ワインの涙

以下は300倍速の動画です, 時計皿の直径は8cmです.赤い液体は、水にアルコールを70パーセント程度加え赤インクで可視化したものです

動画を撮影したときの設定は以下のとおりです.

(i)から(iv)までの様子が蒸発皿の斜め上より撮影されています

実際,家の日本酒や名前のとおりワインをグラスに注ぐと,液面が上昇していく様子が見られます.

同じ液体を,時計皿に入れると角度が緩いため,より明確な涙が生成されます

このような涙の形成はいかに理解すればよいでしょうか?

まず溶液(疑似ワイン)はアルコール(エタノール)と水の混合物であることに着目します,アルコールは水から蒸発します.

このため,水面からアルコールが一様に蒸発すると仮定すると壁面の近くでは水相の量が少ないため,壁面近くでのアルコール濃度は壁面から離れた場所に比べ低くなります.

アルコールには界面活性があり水の表面張力を下げることに着目すると,壁面近くでは溶液の表面張力は壁面から離れた場所に比べ高いことになります.

ここでマランゴニ効果がカギとなります.マランゴニ効果とは,表面張力の低い場所から高い場所へと流れが生じる現象です.

これらの影響で壁面近傍への薄い膜へ定常的に流れが生じ,持ち上げられた溶液は涙を形成するのです.