第36回公益社団法人 俳人協会 東北俳句大会・秋田大会
山形県俳人協会会員受賞者
大会賞
折鶴の折り目を糺す広島忌 牧 静
井越芳子選
入選
ゲルニカの牛の眼の涼しさよ 牧 静
また来たる昼寝時なり薬売り 後藤松溪
門前の読経流るる花吹雪 大森アキ
蚊一匹赦さぬ夜半の騒ぎかな 牧 静
竹の秋魚板の腹の凹みかな 鈴木正子
春セーター母の笑顔に似合ふ色 五十嵐恒子
小澤 實選
入選
真直ぐに植ゑても曲がり田植終ゆ 佐藤権一郎
白息を吐いて鏡を拭きにけり 秋場洋子
よく喋ることも妙薬敬老日 鈴木正子
ペディキュアの指をシャワーの水流る 伊藤 寛
たかんなの一撃仕留め喜寿の夫 こせき貴美子
日本海の水面きらきら夏近し 青葉信子
蔵褒めて日和を褒めて松の芯 長谷川陽子
寺島ただし選
入選
うぐひすや父祖の田畑の手つかずに 鈴木正子
種袋振って畝数決めにけり 後藤松溪
小さき子を挟んで雪の通学班 五十嵐恒子
樏 で転び一句を拾ひけり 伊藤厚子
夫に無き齢重ねて春惜しむ 折原廣子
藤本美和子選
特選
折鶴の折り目を糺す広島忌 牧 静
入選
種袋振って畝数決めにけり 後藤松溪
張り渡す裸電球夏祭り 伊藤 寛
草野力丸選
入選
よく喋ることも妙薬敬老日 鈴木正子
金平糖卓に転がる緑の夜 猪俣洋子
昭和の日念入りに拭く黒電話 伊藤厚子
大瀑布雑念全て流しけり 伊藤小百合
竹の秋魚板の腹の凹みかな 鈴木正子
子の描く日焼けの父の巨きな手 牧 静
蕗のたう土にひろげる設計図 伊藤 幸
日本海の雄叫びの如鰤起し 横道輝久子
小野寿子選
特選
老境のただ中にをり春満月 横道輝久子
子の描く日焼けの父の巨きな手 牧 静
入選
春セーター母の笑顔に似合ふ色 五十嵐恒子
鳥海山の裾よりそよぐ大青田 伊藤厚子
月山の霞の上に浮かびをり 青山君代
出羽富士の影を手元に田植笠 髙橋長丘
吉田千嘉子選
特選
濁り川根こそぎ秋を攫ひけり 秋場洋子
小さき子を挟んで雪の通学班 五十嵐恒子
特大を川より上げて西瓜割り 小島緑泉
入選
山吹や小さき棚田の野面積み 石黒正二
あぢさゐや奥院までの径見せず 小島緑泉
白濱一羊選
入選
父の忌や叱咤のやうな春吹雪 菊地みさ子
世辞疎きままの一生蟇 佐藤権一郎
夏座敷女系家族の沸騰す 牧 静
昭和の日念入りに拭く黒電話 伊藤厚子
夫に無き齢重ねて春惜しむ 折原廣子
かなかなや遺品に古きわれの文 原田みる
澤口航悠選
入選
無住寺の薮の中なる初音かな 斎藤真人
蕗のたう土にひろげる設計図 伊藤 幸
ものの芽や風まだ固き出羽暮らし 伊藤小百合
一斤パン背負つて尻もち初幟 原田みる
新緑や閉じることなき土偶の目 牧 静
及川永心選
入選
干拓の千畳敷や青田波 庄司玲子
よく喋ることも妙薬敬老日 鈴木正子
アドバイスに頷き通し新社員 松田恵子
蚊一匹赦さぬ夜半の騒ぎかな 牧 静
薫風や笛吹きながら下校の子 原田みる
坂内佳禰選
入選
笑ひ声十の音色や花の下 三浦茂子
子の描く日焼けの父の巨きな手 牧 静
青空を動かさぬやう果樹芽かく 伊藤 幸
竜天に登り火伏の笙ひびく 伊藤厚子
天平の木簡の色燭涼し 伊藤厚子
雨一粒二粒三粒四葩 咲く 小島緑泉
カーネーション一寸長生きするつもり 鈴木あい
夏野行く父のピッケル携へて 志鎌惠美子
小林里子選
入選
世辞疎きままの一生蟇 佐藤権一郎
花辛夷昼を灯して木乃伊寺 牧 静
薫風やイザベラ愛でし羽後山河 伊藤厚子
解体新書残る涼しき武家屋敷 伊藤厚子
夫に無き齢重ねて春惜しむ 折原廣子
花万朶浄土も穢土も身の内に 木村比紗子
高宮善治選
入選
山吹や小さき棚田の野面積み 石黒正二
竜天に登り火伏の笙ひびく 伊藤厚子
天平の木簡の色燭涼し 伊藤厚子
ものの芽や風まだ固き出羽暮らし 伊藤小百合
笑み返す夫の遺影に薺粥 木村比紗子
教室の窓より祭囃子かな 鈴木陽子
かなかなや遺品に古きわれの文 原田みる
新緑や閉じることなき土偶の目 牧 静
鈴木正子選
入選
ジャズフェスの定禅寺街夏近し 大崎春雄
屋根替への女職人煤浴ぶる 松田恵子
日本海の飛沫を担ぐ荒神輿 牧 静
沖縄忌あの日と同じ波の音 山岸宙旅
北窓を開き月山迫り来る 栗原ただし
小さき子を挟んで雪の通学班 五十嵐恒子
花辛夷昼を灯して木乃伊寺 牧 静
田沢湖の底を流るる夏の雲 伊藤厚子
新緑の光沈める月山湖 伊藤小百合
雨意ながら露地おうとうの捥ぎ急ぐ 名和輝男
故郷に残る決意や花万朶 横道啓一
ビール樽いくつも重ね屋形船 横道啓一
雲の峰本宮までの懺悔坂 牧 静
伊藤 寛選
入選
特大を川より上げて西瓜割り 小島緑泉
夕焼やゴム草履ごと足洗ふ 鈴木あい
新緑や閉じることなき土偶の目 牧 静
牧 静選
特選
蕗のたう土にひろげる設計図 伊藤 幸
入選
百姓の太き首筋汗拭ふ 佐藤権一郎
若鮎の少し力あり汽水域 大崎春雄
五月来る少し斜めの紙兜 堀川栄助
ペディキュアの指をシャワーの水流る 伊藤 寛
春セーター母の笑顔に似合ふ色 五十嵐恒子
水鏡の月山を這ふあめんばう 伊藤厚子
橋本研二選
入選
少しずつ母に似てくる五月かな 佐藤喜和子
小さき子を挟んで雪の通学班 五十嵐恒子
蕗のたう土にひろげる設計図 伊藤 幸
解体新書残る涼しき武家屋敷 伊藤厚子
かなかなや遺品に古きわれの文 原田みる
浜防風やはらかく砂押し上げて 上野みえ子
横山節哉選
入選
子の描く日焼の父の巨きな手 牧 静
昭和の日念入りに拭く黒電話 伊藤厚子
薫風や笛吹きながら下校の子 原田みる
雲の峰本宮までの懺悔坂 牧 静
古市文子選
特選
子の描く日焼の父の巨きな手 牧 静
出羽富士の影を手元に田植笠 髙橋長丘
入選
少年の声裏返る春歌舞伎 牧 静
張り渡す裸電球夏祭り 伊藤 寛
北窓を開き月山迫り来る 栗原ただし
竜天に登り火伏の笙ひびく 伊藤厚子
教室の窓より祭囃子かな 鈴木陽子
潮の香をまとふ法被や秋彼岸 志鎌惠美子
佐藤景心選
入選
竹の皮魚板の腹の凹みかな 鈴木正子
蚊一匹赦さぬ夜半の騒ぎかな 牧 静
寒々と廊下の軋む御堂かな 青山君代
あぢさゐや奥院までの径見せず 小島緑泉
薫風や笛吹きながら下校の子 原田みる
園部蕗郷選
特選
花衣みんな白寿を目指す皺 鈴木正子
入選
張り渡す裸電球夏祭り 伊藤 寛
小さき子を挟んで雪の通学班 五十嵐恒子
てつぺんの空に手を入れ桜桃摘む 井上たかえ
源流は断崖の滝最上川 鈴木周子
斎藤淳子選
特選
世辞疎きままの一生蟇 佐藤権一郎
入選
遅桜戊辰戦士の眠る丘 牧 静
新緑や閉じることなき土偶の目 牧 静
森屋慶基選
特選
逢ひに来し記念樹よりの花吹雪 伊藤ふみ
入選
夏座敷女系家族の沸騰す 牧 静
増産に追ひ付かぬまま田植かな 鈴木 実
回り道時には福も梅ふふむ 伊藤小百合
あぢさゐや奥院までの径見せず 小島緑泉
カーネーション一寸長生きするつもり 鈴木あい
雨意ながら露地おうとうの捥ぎ急ぐ 名和輝男