(1)水、(2)適温、(3)空気です。
(1)水:培養液である必要はありません。種がまんべんなく湿っていることが必要なので、培地をよく濡らしラップをすると成功しやすくなります。
(2)適温:レタスの発芽適温は15~20℃で25℃以上は発芽しにくくなります。一方、バジルは20~25℃であったりと、品種により適温が異なります。
(3)空気:水に浸かりすぎた培地からは、空気不足で上手く発芽しません。
実はこれらの条件に加えて、その種子独自の条件がある場合もあります。
独自の条件1)光:レタス・バジルなど水耕栽培で扱う多くの種子は「好光性種子」であり、発芽のため光を当てることが必要です。
独自の条件2)殻を割る:パクチーなど固い殻に覆われている種子は、あらかじめ殻を割って撒くことで発芽しやすくします。
(1)光、(2)水、(3)空気、(4・5)温度・湿度、(6)養分(肥料)です。
(1)光:光合成により有機物を作り、それを養分として生長します。植物の「ごはん(炭水化物)」を作るのに必要です。
(2)水:植物体の8~9割は水であり、光合成・根からの養分の吸収と運搬・細胞の維持には水が必要です。
(3)空気:光合成には二酸化炭素、呼吸には酸素が必要です。
(4・5)温度・湿度:光合成に適した温湿度が大事です。人にとって快適な室温の空間に設置した植物工場なら、問題なし。湿度はカバーで覆っても向上。
(6)養分:根から無機養分(窒素N・カリウムK・リン酸P・その他微量要素)を取り入れタンパク質を合成します。植物の「おかず」にあたります。
十分に光合成させられる程度の(1)光の強さ(2)照射時間(3)適切な波長です。
(1)光の強さ:
光量子:光をエネルギーを持った粒と考えたときの、その光の粒です。この光の粒により光合成が行われます。
光量子計:単位面積・時間あたりに、どれくらいの密度の光量子が植物に注ぐか計ります。照度計とは異なります。
光の減衰:光は距離が離れるほど減衰します。光源から離れるほど光量子も著しく下がりますので、光源と植物との距離は重要です。
(2)照射時間:
タイマー:現在の街中植物工場では12~20時間の範囲で状況に合わせLEDをタイマー設定しています。
(3)適切な波長:
白色光:太陽光のように白く見える光は様々な波長の光を含んでいるため、(照射のエネルギー効率はさておき)光合成に適します。
赤・青色光:光合成に最も使われる波長となる、赤色(660nm周辺)・青色(440nm周辺)を組み合わせたLEDでも栽培可能です。
(1)酸素、(2)遮光 (3)根切り(根詰まり防止)が大事です。
(1)酸素:水中の酸素も吸えますが、根の周りの動きが少なかったり水に溶けている酸素の量が少ないと、酸欠になり根腐れします。
(2)遮光:多くの植物の根が、光の無い方向に伸びることが知られています。挿し木の時に遮光瓶を使用すると発根が早くなります。
(3)根切り:根が伸びすぎると扱いが難しくなり、新しい根も伸びにくくなります。思い切って小さく切ってしまっても意外と大丈夫です。
いわゆる藻、植物プランクトンです。
水耕栽培にはつきものですが、以下の理由からできるだけ防ぐように対応することが大切です。
(藻の悪影響1)見た目が悪い、臭いが出ることがある
(藻の悪影響2)植物の根の周りに発生することで、必要な養分や酸素の吸収を妨げる可能性がある
(1)遮光、(2)培養液の入れ替え、(3)容器消毒です。
(1)遮光:藻は光と養分があれば増殖します。培養液のある部分に光が当たらないようにすれば、藻の少ない状態を維持できます。
(2)培養液の入れ替え:藻が発生した培養液がそのままになっていればどんどん増えますが、培養液が新しく入れ替われば増殖を遅くできます。
(3)容器消毒:プロの水耕栽培でも塩素系消毒を行っています。藻が生えにくくなるだけでなく、病原体を引き継ぐ恐れも減ります。
私たちの街中植物工場は、「人が第一、植物はその次」がスローガンです。
(1)「人のために」温度管理されている空間であること:
品種により差はありますが、「人にとってちょうど良い室温」=「植物の生長適温」と考えています。
そのため、公共施設のロビー等、室温が管理されている場所に設置すると、人の生活に相乗りする形で植物も良く育ちます。
週5日ほど温度管理している場所で、温度管理していない間に極端に室温が上下しない場所であれば、問題なく育ちます。
「植物のために」温度管理するとなると、植物栽培専用のコンテナを設置してしまった方が、という別の話の流れになってしまいます。
そのようなコンテナ型の栽培システムは世の中に存在しますが、グリーンズの街中植物工場は、より人に近く親しめる場で価値を発揮するものとしたい考えです。
(2)人のためのインテリアとして成立する場所であること:
「街中植物工場は、インテリアとして空間に置いてあっても良い、という考えで設置を許されている」という基本的な条件を忘れないようにしています。
街中植物工場自体はそれを考慮し、できるだけ美しく空間に設置できるデザインとするよう努めていますが、設置する位置によっては、その魅力を発揮できないかもしれません。
空間の魅力向上に役立つ場所に設置できるよう、関係者各位が工夫することが大事です。
(3)維持管理・収穫活用をするのに問題なく行える場所であること:
街中植物工場は、毎週人の手によって何らかの栽培作業を行います。これが人の集まる理由になり、空間に賑わいと、手入れされた空間の魅力をもたらします。
こうした維持管理作業が無理なく行える環境が整っていることが必要です。
特に水場へのアクセスや、収穫したものを手軽に調理・試食できる環境があるかどうかは、大事なポイントになります。
屋内で葉物野菜以外、実ものや根もの野菜を育てることもできます。現在、葉物野菜を中心に栽培している理由は以下の通りです。
(1)栽培設備をインテリアに馴染ませやすい:
葉物野菜は収穫期の草丈が低いもの(15~20cm)も多いため、薄型のLED程度の光量でも育てられます。また、根の張る培地部分もそこまでの高さを必要としません。照明や培地がコンパクトにおさめられるということは、「栽培設備をインテリアに馴染ませるための難易度が低い」と言えます。
例えば実もの野菜はより強い光を必要とするため、照明器具は大きくなり、インテリアの中になじむデザインにするにはハードルが高くなります。
(2)栽培上のトラブルが起きにくい:
レタスは6週、ハーブは9~16週で収穫・入れ替えでき、頻繁に入れ替えるために病害虫のリスクも低くなります。
例えばトマトは播種から16~22週が収穫となり、その分リスクが上がります。
(3)生長期間の中でインテリアとして楽しめる期間が長い:
レタスは生長が早いので、発芽から毎週の変化を楽しませる方向で展示的にインテリアとして成立させることができます。
ミントなどのハーブ類は収穫期が長いので、葉が豊かで観葉植物的にも楽しめますし、多くの種類が室内にフレッシュな香りを拡散してくれます。
実もの野菜や花(食べられる「エディブルフラワー」)は非常に鑑賞価値が高いのですが、鑑賞に適した状態に至るまでの時間が長いのが課題です。
(4)屋内で育てるメリットが大きい:
いつも、露地栽培(屋外での栽培)と比べ、屋内で育てる意味があるか?というところを問うのが、街中植物工場の価値を引き出すポイントです。
レタスは水耕栽培に適した品種が多く開発されており、繊細な葉を屋内できれいに育てるメリットが大きい野菜です。
ミント類は屋外でも旺盛に育ちますが、屋外ではきれいな外観を維持したり、育ちすぎて制御が難しいため、屋内で育てるメリットがあります。
いずれも現時点での回答であり、今後、別方向での価値の追求を行ったり、新たな栽培環境を構築していけば、実もの野菜等の街中植物工場も成立できるかもしれません。