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余市の食をめぐる取り組み

地元で活躍する りゅうこはるさん にレポートを寄せて頂きました !

たねまき人通信

~余市の食をめぐる取り組み~


北後志たねまく人の会 りゅうこはる



初めまして。余市町登地区で百姓をしている、りゅうこはると申します。

2012年、NPO法人のスタッフとして余市に移住してきました。現在は、仁木町出身の夫と2018年に土地を取得して登地区で就農し、二人の子供も家族に加わって、ワインブドウの栽培、醸造を生業としています。

今回は、仲間と共に草の根で取り組んでいる余市の食をめぐる動きを、二つご紹介します。


地元食材の給食をめざす


余市の給食、ほとんど魚を使っていないのをご存じですか?果物の町なのに、ブドウやリンゴの登場頻度が低く、缶詰が登場しているとは!こんな問題意識から給食がどのように仕入れ、作られているのか、理想の給食を作った人はどうやって実現したのか?探るために動き出したのです。


昨年2022年9月14日、登地区にある余市教育福祉村のセンターハウスを利用させていただいて、『佐々木十美さんと考える「これからのよいち給食」』を開催しました。町内や小樽、札幌からスタッフ含め21名の参加者がありました。


第一部は料理教室!講師は置戸町で40年学校給食を提供し、地元食材と本物の調味料で日本一の給食と謳われた食のアドバイザー、佐々木十美さんです。生姜とスパイス以外の食材は全て近郊農家から入手して、ドライカレーを調理しました。

みじん切りのサイズは食材ごとに分け、細かく指導が入りました。同じ材料で2グループに分けて調理した所、手順も材料も同じなのに刻み方の違いで味わいの違いがはっきりと認識できたことに参加者は驚いていました。

学校を休んで参加し、初めてのみじん切りに挑戦したOくんは「めっちゃ面白かった。友達ができて楽しかった。今度はギョーザを作りたい」と意気込んでいました。


第二部は余市町の栄養教諭石﨑惠子さんと佐々木さんとの対談講演を実施しました。まず石﨑さんから余市の給食ができあがるまでの工程や食材の仕入れについて説明がありました。「ある日の給食の産地」を見ると、「9月ならまだナスは余市のものがあるのでは?」「意外と近くで調達しているものが多い」などと感想が上がりました。

調理員の欠員、給食費の滞納、残食、給食時間の短さ、下処理ができず海の街なのに魚が使えない、仕入元が地元食材を仕入れてくれないなどの課題も明らかになりました。次に余市の現状を受けて、置戸での実践例について佐々木さんよりお話がありました。


農協や近隣農家からのハネ野菜を手間をかけて有効利用することで食材費を節約して本物の調味料に回すこと、生産者による直売会が地元野菜の取りまとめをしてくれるようになり、作付け段階から栄養士や調理員との会議で話し合って食材の地元化を図っていったこと、生産者がハウスを一棟貸してくれてトマトの収穫から1年分のピュレの加工まで調理員と行ったことなどを話すと参加者からは感嘆の声が上がりました。

市場価格にも常に目を光らせ、仕入元との厳しい価格交渉にも臨んでいたという佐々木さんは、現在の栄養教諭の多忙さでは全てをこなすのは難しいだろうとも言い、地域ぐるみで取り組む必要性を指摘されました。


ゲノム編集食品への対応


2022年9月13日、余市町長を宛先にゲノム編集作物および食品についての意見書(要望書)を、167筆の賛同署名と共に提出しました。背景として次のような経緯があるので概要を記します。

報道でご存知の方も多いと思いますが、2019年10月、ゲノム編集(生物自身のDNAを改変することから、他生物のDNAを導入する「遺伝子組み換え」と区別される)された生物は遺伝子組み換えとは違うとして、届け出だけで、普通の食品と同様に表示もなしに流通させることができるようにされました。


表示なしでの流通が認められてしまったため、今後、消費者は知らないうちにゲノム編集食品を食べてしまう可能性があります。そして、種苗にもゲノム編集しているかどうか表示されないので、自然なトマトを栽培したいと思ってタネや苗を買ってきたら、それはゲノム編集されていた、それを知らないまま使って育ててしまうかも知れないのです。*1

そこで、町にもゲノム編集作物に対し真剣に取り組んでもらうように問題点を纏めて要望書を提出しましたが、まだ余市町からは有効な回答は届いておりません。

道内外に行政への働きかけが広がっているので、今後の町の動向を注視したいと思います。*2


〇これからの活動


給食については、栄養教諭と水産加工会社を引き合わせたり、冬期間に生産者で作付けする食材を検討したりと動きをすこしずつ進めています。食数の少ない登小学校で月に一度、余市(郡)給食の日、ができたら素敵だなと画策中!


食材は私たちが育てて寄付をしたり、近隣農家から集荷して納品します。農福連携で動いているグループとも一緒に取り組めたら素敵だなと考えています。目指せ、三方よし!また、とにかく余市はお金がない!という部分を、使途を給食に限定した寄付を募ることで少しでも援助できたらと思います。オーブンがないので焼き調理ができない、魚用のバットがないので生の魚を扱えない、換気能力が低く50度の室内で調理員が働いている、生産国アメリカでさえ少しずつ排除しつつある遺伝子組み換え食品をふんだんに利用している・・・!*3


ウクライナ戦争とコロナ禍、円安で、遠方からの輸送や輸入品にかかるコストが高上がりになったことも追い風に、地域の食材を見直す機会となってほしいです。

食の現場は思ったよりも大変です。東京余市会のみなさんにも是非関心を寄せていただけると幸いです。余市の子どもたちが、まずは給食から近隣のおいしい魚や野菜を食べてもらえるように、是非応援してください!農的暮らしやワインに関すること、たねのこと、こどもとマスクの問題などなどは、また次回に!


*1:https://okseed.jp/(OKシードプロジェクト)

*2:https://www.facebook.com/Hokkaido.Syoku.Inochi513(北海道食といのちの会FACEBOOKページ)

*3:https://ja.momsacrossamerica.com/(ママズアクロスアメリカ日本語ページ)



ランセッカ ホームぺージ 

https://lanseqqua.jp/


11年程前、結婚したての山川惇太郎さんと笠小春さんに初めてお会いしました。お二人は大学(北海道大学)で農業を学んだ仲とはいえ、百姓としては未知数。

水道もないあばら屋(失礼!)に住み始め、朝から晩まで農作業に没頭。寡黙なだんなと活発なおっかさん。たまに会うたびに子供が増え(2人)、今や地元ではなくてはならない人に!念願だったワイナリー「ランセッカ」を開設し、3月からいよいよ販売が開始されます。益々のご健闘ををお祈り致します!(加我)