レビューは、単に先行研究を網羅する作業ではなく「過去の研究を改めて調査し、対象テーマ全体を広く見渡したうえで、将来に向けて何が課題となるのか、オリジナリティを持って自分の意見を論じること」である。これから研究していくテーマにとって重要な序章となるのが文献レビューです。博士課程では、「はじめに」にあたる部分の構築に有用です。
対象テーマの文献レビューによって『あなた』は何が知りたいのか?いま、何が求められているのか?
レビュー論文を読む。重要な論文を手に入れたら,その論文において引用されている論文(引用文献)やその論文を引用している論文(被引用文献)をあたっていくと,関係が深い文献を手に入れやすい。web文献データベースとしては「PsycINFO」「Web of Knowledge (Science)」「CiNii」「Google Scholar」「PubMed」などを活用する(「CINAHL」や「Embase」などの有料データベースもよく使われる)。その領域でどのような研究が行われているのか幅広く知るために、「概要読み」で原著だけでなく、特集、学会抄録なども読む。
検索キーワードの設定 → MeSH(Pubmedの用語集)なども参照
「精読」で内容を把握する。論文解釈の恣意性(都合のよい解釈)に注意して読む。特に調査研究の原著はPICOでまとめる → レビュ一覧を作る
インプット(論文読み込み)とアウトプット「人に話を聞いてもらう」「書く」過程、活発な議論(ゼミ)などのアウトプットによって自分の考えを精緻化する とともに、それを聞いた他者のフィードバック(態度 やコメント)をインプットして、自己の理解を深める
レビューの構成
こちらの意図がきちんと伝わっ ているか、よいレビューの要件が満たされているかを 確認する(盗用・剽窃など倫理的な側面は要チェック)
文献レビューを執筆するときは、対象のテーマに触れる人がその領域の熟達者とは限らないため、研究領域の違う人間 にもある程度伝わりやすい構成を心掛けることが望まれる
田中麻紗子, et al. オリジナリティのある文献レビューに向けて: 大学院の 「講演者になるゼミ」 の実践から. 東京大学大学院教育学研究科紀要, 2012, 51: 203-215.
赤居正美, et al. 総説・文献レビューの書き方. 国際医療福祉大学学会誌, 2016, 21.2: 7-12.