山口大学の授業料改定手続きに対する山口大学教職員有志呼びかけ人の1人である、人文学部の桑畑洋一郎です。この場をお借りして、今回の授業料改定に対する抗議のメッセージを再度お伝えします。
まず強調しておきたいのが、教職員有志としては、授業料値上げの是非自体は主な論点としていないということです。我々も、教育研究用の機材が壊れてもなかなか修理されない状況を目にしていますし、実験がある学部では、器具の調達にも大変な思いをしている状況であると聞いています。いずれにしても現状の財政面での厳しさは理解しています。
我々が問題視しているのは、今回の授業料改定の手続きです。特に問題なのは、学内での議論が全くと言っていいほどなされていないこと、値上げ額の根拠が明示されていないこと、そして最後に、受験生をはじめとした学外の方々への配慮が見られないことです。
前の2つも問題ではありますが、最も大きな問題だと考えているのは3点目です。今回の授業料値上げ改定の発表は、総合型選抜の出願が終わった後面接試験の直前に、しかも人目に付きにくいやり方で行われました。まず、出願後というのが大問題です。通常は受験する際は、募集要項に書いてある額を前提に動きます。それが出願後、年間10万円増額と言われることの衝撃は、非常に大きいものであったと想像ができます。10万円増に対応できる家庭でもそんなに簡単なことではないですし、10万円増に対応できない家庭もいるであろうことも想像できます。また、面接試験直前というのも問題です。気付きにくい発表であったとは言え、そのタイミングで気付いた受験生がいた場合、試験を受ける直前に大きな動揺を誘うことになります。
また、まだ出願していない、これから試験を受けようとする受験生にも大きな衝撃があったと思われます。どの大学をどの試験で受験するかというのは、それなりに長い期間をかけて高校等も含めて検討し準備をします。検討と準備の際には現行の授業料を前提としているはずで、それが増額となったら、長期間かけて検討・準備してきたことを変更せざるを得ない場合もあると思われます。そうした、長期間の検討・準備をひっくり返すようなことが、今回の改定発表によって生じる可能性が出ています。このような不誠実なやり方では、山口大学の受験を検討してきてくれた方々や、4月から入学してくる新入生に対して申し訳が立ちません。
以上のように、我々は、今回の授業料改定の発表には、特に受験生やその関係者に対する影響が非常に大きいこと、それにもかかわらず、影響を軽くするといったことや受けた衝撃をケアするといった配慮が全く見られない点が非常に問題だと考えています。そこで我々は再度提案します。これから記者会見を準備しているとのことですが、まだ間に合います。4月入学生からの授業料値上げというスケジュールを一度止めた上で、きちんとした対話に基づいた検討の上で方針を決め、仮に増額するとなった場合は、十分な期間を取り多くの方に伝わる広報の方法を取ってください。
手続きに誤りがあった場合は出発点に戻るという判断を下せることも執行部には求められています。もう一度考え直してください。
以上