世話人ブログ
地域・職域連携に関する最新情報
2024年10月25日、令和6年度地域・職域連携推進関係者会議(以下、関係者会議)が開催されました。厚生労働省健康・生活衛生局健康課課長、室長等による講話を始め、福島県、湯梨浜町(鳥取県)、株式会社菅澤建設(福島県)等より実践事例の報告も行われました。ご関心のある方は会議資料をご参照ください1)。
今年度からスタートした「21世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本21(第三次))」2)のビジョンは、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現であり、「誰一人取り残さない健康づくり」と「より実効性をもつ取組の推進」に重点を置いています。健康日本21の目標には、働く世代に関係する項目も数多く示されており、特に中小企業に所属する労働者の健康支援において、地域・職域連携による取組みが期待されています。また、令和5年度厚生労働科学研究「地域・職域連携推進ガイドラインを活用した保健事業の展開に関する評価及び連携強化のための研究」により、健康日本21(第三次)の動向やこの間の社会情勢、実態調査の結果等を踏まえた「地域・職域連携推進事業の新たなる展開」が公表されています3)。
国が進める地域・職域連携体制は、都道府県、二次医療圏ごとの地域・職域連携推進協議会設置による運営ですが、今後は、住民や在勤者に、より近い立場で保健活動を展開している市区町村による職域を対象とした取組みが連携推進の鍵になることが本関係者会議でも取り上げられていました。住民や労働者の健康維持・増進活動に直接携わる実践者レベルでの連携が求められています。
本関係者会議の参加対象は、自治体関係者、労働衛生関係者、保険者等関係者となっていますが、現状において、この関係者会議の開催に関する情報を受け取れた産業医・産業看護職等の産業保健職は極めて少ないだろうと思われます。斯く言う私も地域保健関連学会から得た情報を基に、事前に傍聴申請を提出した上で、動画ライブ配信(YouTube)URLを知りました。都道府県、二次医療圏、市区町村が中心となって職域と連携する、このような取り組みがあること自体をまず、当の連携相手である、産業保健職や、中小企業の事業主、安全衛生管理の担当者等に周知する必要があると考えます。
(参考文献)
1) 厚生労働省.令和6年度地域・職域連携推進関係者会議資料.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44442.html
< 20241028 三橋 祐子 >
女性の骨太方針について
女性版骨太の方針 2024が内閣府より発表(2024.7.9)
政府は、昨年6月の「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針 2023)」において、プライム市場上場企業を対象として、「2030 年までに、女性役員の比率を 30%以上とすることを目指す」、「2025 年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める」などの目標を掲げ、また、その中間的な目標として、昨年 12 月に「第5次男女共同参画基本計画」(以下「5次計画」)における 2025年までの新しい成果目標として、「東証プライム市場上場企業役員に占める女性の割合」を19%とすること等を決定しました。
これらの目標に向けた取組等を通じて、女性活躍の機運は着実に高まっているところではありますが、女性の登用が進んでいる企業とそうでない企業があり、進捗には差異が見られるのが現状です。こうした状況を改善し、2024年7月に発表された「女性版骨太の方針」のポイントは、女性活躍・男女共同参画を推進するための「人材の育成」を横串に据えています。
大きな基本柱は、「Ⅰ 企業等における女性活躍の一層の推進」、「Ⅱ 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進」、「Ⅲ 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現」、「Ⅳ 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化」の4つであり、持続的で広がりのある取組の推進を目指すものとしています。
www.gender.go.jp/policy/sokushin/pdf/sokushin/jyuten2024_honbun.pdf
< 20240920 野村 恭子 >
ジェンダー格差を考えよう
今年6月に発表された日本のジェンダーギャップ指数は0.663で146か国中118位でした。このジェンダーギャップを解消するにはどうしたらよいのでしょうか。牧野百恵さん執筆の『ジェンダー格差 実証経済学は何を語るか』では、その具体的なヒントが分かりやすく書かれています。この本では、ジェンダー格差についての因果関係を示した研究をわかりやすく紹介し、その結果がどのように日本のジェンダー格差の解消に役立てられるかを解説しています。ある研究結果は、女性の社会進出や女性の収入が多いことが、文化的な要因よりも、女性のエンパワーメントに与える影響が大きいということを示しています。これはジェンダー格差には政策的な解決が可能であることを意味しています。ジェンダー平等の実現はSDGsの目標の一つです。女性の健康を考えるうえで常に念頭に置く必要があると思っています。
牧野百恵著『ジェンダー格差 実証経済学は何を語るか』中公新書2768、2023年、中央公論新社
< 20240901 野原 理子 >
女性外来の漢方治療(冷え症)
血液の循環が悪く、手足や腰が冷えやすい状態を一般には冷え症と呼んでいる。現代医学では体質的なものとして治療の対象から外れていることが多いが、血行促進のためにプロスタグランディンE製剤、ビタミンB1やE剤の服用が勧められている。さらに不定愁訴や更年期障害の一環としての治療では、向精神薬やエストロゲン剤の投与も行われる。
東洋医学の診断の方法の一つに気血水理論というものがある。一般的には「熱」である気と、「寒」である血・水に分類され、冷えは気が不足した「気虚」あるいは水が過剰となった「水滞」などにおいてよく認められる。
女性の更年期に使用される漢方三処方として、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、当帰芍薬散がある。更年期の時はホットフラッシュに伴い手足が冷えることが多く、「気虚」よりも「気逆」での冷えが多い。この場合はイライラなどの精神症状がなければ桂枝茯苓丸、精神症状があれば漢方の精神安定剤ともいわれている加味逍遥散を使用する。また水が過剰になっている場合は、当帰芍薬散で改善することが多い。
一般的に女性は男性よりも筋肉量が少なく、冷え症が多い。働く女性の健康維持のために冷え症への対応も必要である。
<20240525 辰田仁美>
産業保健領域の問題解決型アプローチ-先行文献のご紹介-
第34回日本産業衛生学会全国協議会にて教育講演「就労女性の健康課題に問題解決型アプローチを適用する」を行います(2024年10月5日15時台予定)。その際の参考資料として下記先行文献を共有いたします。ご興味があれば、ぜひ、ご参加ください!
産業保健領域の問題解決型アプローチの構造1,2
Step1:問題発見~課題設定
1. 問題を発見する。
2. 問題を定量化する。
3. 科学的エビデンスを収集する。
4. 仮説を立てる。
5. 定量的・定性的データを収集する。
6. 実証分析を行う。
7. 原因を特定する。
8. 現行の組織・しくみ・対策を分析する。
9. ステークホルダーを分析する。
10. 課題を設定する。
Step2:解決策実行
1. パートナーシップを構築する。
2. 組織・しくみ・対策の機能を強化する。
3. 衛生委員会を整備する。
4. 目標と評価方法を設定する。
5. 対策を立案する。
6. 対策の優先順位付けを行う。
7. 対策実施の計画を立案する。
8. 衛生委員会で審議する。
9. 対策を実施する。
10. 衛生委員会で点検・評価を行う。
Step3:効果の評価
1. 組織・しくみ・対策の構築状況を評価する。
2. 対策の実施状況を評価する。
3. 結果・成果を評価する。
4. 費用対効果を評価する。
産業保健領域の問題解決に活用する3つのエビデンス1
Type 1, etiologic evidence:問題の原因は何か?
Type 2, intervention evidence:問題を解決するために、どのような対策を実施すべきか?
Type 3, contextual or translational evidence:ある特定の状況で、最も効果的にその対策を実行するために、どのような条件整備が必要か?
産業保健実務で問題解決型アプローチを適用した事例2
データ解析:健康診断、ストレスチェックなどのデータを用いて、ロジスティック回帰分析でメンタルヘルス不調による休業と関連する因子を特定した。
基盤整備:継続的な対策実行を可能とするため、新たに経営層に報告する体制を導入し、意思決定を促進した。
対策実行:データ解析で特定された因子に基づいて対策立案し、整備した体制・マネジメントシステム等を活用して実行した。
産業保健実務における問題解決のためのデータ解析事例
l 機械学習を用いたメンタルヘルス不調による休業の重要な要因の特定3
l ROC分析を用いたメンタルヘルス不調による休業をより正確に予測するためのカットオフ値の設定3
就労女性の健康課題に問題解決型アプローチを適用した事例4,5
女性労働者のメンタルヘルス不調の原因の調査と事業場との連携
Step1:質的調査
1. 産業医の健康相談記録の分析と調査項目の設定
2. 機縁法による半構造化面接とテキストマイニングを用いた分析
Step2:意思決定者とのパートナーシップ(1)
1. 質的調査の結果を総括安全衛生管理者、安全管理者へ報告
2. 全女性労働者を対象とした原因の調査の事業場からの承諾
Step3:量的調査
1. 半構造化面接の結果をもとに質問紙を作成
2. 質問紙を用いた調査の実施と結果の集計
Step4:意思決定者とのパートナーシップ(2)
1. 量的調査の結果を総括安全衛生管理者、安全管理者に報告
2. 女性労働者の健康管理の導入を立案
3. 安全衛生委員会で審議・承認
4. 管理監督者、衛生管理者、総務、健康保険組合、外部医療機関とのパートナーシップの構築
参考)
1. Brownson RC, Baker EA, Deshpande AD, Gillespie KN. Evidence-Based Public Health. 3rd ed. Oxford University Press; 2018.
2. Song YH, Yano E. Development and application of a problem-solving approach to prevent sick leave owing to mental disorders in a manufacturing company. Environmental and Occupational Health Practice. 2021;3(1). doi:10.1539/eohp.2021-0002-FS
3. Kurisu K, Song YH, Yoshiuchi K. Developing Action Plans Based on Machine Learning Analysis to Prevent Sick Leave in a Manufacturing Plant. J Occup Environ Med. 2023;65(2):140-145. doi:10.1097/JOM.0000000000002700
4. 宋裕姫, 足立恭子. 日産自動車横浜工場における女性労働者のメンタルヘルス不調の原因調査と連携. In: 荒木葉子, 市川佳居, eds. 働く女性のヘルスケアガイド. 金剛出版; 2022:2130225.
5. 足立恭子, 宋裕姫. ある製造事業場における女性労働者を対象とした健康管理支援システムの構築(第3報). 産業衛生学雑誌. 2023;65(臨時増刊号):473.
<20240411 宋 裕姫>
子ども家庭庁「健やか親子21」情報サイト
今回は、子ども家庭庁に引き継がれた「健やか親子21」の取組の情報サイト『妊娠・出産・子育て期の健康に関する情報サイト』< https://sukoyaka21.cfa.go.jp/>の内容を紹介します。
「母子健康手帳情報支援サイト」は、従来から母子健康手帳に収められていた各種情報を補完するもので、関連するウェブサイトのリンクも貼られています。例えば、「働く女性・男性のための出産、育児に関する制度」https://mchbook.cfa.go.jp/assets/pdf/top/item_2_1.pdfからは母性健康管理指導事項連絡カードの様式ダウンロードページにアクセスできます。妊娠中や育児中の働き方・休み方に関して困った場合の相談先として各都道府県労働局の情報も紹介されています。「こどもの病気やけが・事故の予防」では正しい情報に容易にアクセスできるよう、厚生労働省「こども医療でんわ相談#8000」や日本小児科学会「こどもの救急」のサイトが紹介されています。
<20240305 北野尚美>
不妊治療と仕事の両立に関して
我が国において、近年、女性の社会進出やライフスタイルの多様化等を背景に、晩婚化が進行し、同時に初産年齢も上昇している1。一般的には女性は、年齢と共に妊孕性が低下するとされており、晩婚化は少子化の原因の一つとなっている。このような背景もあり、近年、日本では不妊治療の件数が増加しており、2021年の体外受精による出生数は過去最多の6万9797人、11.6人に1人(8.6%)が体外受精で生まれていることが報告された2。世界的にみても日本の体外受精実施件数は相当に多く3、今後も増えていくことが予想される。そこで、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため令和4年4月に新たに不妊治療が保険適用となった。保険適用後、産業保健の現場では不妊治療と仕事の両立支援について相談を受けることが増えた。不妊治療は多疾患と比較すると、通院回数も多く不定期であること、身体的負担に加え精神的な負担も大きいことなど、アブセンティズムに加えてプレゼンティズムへの影響も大きい。うまく両立ができているケースをみると、時差出勤やフレックスタイム制度、テレワークなどの利用ができることに加え、上司の理解があることが大きいように感じている。男性上司であっても、「実は妻も・・」などと、不妊治療に関して理解があるだけで、ご本人への心理的負担が軽減する。働きやすい制度を検討することに加え、不妊治療に関して一人一人の理解が進むように産業保健職としてできることを考えていきたい。
<出典>
1:厚生労働省, 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf
2:日本産婦人科学会, 2021年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2021_JSOG-ART.pdf
3:厚生労働省 諸外国における不妊治療に対する経済的支援等に関する調査研究報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/000775178.pdf
<20240131 川島恵美>
学会発表報告
世界最大のEAP(従業員支援専門家)団体である、EAPA(国際EAP協会)の2023年度年次大会にて、女性の健康とリーダーシップスキルについて、アフリカ、中南米、アジア、北米の4地域の専門家によるパネルディスカッションを行いましたので概要をご紹介します。
タイトル:Inclusive & Healthy Leadership Skills – A Global Perspective
学会名:EAPA Institute & Expo 2023
開催日:2023年10月20日
<抄録>
グローバルな労働環境は、雇用者に絶えず変化への適応を迫っている。2023年以降も選ばれる雇用主であり続けるためには、経営者は包括的で尊重される企業文化の構築に積極的に取り組まなければならない。従業員は、メンタルヘルス、男女平等、安全性、そしてより人道的で公正、包括的で公平な職場に対する要求について、より積極的に発言するようになっています。
EAPはこうした課題を先取りし、従業員のウェルビーイングに悪影響を及ぼす制度的問題に取り組む革新的なアプローチで対応するのに適した立場にある。
おそらく、今日ほどリーダーが従業員のメンタルウェルビーイングのサポートに前向きな時代はないだろう。企業は的外れな対応をすれば、貴重な人材を失うリスクがある。そして私たちは、多くのリーダーが助けを求めていると信じている。
世界の労働人口の半分以上を女性が占めているにもかかわらず、給与、福利厚生、公平性、昇進において大きな格差が存在し続けています。私たちは、仕事における女性の幸福と成功のギャップを認識しています。
この対話型パネルディスカッションでは、アフリカ、日本、ラテンアメリカ、北米のEAリーダーを招き、各地域の労働力に影響を与える問題を取り上げます。このワークショップは、参加者が新しいアイデアを検討し、それぞれの組織で行動を起こすことを後押しします。
ファシリテーター:Nancy Board. Co-Founder of Global Women 4 Wellbeing
コロナ禍中に行った、世界の女性のレジリエンスとウェルビーイング調査の結果について報告があった。
パネリスト:
Andrea Lardani, Managing Director – Grupo Wellness Latina – Buenos Aires, Argentina
内容:AVONの南米事業所(アルゼンチン、チリ、ペルー、メキシコ、コロンビア)に所属する約200万人の女性従業員に対する24時間365日のジェンダー・バイオレンスの相談支援、管理職への教育の紹介があった。また、伝統的に男性社会である炭鉱において、現在は女性労働者が17%を占めるということで、女性心理的安全に仕事ができる労働環境を育成するための心理社会的アプローチが紹介された。
Radhi Vandayar, EAPA-SA, President Elect in South Africa
南アフリカにおけるジェンダー・バイオレンスを低減するためのコミュニティアプローチの報告があった。
Dr. Kaoru Ichikawa – CEO, Resilie Laboratories, Inc – Tokyo, Japan and Los Angeles, CA, USA.
日本における職場における女性の立場、政府による女性活用推進の流れについて概要を説明し、女性リーダー育成の方法としての、レジリエンス育成、自己を知るリーダーになるためのMBTI検査の活用、女性社員のキャリア開発の留意点などについて紹介した。
(20240115 世話人・市川佳居)
「第29回就労女性健康研究会での講演のご報告」
第29回就労女性健康研究会で教育講演と一般講演を務めさせて頂きました、昭和大学の有馬牧子です。教育講演では「仕事と更年期+Femtechの活用と効果」をテーマとして、更年期症状が仕事に及ぼす影響に関する調査データを紹介すると共に、女性のwellbeingを促進するツールであるFemtechの今後の可能性について講演致しました。更年期症状と仕事の両立に悩むケースが多い一方で、Femtechを活用することで女性自身が前へ進める社会基盤が整ってきたこと、そしてそれを基にしたエビデンス構築の必要性についても触れました。
後半の一般講演では、「更年期症状が労働生産性に与える影響に関するシステマティックレビューの中間報告」として、更年期症状が労働生産性に与える影響に関する文献検索の結果について講演いたしました。文献のレビューの結果、当該テーマに関する文献の数は世界的にもまだ少なく、今後は調査研究が活発に行われることで職場での取り組みや産業職との連携が活発になると期待されます。
なお当講演の内容は、有馬が代表として実施している令和5年度AMED「ヘルスケア社会実装基盤整備事業」である「簡略更年期指数(SMI)エビデンス整理と労働生産性との関連に関する研究」の一環として実施致しました。
(20231228 世話人・有馬牧子)
「日本医学会フォーラム参加報告」
2023年11月25日に開催された第34回日本医学会公開フォーラム「女性医療を取り巻く課題」に参加しましたのでご報告いたします。今回の会合では、女性の医療に深く関わる6名の専門家がご登壇され、各テーマに沿った有意義な講演と活発な議論が取り行われました(チラシ参照)。日本における「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」の普及推進やプレコンセプションケアの重要性と実状等が紹介されたほか、人工妊娠中絶、生殖医療、不妊治療、遺伝子検査、包括的性教育、虐待対策など、多岐にわたる倫理面での課題が提示され、参加者に昨今の懸案事項が情報共有されました。これらの課題に対し、医療関係者と当事者だけでなく、一般男性や未成年者も含めて議論を交わしていき、社会的合意を得た公的プラットフォームが整備されることの必要性を痛感させられました。
このフォーラムの模様は間もなく、日本医学会HP内のonlineライブラリーで公開の予定です。ご興味ある方はぜひご視聴ください(URL:https://jams.med.or.jp/event/online_library_forum.html)
(20231219 世話人・苅田香苗)
産業保健スタッフのための お役立ち書籍の紹介 ~産業保健スタッフのための地域保健との連携実践ガイドブック~
新年度から数か月、慣れてきた頃…従業員は何らかの健康問題を抱えて、相談に訪れ始めます。
それは、従業員本人のことだけでなく、上司・部下のこと、従業員の高齢の家族や幼い子供のことまで、幅広い。
相談を聴きながら「どの課に所属し、どんな仕事をしている従業員か?」から「どんな地域で暮らして働いている従業員なのか?」という視点に変化していきます。
そのようなとき、地域保健の知識や情報、地域保健との連携実践例が多く書かれている「産業保健スタッフのための地域保健との連携実践ガイドブック」が
役に立ちます。また、働く女性は自身の女性ホルモンの影響を強く受け、ライフステージにおいて様々な健康問題・課題に遭遇します。
本書推薦の言葉にあります「健康問題を産業保健領域だけで解決するのは難しいと感じた経験のあるすべての産業保健スタッフへ」の通り、
産業保健スタッフを支援し、ひいては従業員の支援に繋がる1冊です。
(20230527 産業看護職:足立)
Introduction of Useful Books for Occupational Health Staff - A Practical Guidebook for Cooperation with Community Health for Occupational Health Staff
A few months into the new fiscal year, when employees are getting used to the new environment... they begin to come to you for advice on some health issue.
These range from the employees themselves, to their supervisors and subordinates, to the employees' elderly family members and young children.
While listening to the consultation, we ask, "Which department does the employee belong to and what kind of work does he/she do?" to "What kind of employees live and work in what kind of community?" to "What kind of employees live and work in what kind of community?
At such times, the "Practical Guidebook for Cooperation with Community Health for Occupational Health Staff," which contains knowledge and information on community health and many practical examples of cooperation with community health, is useful.
It is useful. In addition, working women are strongly influenced by their own female hormones and encounter various health problems and issues during their life stages.
As stated in the recommendation of this guidebook, "For all occupational health staff who have experienced that it is difficult to solve health problems only in the area of occupational health,
This book will support occupational health staff, which in turn will support employees.
(20230527 Occupational Nursing Staff: Adachi)
年度始めの就労ママと就労パパ ~就労現場より~
新学期が始まり、新型コロナ感染がインフルエンザ並みになるまでカウントダウンとなりました。
産休・育休明けから職場に戻ったものの時間短縮勤務は就労ママにとっては終日マラソンの第2コーナー(ちなみに第1コーナーは朝起きて支度をして・させて、保育園幼稚園へ送り届けるまで)決して休憩は許されず、第3コーナーのお迎えと夕飯の支度に向かって、またひたすら走り続ける。人によっては子供を寝かしつけてからの第4コーナーがあり深夜にひと息つく間もなく寝落ちして、また朝を迎えて。なのに、新学期の春にはさらにアクシデントが続出しますね。
つい先日も「子供が落ち着かずに保健室にいるとのことで呼ばれて」「学校から連絡があり娘が具合が悪いらしく迎えに行きます」と就労ママたちが次々!?と足早に帰りました。妊娠・出産は女性にしかできないものだけど育児は男性にもできるというものの、周りを見渡すと定常時の「送り迎え」をする就労パパも多くなってきましたが、非常時に「僕はこれから子供を迎えに行きます」はまだ先の話でしょうか。
就労パパ自身の人としての成長やメンタルヘルスのためにも貴重な子育てをパパ・ママ(パートナーシップならママ・ママとパパ・パパ)が一緒に公平に経験できたらすばらしいなぁとつぶやく年度始めの産業医です。
(20230418江畑)
Working moms and dads at the beginning of the school year~From the Working Place~
With the start of the new school year, we are counting down the days until the new coronary infection becomes as common as the flu. Although Mom returned to work after maternity/paternity leave For Working Moms, Shorter Hours Are Like the Second Corner of an All-Day Marathon. (The first corner is getting up in the morning, getting ready, getting the kids ready, and taking them to daycare or kindergarten incidentally.)With never a break allowed, Mom just keeps on running again toward the third corner, pick-up and dinner preparation! In addition, not a few moms have a fourth corner, the late-night job, and they fall asleep before they can catch their breath, and then they wake up in the morning again. And yet, the new spring semester brings even more accidents! Just the other day, working mothers left their offices one after another, saying, "I was called because my child was restless and was in the nurse's office," or "I got a call from the school that my daughter is sick and I'm going to pick her up". It is said that while pregnancy and childbirth can only be done by women, childcare can be done by men. Looking around, I see more and more working fathers who "pick up and drop off" their children at regular times. Will the day be far off in the future when we see working fathers in an emergency saying, "I'm going to pick up my child from school now". The experience of raising children is valuable for working fathers themselves, for their personal growth and mental health. It would be wonderful if the parenting experience could be fairly experienced by moms and dads (or moms and dads and dads if it's a partnership) together. From an occupational physician in an office at the beginning of the school year.
(20230418ebata)
3月1日~3月8日は「女性の健康週間」
10月18日は国際メノポーズデー
毎年10月18日は世界メノポーズデー(World Menopause Day )です。
社会が今後ますます高齢化していく中、更年期世代の女性の健康に関する情報を全世界へ提供する日として、毎年10月18日を「世界メノポーズデー」と定めることが、1999年に開かれた第9回国際閉経学会にて採択されました。
我が国の「女性の一生におけるトータルヘルスケア」を専門とする学術団体である日本女性医学学会では、更年期女性およびその周囲の方々に更年期の症状や治療・ケアについての正しい知識を得ていただくべく、学会公式YouTubeチャンネルにて7本の動画を公開中ですので、よろしければご覧になってみてください!
(2022.10.18記)