機体の大部分を占め、空を飛ぶための最も重要な役割を持つ翼を製作します。小さなパーツを組み合わせ、全長30mにもなる翼を完成させたときの景色は圧巻です。
工作が主な活動になるため、学科問わず工作が好きな人にオススメです。カッターを用いた繊細な作業が必要になるので、手先が器用な人がいると助かります。
CFRP製のパイプ(桁)に、リブと呼ばれる翼の断面の形をした部品(写真の水色のパーツ)をいくつも通すことで、翼の形を形成します。リブの素材であるスタイロフォームは軽量で加工しやすいので、大きなブロックを切り出して、必要な形に加工します。
リブと桁を接着する際には、全てのリブを一定の角度に固定しなければいけませんが、この調整を適当にやってしまうと大きなズレが生じてしまい、設計通りに飛行できなくなる可能性があります。この角度決めを正確に行うことが、一つの課題でもあります。
翼には、空に飛ぶための揚力を発生させるための主翼と、高度調整や方向転換を行うための尾翼の2つに分けられます。主翼は全長30m近くあるため、桁長が2,3mの十数本の桁に分割することで、製作や運搬を容易にしています。それぞれを接合するときは、桁端のフランジをボルトで貫通させ、ナットで固定します。当サークルでは、主翼には軽量化が容易で揚力分布に優れるテーパー翼を採用しています。
尾翼は分割した主翼の1つよりもやや小型ですが、構造や製作方法は主翼とほぼ同じです。機体の後方に接合し、電装班の製作する操舵の機構と組み合わせることで、飛行中の操縦を可能にします。
断熱材であるスタイロフォームは、巨大なブロックで販売されているため、適切なサイズに加工する必要があります。しかし、スタイロを一定の厚さに薄くスライスするのは難しいため、自作木製スライサーを用います。ニクロム線に電流を流し、スタイロを熱で切断する仕組みです。スライサーは自重でスタイロの塊に沿って落下していくため、半自動スライスが可能です。しかし、スライサーが落下中に傾いたり、ニクロム線にたるみが発生したりして、一定厚にならない場合があります。そのため、新型のスタイロスライサーを設計中です。
自作のリブ作図補助スクリプト(EXCEL)で翼型データを生成し、AutoCADで翼型を作図します。スクリプトは翼型や翼弦長などの情報を入力することで、SCR形式のデータを出力し、CADで描画します。作図された翼型をプリンターで印刷し、工作用紙に張り付け、翼型に合わせて裁断することでリブマスターを製作します。マスターは型紙として機能し、薄くでスライスしたスタイロにリブマスターを重ね合わせ、電熱線で裁断することで、リブが完成します。