令和7年10月26日(日)山寺芭蕉記念館
【事前投句の部】
鈴木正子選
特選
届かざる父を追ひかけ墓洗ふ
上山市 佐藤権一郎
秀逸
最上川を一望せむと登高す
山形市 横道輝久子
盆帰省母の漬物あればいい
鶴岡市 佐藤 苑
旋回が久の別れの秋燕
東根市 阿部美和子
佳作
山寺や山重なりて秋の色
山形市 小関恵子
逆転の外野スタンド大西日
上山市 石黒正二
食卓の角も客席盂蘭盆会
鶴岡市 渡部道子
月光に影絵めきたる五大堂
天童市 髙橋喜恵子
日帰りの列車乗り継ぎ墓参り
大石田町 柏倉ヤス子
一通の書簡片手に濁り酒
東根市 冨樫正義
バトン受け一気に加速運動会
山形市 鈴木 実
村長は櫓の上や盆踊
山形市 鈴木周子
名月や雲の離るる刻を待つ
山形市 松田恵子
瑕瑾なき月山の空水の秋
山形市 武田志摩子
伊藤 寛選
特選
パン生地の機嫌の良さよ涼新た
山形市 鈴木あい
秀逸
青空に張り付き照らす残暑かな
谷地高校 松田姫奈
ゴンドラの行く先に待つ星月夜
東根市 冨樫正義
観劇の余韻断ち切る極暑かな
東根市 土田 薫
佳作
一人居に届く炊きたて五加木飯
東根市 門脇好子
天高し和墨際立つ席書会
東根市 冨樫正義
バトン受け一気に加速運動会
山形市 鈴木 実
千段にいどむ傘寿や昼の虫
東根市 庄司玲子
白檀の香に安らぎ絵灯篭
米沢市 結城芳理
山彦の楽しんでゐる紅葉山
山形市 宇井千恵子
草臥れし蜻蛉が休む妻の肩
西川町 清野幸夫
村長は櫓の上や盆踊
山形市 鈴木周子
鳳仙花爆ぜて明日も晴れ予報
庄内町 齋藤八重子
瑕瑾なき月山の空水の秋
山形市 武田志摩子
牧 静選
特選
大鍋に郷土まるごと芋煮会
山形市 山岸宙旅
秀逸
水槽にざわめく光新豆腐
山形市 横道啓一
自転車に浮き輪二つと子を二人
山形市 石澤清美
鎌にぎる指にまきつく残暑かな
鶴岡市 秋場洋子
佳作
芭蕉曽良像の木陰や秋の蟬
山形市 小関恵子
夏空の雲を突き抜け紙飛行機
谷地高校 井上友葉
梅を漬け妻の記憶の蘇り
山形市 栗原ただし
去年よりさらに余りし単帯
天童市 岡田久一
立膝に正座に胡坐芋煮会
山形市 鈴木 実
山刀伐峠のスイッチバック野菊咲く
東根市 庄司玲子
封人の家夏炉焚く翁の座
東根市 結城トミ子
石段に徳利の彫り絵法師蟬
鶴岡市 丸山杜子緒
飛び入りの客の巧みな踊笠
山形市 鈴木周子
朝涼の息を継ぎつぎ磴千段
鶴岡市 木村慶子
伊藤ふみ選
特選
海鳴りの大きくなりぬ秋の浜
山形市 志鎌惠美子
秀逸
炎昼や点字ブロック尽きて佇つ
山形市 庄司芳彦
夏空を一人見上げて影送り
谷地高校 後藤凪彩
擂鉢に我家の歴史とろろ汁
天童市 大泉陽子
佳作
秋風や鳥海山より吹き始む
遊佐町 鈴木陽子
夜の秋昔覚えしピアノ曲
大石田町 木村 正
自転車に浮き輪二つと子を二人
山形市 石澤清美
ゴンドラのいく先に待つ星月夜
東根市 冨樫正義
風死して奪衣婆の威の極まれり
山形市 鹿野明彦
露の玉地球のまるみ帯びてをり
上山市 佐藤権一郎
引き波へ被さる波や月の浜
山形市 鈴木あい
観劇の余韻断ち切る極暑かな
東根市 土田 薫
西瓜食む時代遅れの服を着て
山形市 戸田正宏
畝少し弓形になり大根蒔く
山形市 松田恵子
【席題の部】席題「草の穂」
特選句
鈴木正子選
納骨や喪服に仄と草の絮
東根市 冨樫正義
伊藤 寛選
登拝の一礼深く草の絮
東根市 伊藤 幸
牧 静選
分け入りて雨滴零るる穂草径
東根市 阿部美和子
伊藤ふみ選
納骨や喪服に仄と草の絮
東根市 冨樫正義
互選高得点3句
1位
納骨や喪服に仄と草の絮
東根市 冨樫正義
2位
旅の人リュックに穂草ひとつ挿し
山形市 金谷ゆかり
3位
草の絮飛ばして心軽くせり
天童市 五十嵐恒子