前回は、1970年以前の絶対高さによる制限下で建てられていた建物を建て替えようとすると、既存の建物よりも床面積が小さいものしか建たないケースのお話をしました。テナントビルであれば、建て替えるのでなく、改修を行って建物の床面積を減少させることなく高単価で貸せるといいですよね。しかし、検査済証を取得していない建物はこの改修を行うことができないケースがあるお話もしました。
逆の見方をすると、絶対高さ制限下の市街地中心部で31mの高さ制限目一杯に建てられたが検査済証を取得しておらず、また、その後に指定された容積率下で建て替えると床面積が大幅に減少してしまう建物を探し出して低廉な価格で購入し、ガイドライン調査を実施したうえで必要な改修を行って高単価で貸し出したり転売したりすることができれば不動産投資として美味しくないですか?
では、そのような物件をどうやって探したらいいでしょうか?
今回は穴場エリアの探し方についてお話ししたいと思います。ポイントはかつて市街地の中心部であったが駅の移転などに伴い商業・ビジネスの中心地が他の場所に移ってしまったエリアに目を付けることです。
そんな穴場エリアの一つに福岡市博多の昭和通り沿いが挙げられます。昭和通りは、かつて博多の中心地の一つとして非常に重要な役割を果たしていました。ただし、博多駅が現在の場所に移転してからは博多駅の周辺地域が商業・ビジネスの中心地になっています。なお、昭和通り沿いには今でも多くの商業施設やオフィスが立ち並び、活気あるエリアであるのは確かです。
この昭和通り沿いは、絶対高さ規制の時代では31mの高さ制限が敷かれ、現在は容積率600%の指定がされているエリアがあるのですが、絶対高さ31m目一杯に建てられた建物が多く残っているのです。これらの建物は現在建て替えようとすると、単純化すると床面積が4割減になってしまいます。また、これらの建物の中には検査済証を取得していない建物も多くあります。
昭和通り沿いで10階建て以上の建物に目星をつけ、その建物が1970年以前に建てられた建物なのかを確認するととんだ掘り出し物が見つかるかもしれません。ちなみに、建物の竣工した年は建物の定礎に書いてあったり、登記簿謄本を取得したり、古い地図や航空写真を調べたりするとわかります。