仏教のエンジニアリング

仏教と聞くと皆さまは、どのように感じるでしょうか。


仏教の「仏」の字も知らなかった10数年前、生きている意味生きる価値とは何かを考え始めた私は、不動明王という仏を知りました。その時は、とても怖い顔をして如何にも悪人の様な風貌の不動明王が、私達を守る仏だとは知るはずもありません。その不可思議な仏との出会いから、今日まで仏教に関する本をむさぼるように読み、数々のお寺で巡ってきました。そして、今、気づき始めているのです。生きる意味、生きる価値を追う事には、あまり意味がないと言う事です。意味を追って生きるより、今を楽しく生きる事の方が大切だと気づいてきたのです。仏教を一言でいうなら「思い通りに行かない今を強く生きていく教え」と私は答えるでしょう。

 

 しかし、それを気づかせてくれた仏教の教えは、「空」に代表されるように難解な教えが多くあります。そこで、もっと手軽に仏教の教えを感じ取れないかとペンを握ったのです。


この掲載は、私が自動車会社のエンジニアとして働いていた時に「仏教のエンジニアリング」と称して書き下ろした記事を抜粋したものです。エンジニア風に仏教の解説本にはあまり書かれていない秘話、説話、教えを集め、いつもと違う角度で仏教にアプローチしてみました。


 どの宗派にも依存ぜずに私が感じた仏教が面白いと思って頂ければ嬉しく思います。

仏教のエンジニアリングって何?

 「仏教のエンジニアリング」とは、仏教の教えを日常に活用し易くする事と定義したものです。仏教は宗教であり、哲学(フィロソフィ)でも科学(サイエンス)でもあると言われます。しかし、仏教の教えは緻密で、時に難解な教えもあります。そこで、エンジニアリング的な視点で可視化し、日常的に使い易い形にしたいと考えました。仏教のエンジニアリングは、仏教を日々の生活の中で身近なものにする事を目指しています。