社会論・論文02

経済的な格差を是正する(2)

2023.01.13.



1.論文01にて、「年収」、「財産」、「株の売買」に、一定の制限を設け、「金儲け主義」から「奉仕第一」に転ずることで、より平等で格差のない社会が実現できることを説明しました。続くこの論文02では、その考えを前提に、さらに(思考内で)改革を進めてみたいと思います。


この論文は、論文01を前提とする

_____


★国内・海外における生産体制の変化


2.まず、「金儲け主義」「(労働者からの)搾取」をやめさせるとすれば、それは、諸外国との付き合い方にも変化が生じるはずです。特に、日本のような世界でも富んでいる国は、外国からの「搾取」をやめるべきです。


3.一方、国内について言うと、基本は、「日本で生産できるものは日本で生産する」です。外国から輸入するのは、どうしても日本では生産できない物のみとすべきです。これにより、まず、雇用が確保され、また、食料・物資における安全保障(戦争などで輸入ができないというような事態を回避できる)も確保できます。いずれにしても、社会の「安定」のためには必須の要素です。


4.ですから、まとめるとこうなります。まず、「地産地消」「国産国消」です。これは、日本もそうですが、他の国々でも同じようであるべきであり、結果的に、日本企業の海外からの撤退(地元へ還元)、そして、海外からの輸入の制限・・・ということになります。


5.確かに、「今の」考え方、つまり、「金儲け主義」が前提であれば、そのようなことは、たとえ天地がひっくり返っても、到底起き得ない絵空事に思えるかもしれません。しかし、論文01でも示した通り、年収、財産、株の売買に適切な制限を設けることで、「金儲け主義」から脱却するのであれば、話は別です。


国内生産を優先させ、

できるだけ輸入をしない


各企業は、海外から撤退する


_____


★無駄のない生産体制


6.変化はまだあります。「金儲け主義」はとにかく、本来なら必要のないものまでも作り、売りさばきます。例えば、分かりやすく話すと、本来、全国民が100の商品で必要が満たされ、かつ、それを100の労働で生産できるとした場合、「金儲け主義」の下では、150の商品を生産し、そのために、150の労働が必要になる・・・という具合です。言い換えれば、国民は、(消費者として)必要のない50の商品を買わされ、その代わりに、(労働者として)必要のない50の労働を強いられるということです。(その方が、消費者・労働者からの搾取率が上がるから。例えば、搾取率が10%という場合、100×10%よりも、150×10%の方が・・・)。


7.本来、仕事とは、必要なだけ行なえばよいのであって、不必要にたくさん行なうのは、あまり賢いことではありません。それで、原則として、国民にとって、「必要な物のみを必要なだけ生産する」ということが求められます。


不必要なモノを生産しない

(=不必要な労働を増やさない)

_____


★価格を適正化する


8.変化はそれだけではありません。次は、商品・サービスの適正な価格です。現在の価格は、需要と供給のバランスで決まります。しかし、「金儲け主義」からの脱却に伴い、純粋に、その商品・サービスを生産・提供するのに、どれだけの労働力が投入されているかのみで価格設定がなされるべきです。(これは、論文01の13節でも述べた通り、「物価が安定してずっと一定であるべきである」ということと関連しています)。


9.国民が必要とする物品・サービス等というのは、各々、だいたいの量もサイクルも、毎年毎年同じぐらいであるはずです。つまり、国民の必要なモノは一定であるので、企業が生産するモノも一定量で、ゆえに、同じ量を生産するための労働力もだいたい同じです。ですから、人件費も一定(給与も一定)となり、また、販売価格も一定(物価が安定)にできるはずなのです。(ただ、モノによっては、流行などの影響で、必要量・生産量が上下するものもあるでしょう)。


「価格=労働力の投入量」とする


_____


10.ところで、「価格=労働力の投入量」で決まるのであれば、アパートなどの家賃も見直しが必要になります。例えば、ある大家が、1億円でアパートを建てたとします。要するに、1億円分の労働力が(建設会社などから)投入されたわけです。このように、最初に、金は出しますが、その後、多少の管理等があるのを除けば、それ以外は、労働力を投入することはありません。


11.ですから、家賃は、(「建築費用」÷「耐用年数」)+「保険・メンテ代」+「大家の管理費」・・・に基づいて適正に定め直すべきです。現状では、大家は、家賃をもらい過ぎです。(これを「搾取」と言う)。人が家に住む必要があることをいいことに、足元を見て、ぼったくっているのです。(一部、適正価格で貸している良心的な大家もいるが)。恐らく、私のこの案が実現すれば、家賃は、今の半額ぐらいにまで安くできるのではないでしょうか。


12.「もし、そうなれば、だれも不動産なんてやらなくなる」と思う人もいるでしょう。そうなれば、必要に応じて、国や地方自治体が、それを行なえばよいだけです。今でも、市営・県営アパートはあるわけですし。いずれにしても、「仕事=金儲け」という観念から脱皮しなければ、このロジックは解けません。それこそが、この社会を狂わせ、格差を生み出し、弱者を虐げている根本原因なのです。そうではなく、「仕事=社会へ貢献」であり、その貢献の代価(給料)で(自分と家族の)生活をさせていただく・・・という心構えを持つことが必要です。


家賃は、今の半額にできる


_____


13.さらに、適正価格に関連して、社長とか会長職のような人で、本当に激務をこなす人もいると思うのですが、一方、中には、単に役職名だけで、給料に見合うだけの実質的な労働をしていない人もいるかと思います。そうではなく、各労働者は、本当に、どれだけ価値のある労働をしたか、つまり、社会や人々にとって、どれだけ価値あるものを生み出したかで、給料が決められるべきです。


14.実質、価値あるものを生み出してもいないのに、給料をもらう人は、「ドロボー」であると言わざるを得ません。そして、その人の分の給料というのは、結局、一生懸命働いている労働者たちから「搾取」されて支払われるのであり、寄生虫のような「ダニ」も同然です。そういう「お荷物」な人は、社会から排除されるべきです。(つまり、そのような人を追放するという意味ではなく、給料をもらいたければ、ちゃんと価値のあるものを生み出す労働に携われ、ということ)。


「給料=どれほど価値の

あるものを生み出したか」

で決められるべき


_____


15.もう一点。適正価格に関連して、「残業」について。残業が必要かどうか、それは、本来なら、「管理職」が状況を見極めて対策すべき事柄であるはずです。つまり、生産活動がいつもよりも余計に必要なのであれば、(一時的に)人を雇って増員すべきなのです。あるいは、人員に応じて生産量を減らすとか。そうであるのに、それを一般社員に残業させることで転嫁するとは・・・(怒)。


16.そうではなく、そこは、管理職が考えて、働くべきところでしょう。(実際、何のための管理職なのか?)。ましてや、「サービス残業」とは、一体どういう了見なのでしょうか。この点は、ずるずるとなし崩し的になることのないように、きちんと法律で、労働時間の制限、残業の禁止、また、それに関する厳しい罰則を明確にすべきです。労働調整は、管理職、経営者側の仕事です。


17.労働時間に関連して、もう一言。年収の上限を設け、人件費の再分配を行なう時、自ずと最低賃金も上がります。物価が上がらない(安定している)ことを前提に、人一人の労働時間に制限を設けて短縮させます。時給は上がっているはずですので、今より短い時間でも、現状と同じ生活ができるはずです。(8節目や11節目で説明した私の案が実現した場合、家賃や商品価格は今より下がるので、生活は楽になるはず)。そうすると、より多くの人に、仕事が回ってくるようにできます。つまり、ワークシェアリングです。それにより、失業率を下げ、一人一人に対して、より平等に給与が行きわたるようになるでしょう。


残業はなし!

労働時間の厳格な制限を設け、

ワークシェアリングを実施する


_____


★まとめ


18.全体をまとめると、「年収」「財産」の上限を定め、「株の売買」に制限を設けることで、「金儲け主義」からの脱却を図ります。(これは、論文01の内容)。それに伴い、企業は外国から撤退し、また、不要なものは外国から買わずに、国内生産優先に切り替えます。その上で、国民にとって本当に必要なものだけを必要なだけ生産し、


19また、「商品価格=労働力の投入量」という基準で価格を決めます。(今よりも、商品価格は下がる)。同じように、給料も、どれだけ価値のあるものを生み出したかによって決めます。さらに、労働時間に制限を設け、残業を完全廃止し、ワーキングシェアリングを徹底させて、一人一人に職が行きわたるようにします。


20.こうして、経済的な格差の是正と、物価・給与の継続的な安定を実現できます。確かに、一人一人は大金持ちになることはできなくなるかもしれませんが、今よりも、少ない労働で、ほどほどの生活を、だれもが送れるようにはなるでしょう。


21.続く論文では、この改革案を実際に、どうやって実現できるかについて論じます。


_____


追加:


(追加のアイデアを以下に記します。)


22.金融業について。「金儲け主義」からの脱却がなされるなら、この業種の在り方にも変化が生じることになるでしょう。そもそも、「金を貸す」ということは、個人・企業が行なう(個人の儲けに帰する)のではなく、国(公の機関)が行なうべきではないかと思います。事業などでの(一時的で計画的な)借金などではなく、金のない人が金を借りるという場合は、特にそうです。その場合、低い利息で金を貸すことはもちろんですが、そういう困窮する人の何割かは、お金の計画的な使い方のできていない場合があります。そこで、「金を貸す」という立場から、国は、そういう人に継続的な「教育」を義務付け、一定のスキルを身に着けさせることができます。そうすれば、その人にとっても、世間にとっても、プラスになります。


※「借金問題」については、論文05の20~27節で論じています。


_____


23.食糧自給について。節目で説明した通り、食料の国内生産100%を目指します。まず、未耕作地を借り上げます。そのために、田畑への固定資産税を、未耕作地に限り、大幅に引き上げます。これは、せっかくの田畑を遊ばせていることへのペナルティです。あるいは、もう一つの選択肢として、固定資産税をゼロにする代わりに、国に、一年単位で田畑を貸し出すことができるようにもします。そうすれば、ほぼ元手なしで耕作地を借り上げることができます。(所有者側にも、固定資産税がゼロになり、また、草刈りなどの管理が不要になるなど、多少のメリットがある)。


24.次に、耕作する人です。第一に考えられるのは、刑務所に服役している囚人です。もちろん、誰でもとはいきませんが、比較的素行のよい囚人に、GPS装置を装着させ、また、耕運機などに10メートルぐらいのワイヤー・鎖でつなぎ(かわいそうですが、逃走防止と市民の安全のため)、耕作をさせます。


25.ところで、今、全国の刑務所を運営するのに、年間2000億円以上もかかっているとのことです。これを囚人の労働のみですべて賄い、税金からの手出しをゼロにすべきです。(現在、囚人が約7万人おり、そのうち6万人が労働可能であるとして、1人当たり、350万円稼げば、すべて賄えます)。むしろ、囚人は、それ以上に稼いで、国庫に納め、それをもって社会に対し、自分の犯した罪の償いをすべきなのです。そもそも、囚人が牢屋に閉じ込められて苦しんだところで、社会に対しては、何の償いにもなっていません。ましてや、重荷となるとは、一体??


26.それで、私としては、禁固刑よりも、労働刑を推奨します。「月に最低〇時間労働し、最低〇万円稼いで、それを〇年間国庫に納めるべき」という具合です。また、それに応じて、各企業には、一定の割合で、刑務所の囚人に仕事を回すことを義務付けます。(その代わり、人件費を少し安くする)。


27.次に、耕作をする人として考えられるのは、自衛隊員です。つまり、「屯田兵」です。あれだけの高い能力とマンパワーを、平時にはフルに活用できていないということを、非常に惜しく思います。それに、防衛と食糧自給(兵糧)は表裏一体の関係ですし、また、農業による肉体労働を訓練の一環だとみなせば、一石二鳥ではないでしょうか。もちろん、作った作物は、自衛隊内で消費するので、その浮いた分を、設備や装備の拡充に充てることもできます。(2022年度の自衛隊の糧食費は375億円)。さらに、余剰の作物を、市役所などを通して、生活困窮者などに配布するなら、自衛隊に対する国民からの好意的な支持を得ることもできるでしょう。また、未耕作のまま放置せざるを得なかった農家の皆さんからも喜ばれるに違いありません。


28.また、それでも耕作地が余った場合は、国が、第三者の個人・企業に田畑を割安で貸し出すこともできるでしょう。(土地代は、固定資産税ぐらいの超割安で)。こうして、未耕作地の田畑を効率よく運用して、国内での食糧自給100%を目指します。


_____


29.次に、エネルギー自給について。輸入頼みの石油エネルギーからの脱却を図らねばなりません。また、核エネルギーは、未だ人類の手に負える代物であるとは思えず、その後に出る放射性廃棄物も地下で1000年も(!)保存する・・・???? (誰が管理するの?)。余りにも馬鹿げているので、これは却下です。その他、現在では、太陽光や風力などといった新エネルギーがどんどん開発されていますが、私としては、日本でなら、海上での「潮力発電」が有効なのではないかと考えています。


30.「潮力発電」にもいろいろなタイプがありますが、私が念頭に置いているのは、海中に柱を立てて、それをブイ(浮き)が上下するタイプのものです。メリットとしては、まず、(陸地の)土地で困りません。海(海岸)に設置するので、設置可能箇所が広大にあります。それに、太陽光や風力は、天候などの影響を受けて不安定ですが、「潮力」なら、24時間、年中無休で、安定してエネルギーを取り出すことができます。


31.設計としては、巨大なブイを一つ設置するよりも、小型のブイを幾百と連ねて設置した方がよいと考えています。そうすれば、部材をどこの工場でも、容易に制作できますし、また、設置するのも、(海洋関係の)建設会社であれば、どこででも請け負え、大工事が要りません。また、故障時やメンテナンスの面でも有利かと。


32.それで、それらのブイ型の「潮力発電機」を、全国津々浦々の海岸に設置し、かつ、家庭をオール電化し、自動車もEV(電気自動車)化すれば、石油依存からは脱却できます。


____


33.NHKについて。テレビを設置するだけで、受信料を払え!・・・というのは、単に、NHKが楽をしたいだけなのでは??? 今時、NHKがなくても、特に、国民にとって不利益はないと考えます。中立性? 独立性? しかし、例えば、新聞の主要各社は、すべて民放系の会社によって運営されており、NHK新聞などはないわけですが、それでも、不自由している??? それは、テレビでも同じなのでは? 


34.このように、「NHKは絶対に必要」という前提であれば、「強制徴収」も理解できますが、上述のように、「NHKって、本当に必要?」という状況下で、「強制徴収」というのは、いかがなものでしょうか。NHKは、「全国にあまねく放送を普及させる」ことを目的としていると言いますが、例えば、受信料を支払うのも苦しい世帯がある場合、本当なら、無料の民放を見ることができるはずなのに、テレビを設置すると、NHKの受信料を支払わなければならないので、設置(テレビの視聴)を断念する・・・というようなことがあれば、それは、「放送を普及させる」とは真逆の働きをすることにはならないでしょうか。それでは、本末転倒です。これを見る限り、「放送を普及させる」などというのは、単なる詭弁であって(全くの嘘ではないと思うが)、それよりも、「NHKという組織を存続させるため(そのためなら、貧困者が放送にあずかれなくなっても構わない)」というのが本音であると、私は見ます。


35.もし、そうではなく、本当に、「放送を普及させる」ことが第一目的であるというのであれば、一定の年収以下の世帯からの「強制徴収」はやめるべきです。彼らにも、民放の放送を(無料で)見る権利があるでしょう。NHKは、その権利を思いっきり侵害してはいないでしょうか? あるいは、BSと同じように、NHK専用のチューナーを設置させて、選択制にすればよいのです。


_____


36.農協について。本当に、農家のための農協? それとも、「農協」という組織を存続させるための農協?? 本当に農家のためだというのなら、農協自身が利益を貪るような商売からは身を引くべきです。また、政治的には中立であるべきです。もし、農家代表の政治的発言が必要なのであれば、別に、それ専門の「政治団体」を作ればよいのです。そうやって、商売(金儲け主義)とか、政治などに傾倒して、欲まみれ、権力まみれの状態だから、本当に農家のためを思ってのサポートができないでいるのではありませんか?


37.でも、そういう体質改善は、今さら無理のような気もします。聞く耳を持っていればよいのですが。その場合には、本当に、農家をサポートするための、それだけを専門にする、そういう新しい組織の立ち上げが必要であると考えます。


その他のアイデアも、下記リンクにて記しています。

(参考)ポイント支給で給与アップ 


(論文02 終わり)。