地域に開かれた大学の

歴史と魅力を発信する

― 丹羽謙治教授(法文学部人文学科)インタビュー ―

Q.どのような方法で鹿児島大学の歴史とかかわっていますか?

きっかけは今からおよそ7年前、鹿児島高等農林学校の五代目校長の資料を使った附属図書館の貴重書公開(展示)を行ったことです。

資料の研究や整理をしているうちに、当時の学生たちはとても活発で、市民に愛される開かれた学校だったということがわかり、その様子を多くの人に知ってほしいと思いました。

また、そのことから学校史の大切さにも気付きました。

一つの資料を様々な観点からみることで、歴史的な事実だけではなく、資料作成に至るまでの経緯や、当時の人の行動や考えなどもわかり、より立体的に解釈することができます。

丹羽謙治教授

Q.歴史的な観点からみたときに、鹿児島大学にはどのような魅力があるのでしょうか

目立つところはあまりありませんが、良くも悪くも中央から遠いところですね。

大学は急ぐところではないため、変化にゆっくり対応していてせかせかしていないのは良いところです。

Q.仕事を進めるなかで、過去とどのように向き合っていますか?

研究を進めるうえで、地域の方に資料を貸していただいたりなど、お世話になることがあります。

大学だけでは完結しない人とのつながりが研究に貢献しています。

大学の中だけでは終わらない研究は、魅力であり醍醐味だと思います。

フィードバックを心がけ、資料の持ち主に、その資料が持つ意味を知ってもらえるようにしています。

Q.鹿児島大学の歴史について、どのような方法で多くの人に広めていきたいですか?

全部を平等に出すことは難しいので、展示で大まかなことを知っていただいたり、本を出したり目録を作ったりしています。

また、資料の保存などのために図書館を活用し、デジタル化を進め、どんな人でも見られるようにしたいと考えています。

鹿児島は現在、人口が減っていますが、おもしろいところなのだということを知ってほしいです。

Q.鹿児島大学の歴史を守るためにこれから重要なことは何でしょうか?

鹿児島や大学に関する資料を収集、保管する施設や人を確保して発信することが重要です。

資料を保管して守っていけるシステムが大事です。

Q.鹿児島大学生へのメッセージをお願いします。

鹿児島大学にいるうちに何でも良いので一つでも二つでも打ち込めるものを見つけてほしいです。

厳しい世の中ではありますが、今しかできないことをすることで違う世界が見えてきます。

好きだと思えることを見つけられたらそれは宝物になるので、なんとなく生きるのではなく、一歩踏み出すことが大事です。

丹羽先生ありがとうございました

(インタビュー:K、C)