火力発電の調整力で制御しているので、絶対に火力発電を止める事は出来ない。その火力発電も最低出力があり、これ以上下げると停電になる危険な限界値ラインである。それを「下げ代」ともいうが、その下げ代分と再エネの発電量と合わせた値が、需要を超えてしまうので、再エネ化率が10%でも、発電禁止となる。


(図4.1)は再エネ拡大後の電力各社の再エネ化率と出力抑制発生率の予測である。再エネ化率の高いのは四国、東北、北陸の3地域で、四国と東北は自社以外向け発電、関西と東京用の発電も含むので再エネ化率が高くなっている。その点で北陸は水力とバイオで42%もあり、再エネ化率を押し上げている。

再エネ化率の一番低いのは関西で、24.1%しかない。30%超えていないので出力抑制もほとんど発生していない。30%超え始めた中部と東京であるが、30.1%と32.7%で、俄かに出力抑制が出始めている。

東京は現在原発は一機も稼働していないが、近い内に新潟の6号機7号機が稼働すると思い2基稼働させた。(その2機も東電のチョンボで当分は稼働しない・・・永遠にないかも)東京に抑制が多いのは、太陽光が37GWと2位の九州の2.3倍と異常に多いことと、風力も35GWで北海道の3倍と、非常に多いことが原因である。東京に抑制は有り得ないと思われていた都市伝説も見事に崩れ始める。


(図4.1)

(2)出力抑制激増で発電業者が倒産するか?(図4.2)


東京も、まさかの年間225回の発電停止だ。センターの1回の停止ですべての発電所が停止するわけではなく、数回のセンター停止ですべての発電所が一回停止することになる。個別発電所停止回数とは、一つの発電所か1月に何回停止したかの回数である。東京の太陽光発電所は1年間に139回の停止、風力発電は昼と夜の停止で238回の停止である。風力は太陽光に道連れで昼と夜合わせて238回も発電停止である。

最も危険なのは東京電力自身がその危機を認識せず、何ら対応していないことである。柏崎原発の危機対応がなされていないことや、出力抑制対応が無いのは、東京電力の体質であろうか?発電禁止多発で業者がバタバタと倒れていくのを見て、東京電力は「想定外」と言って済ませるのだろう。


北海道と東北は洋上風力最適地と煽られて、膨大な風力発電が導入される。最適地には間違いないが、北海道や東北は電力需要が日本でも最も少ない地域だ。特に北海道は少ない。同時同量の観点から見たら、北海道も東北も実は、出力抑制最多発生地となる。


予想通り、北海道の風力は年間428回(昼と夜を別々にカウント)も発電禁止になる。東北は昼に340回も発電禁止になる。これだけ発電禁止になって、発電業者が生き延びれるとしたら、どこか騙されているにしか過ぎない。


この予想をこれらの電力会社に警告したら、電力会社から帰ってきた返答は「業者が倒産しても電力会社はバックアップ電源があるので問題ありません」でした。なんか変!!!


北海道、東北、東京の月別発電停止回数    (図4.2)

拡大後の東京電力(図4.3)


5月1ヶ月間の発電状況を見る(図4.3)と5月14日以外は、東北からの供給を止めているにも拘らず、全日供給過剰になっている。需要(赤破線)超えると供給過剰となるが、このグラフで5月14日以外は全日が需要を超えている。このグラフは2019年5月の発電実績と天気実績を使用し、再エネの拡大分だけを増やして作成している。

原発は柏崎の5、6号機が稼働しているものとして組み込んでいる。(図4.2)の東京の5月の停止回数は昼が29回、夜は16回、一つの太陽光発電所は18.5回停止、風力は27.4回停止だった。この停止回数は(図4.2)の東京電力に掲載している。 

          (図4.3)

Ⅴ.容量とコスト問題解決

(特許関連企業秘密開示)


(1)HBBSが適応できない太陽光発電


太陽光の出力抑制はHBBSで完全解決できるのだが、まず最初に、HBBSが適応できない発電所を説明しておく。


①太陽光発電にだけ適応する。風力発電には適応しない。

太陽光発電には発電量が最大になる時間帯がある(南中時)が、風力にはそれが無い。風力は24時間発電できるので、一日当たりの発電量は太陽光の3倍以上になる。

自家消費のある太陽光には適応しない

毎日夕方に、各HBBSはその日の夕方にセンターにその日の発電量を知らせ、深夜から24時間かけて放電している。自家消費があると約束通りの放電が出来なくなる。

FIT買取期間終了後に、自家消費となる太陽光発電

VPPに参加予定の太陽光発電

⑥HBBSのコストに耐えられない太陽光発電



(2)将来予測に必要な基本事項


①年間発電量、一日の発電量等

太陽光発電の将来予測等を行う上での基本的数値を設定する。

設定に当たっては、実績データー(図5.1)を使用する。実績データーは関東地方の7000kWの太陽光発電の1年間の発電実績を使用した。


★年間発電量実績 ;9,949,900kWh

一日当たりの最大発電量;51,897kWh     一日当たりの平均発電量;27,260kWh

カットライン40,000kWhにした時の年間発電量;9,592,990kWh

カットライン35,000kWhにした時の年間発電量;9,442,990kWh


(参考)HBBS使用すると南中時の最大発電量が、24時間均等放電で4分の一になることの証明

⇒⇒カットライン40,000する(一日の最大発電量を40,000とする)と、               40,000÷24=1,667となる。すなわち24時間放電での1時間当たり放電量は        1,667kWhとなる。7000kWの太陽光発電の1時間当たり最大発電は7000kWh

       であるから 1,667kWhは4分の一以下となる。


(図5.1)

 ②蓄電と放電の同時処理可能なHBBS容量


    2日連続して最大発電日だった場合の蓄電残量の24時間の変化は(図5.2)

    前日の発電量を1とする、当日の発電量も1となる。

    前日の発電量は24時間かけて均等に放電するので24時間後はゼロになる。

    当日発電量は発電前はゼロだが発電始めると徐々に増えて日没時に1になる。

    前日と当日の残量を合わせると最大値が1.331となる。

(蓄電と放電の同時処理を可能にする簡単な方法は、同じ容量の蓄電池を2つ並べて、蓄電と放電を日替わりに切り替えればできるが、その場合2倍の容量が必要となる)

    (図5.2)

③発電量等の推定に必要な基本データ


年間発電量やHBBSの容量計算は下記のテーブルの数値を使用する。

このテーブルは7000kWの場合であるので1000kWの場合は7分の一して使用する必要があります。2つのカットラインは投資効果と照らして、効果のある方を選択する。

  (図5.3)

(3)HBBSに最適な蓄電池

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太陽光発電に適応する蓄電池で最適な蓄電池は、NAS電池である。

その理由の第一は、安い、2.5万円/kWh、24万円/kWである。


第2の理由は、蓄電池の構造が完全に太陽光を意識して作られている。

蓄電池の出力と容量が太陽光の発電原理に一致している。(図5.6)

機種①は出力600kWに対して容量4,320kWh、

機種②は出力1,200kwに対して8,640kWh

出力と容量の比率が7.2倍になっているのは、

パネルの容量と一日当たりの最大発電量の関係にある。 (図5.1)参照

この関係はHBBSの分割にビッタシの機能である。このビッタシの機能のお陰で

              蓄電池コストを、ビックリするほど安くすることにつながる。(図2.2)参照


      第3の理由は長寿命(15年?)であること。

      出来る事なら、太陽光パネルの寿命(15年)に合わせた期間が欲しい。    


   日本ガイシのNAS蓄電池仕様(コンテナタイプ)(図5.5)


日本ガイシのNAS蓄電池仕様(パッケージタイプ)(図5.6)


(4)スケールメリット単価設定


物を大量に買えば。1個当たりの単価が安くなるのは資本主義社会の常識。

売る側も大量に購入してもらえれば、販売手数料や在庫管理費や宣伝広告費が安くなるので、単価を下げても損したという感覚にはならない。それこそ、「喜んで」安くさせて頂きますというところだろう。

スケールメリットは買い手は安く買える、売り手はたくさん売れると言うメリットがある。


商品をnパーセントの割引で、m個ごとにX回繰り返せば価格はいくらになるかは、中学生でも計算できる。                   

商品価格を1個ごとに2パーセント割引きしたとすると、1個目はa円だが、2個目はa×0.98になる。2個合わせると1.98×a円となる。同じことを繰り返すと10個目の価格はa×0.98×9乗 となり、10個合わせた料金は

              a×( 1+0.98×1乗+0.98×2乗+0.98×3乗+・・・+0.98×9乗)         となり、1個当たりの平均価格は上記金額を10で割った数字になる。      

            

                             (図5.7)

ここでいう1個とは、パネルの場合は50kWでも80kWでもよい。価格にすると、750万円とか1,200万円毎に1パーセント7.5万円または12万円の割引となる。蓄電池の場合は100kWhでも350kWhでもよい。同様に、価格にすると1,000万円または3,500万円毎に、10万円か35万円の割引となる。


弊社はスケールメリットを太陽光発電の経産省の容量区分毎に設定した。

この設定は発電業者にとって買いやすい値段に設定し、かつ蓄電池メーカーにも利益を確保できる価格(図5.8)を見つける事である。


(図5.8)を簡単に説明する

太陽光発電の区分を10kW未満から50,000kW以上の8クラスに分割して設定した。クラス毎にパネル容量とそれに必要なHBBSの容量を表示した。

逐次割引率 (%)とはその上のクラスの価格に対して何パーセント割引するかを設定した。個別単価は、一つ上のクラスの単価を割引した結果の値である。次の累積率はその区分までの割引を適応した結果の平均単価となる。例えば、10kW未満の単価を1とし、5パーセントづつ減額し、2000kW以上は2パーセントづつ減額すると、その10,000倍の50,000kW以上のクラスの単価は約半分の0.518になる。


この割引率は仮の設定であり、設定後、どの区部の発電業者が赤字になるかをチェックし、最終的な割引率を決定する。飽く迄も途中経過の設定である。

最終的な目的は、最も効果的なスケールメリット価格を設定することである。そのためには、発電所区分ごとに、どれだけの利益が得られるか、どれだけ赤字になるかを見る事である。


    スケールメリット単価設定の一例   (図5.8)

(注)逐次割引率は発電業者が利益が出ることを最優先して、弊社独自で設定してます。蓄電池メーカーの了解は取ってません。

また、HBBSを使用すると、風力発電や電力会社にも効果が発生する。例えば東京電力のケースでは、風力の出力抑制が年間3万GWh減少する。この減少で風力発電業者は毎年1兆円超の収入増になり、また東京電力は火力発電の発電量が2万8千GWh減少するため燃料費が年6千億円節約できる。


これだけの効果が出るにも拘らず、太陽光発電業者と蓄電池メーカーだけにコストを押し付けるのは不公平である。この不公平さ解消を経産省が主導的に対策を強権をもって講じるべきだ。コスト問題は、我々の問題でなく、2050年には脱炭素社会と叫んでいる国の問題だから、メーカーや発電業者は真剣に悩む必要はない。


     


(5)単価設定結果、発電業者は利益確保は可能か?


①NAS電池の価格計算式


NAS電池1セットの価格は下記の計算式で求める。

HBBS価格 = 蓄電池出力×出力単価 又は 蓄電池容量×容量単価の大の方を採用。


②単価を2種類設定した

出力単価と容量単価は2組の価格を設定した。いわゆる高いセットと安いセットである。高いセットは現在の価格(推定)、安いセットは弊社の希望価格。

   ★高いセット   出力単価=24万円/kW        容量単価=2.5万円/kWh

   ★安いセット   出力単価=20万円/kW        容量単価=2.0万円/kWh


諸経費としてパネル購入・導入費と系統接続工事負担金を設定した。

   ★パネル購入・導入費        単価=4万円/kW

   ★系統接続工事負担金        配電変電所接続=2,000万円~3,000万円、他変電 所接続=3,000万円~263,000万円


③売電収入

売電収入は21年度FIT単価を使用した。すなわち、

10kW未満19円/kWh、50kW未満12円/kWh、250kW未満11円/kWh、250kW以上は入札制度の為10円/kWhとした。

 

④シミュレーション結果(図5.9)

高いセットの単価では、10kW~2000kW未満は17年間では利益が出ない。2000kW以上でかろうじて利益が出る。10kW未満で利益が出るのは、買取価格が19円と大きい事が原因である。利益は出力抑制が全く発生しないことを前提としています。

安いセットの単価では、500kW~1000kW未満以外は利益が出る。このクラスは20年間でも利益は出せない、原因は、このクラスから入札制度適応で買取金額が10円と急減が原因である。利益を出すには、スケールメリットの割引率を更に下げるか、カットラインを下げてHBBSの容量を下げるなどの対策が必要となる。


    (図5.9)

Ⅵ.発電所規模別蓄電池投資効果

分析結果


(1)17年間と20年間の粗利益率


太陽光の発電所区分(容量別)に売電収入と投資額との間で利益が出るか、出るとしたらどの程度の利益率になるかを分析した。

(HBBSを導入した太陽光発電所には出力抑制は発生しないので、発電した電気の100%が売電収入になる)

パネルと蓄電池の耐用年数は17年であるので、まずは17年間の粗利益を計算した。また、FIT買取期間が20年であるので念のため計算した。


売電単価

    10kW未満;19円/kWh

    10kW以上50kW;12円/kWh

    50kW以上250kW未満;11円/kWh

    250kW以上;入札制(第11回上限額10.25円の10.00円/kWhとした)


★17年間の粗利益率

   高いセット;50kW~2000kW未満の発電所は赤字、それ以外は黒字

    50MW以上の発電所は6.65円/kWhの単価まで耐えられる。

   安いセット全てが黒字

50MW以上の発電所は6.0円/kWhの単価まで耐えられる。

    原発の単価は10.0円/kWhと言われており、再エネの方が安くなる。


★20年間の粗利益率

    高いセット;1MW以下の発電所は赤字、1MW以上は黒字

    安いセット;全発電所で黒字、大規模になれば利益率大となる


                17年間と20年間の区分別粗利益率    (図6.1)          

(2)収支内訳


粗利益率を計算した内訳は(図6.2)の通りである。

17年間の売電収入とHBBS(蓄電池コスト)とパネル購入費と系統接続工事負担金のみの表示である。

10kW~1000の手未満の3クラスは17年間の売り上げよりCASE1の蓄電池・パネル購入費の方が高いので利益は出そうにない。

   (図6.2)

Ⅶ.蓄電池メーカーにとってのビジネス規模


(1)フェーズⅠ・・・新規導入太陽光発電にHBBS導入(21年~24年)

 現在既に電力会社から承認済で、導入準備中の太陽光発電所に初めての適応となる。500kW以上だけを対象として総容量2,160万kW、HBBS容量16,400万Wh。売上高にすると3兆8,254億円~4兆4,211億円が見込まれる

500kW未満は自家消費へ移行するものが多いと想定しているが、移行しなかったものは出力抑制の対象となるので、HBBS導入に移行するだろう。500kW未満は件数が膨大なためNAS電池の売り上げも非常に多くなる。その金額は4.7兆円から5.5兆円が見込まれる。

フエーズⅠの、500kW未満と500kW以上の合計は8兆円から10兆円となる。


(フェーズⅠ)

(2)フェーズⅡ・・・稼働中の太陽光発電にHBBS導入(25年~30年)


★対象発電所1万3千件、太陽光容量3,000万W、HBBS容量22,800万kWh

★蓄電池メーカーの収入は500kW以上だけで5兆3千億円~6兆2千億円となる。

    500kW未満は5兆円~7兆円近くになる。合わせて12兆円~14兆円となる。

        

(フェーズⅡ)

(3)フェーズⅢ---  将来新規電力需要拡大に対応する(31年~35年)

フエーズⅡまで行っても再エネの主力電源化はもう少しのところ。この時期にはEV車も盛んになりめ、電力需要が急伸し、原発もコスト高で自然消滅し電力不足に陥り、再エネの主力電源化未達、脱炭素化の要望急拡大などで再エネ推進を更に要求される。


    蓄電池メーカーの収入はフェーズⅡと同等

    ★フェーズⅠ~フェーズⅢの蓄電池メーカーの合計収入は

               本命の500kW以上は15兆円、

    500kW未満は半分は自家消費で対象外、残り半分で9兆円、

    合わせると、24兆円の規模となる。

Ⅷ.風力発電業者が受けるお零れ効果

  

(1)風力発電は、太陽光発電より出力抑制になりやすい理由


理由1.太陽光が供給過剰になると、共犯として風力も出力抑制の対象となる。


    再エネ導入拡大後、東京電力の個別発電所停止回数を見ると、太陽光が139回、

    風力は238回と、圧倒的に風力の方が多い。多くなる理由を説明 する。

       

         現在東京では供給過剰にはなってないが、近いうちに導入を予定している

    太陽光のすべてが発電し始めると、ほぼ全日供給過剰になる。( Ⅳの(図4.3)参照)

         

    太陽光が供給過剰になる時は正午近辺であるが、その時は風も吹いているので、

    風力発電も共犯者として、発電停止になる。 (図8.1)


               太陽光が供給過剰になると風力も共犯(図8.1)

理由2.夜間、特に深夜は電力需要は昼の半分以下になる。しかし、深夜にも

               ベース電源は止まらないので、再エネの余地は少なくなる。(図8.2)

               それに反して、風力は昼より夜間のほうが風が強いことが多いので、発

    電量が昼間より強くなる傾向がある。

               

               図8.2は東京電力の19年度の需給実績から、季節別時間別需要量を表示

   したものである。これを見ると需要が最大となる夏ピーク期の最大需要

  量は、15時ごろに発生した5543万kWhであった。その日の最低需要は、

  早朝の2971万kWhである。需要の少ない6月の最大需要は約4000万kWh

  であったが、最低はピーク日とさほど変わらない2590万kWhであった。

   5月のゴールデンウィーク期間は最大値がピーク日の半分以下であるの

   に、夜はピーク日と最低日とほとんど同じ量である。

    

   火力発電は止められない、少なくとも最少の量だけは発電しておかなけ

   ればならない。昨年の最低出力は1355万kWhであった。火力以外にも、

  止められない発電がある。例えば原子力がある。東京は現在原子力は稼

  働していないが、他に最近は止める事の出来ない再エネが増えてきた。

  止められない再エネとは、小水力、バイオ、地熱であるが、その量も増

  えてきた。北海道、東北、関西は止められない再エネの合計が太陽光よ

  り増えている。東京もその合計が数年後には1,300万kWになるので、

  夜間の風力発電の稼働余地が増々無くなる。夜間の発電停止は風力だけ

 である。太陽光は昼だけ止められるが、風力は昼も夜も止められるの

 で、停止回数が太陽光より多くなる。


夜間は電力需要が少ない(図8.2)

(2)風力にはHBBSは適応していないのに、効果がある理由


①太陽光のタケノコが横に寝るので、風力も横になり、需要ラインを超える確率が少なくなる。

夜間の需要の少ない時間帯に、太陽光のHBBS効果で火力発電の最低出力を更に下げる事が出来る。


(図8.3)は太陽光だけにHBBS適応した後、太陽光の停止回数は皆無となるので、風力発電の停止回数だけを、電力3社について集計したものである。


例えば、北海道は適応前は428回だったが、適応後は312回(=151+161)に、東北は314回だったが227回(=64+163)に、東京は238回だったが25回(=17+8)に改善されている。


北海道や東北の改善率が少なく思えるが、その理由は「あまりにも風力が多すぎる」からである。それがはっきりと図示しているのが(図8.4)である。

しかし、グラフの下の比較表を見ると再エネ化率が43.8%から66.0%に改善され、

出力抑制率も太陽光は60.7%から0%へ、風力が75.5%から58.7%に改善されていることが分かる。


図8.3)

(北海道)HBBS適応前と適応後の1年間の稼働比較 (図8.4)

Ⅸ.一般電気事業者(電力会社)にも

お零れ効果


❤ ❤ ❤ 電力会社は1銭も投資していないのにお零れ効果が大きい ❤ ❤ ❤



(効果1)

火力発電の稼働減少で燃料費激減、経常利益増大


(図9.1)は東京電力のHBBS導入前と導入後を比較したグラフと集計表である。

HBBS導入前は太陽光と風力に出力抑制があったが、導入後は太陽光は完全解消し、風力にもほとんど解消しているのが見て取れる。(全ての太陽光にHBBSを導入している点にご注意ください)再エネ化率も32.7%から51.3%に向上し、火力の発電量が143,082GWhから114,567GWhへ減少していることも分かる。                                               

火力発電の平均的単価21.0円/kWとすると火力の発電量減少で年間 5,988億円の燃料費削減となる。                                                                          

東京電力は大震災時の原発事故に対する損害賠償のために、今後10年間は毎年5,000億円以上の経常利益を捻出すると国に対して約束していにもかかわらず、10年近くが経常利益2,000~3,000億円程度の東京電力にとっては、年間 5,988億円も燃料費が節約できるとなれば、原子力に力を入れるより再エネを推進した方が、経営にとってはメリットが大きいのではないか?(東電は本気になって5000億円の約束などしていない。実現できなくも会社が潰れる訳でもない。発電業者が潰れても東電の腹が痛むわけでない。主力電源化なんてやってる振りをしておけばよい)           

              

東京電力のHBBS導入前と導入後の比較((図9.1)

(効果2)

南中時の最大発電量が4分の一になり、系統容量増加効果


太陽光発電の系統接続基準は、南中時の最大発電量で計算される。だから、系統はすぐに系統の容量不足に陥ってしまう。この不足に対して、経産省はバックアップ用に使わずにいた回線を開放することになった。いわゆるN-1電制である。

本来必要なバックアップ回線をほかの用途に使ってしまうのだから、いざバックアップと言うとき、何らかの弊害が出て来るであろう。だからと言って、新規に系統を増設すると、ビックリするほどコストが掛かるのである。

HBBSを太陽光発電に適応すると南中時の最大発電量は、系統を経由せず蓄電池に保存され、全蓄電後、一日の発電量を時間かけて均等に放電するので、4分の一になる。

電力会社にとっては、系統を4倍に増やしたと同じ効果が得られる。電力会社は何らコストを掛けて無いにも拘らずである。


(図9.2

(効果3)

天気を予測しながらの制御が、前日の発電実績での制御に変わる


再エネの導入が本格的に始まった年より少し前に、電力会社の系統制御担当者が嘆いていた言葉を思い出す。「FIT制度で買い取った電気は、捨ててしまうのが電力会社にとって一番経済的だ」と。天気に左右される太陽光発電を系統に組み込むには莫大なコストが掛かると言いたかったのだ。

自社のHPサイトに太陽光発電所の発電状況をリアルタイムで表示していた某電力会社幹部、曰く「太陽光発電が如何に使い物にならない代物であるかを知って貰うために」リアルタイム表示したと。

発電日前日に各地の日射量予測から始まり、需要予測、発電予測、出力抑制予測を行い、当日は人工衛星からの雲の動きを取り込み、スーパーコンピュータで発電予測を再度行い、ときには発電停止を命じたり、停止を取り消したり、当日の系統制御担当者は必死になって職務を遂行している。

どこの電力会社でも系統制御室は本社ビルの最上階にあり、その下のフロアーが役員室になっている。電力会社では、社長より偉いのは当日の制御担当者となっている。制御に関しては社長もモンクを言えないそうだ。

HBBSを使用すると、発電日の夕方に、その日の発電量をセンターに通信回線経由で知らせ、知らされたデーターで翌日の稼働計画を作り、その日のゼロ時からその発電量の24時間かけて均等に放電する。センターでは発電量予測は不要となり、放電中は天気の変化には何ら関係なくなり、太陽光発電に対しては出力抑制の制御も不要となる。

系統制御担当者は風力発電にだけ注意しておればよい。夕方に、その日の発電実績を知らせることが再エネの安定稼働につながり、且つ再エネの導入量増加をもたらすとは、凡人には考えられない。その証拠に、経産省の役人も、似非学者や評論家は全く気付いていない。

(効果4)

当日の発電実績から翌日以降の稼働計画を立てることによる多くの効果


電力の系統制御の操作には稼働計画が必要である。稼働計画とは「どの発電所を何時から動かし、何時に止める」かの計画である。

何故計画が必要になるか?火力発電所は急に稼働開始しろと言われても開始できない。発電機毎に、スイッチを入れてから営業運転開始まで異なる時間が必要である。短いもので、2~3時間、長いもので石炭火力は24時間かかる。中には定期点検や故障で暫くは使えない発電所もある。

一方、系統制御には精度の高い需要予測が必要である。その予測は3分間隔で作られており、誤差は数パーセントの範囲内に収まっている。予測は毎日17時過ぎに、翌日と翌々日の2日分が作られ、稼働計画も当然2日分が作られる。



 何故、火力発電の最低出力を下げる事が出来ないのか?


「最低出力」とは何かをまず最初に説明しておく。

自転車に乗る方なら分かるが、自転車はある程度のスピードで走っているときは転ばない。止まると転んでしまう。転ばない程度にノロノロ運転が、最低出力である。ノロノロ運転していれば直ぐにスピードを出す事が出来る。

何故、「直ぐにスピードを出す」必要性が有るのか?

その必要性を(図9.5)で説明する。この図は東北電力の火力発電と太陽光発電と需要と連携線利用だけを取り出したものである。太陽光発電は日の出から発電開始し、南中時に最大発電量4500MWhになり、日没で終了する。太陽光が日の出から発電開始すると火力発電は出力をどんどん落とす、この機能を調整力または「下げ代」機能ともいう、南中時に太陽光が最大発電になると太陽光の出力が落ち始めるので、火力の出力を2~3時間の間に3000~4000MWhも出力を上げる、この機能を「上げ代」と言う。「下げ代」も「上げ代」も発電機自身が持つ機能で、外部からの指令なしに動く機能である。火力発電は賢いのである。


そこでもう一つの問題は、何故火力発電はもっと出力を下げなかったかである。その回答は、数時間後に迫っている需要7700~8000MWhの供給しなければならない。新たに発電機を稼働させても、数時間では立ち上がらない。数時間後の需要を満たすには火力の「上げ代機能」に頼るしかない。上げ代機能の最大値は約2倍であるので、数時間後の最大需要の半分程度にしか下げられない。それ以上下げると大変なトラブルが発生する。

夏の最大需要時間帯は15時近辺だが、それ以外の季節では夕食の準備が始まる17時~19時近辺が多い。その時間は太陽光の出力が無いので火力発電に頼らざるを得ない。このピークに火力発電機を何機必要かは、前日の稼働計画の中で計算される。当然、発電機毎の立ち上げ時間から逆算した投入時刻、その発電機の下げ代は幾らで上げ代の合計が数時間後の需要に間に合うかなど、全て計算されて稼働している。


稼働計画は前日の夕方に行われる。その時刻までに計画作成に必要な全てを揃えて置かなければならない。需要予測、発電予測、HBBSからの発電実績等々である。

まず、当日の夕方全HBBSから当日の発電量が届く。稼働計画作成後午前ゼロ時から翌日の稼働が始まり、その発電量を24分の一づつ放電される。風力発電は予測され量が表示されている。

(図9.5)は2日間の稼働計画図式化したものである。


 HBBS使用すると、何故、最低出力が下げられるのか?


太陽光発電にHBBS適応することで電力会社は①発電予測処理不要②太陽光の抑制処理不要などで、多くの人件費削減の効果がでてくる。

Ⅹ.HBBSへ投資する太陽光発電業者支援制度は

如何にあるべきか


国を挙げてのNAS蓄電適応支援体制を作るべきだ。

10年から15年間で25兆円以上の経済効果が大きい。

出力抑制に失敗すると、発電業者倒産で莫大な景気  悪化が起きる。

NAS蓄電池導入に成功すると、再エネ関連の全ての技術を世界へ展開でき、日本の経済を活性化させる。



Ⅺ.一般社会が受けるHBBS波及効果


原発より遥かに安い再エネの大量導入で、世界一高い日本の電気料金を大幅に下げることになり、日本の競争力が大幅に向上し、日本経済の活性化をもたらす。


お勧め⇒1年でたったの1.3パーセント上昇の再エネ化率。 これじゃ主力電源化は30年先。 その前に、原発再稼働で、再エネ業界壊滅。



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