不動産売買でローンを組む場合、原則、検査済証のない物件には銀行が融資をしてくれません。検査済証がない物件の売買には買主にとっても売主にとっても問題があります。
まず、買主の問題点ですが、ローンが利用できないため、買主は全額を現金で支払う必要があります。資金調達は買主にとって大きなハードルになります。また、小規模の住宅などを除いて検査済証を取得していない建物を使用することはできないので、購入後の建物の使用において遵法性の問題点を抱えてしまいます。
続いて、売主の問題点ですが、現金で購入できる買い手に限定されてしまう為、市場が狭まります。また、買い手が少ないため、価格交渉が難航し、希望価格での売却が難しくなることがあります。さらに、買い手が見つかりにくいため、売却までの期間が長引く可能性があります。
それではどうすれば検査済証がない建物でローンが組めるようになるのでしょうか?
そこで登場するのが「ガイドライン調査」になります(ガイドライン調査については以前の記事「ガイドライン調査とは?」をお読みください)。ガイドライン調査を行い既存建物の遵法性を確認し、是正すべき項目があればそれを是正することによってローンを組むことが可能になります。
【豆知識:検査済証がない建物は原則、使用不可】
建築基準法では建物はその用途や構造、規模により1号建築物から4号建築物に分類されます(※2025年4月から建物の分類が変わります)。
このうち、4号建築物を除く、1号建築物から3号建築物は検査済証を取得した後でないと使用することができないのです。4号建築物は例えば木造2階建ての戸建て住宅といった小規模のものになります。
実際は、行政による違法建築の摘発に限界があることをいいことに、検査済証を取得していないにも拘わらず建物を使用しているケースが多くありますが、最悪、使用禁止命令を受ける可能性があるなど、法的に不安定な状態にあります。