敵を知り、己を知れば百戦危うからず

太陽光発電は天気に左右されるので不安定である。

だから、本格的に使用するとコストばかり掛かってしまうと、

発言する人たちがいる。

それは太陽光の特性を知らない人たちの思い込みである。

陽光の発電特性を知り、その特性を生かした使い方をすれば

太陽光発電は、人類最後の最強エネルギーとなる。

特性 Ⅰ;「タケノコシンドローム現象」


太陽光発電の導入容量が増えると、発電量は南中時を目指して、

上へ上へと伸びて行く。

決して横には広がらない。

タケノコは一日に30センチ伸びる。猛烈な勢いである。

伸びきった「タケノコ」は、「天井」(平均日需要)を突き抜け、

更に伸びると、屋根(ピーク日需要) も突き抜ける。

突き抜けた「タケノコ」は切らざるを得ない(出力抑制)

特性Ⅱ;電力需要の全てを太陽光発電だけで供給するには、                   南中時の需要の3倍以上の発電が必要となる。


一日24時間の電力需要(需要曲線で囲まれた面積部分)を、

太陽光発電(双曲線で囲まれた面積)だけで供給するとした場合、

南中時の太陽光発電量は、同時刻の電力需要の3倍が必要となる。

一日24時間の電力需要(需要曲線で囲まれた面積部分(土色))を、太陽光発電(双曲線で囲まれた面積)だけで供給するとした場合、南中時の太陽光発電量は、同時刻の電力需要の3倍が必要となる。

例えば、閑散日の南中時需要は2,485万kWであるが、閑散日一日の需要と同じ量を発電出来る太陽光発電はステップ2の曲線となる。その曲線の最大発電量は7,922万kWであり南中時需要の3倍以上となる。

同様に、ピーク日の南中時需要4,947万kWの3倍近い12,675万kWの太陽光発電となる。注意すべきは、3倍は晴天日の場合であるが、実際の雨や曇りを含めると、晴天日の4〜5倍の発電量が必要となる。

特性 Ⅲ;24時間放電時の時間当たり放電量は、南中時最大発電量の3分の1~4分の1の電圧になる


太陽光発電が晴天日に発電した一日分を24時間かけて均等放電すると、

1時間当たりの放電量は、南中時の最大発電量の

3分の1~4分の1になるという、特性がある。

日照時間が多い夏至の頃は3部位の1で、当時の頃は4分の1になる。


例えば、Step1の曲線(白線)は最大値が2400万kWで24時間放電では847万kW、Step2(赤線)では最大が7,922万kWで24時間放電では2,683万kWとなっている。Step3の太陽光発電の一日分の発電量を24時間かけて放電すると、時間当たりの放電量は4,294万kWとなる。この放電量では、南中時の需要を超えることは無い。   ただし、早朝の低需要時間帯の需要超えることがあるので要注意である。

特性Ⅳ;太陽光の年間発電量は、毎年ほぼ同じである

太陽から届くエネルギー量は同じ軌道を通っているため毎年同じ量である。

地上に降り注ぐ量は大気透過率の影響で、毎年多少の影響は受ける。

がしかし、その影響度はたいして大きくない。

それは気象庁が観測した全天日射量を地域別に数年間を比較してみればわかる。

風力発電はその年によって発電量が大きく異なる点が、太陽光との違いである。

地上に届く年間全天日射量は、毎年ほぼ同量であることは分かったが、太陽光発電は温度や湿度の影響も受ける。6年以上の発電実績がある愛知県の家庭用発電(出力4.8kW)の年間発電量(図5.7)を比較してみる。年間の発電量は大差が無いことが分かる。

特性Ⅴ.我国では太陽光の最大発電は、

北から南まで正午の±30分以内に発生する。

日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置しているため、太陽が北海道の東の端の根室市の上空に来てから1時間後に、西の端の九州平戸の上空に来る。

つまり、日本列島は太陽光軌道の1時間の範囲にある。

の地図は、その事を確認するために掲載した。実際に太陽光発電の最大値が1時間の範囲にあるかを確認するために、2020年5月3日の電力各社の電力需給実績に記載された太陽光発電の実績から作成したグラフである。このグラフを見ると沖縄以外はほぼ同時刻に最大発電量になっている。(東京と四国は単位が万kWであるが他は全てMWである)


我が国の再エネのうち6割が太陽光であるので、

日本が一斉に太陽光で供給過剰になる危険性を持っている。

再エネ拡大に必須の前提知識


特性Ⅵ.電気は使用分だけ発電しなければならない(同時同量)

同時同量は連携線で結ばれている電力9社間で

常に成り立って居なければならない。

下図は2021年5月3日12時に連携線を流れた電力量を表示したものである。図中では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が連携線欄の数値である。数値が黒字であれば、不足していたため外部から取り込んだことを意味し、赤字であれば供給過剰のため外に放出したことを意味する。例えば関西電力は2,453MWh不足であったので、外部から取り込んだ。取り込み先は中国から2,808(以下単位は省略)、北陸から470取り込んだが不足分を補充したので余った825は中部へ送ったことを意味する。連携線の使用目的は、どこかの供給不足を補うためにあり、全社が一斉に供給過剰になったら連携線の効果は発揮できない。

逆に全域が不足状態になっても効果は無い事になる。全地域が晴天で太陽光がフルに能力を発揮して供給過剰になっているとき、全域が雨天で太陽光の発電量が極めて少なくなっている地域は火力や水力や揚水発電で不足を補うので、外部に助けを求める必要は無い。外部に助けを求めるのは前日の内に行うのが原則であるので尚更である。

甚だしい誤解は、「連携線の容量を増やせば、供給過剰が防げる」との幼稚な誤解である。全地域が供給過剰になったら、連携線の容量を増やしても何ら意味が無いことを確り理解して貰いたい。

再エネの内6割も太陽光で占める我が国は、将来(2030年頃)、北の北海道から南の九州までが、正午に一斉に供給過剰になる。その時、供給過剰分を引き受けるところが無いため、全国で一斉に出力抑制処理をしなければならなくなる。連携線の容量を増やしても、連携の効果が全く発揮出来ないのである。全国一斉に出力抑制処理をせざるを得ない。それが原因で「再エネの主力電源化」も、「RE100」も、「脱炭素」も実現できない。出来ることは再エネ関連業者の屍の山を築くことだけだ。

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